目的:
ドイツの国民性等について知っていただきます。
メルケル首相の、今回の危機対応に対する
国民への力強いメッセージを確認いただきます。
ねらい:
国民性の近いところのある日本も頑張りましょう。
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この項は、
私の帝人勤務時代の同期の友人米野忠男氏からいただいた
メールのご紹介です。
たまたま「米野忠男」は「上野則男」と2文字共通です。
米野氏は、技術畑の英才でドイツ勤務でも活躍した方です。
現状でたいへん参考になる内容ですので、そのままをご紹介します。
最後に、メルケル首相が国民に呼びかけたメッセージの全文が
掲載されています。
関係者すべてに対する心配りがあり、非常に心がこもった内容ですね。
因みにドイツは、厳しい規制が成功して、
5月6日に、新規感染の現象が続いていることを前提に、
規制を緩和し経済再開に向かって前進しました。
メルケル首相が、得意げに?自ら発表を行っています。
メルケル首相は、2018年秋の地方選挙敗北を受けて
2021年の任期満了後の首相継続はないことを宣言しています。
今回のリーダシップ発揮(復活)で、その状況に変化があるでしょうか。
メルケル首相はまだ66歳です。
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ドイツのコロナ対策の優秀性に対するコメント(修正版)
(上野さんの5月1日付ブログに対して)
1.ドイツ政府の外出制限令
日本のメディアでもその内容の一部が紹介され,
国民へアッピールする名スピーチと高く評価された。
自由が制限された東ドイツ出身の首相ならではの内容だ
とのコメントもあった。
ドイツに住む知人から送られたメルケル演説の全文を読んで,
ドイツ国民に強く訴える内容だと痛感した。
役人の書いた原稿を棒読みするようなどこかの国の首相とは
大違いですね。
2.強固な医療システム
「ドイツには優れた医療制度があり,
世界でもトップクラスです」と述べ,
コロナ対策の最前線で戦う医療関係者へ感謝しています。
私はドイツ滞在中に何度か医師の世話になった。
ドイツはアメリカと同じようにホームドクター制が確立している。
ホームドクターの専門外の診察が必要なら,
紹介された専門医師の所に行くが,
結果はホームドクターから伝えられる。
しばしば高額になる歯科では,
診察後に詳細な見積書がコンピューターから打ち出され,
承認するサインをしてから治療が始まる。
私は痛む親知らず1本を抜くのにも,
麻酔から始まる各処置の治療時間や処置費用の明細が記載された見積書を見て驚いた。
医師の患者への対応は日本とかなり異なるが,
信頼できるシステムだ。
3.高齢者のライフスタイル
「子供と同居しないことが多い」と書かれているが,
同居したくてもできないのだ。
アメリカもそうだが,子供の親離れは早く親は寂しい。
私がデュッセルドルフに赴任してすぐに仕事でベルリンへ行った時,
森鴎外記念館(かって鷗外が下宿した家)に寄った。
人が少なく女性館長から日本語で話しかけられた。
日本語が達者なのは早稲田大学に留学したからだと知った。
その時彼女に突然,「ドイツ人は孤独なんです」
と言われてびっくりした。
親は寂しいから犬を飼い,犬税(パリには猫税あり)を払う。
地下鉄の家族割引は「親2人,子供2人,犬1匹」がセットで
割引料金が適用される。
犬や自転車を電車に乗せるには有料だ。
ドイツのレストランガイドには犬同伴の可否が示されることが多い。
イタリーでは市内勤務から帰った子供からウィルスをうつされた
親が多いと報道されたからドイツとは異なる。
4.住環境
確かにアメリカと比べればドイツの家は必ずしも広くはない。
ただ住宅は広さだけではなく質も重要だ。
ドイツのボンにも住んだ犬養道子の40年も前に刊行された
「ラインの河辺」というエッセーで,
ドイツの優れた家の構造を何故日本の建築家は見習い導入しないのか
と憤激している。
開閉方向がワンタッチで変えられる窓のドアを例にあげ,
手書きの絵で説明している。
私が住んだ家の窓も全く同じ構造で,犬養さんと同じく感動した。
建具を嵌める外枠は規格化された鋼鉄製だから,
ドアや窓など簡単に他の部屋のものと替えられる。
私もガラス窓のついた客室のドアを
窓なしの他の部屋の重いドアとの交換を試み,
一人で簡単にできて,日曜大工の好きなエンジニアは感激した。
またドイツの家は古くても堅牢で,
例えば100年たった家の床材は無垢の厚い板材だから,
特殊なカンナで削り塗装すれば新品同様の床になる。
ドイツ人は食事と衣服には金をかけず,
家と旅行に金をかけるといわれるが,ドイツに住むと実感できる。
街には旅行代理店がひしめいているし,欧州各地に旅行すれば,
ほとんどのレストランには英語とドイツ語のメニューが置いてある。
5.国民性
国民性は重要な要素でしょう。
まず言えるのは,
ドイツ人のルールを守るという道徳観が非常に強いこと。
これは子供の時からの学校教育や家庭の躾の影響が大きいと思う。
信号のない交差点には
日本なら優先権のない側に「止まれ」の表示があり,
アメリカなら「Yield(譲れ)」の表示があるが,
ドイツでは表示は全くない。
右側優先のルールが徹底しているからだ。
左側に車が見えても減速せずに突っ走るし,
右側に車が見えれば停止する。
子供の時から「右は権利」と教わるらしい。
英語の「right」は「右」と「権利」の両方の意味を持つ。
ドイツ語も同じで「Recht」は「右」と「権利」の意味を持ち,
「Recht ist recht」と覚える。
ドイツ人はおせっかいで,
自分はルールを守るが他人にも守らせる気質があり,
交通ルール違反の車のナンバーを警察に密告する人もいる。
人通りが全くない駐車禁止の小道に短時間車を停めると
不思議に駐車違反のチケットが貼られている。
老婆が窓から顔を出しているのを見て,やられたと思う。
一人暮らしの老婆が,
今日もささやかな社会貢献をしたとほくそ笑んだに違いない。
ドイツでは赤信号で渡った歩行者を轢き殺しても無罪の判例がある。
ルールを守らない方が悪いとの考えだ。
アメリカではさすがに,
運転者は赤信号を渡る人を轢き殺す権利はないとの考えだ。
交通ルールを守らない車を見ると,
ドイツ人はイタリー人だろうからしょうがないと言うし,
イタリー人はドイツ人は頭が固くルールを守り過ぎるから,