2020年5月27日水曜日

新型コロナ対応緊急事態宣言等の総括をします!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 緊急事態宣言解除までの経緯を整理してみます。
ねらい:
 第2波または今後の別の大流行感染症に備えましょう。
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5月25日、緊急事態宣言はひとまず全国で解除となりました。
そこで、今後のために今回何が起きたのか(の一部)
を整理してみました。


1.まずは、第1波の封じ込めに成功
海外からは、
「強権で抑え込まずにあいまいな対策でよくできた」
と感心されているようです。
日本国民の優秀性の証拠だと思われます。


著名人が亡くなったことも、国民にショックを与えたのでしょう。
志村けんさん、岡江久美子さん、立石義雄氏、岡本行夫氏、
お若いのに気の毒な勝武士さん、
特に、志村けんさんの「貢献」は大きかったですね。


石田純一さんは回復しましたが、
「あんな元気な人でも」と、影響力大でした。
立石さんは分かりませんが、
皆さん何らかの健康的弱点をお持ちだったようです。


2.緊急事態宣言発令は遅かった。
ご承知のように4月7日です。
「すでに大きな山は超えつつあった」という説もあります。


東京都の小池知事が強い口調で、
3月26日に都民の外出自粛要請を出しています。
そのくらいのタイミングで出ていてもよかったのです。
専門家の意見の聞き過ぎでしょう。


3.インフルエンザ対策特別措置法の「要請」のあいまいさ
この法律は緊急事態宣言の根拠法ですが、
2012年野田内閣のときに公布されたものです。


この法で都道府県知事は、
必要な外出自粛や営業自粛等の「要請」ができるようになっています。


しかし、要請に従わない場合は
「正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、
当該施設管理者等に対し、
当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる」
となっています。


その措置とは、
一 新型インフルエンザ等の感染の防止のための入場者の整理
二 発熱その他の新型インフルエンザ等の症状を呈している者の
   入場の禁止
三 手指の消毒設備の設置
四 施設の消毒
五 マスクの着用その他の新型インフルエンザ等の感染の防止
   に関する措置の入場者に対する周知
六 前各号に掲げるもののほか、
  新型インフルエンザ等緊急事態において、
  新型インフルエンザ等の感染の防止のために必要な措置として
  厚生労働大臣が定めて公示するもの
であって罰則ではありません。
営業するなら「きちんとせい」というにすぎません。


4.インフルエンザ対策特別措置法は抜けている。
地方自治体の要請または指示で、
災害対応のために医療関係者・運輸関係者等が稼働した場合の
補償の規定はありますが、
それ以外の住民・業者が要請により休業した場合の補償のことは、
何も謳っていません。


法の立案者がそこまで考えられなかったのでしょう。
橋下徹氏曰くの「クソ法」です。


したがって、
法律上は休業した本人の損(負担)ということになります。
それはないだろうということで、
各都道府県が助成金や協力金という名目で
それぞれの基準を作って対応しています。


5.小中高の全国一斉休校は必要だったのか。
これは結果論ですが、子どもはほとんど感染しないか、
感染しても極めて軽症なのです。
これが季節性のインフルエンザと異なる点です。


「インフルエンザ!」の連想からの措置で、
安倍首相の「英断]と言えますが、
その悪影響はたいへんなものです。
「どう落とし前つけてくれるのか!というレベルです。


このウィルスの感染力の解明が待ち望まれます。
すでに、このウィルスはいくつかの変異体が見つかっており、
欧米系は、
元祖武漢系よりも感染力が格段に強いことが分かっています。
さらに感染力・重症化力を強めた変異ウィルスが、
第2波として世界を席巻しないことを願うのみです。


6.国と地方の連携の不慣れ
緊急事態宣言を発令するのは國です。
その宣言に基づき住民・事業者等に実際の行動要請を行うのは
都道府県知事の権限責任です。


そうなのですが、初めてのことで、
政府が都道府県に対する指針のようなことを発信するものですから、
混乱が生じました。
指針は参考であって指示ではありませんが、
従わなければならないと思った知事もおられたようです。


この点は次第に分かってきて落ち着きました。


因みに、安倍総理の全国一斉休校の要請に従わなかった
各地区の教育委員会がありました。
日本としては珍しいパターンで立派でした。


7.感染防止対策と経済活動維持とのバランス
各種の自粛要請は、「国民の命を守るため」であると言われました。
たしかに命を守ることは第1優先であるべきです。


ところが、調査によると、戦後の日本では、
失業率が1%増えると、自殺者が2千人程度増えるのです。


経済活動が停滞して破産倒産が発生し、失業者が増え、
自殺者が増えることも、国民の命が失われることです。


感染症から守るべき命と失業により失われる命とのバランス
をどう取るかの判断は優れて政治的判断です。
「専門家」の埒外です。


トランプ大統領は、事業家出身だけあって、経済優先です。
まだ感染が拡大中なのに出口戦略を探っています。
腹をくくって責任をとる覚悟ならよいのです。


8.PCR検査体制整備の遅れ
感染拡大を抑える重要な対策の一つがPCR検査です。
安倍総理がいくら目標数値を挙げてもさっぱりダメでした。


OECDが4月28日に発表した
日本の人口千人当たりのPCR検査実施人数は1.8人で
36カ国中35位です。


なぜそんなにダメなのでしょうか。
その原因は、当初は
指定された保険所(帰国者接触者相談センター)で検体採取をし、
地方衛生研究所で検査をする流れになっていたからです。


その2機能での能力に限界があったのです。
安倍総理の言われる目詰まりです。


そこで、その後、
地域の医師会で運営する「地域外来・検査センター」で検体採取し、
民間検査会社で検査をする方式もができるように改められました。
以下の図をご参照ください。
(出典:JIJI.COM「新型コロナ感染を調べるPCR検査の主な流れ」)
右の列の処理が追加されたものです。



この方式への変革が遅れたのです。
厚生労働省など関係者も、個別の技術・手法面に目が向き
業務改善の観点が希薄だったからです。
日本の「専門家任せの風潮」の弊害です。


なおその後、検体採取を医師しかできないネックの解消策として、
本人が唾液をとって検査所に送る方法や
スマホにつなげたセンサーでウィルスを確認する方法などが
次々開発され実用化も始まっています。
まさに、「必要は発明の母」に世界中が取り組んでいる、
という感じで素晴らしいことです。


9.自宅療養の限界
4月くらいまでは、
軽症者(本人はたいへんな症状でも人工呼吸器を必要としない人)
は自宅療養が原則でした。


社会から見れば、隔離でしょうが、
一人住まいでなければたいへんなことです。
普通の家庭では隔離する生活をすることが困難です。
橋下徹氏が経験して報告されていました。


その後、ホテル等を借り上げて収容ということになったのは
社会的経験による大きな進歩でした。


10.今回売上が伸びた業種、減った業種
売上が減った業種は外出禁止・自粛の影響を受けた業種で、
航空、旅行・ホテル、タクシー、レンタカー(アメリカではハーツが破たん).
飲食業などその状況はよく知られています。
コンビニもダメです(特にオフィス街のダメージが大きいです)。


ところが、売上が増えている業種もたくさんあるのです。
コンビニとの対比でスーパーは4月の売上が2桁増のところが
多くなっています。
学校給食がなくなり家庭での食材購入が増えたのです。
カップ麺から始まり、冷凍食品、小麦粉などが品切れになったりしました。


弁当屋やフードデリバリーも増えています。
UberEatsの自転車はずい分見かけるようになりました。
失業学生アルバイトの大きな受け皿になっているようです。


在宅勤務のためのノートパソコン・タブレットも特需で、
ボーナスが出るくらいなのではないでしょうか。
在宅関連では、テレワークのソフト、クラウド関連ツール、通信事業
などもかなりの売上増でしょう。


マスクも特需ですが、
トイレットペーパは、学校・オフィスの在庫が減らずに
家庭用に大量に出たのでしょう。


ゲーム機器・ソフト、動画配信・販売,は大幅増でしょうが、
本屋・出版業界はどうだったのでしょうか。
あまり売れているという情報には接しません。


宅配業者も大幅売上増でしょう。
置き配用ボックスもだいぶ売れているようです。


消毒・清掃用などのロボットも大増産のようです。


変わったところでは、ミシンも売れているようです。
在宅時間が増えて、裁縫できるようになったのです。
マスクを作っているだけではないと思います??


明日の命が分からないという感じの飲食店からすると、
「羨ましい」を通り越して妬ましいことでしょう。


11.「苦境の被害者は女性」
 アントニオ・グテレス 国連事務総長の寄稿
ユニークな発言なのでご紹介します。
5月3日の日経新聞に掲載されたものです。
女性が被害を受ける局面を以下のように挙げておられます。


1.DV被害の増大
 暴力をふるうパートナーと同じ空間に閉じ込められて、
 そのリスクが増える。


2.失業の増大
 臨時雇い労働者や小規模サービス業従事者など低賃金で
 手当がない仕事で働く比率が、女性は男性よりずっと高い。
 ILOは今後3カ月だけで世界で2億人近くが職を失うと推計した。
 その多くがこうした分野の仕事だ。


3.家事の増大
 通常でも女性は男性の3倍の家事をこなす。
 学校の休校になると、
 女性が子どもの面倒をみることが求められる可能性が高くなる。


おまけ.感染源不明の場合の感染源の可能性
感染源が分からないのは、非常に不安な状態です。
私は、不明の場合の何割かは硬貨ではないかと想定しています。


このウィルスの生存期間は、米国NIH研究所の予備的研究では、
 空気中 3時間
 段ボール 24時間
 ステンレス 48時間
 プラスティック 72時間
となっています。


硬いものの方が長生きするようです。
そうであるなら硬貨でも、何日かは生存します。


誰も硬貨が感染源であり得ることを言わないのは、
大恐慌になる恐れがあるからなのでしょう。
恐ろしいことですね。
もしそういうことがはっきりしたら、
日本でも一挙にキャッシュレスが進展するのではないでしょうか。



今回のコロナ騒動で、世の中が大きく変わっていきそうです。
在宅勤務の増加とそれに伴うライフスタイルの変化は
その最たるものです。そういう面で、ビジネス従事者は先を見越す必要が、
今まで以上に非常に大きくなってまいりました。


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