2020年5月21日木曜日

危険!!大災害の可能性のある地域で宅地開発がされている!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「災害痕跡データベース」があることについて知っていただきます。
 災害のリスクをどう考えるべきかについて考えていただきます。
ねらい:
 災害のリスクがあることを知っていてそこに住む分には
 問題ないのでしょう。
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この項は、學士會会報2020年Ⅲ号に記載された
村田泰輔奈良文化財研究所研究員による
「災害痕跡データベースの構築」からのご紹介です。


著者が所属する研究所では、
日本中の歴史災害の痕跡をデータベース化する
大偉業を遂行中でおられます。


東日本大震災の大津波被害は、過去を忘れたから起きた災害
と言われました。
過去から学ぶことは非常に重要なことです。


こういう問題提起をされています。


百年ほど前に始まった近代的手法による地震・火山観測では、
地球物理学や科学的知見から、
地震や火山噴火のメカニズムについて、
多くのことがこれまでに明らかになってきたものの、


東日本大震災で私たちが経験した大津波など、
本当ははるか千年も前に同じ地域で貞観地震として発生していたことや、
低頻度で大規模となり易い海溝型の地震は、
120~130年おきに発生しやすいなど、
歴史的な記録を調べて改めて明らかになることが
まだ数多く出てきたのです。


100年程度のデータ知奇跡では、
巨大地震発生のメカニズムや歴史的なくり返しをかいめいするには
全く足りませんでした。


当研究所で作成している「災害痕跡データベース」は
全国で47万件ある遺跡を対象に
「いつ」「どこで」「どのような災害」が発生したかを
「見える化」するため地図上で検索・表示できるようにしています。


1.データベース作成の作業について
この作業としてこういうことをされています。


1)発掘担当者からの情報
進行中の発掘調査の現場に出向き、
災害痕跡を直接確認し、データを得ます。


2)資料調査
これまでに発行された発掘調査の報告書、論文、
発掘調査中に行われた説明会資料、年次概報などを
可能な限り収集し、片端から読み、
その中に含まれる災害痕跡に関する記述を抽出します。


3)データの整理
災害痕跡のデータを得ると、次に災害痕跡の位置・基本層序(地層)・
災害の時期・災害の種類などのデータを精査・整理・評価します。


4)データの入力
遺跡ごと、調査時点ごとにデータ入力するが、
考古学者、地震学者、地質学者など様々な専門家が利用できるように
項目は細かく設定されています。


2.データ確認の困難さについて
このように述べられています。


a.災害痕跡の見極め
災害事実を見逃さないことも重要ですが、
未発生の災害を作りださないようにしなければならない、
そのため、複数のX線装置などを利用して確認しています。


b.災害発生時期の特定
発掘の場合は、地層から堆積時期の証拠を丁寧に拾い出さないと、
災害の発生時期が判然としません。


c.災害の全体像の把握
断片的な災害痕跡だけでは全体像が不明なので、
複数の災害痕跡をつなげて見る必要があります。
データベース化によりこれが実現します。


というようなことで具体的な災害痕跡データの収集等について
紹介されています。


3.災害の危険を抱えている地域
本項では、具体的な情報の中から
過去に大災害が発生している地域で大規模な宅地開発等が行われている
ことに著者が警鐘を鳴らしている場所をご紹介します。


災害のリスクを公表することに対して業者側・自治体側から
「根拠がないことを言わないでくれ」などとクレームが来るそうです。
どう判断すべきものか難しいところです。


1.長岡京
地震と、河川氾濫の痕跡が多数あります。
ここで平成10年以降宅地開発がされている。


2.渋川市(群馬県金井東浦遺跡)
6世紀の榛名山大噴火の遺跡もあり歴史的に非常に危険な場所で
宅地造成されている。


3.沖縄県水納島
ここの海岸には1771年の明和津波によって運ばれた
「サンゴ石」と呼ばれる数メートル級の大きな岩塊がある。
ここでリゾート開発されている。


4.榛名山周辺
浅間山や榛名山は歴史上大噴火がたびたびあり、
しばらく人間が住まない時期もありました。
ところが今は大きな住宅地が形成されている。
噴火が起きれば一晩で壊滅します。


このほか、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震も
災害痕跡は多数ありました。


というようなことでした。
リスクに対する考え方次第ですね。
日本人の大きな思考的課題の一部です。
(参照:上野則男のブログ2020.4.23「ドイツのコロナ対策の優秀性,日本は??」http://uenorio.blogspot.com/2020/04/blog-post_23.html

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