目的:
話題になっているPurpose経営論の意義と内容を再確認いたします。
ねらい:
そういう目で企業のミッションを見ていきましょう。
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日経新聞では、11月29日から【カイシャの未来 志を探して】
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日経新聞では、11月29日から【カイシャの未来 志を探して】
と銘打ったシリーズ記事を掲載しています。
その第1回は【御社の存在意義は何ですか】となっています。
この中に、こういう記述があります。
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我が社は何のためにあるのか。
この問いかけに今、世界の多くの会社が直面している。
株主から資金を集め、雇用を生み、世代を超えて事業を継続する。
それ自体が偉大な発明といえる「会社」は経済成長の原動力となった。
世界のGDPは19年に85.9兆ドルと半世紀で約60倍に拡大した。
ただ、巨大になった歯車はひずみも生む。
(中略)
社会との分断に危機感を募らせた
米経営者団体のビジネス・ラウンドテーブルは19年、
「パーパスの再定義」を呼びかけた。
(中略)
米スターバックスやIBMなどが加盟する団体は、
消費者100万人の評価を基にした4000社超のパーパスの点数と、
収益の関係を分析した。
「高パーパス企業」は投下資本利益率が13.2%で
「低パーパス企業」の2倍近かった。
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そして、日経新聞当日の「きょうのことば」欄には
こういう「パーパス」の例が紹介されていました。
社名 |
文言 |
ソニーグループ |
クリエイティティとテクノロジーの力で 世界を感動で満たす。 |
花王 |
豊かな共生世界の実現 |
三菱UFJ・FG |
世界が進むチカラになる。 |
英ユニリーバ |
サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に |
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上掲記事にありますように、
Purpose重視思考は今始まったわけではないのです。
当ブログでも2019年12月23日に以下の解説を掲載しています。
このブログの内容は、主として、
2019年3月号のダイヤモンド ハーバード・ビジネス・レビュの
Purposeに関する特集記事、からの紹介でした。以下にその骨子を示す表を前掲ブログから転載いたします。
解説は今回作成のものです。
経営の目標を示すものは、
ミッション、ビジョン、バリューの3種である。
経営目標概念の定義と目的
定義 | 目的 | |
ミッション | 組織の存在意義を定める | 求心力を高める |
ビジョン | 組織が目指す理想の状態を定める | 人を動かす |
バリュー | 組織の構成員が共有する価値観を定める | 組織文化をつくる |
ミッションとビジョンの関係はこう理解するとよいようです。
ミッションは、組織の存在意義を示すのですが、
ビジョンはそのゴールイメージです。
「どんな状態を目指すのか」です。
Purposeは、これに追加されるものではなく、
ミッションの、場合によってはビジョンの、内容を示すものである。
ミッションには、
パーパス型ミッションと従来型のアイデンティティ系ミッションとが
あります。
前掲日経新聞の特集記事は、
この「パーパス型ミッション」のことを取りあげているのです。
ミッションの2類型
視点 | 表現型 | |
パーパス型 ミッション 新しいタイプのミッション | 「自分たちは社会に何を働きかけたいのか」を示し、外側にある終点に重心が置かれている。 | 「我々は○○を欲す」と社会変革を志す。 DO型ミッションとも言える。 |
アイデンティティ型ミッション 従来型ミッション | 「自分たちは社会の中でどうありたいのか」を示し、内側に重心が置かれている。 | 「我々は○○であり続けるべし」と社会の中で文化の創造や保全を目指す。 BE型ミッションとも言える。 |
ミッションの2類型の例
企業名 | 内容 | |
パーパス型 ミッション | クックパッド | 毎日の料理を楽しみにする。 |
ネスレ | 生活の質を高め、さらに健康な未来づくりに貢献します。 | |
テスラ | 持続可能なエネルギーへのシフトを世界中で加速させる。 | |
アイデンティティ型ミッション | パナソニック (「綱領」と称しています) | 産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す。 |
オムロン (「企業理念」と称しています) | 社会の変化をいち早く捉え、事業を通じて社会的課題を解決してゆくことで、よりよい社会、人が輝く豊かな社会に貢献していきます。 |
Purpose型ミッションが重視されるようになった背景は、
企業間競争が激烈化している中で、
自社の存在意義を社会に対する貢献視点で示そうということです。
「社会に対してこういうことを実現します」というアピールです。
Purpose自体のことばの意味は「目的」ですから、
何を目的にしてもPurposeなのですが、
「社会に対する貢献視点で示す目的」のとらえ方が、
現在問題とされているPurposeなのです。
では次に、
経営のWhy、What、Howとミッション、ビジョンの関係はどうか、
という問題があります。
前掲ブログでは、サイモン著「WHYから始めよ」を参照しています。
同書では、Why、What、Howを
以下の左の欄のように説明していました。
右の欄の「ミッション・ビジョン・バリューの位置づけ」は私の見解です。
サイモン・シネック 「WHYから始めよ」 | ミッション・ビジョン・ バリューの位置づけ | |
Why | 目的、大義、理念 (自分たちが目指すこと) | ミッション ビジョン 収益目標 |
What | 提供する商品・サービス | 提供する商品・サービス 事業内容 |
How | Whyに基づきWhatを実現する方法 | バリュー 行動指針 |
サイモンは、上書で,WHYが人を動かすので、
これが明確でなく、
事業内容(「当社の製品は」「当社のサービスは」)を前面に出す経営は
凋落している、と説いています。
「現状への挑戦](Why)をアピールしているAppleは伸び、
業界トップになった後のGMは自社の製品をアピールし凋落した。
ビジョンはミッションのゴールイメージですから、
ミッションの定量化・具体化目標なのです。
いずれも、経営の「ねらい」です。
ミッションの定量化・具体化目標なのです。
いずれも、経営の「ねらい」です。
(前掲ブログで、ミッションが「目的」でビジョンが「ねらい」である、
と書きましたのは誤りでした)
では経営の「目的」は何かというと、
経営が直接実現しようとする
収益の増大、顧客満足度の向上、従業員満足度の向上、などです。
と書きましたのは誤りでした)
では経営の「目的」は何かというと、
経営が直接実現しようとする
収益の増大、顧客満足度の向上、従業員満足度の向上、などです。
これは当然の経営目的で、Purpose論では問題とされていません。
前掲日経新聞記事にこのような記載がありました。
エーザイは、16年も前に珍しい条項を定款に盛り込んでいた。
「患者を助けることを第一義とし、 ⇒Purpose、ねらい
その結果として売上、利益がもたらされ、 ⇒目的
この使命と結果の順序を重要と考える」
的確な捉え方ですね。目的とねらいの関係を明示しているのです。
この関係を意識することが、Purpose重視経営なのです。
バリューは(組織で共有する)価値観を示す言葉なのですが、
実際の例は「行動指針」です。
日立グループ:和、誠、開拓者精神
実際の例は「行動指針」です。
日立グループ:和、誠、開拓者精神
キリングループ:熱意、誠意、多様性
ソフトバンク:「努力って楽しい」「No.1」「挑戦」「逆算」
「スピード」「執念」
リクルートHD:「新しい価値の創造」「個の尊重」
「社会への貢献」
バリューによって、ミッション・ビジョンを実現するのです。
以上で、Purpose、ミッション、ビジョン、バリュー、収益目標
の関係が整理できたでしょうか。
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