2021年7月20日火曜日

「中国癌との最終戦争」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 中国の脅威を再認識していただきます。
 「中国癌」の発生原因は根が深いことを認識していただきます。
 中国の脅威対策を検討していただきます。
ねらい:
 うかつに中国を利することは絶対にやめましょう!
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久々の中国脅威論です。
少し時間が経ちましたが、
昨年9月刊行の台湾生まれの医師林建良氏著「中国癌との最終戦争」
を読みました。


本項はその結果のレポートで、以下の構成となっています。
1.「中国癌との最終戦争」の問題提起
2.トランプ政権の問題意識
3.10年前の渡辺洋一氏の問題提起
4.「中国癌」の原因と対処法

1.「中国癌との最終戦争」の問題提起
「中国癌との最終戦争」では、中国の侵略主義は人類にとっての癌である、
と定義した上で、中国の状況についてこう述べています。
米国の過ちの根源は、2002年に米国が中国に最恵国待遇を与えて
WTOに加盟させたことである。
その際、15年間の猶予付きで、
知的財産の保護、金融などのサービス業の市場開放の条件付きであった。
これにより中国の産業が伸びたのである。
しかし、中国は当時から「約束はするが、その約束を守るかどうかは我々次第だ」
と交渉責任者が語っていて、約束を守る気はなかった。
「自分に都合の悪いことはやらない」というのが中国流である。

トランプ大統領は、15年契約期限の2017年に、
約束を守らないことに対して、制裁を与えたのであるが、
これに中国が「報復」したので、
筋が違うと激怒し、さらなる制裁を次々繰り出した。
それで、中国も自分の不利を察し、「報復」を取り下げた。
損になるから取り下げただけで、約束を守るためではなかった。

トランプ政権の本気の中国敵視政策を受けて、
習近平政権がとっている「押っ取り刀」の施策を紹介しています。
1)鎖国政策
米国圏経済に頼らずに中国圏の内需中心で行く「内循環」を指向する。
2)デジタル人民元政策
人民元をすべてデジタル化して、14億人の財を把握する。
ドルの切り離した経済圏を構築する思惑もある。

もともと、一部の政権関係者・党幹部・官僚たちが利権がらみで富を集積し、
一般市民は困窮していることに不満が蓄積されている。
なおかつ彼らは習近平を含み自分の財産を海外に避難させている
(自分の国を信用していないのである)。

これらの政策により、
習近平政権の維持は容易になるかもしれないが、
中国国民の生活は、不自由で現在よりも低下することが予想されるのである。
その「暴政」に中国国民は不満を増大させる。

2.トランプ政権の問題意識
中国または中国共産党、習近平が世界の共存共栄にとって大きな障害になる
ことは米国の共通認識になってきています。

2018年10月にペンス副大統領が、
中国と対決する姿勢を明確に示す演説を行っていますが、
2020年になってからの以下の3演説は対応を具体化しています。

その象徴が、
有名なポンペオ国務長官(当時)の2020年7月23日の演説です。
その要点は以下のとおりです。

中国政府が行っている、香港。新疆ウイグル地区での人権侵害、
知的財産権の盗用、南シナ海での領有権の拡大、
その他さまざまな国際的な約束の破棄などを列挙し、
「中国の指導者の言葉ではなく行動を見て判断しなくてはならない」と強調。

米産業界に対しては、
中国へ投資することは中国共産党による人権侵害を支援することになると警告し、
社会的な正義を守るために整合的な行動をとるように呼びかけた。

自由主義の同盟国が立ち上がって中国の姿勢を変えさせなければならない。
中国を恐れてその専制政治を許すことは歴史的な誤りにつながるとし、
結束して中国に立ち向かうことを呼びかけた。

その同じ7月の7日にFBIのクリストファー・レイ長官は、
中国のスパイ活動によって米国の安全が脅かされている
(平均して10時間ごとに1人の中国スパイが摘発されている)
ことの演説を行っています。

同じ7月の16日には、ウィリアム・バー司法長官が、
中国が一帯一路の戦略でアジア・アフリカ諸国を債務の罠にはめ、
そのインフラを略奪していると演説しています。

ということで、トランプ政権が本気で中国と対抗する気であることが
本書でも示されています。

その後、バイデン政権に代わりましたが、
トランプ政権の中国政策は継承されています。
新たな強硬策の提示や強硬策の緩和は示されていません。
今のところは模様眺め状態のようです。

3.10年前の渡辺洋一氏の問題提起
過去には、渡辺洋一氏が、
中国脅威論と日本がどうすべきかについて明確な主張をされています。
それについては当ブログでご紹介しました。
現状はそのとおりの進展となっており、米国もその思考の追随と言えます。

2013年4月1日
当書は副題に「列強の民族侵略近代史」とありますような内容ですので、
中国脅威論はその一部です。

渡辺洋一氏の中国脅威論については以下のブログでご紹介しました
「若者たちよ!君たちに伝え残したいことがある」
(2012年12月9日、K&Kプレス刊)の書籍全編で展開されています。
2012年12月9日

当ブログの要旨は以下のとおりです。
その状況は現在も進展しています。
中国は周辺国に対してたいへんな脅威である。

その典型的例がチベットである。
(チベットへの侵略・同化対策については
詳細な記述があります)

日本も第2のチベットになる危険性がある。
中国はやりかねない、どころかすでにその計画がある。

中国の異常な軍事力の脅威はどれほどか。
中国は日本における親中派工作を進めている。
民主党政権の一部はそれに巻き込まれている。
沖縄基地の県外移転などは中国の思うつぼ。

マスコミがなぜ、中国の横暴を報道しないか。
(これは知りませんでした)

日中記者交換協定というものがあり、
「日本のマスコミが中国に報道拠点を置ける代わりに、
中国に不利な報道をしない」と取り決められている、
これに反すると中国から締め出されてしまう、
のだそうです。
とんでもない不平等協定です。
これを廃棄すべきだという渡辺氏の主張です。

偏った報道の例として、以下が示されています。

「尖閣諸島での中国漁船の暴挙に抗議して、
2010年10月2日に東京で抗議デモが行われました。
2500人を超える多数の日本国民が参加した大規模なもので、
渋谷界隈は多数の日の丸の旗がひらめきました。
ところがこのデモを取材したはずのNHKや民放・新聞各社は
これをまったく報道しませんでした」

「一方、当時、中国において数百人規模の官製デモが
日本大使館に押しかけましたが、
日本のマスコミはこれについては
大々的に報道しました。
これも不平等協定に従った日本側マスコミの
お粗末さの一例です」

中国は国内では
大々的に反日教育・反日政策をとっている。
中学校の教師用歴史指導書要綱には
「生徒には日本の帝国主義・軍国主義に対する
憎悪と憤怒を持たせるように努めよ」
と書かれています。

また中国各地には
「抗日戦争記念館」がある。

中国は、共産党一党支配が続く限り、
膨張政策を取らざるを得ない。
したがって、脅威を感じる隣国としては
共産党政権を倒す画策をすべきである。

(なるほど、そのとおりです。
いずれ一党独裁の政権は崩壊するという説もありますが
待ってはいられない、のです)

中国へのODA援助はもちろん、
技術供与や交易一切の取引をやめるべきだ、
中国からの総引きあげくらいのことをやってもよい。

自社の利益に目がくらんで国益を損なう行為をしてはならない。
交易を中止しても、その影響は短期的にはともかく
中長期的には大したことはない。
日本のGDP比で、輸出入とも2%台である。
(上野注:現在は増えていますがそれでも4%程度です)

4.「中国癌」の原因と対処法
(1)渡辺洋一氏の主張
【中国を分解・解体せよ】
独裁政権である中国は自らの覇権主義的行動を反省して放棄し、
近隣諸国侵略の意図を翻すことは絶対にありません。
ではどうすればよいのでしょうか。

中国は多くの自戒する要因を抱えています。
自由世界が団結して、中国人民の民主化運動を積極的に支援し、
自壊要因をさらに醸成・刺激して、暴動を発生させ、
軍事独裁政権を崩壊させ、幾つかの民主国家に分解解体するのです。

中国は近隣諸国を侵略、占領、併合し、
一国として統治するには巨大すぎる国家になってしまいました。
歴史が示しているように、中国でも独裁権力者の腐敗と人権無視が、
インテリ層や農民層の反発を招いてきました。

独裁崩壊は時間の問題です。
インターネットが普及し、多くの中国人が海外渡航することにより、
独裁政権下の中国と自由世界の落差の大きさを認識するようになり、
内部崩壊の要因は大きくなりつつあります。

加えて、幹部間の激しい権力闘争も顕著です。
中国の暴動は年間20万件を超え、
その国内治安対策費は中国の軍事費を超えるほどに大きくなり、
独裁者は民衆の反発反抗の弾圧に躍起になっています。

自由民主主義の陣営は力を結束させて中国国内の民主勢力を支援し、
動乱を誘発させて、ソ連や東欧諸国が崩壊したのと同じ流れを醸成し、
中国が分解、解体するようと努めるべきです。

そのためには、中国が日本を含め世界に工作員を派遣し、
相手国の混乱、動乱を誘引し、暴動の惹起を計っていると同様、
世界から中国に工作員を潜入させ、
中国の民主化運動、民族独立運動を支援すべきです。
この種の工作活動は長期的視野に立ち、かつ隠密裏に行わねばならず、
根気と多額の資金を必要としますが、
何としても実行に移すことが必要です。

(2)「中国癌との最終戦争」の主張
中国の分断政策など、基本は渡辺洋一氏の主張と同じですが、
異なる点を挙げます。
1)中国高官たちの海外への隠し財産を公開する。
 これはインパクトあるでしょうね。中国国民の怒りは頂点に達します。

2)日本がはっきりと中国の民主化を促す意思表示を行う。
 反政府を望む中国国民にとっての励みとなります。
 日本も「チベット人権法」「香港人権民主主義法」などの人権法を制定し
 人権侵害の中国高官を制裁できるようにするのも一案。

3)「暴政」に抵抗する中国人を全面的に支援する。
 資金、物資、情報も提供する。
 彼らが弾圧に遭うときに武器の提供も軍事訓練の協力も必要になる。
 この姿勢を自由主義陣営が明確に打ち出せば、
 習近平のめちゃくちゃな政策に反感を持っている多くの中国人が
 立ち上がるに違いない。

4)中国癌の核心は「大一統思想」
 「中国の統治者は徳を持っているので
 その徳をあまねく多くの人民に施さなければならない」
 という考えが「大一統思想」である。
 この考えを中国から放逐しない限り、習近平を倒しても同じことが起きる。

5)この思考を差し止めるのは、中国の分割である。
 日本は、コロナの流行初期に感染状況を踏まえて、特定の省の住民に
 入国制限を行った。
 その方式を、人権侵害等の状況にも拡大して省を差別することによって、
 中国の分断を促進することができる。

 (上野注:しかし過去の中国の歴史を見ても集中・分散を繰り返しています。
 分割しても、強い国(省)が近隣を併合していくでしょう。
 平和は、時間の問題でしかありません。後掲上野見解参照)

(3)上野見解
なぜ、中国が「中華思想」を基にして、侵略指向であるのかについては
中国の過去の歴史から見て、漢民族に植え付けられている「遺伝子」のせいだと
いう主張がされてきました。
昨今のDNA分析技術の進展によりそのことが証明されました。

関裕二著「縄文の新常識を知れば日本の謎が解ける」
にこういう記述がありました。

中国の場合,Y染色体はそのほとんどがO3系統で、
男性は単純な構成になっている。漢民族はO3(だけ)なのだ。
(一般的には民族は多様な遺伝子構成を持っています)
ということは、O3が力づくで他者を追い出し、
あるいは征服して先住の男性を殲滅して女性を奪い、
子孫を増やしていった可能性が高い。

そして共存を拒否する漢民族を恐れ、
多くの人が周辺に逃げていったという歴史が再現できる。
日本列島に逃れてきた人たちも多かっただろう。
因みに、
朝鮮半島も一時、漢民族(O3)に席捲された可能性が高いらしい。

中国では早い段階で冶金技術が発達し、
樹木を燃料にした結果、森を失っていたが、
これが大きな意味を持っていた。

比較的起伏の少ない広大な土地が、一面の野原になり、
大軍団が通り過ぎれば、ぺんぺん草も生えない状況が生まれ、
「強い王が、周囲を圧倒」し、
逆に、新たに現れた実力者が前政権を容易に倒すことができる
地政学上の必然性があった。

だから、王朝交代を正当化し、
「政敵は抹殺する」という文化が出現したのだろう。
しかし、中国の場合、地政学上の必然性を差し引いても、
「O3(漢民族の男性)のY染色体だけ」が生き残ったところに
怖ろしさの本質がある。

DNAに裏付けられているのですから、
中国の覇権主義は根が深いのです。
習近平を倒したくらいではどうにもならないでしょう。
現代でなければ、
ナチスの異民族抹殺行為のようなことをしなければ、
絶滅は困難だと思われます。

それはできないでしょうから、時間をかけた教育しかありません。
「利」ではなく「理」の正当性を教育するのです。
現在の彼らの判断基準は自分にとっての利があるかどうかであり、
利のためにはウソも方便も許されるのです。
約束は守らなければならない、というような人類にとっての約束事は
利のためには無視されます(前掲)。

松下幸之助さんは「約束を守らない人間の価値はゼロに等しい」
と言っています。彼らはまったくそのようには考えていないでしょう。

そのような「利」追求思考は、長期的には自分のためにはならない、
人類が数千年の時間をかけて築きあげてきた「人間の道」(理)
を身に付けることが自分たちのためになる、
ことを理解していただくのです。
それをお説教ではなく、
具体的・実践的に身につまされるような方法で
教育しなければならないでしょう。

それしかないのですが、
誰がその教育をしようというのでしょうか。
戦後の日本のような状況でなければ無理そうです。
それならどうしたらいいのでしょうか。

どうやら、人類は、漢民族思考とそれ以外の思考の集団が
争い続けるということしかないのかもしれません。

それにしても、現時点でなすべきことは、
中国癌の浸透を食い止めることです。

渡辺洋一氏も93歳です。
氏の思い・憤懣を、日本国民全体で受けとめて、
中国に対抗しましょう!!

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