2021年6月15日火曜日

堺屋太一さんの「これからの十年 日本大好機」はどうなったか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的
 堺屋太一さんの「十年」予測が当たったかどうか
  確認します。
 「好縁」社会について考えてみましょう。
 堺屋さんの助言に耳を傾けましょう。 
ねらい
 明るい高齢化社会の到来を期待しましょう!!

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「これからの十年 日本大好機」は堺屋太一さんが
2007年5月に刊行された書名です。
たまたま、私の書棚にあったのを見つけました。














堺屋さんの予言は当たっていたのだろうか?
と興味津々で読み直してみました。

ご承知のように堺屋さんは、オイルショック(「油断」)や
団塊の世代の到来を予言して社会的評価を得られた方です。

本書の主張は、これから少子高齢化を迎えて大変だ大変だと
騒ぐけれど、高齢化社会を真っ先に迎えるのはチャンスである、
と考えるべきだ、というのです。

血縁⇒地縁⇒職縁⇒好縁と進む!!
歴史にも強い堺屋さんは、こう言います。
人類の歴史は、血縁(家族)に始まり、
地縁(土地との繋がり)となり、
近時は、職縁(職場での繋がり)となった。
ところが、最近は職縁が薄くなってきた(終身雇用の終焉)。
多くの勤め人は仕事関係以外に人の縁を持たない。
そういう人は、
退職すると人との縁がまったくなくなってしまう。

僅かに子や孫との縁が残るだけとなる。
そのため、自分の生活費を削ってでも、
子や孫に贈り物をしたいと思っている。(これは卓見です!!)
そのために、退職金等にはなるべく手を付けずに
貯蓄をしている。
そういうことでは、消費が喚起されずに経済が停滞する。

そういう生活では、幸せな人生とならない。
職縁に代わる「好縁」を築くべきである。
「好縁」とは、好きなこと・趣味等でつながる縁である。
(最近の流行り言葉では「ワークライフ・バランス」です)

高齢者は「金持ち、知恵持ち、時間持ち」である。
「好縁」を生み出すビジネスが高齢化時代の期待産業である。
高齢化市場の条件はこうだ。






































例として、上達を目指さず楽しむ音楽教室、
高齢者向けスポーツ教室、夫婦二人向け住宅リフォーム、
などが挙げられています。
例として挙げられていませんが、囲碁・将棋などの趣味のクラブ、
ロータリークラブなどもその類でしょう。

我が家内は、
二つの体操クラブとダンスのクラブに参加していますが
本当に親しい仲間ができているようです。
堺屋さんの言われる「好縁」ができているのです。

高齢者は、お金よりも知恵を貯め人脈を拡げて、
若年層にも「魅力ある老人」とみられることを目指すべきだ。
祖父母に会えば、子どもたちが面白がる、孫たちが喜ぶ、
そんな「魅力のある高齢者」になるように心がけるべきだろう。
高齢者は高齢者の友達を持ち、
高齢期を楽しむ人脈を拡げることが大事だ。
子や孫を追い過ぎて嫌われることのないようにするためにも、
これは重要なことである。

そのとおりですね!!
70歳定年制への移行の必然性についても触れられています。

予測は当たったのでしょうか。
70歳定年制への移行は、着々と進んでいます。
これはいやおうなしですからね。

ところが「好縁」社会への移行につきましては、
その方向に進んではいますが、
堺屋さんが期待したスピードでは実現していません。

人の心や社会制度全般に関わることだからです。
日本社会の保守性の現れで、
堺屋さんの期待は残念ながら甘かったのです。
(堺屋さんも、本当にそうなると思っておられたのではなく、
「そういう方向を目指せ!」
とアピールしただけなのかもしれません)

日本社会の変化の遅さに関して、私の経験をお話しします。
私は、社会人になるときに就職先を決めるのに困りました。
当時は終身雇用が当然でしたので、
一生務められるところを決めなければならないのです。
どう考えても、そんなこと分からない、のです。

その際、アメリカでは、よりよい仕事場を求めて
どんどん転職するのが普通であると聞きかじりました。
「そうかそれなら5年間、『嬉しい』会社に入ろう。
5年後には、
日本もアメリカのような社会になっているだろうから
転職すればいいのだ」

そして、「入社後5年間嬉しいとは、
給料が高い、若い人がどんどん仕事ができることだ」と
目標を具体化しましたら、すぐに目指す会社が決まりました。

その条件は十分に実現でき、
楽しいサラリーマン時代を過ごすことができました。
しかし、
5年経っても日本の労働市場の米国化はまったく実現せず、
終身雇用・年功序列処遇のままでした。
昨年、三菱商事が、脱「年功序列処遇」を発表しました。
私の期待から50年遅れです。

ですから、
「好縁社会の実現」は方向としては合っているのですが、
とても「十年が大好機」というようなことではありません。
予想外れは、日本社会にとってたいへん残念なことです。

現在、「好縁」向けビジネスとして大成功しているのは、
何かあるでしょうか。
趣味等の世界はまさに多様です。
一つで大きな塊になるようなビジネスはなかなかないのです。

「経団連」ではなく、「好団連」でも作って、
「好縁」社会の推進をしますかね??

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