目的:
がんゲノム医療の先端情報をお伝えします。
がんの解明は奥深いことを再認識いただきます。
ねらい:
AIによる分析によって、
ねらい:
AIによる分析によって、
がん治療法の解明が進むことを期待しましょう。
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本項は、学士會会報2021ーⅡ号掲載の
宮野悟 東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター長の
「ビッグデータを活用したがんゲノム医療」のご紹介です。
本題の解説以外にも分かりやすい解説がありましたので
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宮野悟 東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター長の
「ビッグデータを活用したがんゲノム医療」のご紹介です。
本題の解説以外にも分かりやすい解説がありましたので
抜き書き的にご紹介します。
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人間の細胞には、A,T,C,Gの文字情報として
30億文字からなる生命の設計図が
23組の染色体という本棚に格納されている。
染色体は組になっているので、
30億×2=60億文字の情報が
DNAという紐状の分子(物質)にコードされている。
60キロの成人の細胞数は、最近の知見では
37兆個くらいだとも言われている。
この37兆個の細胞にDNAの変異が発生する。
細胞の複製の際には、コピーエラーも一定の確率で起こる。
様々な化学物質、たばこ、酒、紫外線、放射線、ウィルスなどに
曝され,DNAは傷つく。
DNAの傷は、
AがGに変わる、
一連のDNAが欠損したり挿入されたりする、
二つの遺伝子がちぎれてくっつく、で起きる。
本に例えれば、誤植、虫食い、破れ、乱丁のようなものである。
がん細胞は不死で無限に増殖し、しかも増殖命令を自ら出す。
増殖に必要なエネルギーを獲得するために血管を自分の周りに引き込む。
植民地政策のように、浸潤、転移して広がっていく。
がん細胞は抗がん剤を効かなくしたり、
「賄賂」(特殊なたんぱく質)をつくり出して
免疫細胞の賄賂ポケットに渡し免疫監視から逃れる術を獲得したりする。
新しいエネルギー獲得術や、
ゲノムを積極的に壊して都合のよい変異を獲得する機能も持っている。
個人のがんの全ゲノム解析をすると、
がんによって異なるが、血液主要では1万弱、
大腸がんでは数百万の変異が見つかることもある。
その解釈と臨床翻訳(上野推定、どういう変異は
どういう治療等に結びつくかを論文等の実績に基づき判断すること)
がボトルネックだということは世界共通の認識になっている。
がんに関する論文は毎年10万報以上出ている。
3千万を超える変異の情報が数万の文献に紐づけられている
データベースもある。
これらの情報の解析は人知では限界がある。
人工知能技術は大量のデータを
「全部読み」「ある程度理解し」「適宜学習・推論する」
ことができる。
(上野注:この領域はまさにAI向きです)
筆者の所属していた東大医科学研究所では、
2015年7月にWatson for Genomicsというシステムを導入した。
この利用により、血液腫瘍に関して、
全ゲノム解析を行って、治療方針を患者さんに返すまでの時間は
2日と16時間になった。
ゲノム解析では数百遺伝子に限定して調べる「パネル検査」がある。
カナダの研究では、
百人の末期がん患者を対象にした検査では、
全ゲノム検査で55人について
治療方針に関与する見込みのある変異が見つかったのに対して、
「パネル検査」では治療につながる変異の確認は1件もなかった。
今のがんゲノム医療は、主要組織の塊にある変異を解析している。
一方、最近の食道がん研究だが、
がんの部位とその周辺の病理診断ではがんとは診断されない部位を
1ミリメッシュ画で数百か所生検しゲノム解析すると、
驚くことに遺伝子変異が乳児期から獲得され、
加齢とともに増加して70歳以上では全食道面積の40-80%が、
がん遺伝子に変異をもった細胞で置き換わっていることがわかった。
今後のがん研究は
さらに超微細化し単一細胞レベルでの解析が主流となる。
これまでのがんのゲノム変異を探し出す研究は終焉を迎えた。
新たながんの理解とそれに基づく医療・予防は
まだまだ道半ばと考えている。
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上野:
ゲノム検査の最終目標はこうなります。
個人が全ゲノム検査を実施すると、
どういう病気にかかりやすいか、
その場合に本人に適した治療法は何か、が分かる
ことです。
大いに期待したしましょう!!
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