目的:
全世界的に起きている産業構造転換に
日本はどうやって対応したらよいのかを考えていただきます。
ねらい:
本当に何とかしないと、日本は沈没です。
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本項は、学士會会報2021ーⅡ号掲載の
ねらい:
本当に何とかしないと、日本は沈没です。
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本項は、学士會会報2021ーⅡ号掲載の
諸富 徹 京都大学大学院経済学研究科教授の
「コロナ禍がもたらす産業構造転換と日本経済」のご紹介から始まる
問題提起です。
このテーマは、今や満ち溢れていて
著者もこういう指摘をされています。
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コロナ禍が顕在化した当初は、一時的な凌ぎとして
非対面・非接触型ビジネスを取り入れた企業も
もはやそれを「常態」とせざるをえなくなっている。
コロナ禍は間違いなく戦後最大の災厄の一つだが、
それが経済と産業の形に与えるショックの大きさもまた
戦後最大級かもしれない(上野注:断定していいのでは?)。
コロナ禍の影響を受ける以前から、
資本主義のあり方は変化し始めていた。
日本の製造業が生き残る道は、デジタル化による
「製造業のサービス産業化」にあるといえよう。
産業構造の転換は、
「デジタル化」と並んで「脱炭素化」の方向に進んでいる。
たとえば、紙・パルプ産業は紙需要の減退で低迷を免れないが、
オンライン上での文書決済や本人認証の仕組みなど、
紙を代替する「非対面」「非接触」型の新しいビジネスが生まれている。
紙・パルプ産業自身も手をこまぬいているわけではなく
転進を図っている。
以前ならば、温室効果ガス排出削減は、産業への打撃を意味し、
「環境か経済/産業か」というトレードオフの議論に陥っていた。
実は欧州を中心に1990年代以降、
「デカップリング」という現象が観察されるようになった。
デカップリングとは「切り離す」という意味だが、
ここでは「経済成長と温室効果ガスの排出を切り離す」
という意味だ。
スウェーデンは、1990年~2017年の期間に
経済は成長する一方(プラス78%)、
炭素排出を削減(マイナス26%)したのだ。
スウェーデンでは1990年導入のフィンランドについで
1991年に世界でもっとも早期に炭素税を導入している。
2018年には「気候法」を発効させ
脱酸素化の方向を鮮明にしている。
スウェーデンはどうやってデカップリングを成功させたのか。
一つには、産業構造の転換で、重化学工業から、
情報通信やデジタル化されたサービスへと移行している。
家具製造・販売のIKEA、ファストファッションのH&M、
デジタル音楽配信のSpotify、
など新興企業が次々と輩出されている。
第2に、炭素税や欧州排出量取引制度のような環境規制の強化は、
環境改善投資を喚起し,GDP拡大に寄与しただけでなく、
エネルギー生産性の向上を通じて企業の競争力向上を促した。
第3に、エコカー開発のように、他国や他企業に先駆けて
環境に望ましい製品、サービス、製造工程を確立することで、
それらを巡る国際競争で先んじ、
有利な地歩を占めることが可能となる。
日本は、これまで「環境と経済は対立する」と考えてきているが、
この考えを捨てるべきである。
しかし、その実現は、現在の経済構造の延長線上では困難だ。
我々は、コロナ禍の渦中にあり、
必要に迫られて非対面・非接触型経済に急速に移行しつつある。
この機会を、本格的な産業構造転換につなげ、
デジタル化と脱炭素化を同時達成することを通じて
新しい経済成長に道を付けて行く必要がある。
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私は、これを読んで思いました。
そのとおりなのですが、
「スウェーデンはなぜそのような転身ができたのだろう?
それは国のトップの先見性とリーダシップによっているはずだ」
みんなで相談するヘボな民主主義では、
そんな大転身の意思決定は決してできません。
新しい施策を思いつく人はいても、
抵抗勢力に押されて潰れてしまいます。
「自民党をぶっつぶす!」
と宣言した小泉純一郎元首相のような人でないと
改革は実現できないのです。
小泉さんの首相在任期間は、
2001年4月から2006年9月ですが、
小泉さんが首相になったのは日本の奇跡です。
おかげで今日本は傷が浅くてすんでいるのです。
小泉首相の業績は、郵政民営化以外に多々ありますが、
健康保険の本人負担を2割から3割に引き上げ、
再診料の引き下げ、
公共事業費大幅削減
年金のマクロ経済スライド制度
など、抵抗勢力があるもの、国民に人気のないものを
日本の将来を考えて実現されています。
これは並の人間にはできないことです。
前向きの施策では、「ビジットジャパンキャンペーン」は、
現在の日本観光立国の基礎を築きました。
その後の調整型のトップは平時には向きますが、
革新時には無能です。
私が思いつく過去にとらわれない優れたリーダは
日本電産の永守重信会長
本格的残業削減を日本で始めたSCSKの中井戸信英会長(当時)
セブンイレブンの鈴木敏文元社長
ヤマト運輸の小倉昌男元社長、
「私の履歴書」に登場する創業経営者、など、
周囲の反対(抵抗勢力)を押し切って革新を実現した方がたです。
ではどうすれば、そういう革新型の人材に、
企業なり国なりのトップになっていただけるか、
が課題だということになります。
日本は伝統的に、本質が農耕民族ですから、
改善は得意ですが革新は苦手です。
お利口さんはたくさんいても、スゴイ人はごくごく少数なのです。
なおかつそういう人は、
成長する過程でほとんど潰されてしまいます。
会社でそういう人が潰されないのは創業者一族である場合です。
私はここではたと困ってしまいました。
名案がないのです。
しばらくして、こういう案を思いつきました。
創業者を支援する制度を本格的に動かす、のです。
日本では、創業者でないと独創的な人材は育ちません。
周辺に潰されてしまうのです。
現存する多くの創業助成金制度は創業経費の補助です。
経費補填ではなく、この制度は事業の立ち上げを支援します。
そのために、審査は創業者の「人」と「思い」「目指す事業内容」
を重視します。
「人」を育てることが目的ですから、「人」の審査は重要です。
「松下政経塾」のような人材育成塾とも連携します。
(民主党から総理になった野田佳彦氏は松下政経塾の1期生です。
因みに、民主党の代表を務めた前原誠司氏も当塾7期生です。
お二人とも引き際はキレイでした。
そういうことも塾で身に付けるのでしょうか?)
適性診断も実施します。
(適性がない人はいくら訓練してもダメです)
「不撓不屈の精神」「寝ても覚めても取り組む精神」を育成する
シミュレータ(ゲーム)を開発し適用します。
事業立ち上げの最低限度の支援もします。
(あまり支援すると、本物が育ちません)
この事業支援推進は、
国の大きな予算(毎年1千億円以上)を投入して大々的に実施します。
基本的には、事業を軌道に乗せることに数年苦労していただきます。
そこで、モノになった人に次のチャンスにチャレンジしていただきます。
ダメになった人はそこで他の人の支援役に回っていただきます。
そうやって選び抜かれた1%くらいの人は、
前掲の名経営者のようになれるのではないでしょうか。
その中から、国の名経営者になれる人が出てくることを期待します。
どうでしょうか??
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