【このテーマの目的・ねらい】
目的:
工学と物理学の融合に続く生物学と工学の融合
(コンバージェンス2.0)についてご紹介します。
ねらい:
その成果が早く実現できることを期待しましょう!!
著者スーザン・ホックフィールドは、生物学者ですが、
2004年にMITの初の女性学長に選ばれています。
工学の世界の先端的大学に生物学者の学長が就任したのです。
画期的なことでした。
20世紀前半には、物理学と工学のコンバージェンス(統合)が行われ、
20世紀前半には、物理学と工学のコンバージェンス(統合)が行われ、
原爆の開発にもつながっています。
大戦後には、エレクトロニクス産業が発展しました。
大戦後には、エレクトロニクス産業が発展しました。
これから華々しく展開されようとしているコンバージェンスの第2幕
(コンバージェンス2.0)は生物学と工学の統合(集約)なのです。
書名の「生物機械」は、生物の機能を使った機械ということで、
生物学と工学の統合を示しているのです。
当書は、その内容及びその解説方法として非常に素晴らしいものです!!
当書には、生物学と工学のコンバージェンス事例5件が紹介されています。
・ウイルスが育てるバッテリー(エネルギー革命)
・タンパク質を利用した水フィルター(浄水革命)
・がんを早期発見・治療できる酵素活用型ナノ粒子(医療革命)
・脳を増強し身体の動きを取り戻す義肢(身体革命)
・食料危機を乗り越えるツール「高速フェノタイピング」(食料革命)
・タンパク質を利用した水フィルター(浄水革命)
・がんを早期発見・治療できる酵素活用型ナノ粒子(医療革命)
・脳を増強し身体の動きを取り戻す義肢(身体革命)
・食料危機を乗り越えるツール「高速フェノタイピング」(食料革命)
以下に驚きのその技術の概略をご紹介します。
著者は、この領域に造詣が深く、たいへん聡明でおられますので、
説明は筋道立てて非常に分かりやすくなっています。
挿入されている図も、的確にその原理を示されていて感服です。
しかし、もともとが難しいテーマなので、
私は自分が理解するのに精いっぱいで
著者の説明を簡潔に要約することは困難です。
ご関心ある方は、本書をお読みください。
1.ウイルスが育てるバッテリー
これが最もビックリです。
ウィルスでバッテリーを作るというのです。
ウィルスは短命のはずですし、そんなことができるのか?
と説明を聞いても納得できません。
それくらい凄いことなのですね。
幾つかの図をご紹介します。
1)ウィルスの1次加工
2)ウィルスを使ったコイン型電池の構成図
2,タンパク質を利用した水フィルター
現在、世界では10億人を超える人々が飲料水を飲むことができない、
蒸留と濾過では増大する需要を賄いきれないし時間とお金がかかりすぎる、
のだそうです。
タンパク質はそれぞれ、特定の物質だけを通す機能を持っています。
そこで、水だけを通すたんぱく質を見つけて
それを使って水の浄化を行うというのです。
すでに、この技術は宇宙ステーションでも使われています。
これの工業化へのチャレンジが紹介されています。
1)たんぱく質の一般的形状
2)水のみを通すアクアポリンたんぱく質
3.がんを早期発見・治療できる酵素活用型ナノ粒子
毎年、世界で800万人以上の人ががんで亡くなっています。
そこでさまざまな早期発見と治療法が研究し開発されています。
ここで紹介されているのは、
ナノ粒子テクノロジーを活用して、標的組織にナノ粒子を送り込み
MRI等で可視化する技術です。
診断だけでなく同じ技術で治療薬を患部に送り込むこともできます。
そのための課題は、ナノ粒子を単体のままで血管を通過させ、
患部でナノ粒子を合体させて「見える化」する技術でした。
この技術が、どこまで実用化されるのかは不明です。
1)合体しないで移動し目的地で目立つように合体させる方法
4.脳を増強し身体の動きを取り戻す義肢
義足が通常の足と同じように機能する技術です。
これは一般的に普及しているのかと思っていました。
1)その仕組み
私としては、神経系ではなく、
脳本体の機能の解明の状況を知りたかったと思いました。
5.食料危機を乗り越えるツール「高速フェノタイピング」
世界中で約8億人が食料不足に苦しんでおり、
5歳未満で餓死する小児は毎年300万人を超えています。
そこで、食糧増産の方法はかなり研究され、
遺伝子組み換え作物は、一部で普及しています。
しかし、品種改良を体系的に行うには、
遺伝子の状況と作柄状況を比較分析する必要があります。
膨大な時間がかかる試験をしなければなりません。
それを高速で実現できる設備が、
米国ミズーリ州のダンフォース植物科学センターにあります。
その紹介がされています。
70ヘーベほどの「植物栽培ハウスでは、
小型もしくは中型サイズの植物1000株ほどが、
きれいに揃ってダンスを踊るように揺れていた。
室内の植物が揺れているのは、
180メートルのベルトコンベアーに乗って移動しているからだった。
中央ベルトに乗って次々に植物が現れ、
ある場所まで来ると新しいベルトに切り替わって進路変更し、
次の個所で別の流れに合流し、
随所に設けられたステーションに定期的に滞留しながら、室内を巡っていく。
各ステーションにはそれぞれ特殊機能が備わっている。
植物ごとに個別に調整された量の水を供給するステーションもあれば、
同様に肥料を供給するステーションもある。
重量を計測して記録するステーションや、
さまざまな角度からデジタル写真を撮影して、
高さ、太さ、葉の数、枝分かれのパターンとサイズなどの特徴を
記録するステーション、
近赤外線写真を撮影して水分含有量を記録するステーションもある。
植物はダンスを踊るように揺れながらステーションを周回し
やがて中央ベルトの所定の位置に戻され、
翌日にまだ同じプロセスが開始されるまで待機することになる。
室内の証明、温度、湿度は精密に設定され、注意深く管理されている。
おかげで、この部屋の責任者である科学者たちは、
(ストレス試験として)室温をかなり高温まで上昇させたり、
(光合成の能力、日陰への適応、その他の試験のために)
照明の歯長分布と光度を操作したりできる。
以上、かなり画期的な技術が研究されていることは分かりました。
早急にその成果を享受できるようになってほしいですね。
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