2022年8月22日月曜日

自衛隊は便利屋ではない!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 防衛力強化で中心テーマになる自衛隊に関する論考をご紹介します。
ねらい:
 自衛隊を便利屋にしてはいけません。
 大局観を持って自衛隊を強化しなければなりません。
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文藝春秋9月号に、ノンフィクション作家堀川恵子さんの
「自衛隊大物OBは告発する」
副題「農作業、雪祭り、家畜処分 自衛隊は便利屋なのか」
という寄稿が掲載されました。
(この記事は、友人塚本氏が教えてくれました)

冒頭に、
陸上自衛隊元幕僚長岡部俊哉氏の以下の発言が紹介されています。

災害派遣は任務であり、これを決して否定するものではありません。
一方で自衛隊は宇宙サイバーなど任務が多様化する中で
組織としてかなり無理を重ねており、
現場の指揮官たちは焦っています。
災害派遣は国民の支持を得ているので現役は声をあげられない。
政治との関係においてOBの私たちが訴えねばならぬことが
多々あります。

これが当寄稿の言いたいことのようです。
以下のような記述があります。

自衛隊は日陰者の存在から、災害時の出動による貢献によって、
国民から期待される組織になった。
(最近の世論調査で国民の9割が自衛隊に対して好印象を持っている)
しかし、地元からの評価を高めたいための政治家からの介入
(派遣要請)が多い。
(農作業への応援、家畜の殺処分、
災害派遣と言っても単なる個人的事故のレスキュー、
有名な札幌雪祭りへの参画、などもある)
災害派遣は、現場を無視した「数字優先」の有効でない場合もある。
(熊本地震の場合、北海道胆振当部地震の場合などの事例が
紹介されている)
これに対応するために隊員24万人の自衛隊は過労状態であり、
本来の訓練にも影響を与えている。

こういう記述もあります。
――自衛隊は便利屋ではない。
福島の原発事故の際、
原発敷地内の瓦礫の撤去まで自衛隊に頼ろうとした東電に、
当時の統合幕僚監部運用部長がぶつけた言葉だ。
まさに今、災害時のみならず中央から地方まで
「困ったときの自衛隊頼み」はすっかり定着している。

ところが本稿のむすびは、こうなっています。
特に何を言いたいのか不明です。

実名で踏み込んだOBの意気
そもそも自衛隊には災害出動さえやってもらえたらいいのか、
いや国防こそが務めなのか。
自衛隊の在りようをめぐる議論は、
何も強面のおじさんたちの専権事項ではなく、
国民自身が問われる問題でもある。
今回、自衛官にとってタブーとされる領域に
OBたちが実名で踏み込んだのも
「すべては後輩たちの業務遂行に資するため」との思いからだ。
その意気を生かす環境があることを祈りたい。

先に引用した吉田茂が防大一期生に語った(1957年)言葉には
続きがある。
「自衛隊が国民から歓迎されチヤホヤされる事態とは、
外国から攻撃され国家存亡のときとか、
災害派遣のときとか、
国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。
言葉を換えれば、君たちが日陰者であるときのほうが、
国民や日本は幸せなのだ」

災害派遣そして国土防衛。
自衛隊に対する期待がかつてなく高まる昨今の状況は、
国民にとって決して歓迎されるべきものでないことは
肝に銘じておきたい。

この結論は無責任ではないでしょうか。
「自衛隊を便利屋にしてはいけない」が結論であるべきでしょう。

私は、自衛隊の貢献をもっと「見える化」すべきだと思います。
農作業の応援や各種災害救助の実績は当然のこととして、
訓練の実績も機密を考慮してですが、発表するのです。

それによって隊員の士気、勤労意欲は大きく高まり、
優秀な人材も集まるのではないでしょうか。
優秀な人材でなければ、
いざというときの臨機応変の対応ができません。
日本の将来は自衛力の強化なくしては成り立たないのですから、
その方向での主張を明確にすべきだと思います。


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