2021年8月20日金曜日

「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」
 の内容をご紹介します。
 こういう書籍が売れる背景を考えてみます。
ねらい:
 誰しも改善すべき点は多々ありますね(自戒)。
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この書籍は、日経新聞の書籍紹介欄に
以下の記載があったので買ってみました。














新型コロナウィルス禍での外出自粛や在宅勤務の定着で、
リアルに人と接する機会が減っている。
そんな中、コミュニケーションを円滑にするため、
ポジティブな表現を提案する「言いかえ本」の刊行が相次ぎ、
書店での存在感が高まっている。

「疲れてる?」は「元気だった?」、
「ドアを閉めないで」は「ドアを開けておいて」——。
「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」
(サンマーク出版)は
2020年8月の刊行から約1年となる7月31刷30万部を突破した。

大手企業や防衛相などで年150件以上の研修・講演を手掛ける
産業カウンセラーの大野萌子氏が執筆。
無意識に使いがちな否定的な言葉を、
プラスに言いかえて好印象を与える術を指南する。
「挨拶・社交辞令」「注意・叱り方」など
15場面、141事例を取り上げた。
見開きの右ページに言いかえ例を掲載し、
左ページでその理由や気をつけるポイントを解説する。

編集者の桑島曉子氏は「20年6月施行のパワハラ防止法を念頭に、
当初は上司と部下に挟まれた33歳くらいの男性会社員をターゲットに想定した。
コロナ禍のリモートワーク浸透でタイミングが良くないと心配した」
と振り返る。しかし蓋を開けると、読者の7割以上が女性を占め、
特に40-60代の反響が大きかった。
桑島氏は「ママ友や親戚などコロナ禍でも逃れられない人間関係は女性に多い。
むしろ濃度が高まったことで、言いかえ本へのニーズが高まった」と分析する。
この後、他に4点の言いかえ本の紹介があります。

実は言いかえ本の元祖は、当ブログでもご紹介した「できる大人のモノの言い方大全」
(2013年刊)です。
このブログも「上野則男のブログ」の「ベストセラー」です。

この中の一部に以下の記述があります。

【相手をムッとさせてしまう日本語】
× そんなこと言った覚えはない
× 
解釈の違いだね
× まあ黙って聞いてよ
× そんなこと言ったら人に笑われるよ
× ほかにすることがあるだろう
× 恥ずかしいと思わないの?
× みんなそう言ってるよ
× 話にならないよ
× それは理想論だよ
× そこを何とか
× そう言われましても
× 参考になりました
× 常識だよ
× だから言ったじゃないか
× ○○してやったじゃないか 

今回の「言いかえ図鑑」はこのような言い方を中心に取りあげていて
ある面で2番煎じなのですが、
その特色は、前掲の紹介文にもありましたように、
発生場面別に解説を分けていることです。
それによって、より生生しく状況が伝えられるようになっています。

たとえば、
「上から目線」や「あいまいな表現」はいけないと言われていて、
そのことは多くの人が承知しているのですが、
場面の中で例示されるとピンとくるのです。

一つ例示します。「お願いごと・頼みごと」の章です。
【右ページの表示】
  よけいなひと言
   「できれば早めにお願いします」
   ⇓
  好かれるひと言
   「月末までにお願いします」

【左ページの解説】
対面でのやりとりだけでなく、
メールやチャットでお願いするときも、
多くの人が無意識のうちによく使っているのが、
「できれば」「可能だったら」というよけいなひと言です。
これは、お願いする方が相手に配慮するつもりでも、
言われた方は「できたらでいいのかな」と思って
優先順位を下げてしまう言葉です。

反対に、忙しい人だとスケジュールの優先順位を常に考えるため、
いつまでにやらなくてはいけないのか明確に分からず
対応を迷わせてしまう、迷惑なフレーズでもあります。

ですから、「今月末までにこの案件をお願いしたいのですが、
難しい場合はご相談ください」と、はっきり希望を伝えましょう。
下手に相手に遠慮していると
「『できれば』とあったので、
仕事が立て込んでいたため手をつけていません」
と平然と言いかえしてくる人もいます。

「なるべく早めに」も
「なるべくと言うなら、すぐやらなくてもいいんだな」
と受け取られる可能性があります。
「早めに」も、人によって受け取り方が違うあいまい表現で、
トラブルのもとになりやすいので避けたほうがいいでしょう。

この場合は、
「この案件を、
今週、金曜日の17時までにお願いすることはできますか?」
と具体的に聞くことです。
そして、相手から「イエス」か「ノー」ではっきりと返事をもらう
ところまでやりとりすること。
そうすれば、「そんなつもりじゃなかったのに」の行き違いがなくなり、
スムーズに話が進むのです。

分析屋の私としては、「あいまいな表現」のような「避けるべき表現」と
それを留意すべき「場面」の関係を本書の記述に従い整理してみました。
この表のように「避けるべき表現」は、
いろいろな「場面」で発生する可能性がありますので、
本書のように場面ごとに解説されるとよくわかるということになります。

【場面と避けるべき表現の関係】

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