目的:
素晴らしく楽しい図書をご紹介します。
「動物たちはどこまで考えているのか?」について
考えていただきます。
ねらい:
ねらい:
ぜひ、本書をお読みください。
(早川書房刊990円です)
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当ブログは、
そうやって、生物は外敵から逃げてきているのです。
そうしないと、弱い種は絶滅してしまいますものね。
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当ブログは、
ドイツの動植物研究者ペーター・ヴォールレーベン氏の著書のご紹介です。
副題に「動物たちは何を考えているのか?」となっていますが、
もう一歩進んで「動物たちはどこまで考える力があるのだろうか?」
の解明書だと思われます。
著者は、大学で林業を専攻した後、
ドイツのある州の営林署で森林官として20年以上働いたのち、
フリーランスで森林の管理をしておられるそうです。
学者ではないのですが、この世界についてスゴイ博識です。
後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ以外に、
以下のように興味深い事実が紹介されています。
それが全部で40項目もあるのです。
お互いに名前をつけているブタやカラス
算数のできるヤギ、ハト、イヌ
悲しみに明け暮れるシカ
立ったまま寝るウマ、飛んだまま寝るツバメ
予知能力のあるヤギ、アリ、トリ
老いると自ら仲間から外れるウマ、ヤギ
利他精神のあるシジュウカラ、コウモリ
ブタは本来清潔好き
動物にも「魂」はあるか (人間にだけあるという理屈は通らない。
ではどこに境界線があるか?)
私は動物に関心はありますが、小鳥類以外飼ったことはありません。
その私の数少ない経験をお話しします。
私の幼少時代の友人が札幌にいますが、
彼は動物や植物に関心・造詣が深いのです。
彼の家を訪問した時に、こう言われました。
「庭に雀がやってきて自分が出ていっても逃げない」
ご承知のように雀は非常に用心深い動物で、
人間が寄るとすぐに逃げてしまいます。
「へー、雀も相手が危険かどうか分かるのだな」と感心しました。
ところが、その後、孫と一緒に公園でポテトチップを食べていた時、
雀がやってきて、
私の口のところからポテトチップを取っていきました。
ビックリしましたが、
雀に危険人物ではないと認めてもらって嬉しく思いました。
でもこれは頭の判断ではなく、本能の延長ですね。
やや自慢話で申し訳ありませんでした。
以下にタイトルにある「後悔するイヌ」「嘘をつくニワトリ」を
ご紹介します。
【後悔するイヌ】
イヌは叱られると斜めの上目遣いに相手を見る「イヌ顔」をする。
これは「ゴメンナサイ」を示している、というのですが、
もっとわかりやすい例が示されていました。
ミネソタ大学の研究者たちは、
ラットのために特別な「レストラン街」を作った。
円形の広場に4つの入り口があり、それぞれの先にエサ場がある。
どれか一つにラットが入ると音が鳴るのだが、
音が高ければ高いほど、食べ物が得られるまで待つ時間が長い。
さて、そこでラットに起こったことは、人間の場合と同じだったのだ。
辛抱の糸が切れたラットは、
となりの入り口ならもっと早く食べものにありつけるかも
と希望を抱いて、別の部屋に移る。
しかしそこで鳴った音がさっきより高ければ、
待ち時間もさっきより長いと分かる。
するとそのラットは先ほどいた部屋の方に名残惜しそうな視線を向け、
今度は部屋を移らずに,食べものをもっと長く待とうとしたのである。
ラットの脳の活動パターンを調べてみると、
私たちがそのような状況を頭の中で再現したときと
同じものが確認された。
後悔と失望とは本質的に異なる。
後者は期待していたものが得られなかったときに生じるが、
後悔はそれに加えて、さらによい選択肢がありうると気づいたときに
発動するのである。まさにラットでその状態が発生していた。
【嘘をつくニワトリ】
(前提:このオンドリは絶倫でメンドリたちは持て余して逃げている)
フリードリーン(著者の買っているオンドリの名前)は
ふだんはいたってジェントルマンで、エサを食べるときなど、
彼のささやかなハーレムの住人に先を譲ったりする。
なにかおいしそうなものを見つけると、
すぐに特別な抑揚をつけてクックッと鳴きはじめる。
するとそのエサにロッタとポリー(メンドリ)が殺到するのだ。
ところがその鳴き声をあげたとしても、
フリードリーンの足下になにもないときがある。
なんとこのオンドリ、平然と嘘をついたのである。
おいしいミミズとか特別な穀物のかわりに
メンドリたちを待っているのは、またまたつがいのお誘いで、
驚いているすきにまんまと成功してしまう。
だが、そういうことがあまりに重なると
(そして二羽のメンドリには数回の嘘でじゅうぶん)、
ほんとうにエサが見つかったときでも二羽は用心深くなる。
それ以外にもう一つ私としての大発見をご紹介します。
【恐怖意識は遺伝子に残る】
家族の成員が(敵に襲われて)血に塗れて倒れるようすを
その場に居合わせ見てしまったもの、
あるいは恐怖やわき起こるパニックに骨の髄まで貫かれたものは、
その体験を次のものに伝え、
その情報は多くの世代を超えて伝達されていくことだろう。
そのような伝達は、
言語を介在せずともなされうることが確かめられている。
「ヴェルト」紙が2010年に報じているように、
恐怖は骨の髄に至るのみならず、遺伝子にまで達するのだ。
ミュンヘンのマックス・プランク精神医学研究所が、
精神的外傷(トラウマ)を受けるほどの経験をすると、
特定の分子”メチル基”が遺伝子に付加されることを見出した。
その分子はスイッチのように働き、
遺伝子の働きを変化させるという。
研究者はマウスの実験を通じて、
それにより行動の変化が一生涯にわたって持続する可能性を示した。
またこの研究は、変異した遺伝子によって特定の行動パターンが
次の世代に遺伝する可能性があることを示唆している。
言いかえれば、身体的な特徴だけでなく経験も、
遺伝子的なコードによって受け継がれるというのだ。
そうやって、生物は外敵から逃げてきているのです。
そうしないと、弱い種は絶滅してしまいますものね。
これで思いましたが、
うつ病は神経細胞のどこかに
このような変異を受けてしまっているのかもしれません。
それを突き止めなければうつ病の根治はできないのでしょう。
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