2021年4月23日金曜日

セクハラ

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 セクハラがなぜ起きるか、その対策は何かを
 アリストテレスモデル(アリス・モデル)で分析しました。
ねらい:
 「セクハラだ!」と言われないようにしましょうね。
 (女性のセクハラもありうるのですよ)
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この項は、別項米国のレイプ事件の告発書を受けて、
2018年に私が書いたものを掲載しています。
日本ではレイプと言わず、
もっと広くセクハラという無難な言葉で語られていることです。

レイプとセクハラの共通点は、相手の意思です。
合意・了解していれば、
レイプにもセクハラにならない、ということです。
この判断が極めて重要だということになります。
判断は定性的なものですから、問題が起きるのです。

ここで利用しているアリス・モデルとは、
ギリシャの哲学者アリストテレスが考案した事象の分析モデルを基に
上野が変成したもので、こういう4要因で分析を行います。

名称

内容

目的要因

当事者の目的・意図。

環境要因

問題が起きた環境条件。

前提条件と言ってもよい。

間接要因

直接因を起こした原因・要因。

直接因の当事者の状況。

直接要因

問題が起きた直接動作または発生事象。

事を起こした引き金。


Ⅰ.アリス・モデルによるセクハラ事件の分析図

Ⅱ.アリス・モデルによる「セクハラ事件」の分析の解説

1.    セクハラ事件の状況

(1)セクハラの定義

・そもそもセクハラ(セクシャル・ハラスメント)とは何か、
 ということですが、 法律上の定義があるのは、
 厚生労働省管轄の「男女雇用機会均等法」だけなのです。

・厚生労働省のホームページでは、
 セクハラ関連の件数について以下のように記述しています。

 

・この均等法では、セクハラをこのように定義しています。

職場におけるセクシャルハラスメントは、「職場」において行われる
「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により
労働条件について不利益を受けたり、
「性的な言動」により就業環境が害されることです。

 ・そして「性的な言動」を以下のように定義しています。

性的な内容の発言および性的な行動を指します。

事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者、学校における
生徒などもセクシャルハラスメントの行為者になり得るものであり、
女性労働者が女性労働者に対して行う場合や、
男性労働者が男性労働者に対して行う場合についても含まれます。

【性的な言動の例】

 ① 性的な内容の発言
  性的な関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること
  性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、
  個人的な性的体験談を話すことなど

 ② 性的な行動
  性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、
  わいせつな図画を配布・提示すること、
  強制わいせつ行為、強姦など


・この【性的な言動の例】は、職場における場合だけでなく、
 一般にも当てはまる説明であると思われます。

・最後の「強制わいせつ」と「強姦」は刑法上の規定があるものです。

(2)セクハラの本質

・ご認識のように、
 性的な言動自体が即セクハラになるわけではありません。
 性的行動を相手が厭だと思わないのなら、
 セクハラにならないのです。

・つまり、セクハラの必要条件はこうなります。
1) 性的な言動や行為である。
2) 相手の意思に反している。
3) 相手に不快感や不安を与える。

・相手が合意していれば、セクハラになりませんし、
 合意していなければ
 夫婦でもセクハラになりうるということになります。

・この「合意している」かどうかは、主観的な判断であり、
 この判断が両者で食い違っていることから
 セクハラ事件は起きるのです。

・判断力の鈍い人は、問題を起こしやすいということになります。

2. アリス・モデルによる原因と対策の分析

・ここでのセクハラは、前掲の定義のセクハラ全般ではなく、
 「性的な行動」に限定しています。

・(目的要因)
 男性であれば女性と「いい関係になりたい」と思うのは自然です。
 この気持ちを無くすことはできません。
 その気持ちを常識・倫理感で抑えるということが対策です。

・(間接要因)
 セクハラは、女性にも責任の一端があります。
 男性と2人だけの環境に入って来ていることはOKなのだなと、
 男性は思ってしまいます。

・(直接要因)
 「イヤよ、イヤよも好きのうち」という言葉がありますから、
 男性は 都合のよいように判断しがちです。
 しかし、その後の女性の対応では「これは本気でダメな人だ」
 と判断しなければならないのです。
 それができないのは男性の経験不足です。

・(環境要因)
 男性・女性の本質は変えられないでしょう。
 その前提で問題を起こさないように行動しなければならないのです。

以下に、2018年に実際に発生した2件のセクハラ事件の分析をします。
両事件の状況とも、ほとんどがここに示した原則どおりなのです。

セクハラ事件 例1 TOKIOY氏事件

要因区分

要因

対策

目的要因

・男性が相手と特別な関係を持ちたいと思う

・常識・倫理感で抑える

環境要因

・男性は一般的に征服欲・好色欲がある

女性は一般的に男性への依存       
 心・信頼感がある

 Y氏は離婚している

・なし

 

・なし

間接要因

・女性が二人きりの環境に入って来ている

・女性が何か自分に有利になることを期待している

(将来の芸能関係活動に有利になることを期待)

・女性が相手を甘く見ている(女性の経験不足である)

・男性が相手の好意の意味を誤解している(男性の経験不足である)

・男性にHを避ける女性もいるという認識がなかった(男性の知識不足である)

・男性がセクハラに対する認識不十分である

・女性が的確に状況判断する

 

・なし

 

 

・女性が的確に状況判断する

 

・男性が的確に状況判断する

 

・男性が学ぶ


・教育指導する

直接要因

・セクハラ行為に及ぶ

・男性が相手の拒絶態度を誤解している(男性の経験不足である)

・(間接要因にしか対策はない)

・男性が的確に状況判断する

 

・太字部分がこの事件固有の内容です。ほとんど汎用版のままです。


セクハラ事件 例2 財務省事務次官事件

要因区分

要因

対策

目的要因

・男性が相手と特別な関係を持ちたいと思う

・常識・倫理感で抑える

環境要因

・男性は一般的に征服欲・好色欲がある

・女性は一般的に男性への依存心・信頼感がある

家庭での夫人との関係は?

・なし

 

・なし

間接要因

・女性が二人きりの環境に入って来ている

・女性が何か自分に有利になることを期待している

(価値ある情報が入手できることを期待している)

・女性が相手を甘く見ている(女性の経験不足である)

・男性が相手の好意の意味を誤解している(男性の経験不足である)

・Hを避ける女性もいるという認識が男性になかった(男性の知識不足である)

・男性がセクハラに対する認識不十分である

相談を受けた上司が放置した

・女性が的確に状況判断する

 

・なし

 

 

・女性が的確に状況判断する

 

・男性が的確に状況判断する

 

 ・男性が学ぶ 


・男性に教育指導する

・男性にセクハラ問題の重要性を教育指導する

直接要因

・セクハラ行為に及ぶ

・男性が相手の拒絶態度を誤解している(男性の経験不足である)

・(間接要因にしか対策はない)

・男性が的確に状況判断する

 

・太字部分がこの事件固有の内容です。

・汎用版と違うのは、被害者が上司に相談していたことです。

・上司は仕事優先で、彼女の相談を無視しました。
 この上司にも指導が必要です。

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