【本テーマの目的・ねらい】
目的:
ストレスが原因で発生する疾病の現状を確認いただきます。
うつ病の治療法の開発を早期になすべきである、
という主張を知っていただきます。
ねらい:
早く周りの人が元気になってほしいです。
本テーマは、学士會会報2021‐Ⅰ号掲載の
久保千春九州大学総長の「現代社会のストレスにどう対処するか」
の講演記録のご紹介+αです。
在宅勤務によって、管理者のストレスが増大しているとか、
現代社会ではストレス削減は大きな課題です。
本テーマは、そのストレス問題の研究です。
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このような整理をしてみて思いました。
日本の精神疾患患者は、厚労省の発表数値で420万人、
うつ病患者は約127万人もいるのです。
医者にかかっていないうつ病者もいるので実態はもっと多い、
という説もあります。
皇后雅子様のうつ病が有名ですが、
長年月完全治癒はされていません。
ということは、うつ病患者は累積でどんどん増えていくのです。
以下に確認いただきますように、うつ病の発生原因は、
肉体的条件と気質・精神的条件とが複合しています。
その解明は簡単ではありません。
単機能の追求では有効な治療法は見つからないでしょう。
それが現状なのです。
今までうつ病に対する有効な治療法が見つからなかったのは、
今回のコロナ対策のような人類の叡智を投入する取り組みを
してこなかったからです。
うつ病は直ちに人が死んでいくのではないので、
本格的な対策検討がされないできたのですが、
100万人といえば労働力人口の2%近くです。
現在その人たちは正規の労働状態から離れているのです。
非常に大きな問題だと考えるべきではないでしょうか!
大騒ぎしているコロナウィルスの感染者は、
1月半ば現在31万人しかいないのです!
死者が4千人を超えていますが、
うつ病の人は1%が死に追いやられているとしても1万人です。
原因が複合している、個人の状況はさまざまであるので、
解決は困難というかもしれませんが、
それこそ、AIが得意とするところです。
いくら複雑だといっても、
1件100項目くらいで1万件の症例データを集めて
優秀な分析者が取り組めば、
個人に対する有効な治療法を提示できるAIシステムが
開発できるのではないでしょうか。
前例のないコロナワクチンだって、
世界のあちこちで1年以内に開発できているのです。
ぜひ、世界的プロジェクトとして取り組んでほしいものです。
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さて本題です。
まず、関連する言葉の確認です。
原則として久保先生の論考によりますが、
うつ病だけは定義がありませんでしたので他からの転載です。
しかし、「うつ病」に関しては、
権威ある統一的な定義は見つかりませんでした。
厚生労働省は、実態調査などしているのですが、
どういう定義に基づいているのでしょうか、疑問に思いました。
1.定義と状況
項目 |
定義と状況 |
ストレス |
ü 外部からの様々な刺激を「ストレッサー」と言い、それによって身体に負荷がかかり、変調をきたした状態を「ストレス」と言います。現在ではどちらも「ストレス」という言葉で表しています。 |
不安 |
ü 対象がハッキリしない漠然とした恐れの感情・気分(対象が明確であれば恐怖となる) ü 不安が続くと、主に自律神経症状が起きる。 |
抑うつ |
ü 正常範囲を超えた悲しみの感情・気分 ü 抑うつになる人の多くは、何らかの喪失体験をしている。 |
心身症 |
ü 身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関係し、器質的ないし機能的障害が認められる病態 ü 厚生労働省のデータによれば、日本全国で420万人が該当するという。 |
うつ病 |
ü 「気分が落ち込み憂鬱になる、やる気が出ないなどの精神的な症状のほか、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が現れることのある病気で、気分障害の一つです」(大塚製薬すまいるナビゲーター) ü 長期間、日常生活に適応できない状態が続くと、倦怠感、食欲低下、不眠、便秘、思考・集中力低下、性欲低下などが起きる。 ü 厚生労働省のデータによれば、2019年に127万人いるという。 |
次は,ストレスをどのようにして測定、客観的に把握するのかです。
2.ストレスの測定法
種類 |
測定法の内容 |
1. 身体維持機能の把握 |
1)自律神経系(血液・尿・唾液中の代謝産物で測定)⇒ストレスで上がる。 2)内分泌系(血液・尿・唾液中の代謝産物、他で測定)⇒ストレスで上がる。 3)免疫系(リンパ球数等で測定)⇒ストレスで下がる。 |
2.臓器の活動状況把握 |
1)循環器系・呼吸器系 ⇒ストレスで活性化 2)消化器系 ⇒ストレスで抑制 3)筋肉系 ⇒ストレスで緊張 4)代謝系・血液系 ⇒ストレスで値が上がる |
3.心的テスト |
1)抑うつ評価尺度(SDS法など) 2)不安尺度(STAI) 3)多次元的評価尺度(ABS,POMSなど) |
これが治療法の前提になります。
3.心身症・うつ病の発生原因
分類 |
定義 |
内容 |
準備因子 |
発症の長期間以前から形成されている因子 【本人の問題】 |
遺伝的要素 対人関係の不器用さ ストレスを溜めやすい性格 生活習慣(栄養、運動、睡眠等) |
誘発因子 |
発症の引き金になる因子(発症の1年半から1か月前に起きる) 【ストレス】 |
対人関係のトラブル、引っ越し、昇進など。 イライラ、極度の疲労、士気低下、孤立などが長引き発症する。 |
持続増悪因子 |
病状をさらに悪化させる因子 【環境問題等】 |
家族関係、社会的支援、本人の不安への対処法などに潜む問題を指す。 絶望感が増大したり、病前性格が崩壊したり予後が不良となる。 |
次は、心身症やうつ病になると、体内で発生する状態の確認です。
4.身体内の症状
発生順序 |
説明 |
1.自律神経系の失調 |
ノルアドレナリン・アドレナリン(セロトニン)・ドーパミンの活動が変調をきたす。 |
2.身体維持機能の変調 |
内分泌系の異常、免疫系の異常が発生する。 |
3.各臓器の変調 |
次の「身体の表面的症状」に繋がっていく。 |
5.身体の表面的症状(内科領域)
系 |
代表例 |
呼吸器系 |
気管支喘息、神経性咳痰 |
循環器系 |
本態性高血圧症、本態性低血圧症 |
消化器系 |
胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎 |
内分泌・代謝系 |
神経性食欲不振症、神経性過食症 |
神経・筋肉系 |
筋収縮性頭痛、片頭痛 |
泌尿・生殖器系 |
夜尿症、神経性頻尿 |
その他 |
間接リウマチ、腰痛症、更年期障害、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症 |
うつ病等の精神疾患に対する治療は、以下のとおりです。
種類 |
内容 |
薬剤利用 |
抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬 漢方薬 |
カウンセリング |
生活習慣の改善、前掲持続増悪因子の緩和が中心。 抑うつ原因を知ることによって、そのストレスから解放されることも可能。 |
ストレス回避・緩和 |
ストレス原因となっている環境から脱却するのが一番(困難な場合が多い)。 休息、睡眠、運動、食事を改善する。 笑う機会を増やす。音楽や温泉なども良い。 |
心身療法 |
身体を調えると心も強くなる。 禅の「調心、調息.調心」 ヨガ、太極拳、鍼灸 |
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