2021年1月15日金曜日

ASEANについてどのくらいご存じですか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 ASEANの現状について勉強しました。
ねらい:
 ASEANをもっと身近に感じましょう。
(いずれも私のことです)
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本テーマは、学士會会報2021⁻Ⅰ号掲載の
河合正弘(財)環日本海経済研究所代表理事・東大名誉教授寄稿の
「ASEAN経済のダイナミズム」のご紹介+αです。


この機会に身近な国々でありながら、
断片的にしか理解していないASEAN諸国について整理をしてみました。

ASEAN各国の地図です。

1.ASEANの歴史
まずはASEANの歴史です。
50年以上の歴史があるのですね。

ASEAN(東南アジア諸国連合)の歴史

1967年

創設

1992年

ASEAN自由貿易地域(AFTA)立ち上げ

2010年

先発6か国で大半の域内関税撤廃

2015年 

ASEAN経済共同体(AEC)発足

EUのASEAN版である

2018年

後発4か国も域内関税撤廃


2.ASEAN諸国の状況
著者は,ASEAN各国はそれぞれ頑張っていることなのですが、
その概要を以下の表にしてみました。
面積・人口・一人当たりGDPはWikipediaから持ってきています。

日本より広い国が3国もあります。
そういうように思っていなかったのは、世界地図のせいです。
赤道近くの国は拡大されませんので相対的に小さく見えるのです。

シンガポール・プルネイは一人当たりGDPが日本より上なのです。
シンガポールを除く上位国は、天然資源に恵まれています。
CLMVと称される後発国は、天然資源もなく厳しい戦いをしています。

2020年にマイナス成長にならずに済んでいる国が後発国で、
その中のベトナムはコロナの感染抑制に成功しているのだそうです。

ASEAN諸国の概要

面積

(千平方キロ)

人口

(百万人)

一人当たりGDP(千ドル)

当レポート記載

格付け

GDP規模

(順位)

強い産業

天然資源

2020

経済成長率

シンガポール

0.7

6

91

高所得国

サービス産業

 

68

プルネイ

6

0.4

77

高所得国

 

原油生産

 0

フィリピン

343

103

31

中所得国

 

68

マレーシア

330

31

29

中所得国

製造業

68

タイ

513

65

18

中所得国

製造業

68

インドネシア

1905

256

12

中所得国

 

1.5

ベトナム  V

332

93

7

後発国

製造業

 

ラオス   L

237

6

7

後発国

 

水力発電

 

ミャンマー M

677

51

6

後発国

 

 

 

カンボジア C

181

16

4

後発国

 

 

 

参考:日本

378

127

37

先進国

 

 

 

 


注1:面積・人口・一人当たりGDPはWikipediaのデータを利用。ただしフィリピンの一人当たりGDPの8は誤りと思われるので世界銀行データを使用。
注2:ベトナムはコロナの感染抑え込みに成功している。
注3:2020年の経済成長率がマイナスにならなかった国が4か国もあるのです。

3.ASEAN諸国有識者の意識
シンガポールのシンクタンクが実施した調査結果が紹介されていました。
やはり,ASEANの支援役として日本への期待があるのです。


1. 東南アジアへの最大の経済的影響力を持つ国

1)中国79%

  (内「中国の影響力の拡大を懸念する」が72%)

2)米国 8%

3)日本 4%



2. 東南アジアへの最大の政治的影響力を持つ国

1)中国52%

  (内「中国の影響力の拡大を懸念する」が85%)

2)米国27%

3)日本 2%



3.中国の大国としての台頭が東南アジアに持つ意味

 1)中国は修正主義国家として東南アジアを

   自らの勢力圏下に置く意図を持っている    38%

 2)中国は徐々に米国の地域的な指導国としての役割に

   とって替わりつつある            35%



4.あなたの国は「一帯一路」融資の借り入れ国としてより公平な取引につながることを期待するか

 1)信頼しない 64%

 2)信頼する  36%



5.(米豪日印が提唱している「自由で開かれたインド太平洋」構想に関し)あなたはインド太平洋の概念についてどう見るか(複数選択)

 1)この概念は不明確でさらなる詳細な説明を要する                        54% 

 2)地域の新たな秩序にとって実現可能な選択肢                        28%

3)中国の封じ込めを目指すもの        23%

4)地域の秩序におけるASEANの意義や

  立ち位置を弱体化させるもの        23%



6.米中に次ぐ第3のパートナーとなりうる国・地域はどこか

  1)日本 38%

  2)EU 32%

日本は「世界の安定や繁栄に貢献する点で信頼できる」

が61%と、他国・地域を大きく引き離している。



筆者の総括:

ASEANの識者は、将来的に地域における中国の影響力が米国よりも大きくなるとみているが、日本への信頼感は厚く,EUとともにそのリーダーシップを求めている。



1 件のコメント:

上野 則男 さんのコメント...


大学空手部の大先輩からのメールです。

たくさんのメルマガ、楽しませてもらいました、が、
毎回ながら、貴兄の驚異的energeticな取材&取り纏めには全く敬服脱帽です。

特に、ASEANに関するもろもろの内容は初めて全体的な様子がわかりました。
また、「史実を世界に発信する会」の幅広いスタディには感心しました、
が、まだ ”敵を知り己を知れば百戦危うからず”の諺からすると、
開戦の頃、資源大国のアメリカを十分理解していたかどうかと、
キリスト教国民族が一旦 ”国のため”として結束した場合を想定していたかどうか、
に疑問が残ります。

でも大戦の結果、東南アジアの各国が民族独立をなしえたことは
ある種、方向が正しかった、と言えるでしょう。


今回、かなり幅広く取り上げられ、素晴らしかったです。