目的:
日本の国会がガラパゴス化しているという主張を知っていただきます。
ねらい:
経済が上向きつつありますので、政治も上向いてほしいですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
私は政治問題は好きではないのですが、
自民党の「裏金」問題の世間マスコミの大騒ぎをみて、
疑問に思い、棚上げにしていたこの論文を取りあげてみました。
野中尚人学習院大学法学部教授の寄稿文名です。

氏によりますと、ガラパゴス化とは
メルマガバックナンバー(08年3月~前月分)は、下記URLよりご参照ください。 http://www.newspt.co.jp/data/mailmaga/mgbk.html
――「同調」と「社会性」を使いこなす
1 |
ソーシャルプルーフまたは、 バンドワゴン効果 |
迷ったら(迷わなくても)他人に倣おうとする傾向。 「あなたが見ているのは当店のベストセラー商品です」と誘う。 |
2 |
スノップ効果 |
希少性に価値があるので、所有している人が増えるにしたがってそのものの価値が下がると感じられること。 |
3 |
ベストセラー効果 |
ベストセラーリストに載るとますます売れる。 |
「○○し始めた」と変化を強調する方が人の行動は変わりやすい。 「皆様もご存じのように」という言い方をすると、信ぴょう性が高まる。 |
||
4 |
モラルライセンシング効果 |
善い行いをした後に自己満足して「道徳的なタイム」をとって善行を休もうとする傾向。 |
5 |
競争的利他主義 |
皆の前で競って他人のために役立とうとする傾向。 その延長で、誰かに見られていると意識するだけでも、よい行動をとろうとする。 |
6 |
どうにでもなれ効果 |
偽りの行動をせざるを得ない場合、開き直ってしまい、自分を「まともな人間である」ことをみせることを諦める。 |
7 |
白衣効果(警察官の制服効果) 権威に従う効果 |
医者の着る白衣によって権威を感じ従おうとする。 |
8 |
赤いスニーカー効果 |
赤いスニーカーを履いたCEOは(差異化することに自信があるのだろうから)優れている人だと思ってしまう傾向。 |
9 |
互恵関係が人類の文明の基盤である。 |
人がお互いに親切にすることは、人類全体にとって有益であった。直接的な見返りを求めずに誰かのために何かをすることで、親切の貸し借りを細かく気にすることなく、集団全体として行動できる。その結果、人類は干拓地に水をひき、民主主義を構築し,気候変動から世界を救うことさえもできるかもしれないのだ。 |
――時間を効率的に使うコツ
1 |
マシュマロ・テスト |
4歳児が,20分待つとマシュマロを二つもらえるのに、今すぐの一つを選択した。 大人も将来のことを的確に予想することは困難である。 (太古の人類の生存環境の影響が残っている) |
2 |
目標達成の代行 |
先に「よいこと」をしてしまうと、その後の行動が甘くなる。 |
3 |
チェックアウトマグネット |
客はレジが近くなると,足早になる。商品を選ぶ速度が速くなると、衝動を抑えにくくなる。 英国では、客に衝動的な買い物を促す位置に不健康な商品を置くことを禁止している。 |
4 |
自我消耗 |
我慢を何度もすると、そのうちに耐えられなくなる。 |
5 |
「ギャンブルに負ける」と高いリスクを取りたくなる。 |
負けを取り戻そうとするから、である。 女性は男性よりもリスクを取ろうとしないが、その原因は分かっていない。 |
6 |
大切な判断は朝のうちにした方がよい。 |
判断疲れが起きるからである。 |
7 |
「ピーク・エンドの法則」 |
イヤな検査などのプロセスの記憶は、平板的にされるのではなく、ピークのときと終盤のときの記憶に左右される。 |
8 |
「終わりよければすべてよし」 |
最後の印象が、全体の印象になることを指す。 |
9 |
感情移入ギャップ |
人は、今と違う状況に身を置いたときの感情を予測するのが苦手である(今の感情に支配されやすい)。「もう食べたくない」 |
10 |
「お金がない」時に人は頭が悪くなる。 |
一時的な貧困が意思決定能力に影響を及ぼす。 |
11 |
「時間不足」も思考力を低下させる。 |
目先のことで頭がいっぱいで、しっかり考えることができなくなる。 |
12 |
「先延ばし」をしない方法 |
納期が先だと思わないようにする(月や週をまたがない、など) |
13 |
目先の小さな報酬が,将来のための行動を大きく妨げる。 |
前掲「マシュマロ・テスト」参照。 |
13 |
誘因バンドル |
面倒なことと楽しいことをセットにする。 |
14 |
自らコミットメントする。 |
「何を,何のために、いつ、どこで、どのように行動するか」を明らかにする(じぶん宛のメールもよい)。 |
老化防止の対策
対策 |
内容 |
実用の見通し |
テロメアの縮減を防ぐ |
テロメアは染色体の先端部分についている。これが細胞分裂するにしたがって短くなり限度を超えると細胞分裂ができなくなる。 そこでこのテロメアの縮減を防ぐ方法が研究されている。 |
アメリカのバイオベンチャー企業が臨床試験中である。 |
老化細胞を除去する |
老化した細胞を放置すると、炎症性物質を出して組織に害を及ぼす。老化細胞は、腎不全、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病、紫外線や放射線によるDNAの傷などによって発生する。 そこで、老化細胞が延命するために必要なアンモニアの生成をブロックする。 |
老化細胞の関与するアンモニアの生成は、グルタミンをグルタミン酸に轉換することによって行っているので、この働きを止める。 この働きを行う治験が、がんの治療薬としてアメリカで進行中である。世界中で開発が行われている。この治療は健康寿命の延長に貢献することが期待されているが、逆にがんの発生を促進するリスクも指摘されている。 |
|
||
DNAの傷の修復 |
あらゆる障害はDNAを棄損している.DNAの棄損を修復(ゲノム編集)することができれば障害が回復する。 ゾウの寿命が長いのはDNAの修復能力が非常に高いからで、理論上は、ゾウが持つDNAを修復する遺伝子をヒトの遺伝子に入れればよい。 |
倫理上の問題や見えないリスクがあり研究は進められない。 |
オートファジー機能を強化する (注) |
オートファジー機能は細胞が自らを分解し細胞の新陳代謝を実現していることである。この働きをブロックするのが「ルビコン(たんぱく質)」である。ルビコンを必要とする組織もある(精子など)。ルビコンを除去すれば、生殖は不能となる。 生殖細胞を除去すると動物の寿命は延びることが実証されている。 |
オートファジー機能は、接種カロリーを減らし寒冷状態にすると向上する。断食などは有効である。 ルビコン除去の研究は行われていない。 (ハダカデバネズミは一般のネズミの10倍の寿命である。酸素の薄い地中であまり運動しないで生活している) |
|
||
糖尿病の治療薬メトホルミン |
英国で実施された18万人以上を対象にした研究で、メトホルミンを服用する70-75歳の糖尿病患者は糖尿病でない人たちに比べ、死亡率が15%減少し、寿命が長かった。 |
アルバート・アインシュタイン医科大学はメトホルミンの長寿効果を調べる臨床試験を始める。 これまで、この試験が行われなかったのは、この薬価が安く、期待される成果が大きくなかったためと言われる(2023年9月3日日経新聞「老化の研究」) |
NADブースティング(NADを体内で増やす方法) NMNサプリメント |
細菌から哺乳類までの生物の体内に存在している「サーチュイン」というたんぱく質が、老化・寿命を制御する酵素であることが2000年に発表された。 このサーチュインが働くために必要な物質がNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジオムクレオチド)である。NADの前段にNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)がある。 NADを合成する酵素はeNAMPTと言い、マウスではメスの方が多く持っている。これは血液中に含まれている(若い血液中に多い)。 |
NMNサプリメントは1瓶数千円から数万円までで販売されている(粗悪品もあるらしい)。 日本のみで行われているNMN点滴は服作用に懸念がある(30分で6万円の例あり)。 |
Ips細胞による脳神経細胞の初期化 |
ips細胞によって脳の神経細胞を初期化すると脳が若返るが、それまで蓄積した機能が失われるので、いかに限定的に導入するかが課題である。 |
動物実験では成功例があり、開発競争が行われている。 |
アミロイドβやタウたんぱく質の蓄積を減少させる |
アミロイドβやタウたんぱく質が脳に蓄積されることでアルツハイマー型認知症が発症する。 |
認知症治療薬レカネマブは米日で使用開始されている。 |
軽度認知障害(MCI)の早期発見 |
早期発見しアミロイドβやタウの蓄積を阻止すれば認知症にならないですむ。 |
その診断法は研究中である。技術的には可能となっている。 |
ヂュエルタスク(有酸素運動をしながら頭を働かせる) |
酸素がたくさん脳に供給されることによって脳が活性化される。脳の酸素消費量が増えるだけでなく、運動すると筋肉の側から脳に様々な物質が送られ脳が刺激されるという論文も出ている。 |
マウスでの実験では、酸素がたくさん供給されることで脳が活性化され、その結果として筋肉の強度を高めることが分かっている。 |
脳腸相関 |
腸内細菌の状態が良いと脳にも良い影響がある。 |
さかんに研究が行われている。 |
光認知症療法 |
薬を体内に入れて化合物を脳に届けた後で、光を当ててそれを活性化させる。アミロイドベータに酸素原子を導入するとミクログリアが食べてくれる。 |
課題はいかに脳細胞に光を届けるかであり研究中である。実現すれば抗体療法であるレカネマブよりも効果が期待できる。 |
体内時計 |
1997年に哺乳類にも「時計遺伝子」があることが発見された。時計遺伝子が地球の動きと同期をとるようにしている。これが狂うと、リンパ球などの免疫細胞の老化が進む。生活習慣病とも大きく関連している。 |
マウスの実験では、適応不能な厳しいシフトで生活させたマウスは2年間で4割が死亡した(通常のシフトのマウスは1割しか死亡していない)。 体内時計を整調するには、朝の日光を浴びるのがよいとのこと。 |
4.歴史に見る老化阻止・若返りの方法
1 |
喫煙・受動喫煙 |
たばこは吸わない。 他人のたばこの煙を避ける。 【国民一人一人の目標】 たばこを吸っている人は禁煙する。また、他人のたばこの煙を避ける。 |
2 |
飲酒 |
節酒する。飲むなら節度のある飲酒を心がける。 飲まない人や飲めない人にお酒を強要しない。 【国民一人一人の目標】 飲む場合は、1日あたりの飲酒量は、男性でアルコール量に換算して約23g程度(日本酒なら1合程度)、女性はその半分に抑える。休肝日を作る。寝酒は避ける。飲まない人や飲めない人にお酒を強要しない。 |
3 |
食事 |
年齢に応じて、多すぎない、少なすぎない、偏りすぎない バランスのよい食事を心がける。具体的には、 食塩の摂取は最小限(注1)に。 野菜、果物の摂取は適切に、食物繊維は多く摂取する。 大豆製品を多く摂取する。 魚を多く摂取する。 赤肉(注2)・加工肉などの多量摂取を控える。 甘味飲料(注3)は控えめに。 年齢に応じて脂質や乳製品、たんぱく質摂取を工夫する。 多様な食品の摂取を心がける。 (注1)
男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満(厚生労働省日本人の食事摂取基準) (注2)
赤肉:牛・豚・羊の肉(鶏肉は含まない) (注3)
砂糖や人工甘味料が添加された飲料) 【国民一人一人の目標】 年齢に応じて、多すぎない、少なすぎない、偏りすぎないバランスのよい食事を心がける。具体的には、食塩の摂取は最小限に、野菜・果物は適切に、食物繊維は多く摂取する。また、大豆製品や魚を多く摂取し、赤肉・加工肉などの多量摂取を控え、甘味飲料の摂取は控える。年齢に応じて脂質や乳製品、たんぱく質摂取を工夫する。多様な食品の摂取を心がける。 |
4 |
体格 |
やせすぎない、太りすぎない。 ライフステージに応じた適正体重を維持する。 【国民一人一人の目標】 ライフステージに応じて、体格をその時々の適正な範囲で維持する。 |
5 |
身体活動 |
日頃から活発な身体活動を心がける。 【国民一人一人の目標】 日頃から活発な身体活動を心がけ、現状より1日10分でも多く体を動かすことから始める。具体的な身体活動量の目安は、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行い、その中に、息がはずみ汗をかく程度の運動が1週間に60分程度含まれるとなおよい。また、高齢者では、強度を問わず、身体活動を毎日40分行う。 |
6 |
心理・社会的要因 |
心理社会的ストレスを回避する。 社会関係を保つ。 睡眠時間を確保し睡眠の質を向上する。 【国民一人一人の目標】 心理社会的ストレスをできる限り回避する。孤独を避け、社会関係を保つ。質の良い睡眠をしっかりとる。 |
7 |
感染症 |
肝炎ウイルスやピロリ菌の感染検査を受ける。 インフルエンザ、肺炎球菌を予防する。 【国民一人一人の目標】 肝炎ウイルスやピロリ菌の感染検査を受け、感染している場合には適切な医療を受ける。高齢者では、インフルエンザ、肺炎球菌のワクチン接種を受ける。 |
8 |
検診の受診と口腔ケア |
定期的に健診を・適切に受診する。 口腔内を健康に保つ。 【国民一人一人の目標】 定期的に健診を受ける。科学的根拠に基づいたがん検診を、厚生労働省の指針(注4)で示された方法で受ける。口腔内を健康に保つ。 (注4がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針) |
9 |
成育歴・育児歴 |
出産後初期はなるべく母乳を与える。 妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、巨大児出産の経験のある人は将来の疾病に注意する。 早産や低出生体重で生まれた人は将来の疾病に注意する。 【国民一人一人の目標】 出産後初期はなるべく母乳を与える。妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群にかかった人や巨大児出産の経験のある人、早産や低出生体重で生まれた人は将来の疾病に注意する。 |
6.老後の幸福感