2021年9月9日木曜日

「オートファジー」ってご存じですか? スゴイことです!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「オートファジー」という
  スゴイ世界があることを知っていただきます。
ねらい:

 オートファジーの研究が進んで
 健康寿命が延びることを期待いたしましょう!!
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本項は、學士會会報2021ーⅤ号に掲載された
吉森保大阪大学栄誉教授寄稿のご紹介です。

私は、オートファジーという言葉は聞いたことがありましたが、
不勉強で詳しく知りませんでした。
オートファジーとは、を筆者はこう説明されています。

「真核生物の細胞に普遍的に備わる機能で、
細胞内の様々なものを分解・リサイクルするシステムのことだ。
ギリシャ語の自己=オートと、食べる=ファジーを組み合わせた造語で
日本語では自食作用と呼ばれている」

2016年にノーベル賞を受賞された大隅良典教授が、
1996年に「自食作用研究会」を立ち上げられてからの
研究分野のようです。

これではよく分かりませんが、こういう解説があります。
オートファジーは、
細胞内に隔離膜という扁平な膜の袋が現れて開始される。
これが伸長しながら湾曲し、皿のような形状からどんぶり、
壺のような形に変化する。

そのようにして、
そこにあったたんぱく質や他の構造物を取り込んでいく。
最後に壺の口が閉じ、
閉鎖された内部空間を持つ球形のオートファゴゾーム
と呼ばれる細胞小器官となる。
オートファゴゾームは直径約1μmである。

オートファゴゾームは細胞内を移動し、
別の細胞小器官リソソームと融合する。
リソソームは内部に各種の消化酵素を持つ細胞の消化器官であり、
融合によりこの消化酵素が流入し
オートファゴゾームに取り込まれていた内容物が分解される。
分解産物、例えばたんぱく質であればアミノ酸、
は細胞によって再利用される。
オートファジーとはこの一連の過程全体を指す。


すごいことなのですね!!

このオートファジーは以下のような大変な役割を担っているのです。
1.飢餓時の栄養源確保
 細胞は周囲から栄養を取り込めなくなると、
 タコが自分の足を食べるように
 自己の一部をオートファジーで分解消化し、エネルギーにする。
 ストレスによっても同じことが起きる。

2.細胞の構成成分の代謝回転(新陳代謝)
 何もなくてもオートファジーは少しずつ発生し、
 新たな細胞小器官として入れ替わっていく。
 これが、生体の健康状態の維持に極めて重要である。
 細胞は、日々部品を交換することで劣化を防いでいるのである。

3.細胞内に現れた有害物質の排除
 有害物質に対して選択的に取り込む機能も発見されている。
 各種病原体、壊れた細胞小器官、
 神経変性疾患の原因となるたんぱく質凝集塊などを取り込んで
 無害化している。

オートファジーの機能は年をとると低下するのですが、
最近、筆者はその原因を突き止めました。
その原因を除去することも動物実験で証明されています。
寿命が1.2倍延びたのです。

となると、オートファジーの研究が進むと、
不老長寿が実現するのかもしれないのです。
たいへんな研究領域です。

この領域の研究では、
日本は世界を断然リードしていますが(論文の被引用数で)、
オートファジー関係の特許数やベンチャー数では、
米、中、韓の後塵を拝しています。
これではいかん、と
筆者も一昨年大学発ベンチャーを設立し奮闘されています。

オートファジーの基礎研究と応用技術実用化の進展に
大いに期待いたしましょう!!

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