目的:
英語の会話で実現されている英米人の思考法を確認いただきます。
英語会話はロジカルなだけでなく、相手の心も重んじるということを
確認いただきます
(この点は本項ではあまり詳しくご紹介していません)。
ねらい:
詳細は、本書をお読みください。
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本テーマは、井上逸兵慶応大学文学部教授の
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本テーマは、井上逸兵慶応大学文学部教授の
「英語の思考法―話すための文法・文化レッスン」のご紹介です。
思考法に関心がありますので読みました。
著者が、英会話の実態に造詣の深いことに感心しました。
英語は大学受験でたくさん勉強させられ、
若い頃英会話の個人授業も2年ほど受けた私としても
知らないことがたくさんありました。
本書の意図は、「はじめに」でこのように述べられています。
英語という言語には、
本書の意図は、「はじめに」でこのように述べられています。
英語という言語には、
分かちがたく英語のコミュニケーションの文化が染みついている。
本書は、英語のコミュニケーションの文化の核心を理解し、
正しく「わかり」、身につけていただくのが目的だ。
1.人称代名詞について
自分のことを指す人称代名詞は単数形Iと複数形Weがある。
Iは、「自分は」と、自分のことを述べる場合に使用する(自明)。
本書でいう英語の核心のうち、もっとも重要な二つは、
「独立」と「つながり」である。
そして、この二つから第三の核心「対等」が生み出される。
第1章は、「独立」についてで、
「独立」と、それと根底でつながる「個」というコミュニケーション文化
についてお話しする。
第2章は「つながり」、第3章は「対等」のタテマエについてである。
つづく第4章は、それらの話をさらに深堀りしていく応用編である。
この三つの核心は、時に相反するものであったり、
二面性を持った英語の特質の両面だったりすることを論ずる。
第5章は、実践編として、具体的に、なぐさめ、提案、謝罪、反論、
褒め、依頼、断りの言語行動を事例として、
さらに英語の核心をより良く理解していただき、
実際に読者のみなさんが英語を使う際の手引きになるように
意図したものである。
注:「独立」は、対象物の「個」を識別する意識が強いということ、
(単数形・複数形にこだわるのもその一環)
「つながり」はそれでいて自分と相手のつながり関係を重視する、
その関係は「対等」を基本とする、
言語上、上下関係を意識させること、卑下・過度の謙遜を好まない、
ということです。
当然ながら例文が豊富で、
どう言えばよいのかがよく分かるようになっていて
英語を学ぼうという方にはたいへん参考になります。
本書の中で、英語を学ぼうという観点ではなくて、
参考になったトピックスを以下にご紹介します。
1.人称代名詞について
自分のことを指す人称代名詞は単数形Iと複数形Weがある。
Iは、「自分は」と、自分のことを述べる場合に使用する(自明)。
Weは、あなたと違うこちら側の仲間を指す場合(普通の解釈)と
あなたと自分というくくりを指す場合とがある
(言われてみればたしかにそうです)。
後者の場合のWeは、
We are friends、
We need to be on time.(「時間が守らなくちゃね」)
You need to be on time.(「時間は守ってください」)とは言わないで、
あなたと私を一緒にして柔らかくしているのだそうです。
著者はそのことを、英語の「つながり」思考の表れだと言っています。
彼・彼女も複数形があります。
会話・記述をしていて、誰を指しているか分からせるためです。
ところが、Youは単数・複数の区分がないのです。
本書にはその説明はありませんでしたので考えてみました。
おそらくこういうことでしょう。
Youは、相手が自分の前にいる場合にしか使わない言葉です。
相手が一人のときはもちろんその人を指しますし、
相手が複数でその全員を示す場合も自明です。
相手が複数人いてその中の誰かを指す場合は、
指さすなどで指定をしなければ分かりません。
いずれにしても単数形・複数形が存在する意味がないのです。
2.省略形について
もう一つ、これまで知らないことがありました。
一般の省略形はカジュアルあるいはフランクである。
例;
I’m Ippei.一平です。
Ⅰ am Ippei.一平でございます。
ところがLet’sとLet usは意味が違うのだそうです。
Let’sのusは相手を含む自分たちである。
Let’s go to the police.は「一緒に警察に行こう」です。
Let usのusは相手を含まない私たちである。
Let us go to the police.は「私たちを警察に行かせてください」
となるのだそうです。
3.I'm sorryとExcuse meの違い
I'm sorry 謝罪 正式ならI apologize.
「事故を起こしたときにすぐにI'm sorryと言うな」
といわれていることはやはり紹介されています。
しかし興味深いことに米国のいくつかの州では、
通称I'M SORRY Lawという法律が制定されていて、
交通事故などの直後の当事者の”I'm sorry”という発言は
裁判の判断材料にしないということにしているのだそうです。
Excuse me 「失礼します」
複数人のときはExcuse usと言うんだそうです。
これは知りませんでした。
「自分」と「自分たち」ははっきり区別されているのですね。
なぜか、I beg your pardon.またはPardon?については
触れられていませんでした。
日本語では「スミマセン」でも、謝っているわけではないので、
上の二つの仲間には入れてもらえていないのでしょうか?
4.Whyについて
システム企画研修社の問題点連関図手法は、
2つのWhyを探求する手法です。
一つのWhyは、「何のために(それをするのか)」の探求です。
もう一つのWhyは「なぜそうなっているのか(原因)」の探求です。
私は、これまでこう主張してきました。
日本的思考では、
「何のために」は自明と思われる場合が多く、あまりこの質問はされない、
「なぜそうなっているのか」は責任を追及するニュアンスがあり、
和を重んじる日本では、この質問もあまりされない。
(子供のときは、親に「どうして?」「どうして?」と聞くが、
「そんなこと聞くものじゃない」とか言われてだんだん言わなくなる)
これに反し、英語の会話では頻繁に「Why?」が出てくる。
ところが、本書では以下のように記述されていました。
「常にwhyと尋ねられるのがトゲトゲしいわけではないのだが、
なんだか責められているような気になることが多いらしい」
そこで、whyを使わずに、
What makes you say that?
What took you so long?のように客観化して聞く
のだそうです。
おそらく、日本だとその質問もしないで
「暗黙の了解」をしてしまうのではないでしょうか。
言い方はともかくとして、疑問点はお互いのために明らかにする、
というのが英米的コミュニケーションなのでしょう。
5.agree, butの言い方
反論の際にいったん相手の言うことを認めた上で、
自分の意見を述べた方が受け入れられやすい、という記述がありますが、
これは言語によらないコミュニケーションの基本原理です。
英語でもそうなっているようです。
例:Interesting analysis,but I see things differently.
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