2024年2月26日月曜日

「もしも世界からカラスが消えたら」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「カラスは何の役に立っているのか」の検討を
 ご紹介します。
ねらい:
 カラスが嫌いな人は、
 これを読んでもあまり変わりませんね。
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この項は、動物行動学専門の松原始
東京大学総合研究博物館特任准教授著
「もしも世界からカラスが消えたら」のご紹介です。



カラスをそれほど嫌いではない私が、
書名の珍しさに惹かれて読んでみました。
結論は著者も言われるように、
「カラスがいなくなってもそれほど大きな影響はない」
という、あまり面白くないことでした。

この写真の出典:新潮社ホームページ












私も少しはカラスに関心があります。
以下のブログでカラスはどこで寝るのかを探求しました。

私がカラスについて知っているのは、以下の4点ほどです。
1)アタマがいい。その1
 今やほとんどの人が、生ごみにネットをかけています。
 「ネットは万能でカラスはネットには近寄らない」
 と思っていましたら、そうではありませんでした。

 カラスにとっておいしそうな生ごみの入っている袋のはじが
 ネットからはみ出していると、
 そのはじを嘴で引っ張って袋をネットから取り出してしまうのです。
 どうすれば、安全かを学んでいるのですね。

2)アタマがいい その2
 隣の奥さんが、道路に落ちていたカラスのひなを、
 「あらどうしたのかしら?」と道路わきに寄せました。
 その何日か後で、その奥さんは後ろから飛んできたカラスに
 後頭部を突っつかれました。
 奥さんはひなを助けているのですけれどね。
 勘違いして覚えているのです。

3)朝が早い
 鳥は鳥目なので暗いときには活動しません。
 しかし、カラスは薄暗いうちから「カア、カア」と鳴いています。

4)仲間げんかをする
 だいぶ前ですが、2,3羽のカラスが、
 1羽のカラスを執拗につついていじめていました。
 そのカラスは死にそうでした。
 おそらく、縄張りを犯したのでしょう。

以下に本書の内容を超圧縮でご紹介ます。
ご関心ある方は、本書をご覧ください。

1.カラスの種
カラスは、生物分類だとこうなります。
 動物界
 鳥綱(ツル目、ガンカモ目、ワシタカ目、ブッポウソウ目、スズメ目)
 スズメ目(スズメ、ツバメ、セキレイ、ヒヨドリ、ムクドリ、ウグイス)
 カラス科(カケス属、カササギ属、オナガ属、ホシガラス属、カラス属)
 カラス属(約40種。
 このうち日本で繁殖しているのは、ハシプトガラスとハシボソガラス)
 

違いがわかりますか?




「髪はカラスの濡れ羽色」というくらい真っ黒がカラスの認識ですが、
 世界には白黒または灰色/黒のカラスもいるのだそうです。








2.カラスの役割
カラスは何の役に立っているのか、です。

1)雑食系で何でも食べる。
  自然界では死肉の整理に貢献する。
   死肉など他の動物の食べ残しを食べる種を
   「スカベンチャー」という。 
   彼らは、生態系における物質循環の中では、
   死骸を分解して無機物に戻す家庭の第1段階に位置づけられる。
  
  昆虫は好物である。
   サクラなどの毛虫を食べてくれる。
   大正時代に北海道でバッタが大発生したときに、
   カラスとムクドリがこれを食い尽くし作物が全滅するのを防いだ。

2)大きな果実の種子の運搬に貢献する。
  柿やビワは小さな鳥では種子散布ができない。
  ソテツやギンナンもそうかもしれない。

3.カラスがいなくなったらどうなるか。
カラスファンの著者が研究しても、
カラスでなくてはという点は見つかりませんでした。

4.カラスの代役
カラスがいなくなったときの代役は誰が務めるか、の答えです。
1)スカベンジャー役
 コンドル、ハゲワシ、カモメなどがいる。

2)大型果実の種子の運搬役
 インコやオウムが可能性がある。
 
 我が家の河津桜にインコが来て花びらを落とすので
 腹を立て追い払いますがすぐに戻ってきます。
 東京にもワカケホンセイインコという種が
 50年以上も野生で棲みついているというのです。
 
 インコは長い舌を持たないので、蜜を吸うことができず、
 花びらの根元から食いちぎって密を食べるのだそうです。
 (別情報源)

3)都市生活者としての代役
 ムクドリ、イソヒヨドリが候補となる。

4)頭がいい鳥の代役
 インコ、オウム類
 頭のいオウムの例が紹介されています。
 【心理学者に飼われていたアレックス】
 「リンゴが2個、バナナが3個ある。
 この時「赤いのはいくつ?」ときくと「2」
 「黄色いのはいくつ?」と聞くと「3」
 「果物はいくつ?」と聞くと「5」と答える。

代役には誰かは存在するので、
カラスがいなくなっても
生態系にそれほど大きな変化は与えないだろう
という結論です。

現実の存在感からすると考えにくい結論ですね。

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