2020年2月6日木曜日

テレビ制作の世界は完全なブラック!どうする??

【このテーマの目的・ねらい】
目的: 
 華やかさの陰に横たわるブラックの状況について
 考えていただきます。
ねらい
 今後を見守りましょう。
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1.ブラックの現状
出典は、日刊SPA!2020/2/5
「テレビ業界では食っていけない...底辺にいる現場スタッフの実情」


「テレビでは食っていけない」。
かつては“憧れの職業”だったテレビ業界に人、
特に若者が集まらないと嘆くのは、
元キー局の社員であり、現在は主にテレビ局向けに
人材を派遣する制作会社の代表・渡辺建治さん(仮名・49歳)だ。
その裏側には、深刻な懐事情があるという。


◆人件費削減、飲食代の経費が落とせない…
「テレビ業界は昔から激務でしたが、派手で高給取り。
学生にも人気で、就職倍率が数百倍、数千倍を超えたこともある」
(渡辺さん、以下同)


実際、渡辺さんが入社したころは、エントリーは数千人。
一次試験から最終の社長面接までは5ステップ以上あり、
最終的に入社がかなったのは20人ほどだった。


入社直後はバラエティ番組などの制作を行う部署に配属されたが、
早朝から終電後まで働くことは普通で、
会社に3泊以上することもザラだった。


それでも耐えられたのは、仕事の楽しさ、
そして何より高額な「給与」の存在が大きかったという。
「入社1年目で600万、30代で1000万円は普通でした。
タクシーは乗り放題、経費も青天井で、
飲食代は全て領収書を切っていたほどです」


しかし斜陽と言われて久しいテレビ業界。
経費は厳しく抑えられ、
渡辺さんがいたテレビ局のとある部署では、
打ち合わせでも原則「飲食代」は経費で落とせなくなったという。


さらに、それよりも削られているのは他でもない「人件費」だ。
「最近目立つのは、特に報道の現場です。
キー局の社員は
主要なディレクターやプロデューサーなどほんのわずか。
ほとんどが制作会社などの社外スタッフです」


現場では、そもそも“スタッフ”=“キー局の社員以外”
という意味の言葉として使われることが多いという。


その給与には大きな開きがある。
「スタッフの給与は同世代のキー局の社員の半分以下、
ADなどは5分の1ほど。
テレビに憧れて入ってきても、
あまりの給与の安さにどんどん人が辞めていき、
残った人たちは余計に忙しくなる」


◆副業やアルバイトをする若手も…
そんな背景があるからか、
テレビ局で働きながら
アルバイトをする若手も増えてきているという。
現役の民放局に籍を置く、
元某クラブ記者・武田宏さん(仮名・30代)の証言。


「同僚とガールズバーに飲みにいったら、
どうも見たことのある若い子がスタッフとして働いていました。
普段は記者クラブにいて、本社にはあまりいなかったので、
すぐには思い出せなかったのですが、後日放送を見てびっくり。
その子が、うちの番組で食レポをやっていたんです」
(武田さん、以下同)


その若い女性は、都内の有名大学を卒業したものの、
キー局の新卒採用試験に失敗し、外部の制作会社に就職。
派遣スタッフとして働いていたのだが、
別のスタッフにもガールズバーで働いていることを目撃され、
あっという間に噂が広がると、数か月後には会社を辞めていた。
彼女の上司が「テレビに出る仕事をしていて誇りはないのか」
と激怒したというのだが……。


「いや……誇りうんぬんの前に、ちゃんと給料を払えという話。
私は元クラブ記者を経験していますが、
当時は局の関連会社の社員。


警視庁クラブや司法クラブ、
霞クラブなど要所に配置される記者は、
かつては社員だけと決められていましたが、
最近は子会社や関連会社のスタッフが
局に出向し“社員”として配属される。
給与はキー局の社員よりも当然低く、労務管理も適当。
やりがいはありますが、
カネがないからだんだん精神的にも病んでしまい、
辞めちゃう子も少なくないんです」


もちろん局の正社員給与も軒並み下がっており、
社員たちは大騒ぎしているというが、
それでも武田さんの倍近くを得ているそうだ。


「テレビじゃ食えない、は本当です。
食えるのは、俺たちみたいな下働きを使う社員だけ。
まじで奴隷、人が来るわけがない」


はたから見ていると華やかなマスコミ業界だが、
食えているのは「上級社員」だけなのか。<取材・文/山口準>


2.ブラックの原因
なぜそんな状態になっているのか、考えてみましょう。
まず考えられるのは、テレビ業界の凋落です。
民放テレビ業界の売上は、ご承知のように広告収入です。


1985年からの媒体別の広告費推移を見ます。
出典は、「ガベージ ニュース」2019.3.3です。
元データは電通のデータです。
このグラフの上から3番目がテレビです。

これによれば、インターネット広告が急速な伸びを見せていますが
テレビも今は下降はせずにほぼ横ばいです。

ではなぜそんなに厳しいのでしょうか?

テレビ局が多すぎるのか?
現在の主力キー局(日テレ,TBS、フジ、朝日、東京)体制
になったのは1973年ですから、
90年くらいからの不振の原因にはなりません。

放送時間が増えて
1番組当たりの制作費が少なくなっているのか?
この点は確認できません。

社員の高齢化で人件費が上がっているのか?
これは大いにありそうですがデータでの確認はできません。

あらためて上のグラフを見てみますと
リーマンショックの時に急激に落ち込んでいます。
厳しい緊縮になったのはその時からのことかもしれません。

3.脱ブラックの対策
広告媒体がインターネット系に急速に転換しているのです。
2月5日の日経新聞に以下の記事が大きく載っていました。

「ネット広告両雄(アルファベットとフェイスブック)
10-12月最高益 テレビ超え」

テレビ広告が今後増えることは期待できません。
脱ブラックの大きな手術が必要です。

1)テレビ局の統合
 これが一番効果があります。
 3局になれば仕事量は6割になります。
 テレビ局はそれぞれバックを持っていて
 簡単に合併などできにくいでしょうが、
 そんなことを言っている場合ではないでしょう。

 そうなると、多くの「スタッフ」は失業ですが、
 残ったスタッフは、ブラックから解放されます。

2)業務のデジタル化
 RPAを含め、仕事の方法の改善は、
 「特殊な仕事だ」という先入観念で
 あまり進んでいないと思われます。
 どんどん進めるべきでしょう。
 この改善の仕事はおもしろそうですね。

3)テレビ放送経営者の認識改善
 NHKの経営問題は、マスコミのテーマになりますが、
 民放の経営問題は、自分たちで蓋をして隠しています。
 前掲のレポートが真実を伝えているとすれば、 
 日本で最大のブラックの仕事として取りあげるべきです。
 
 そして、
 民放の経営者や株主が
 改善に取り組む意思を持たなければなりません。
 お笑い系の番組を増やして、
 視聴率の良しあしに一喜一憂している場合ではないでしょう!

2 件のコメント:

岩盛 熊悟朗 さんのコメント...

テレビ局の凋落は、コンテンツにあると思います。
お笑い、食レポ、クイズ、探検もの、が主流で、見てて啓蒙される内容が圧倒的に
減少していると思います。
ですから、見ててすぐ飽きてしまいますね。
もっとしみじみと感動できる内容の番組を増やせば、広告収入も増えてくると思います。

欧米のリベラリズムの悪影響も感じられます。

上野 則男 さんのコメント...


私もテレビが一部の人にしか見られなくなった原因は、
熊悟朗さんの言われるとおりだと思います。
ですが、根本原因として時代が要求するメディアではなくなってきた
ということがあるのではないでしょうか?