目的:
日本の女性の社会進出がなぜ遅れているかを分析します。
日本も改善されているけれども、諸外国の前進がもっと早い、
ということも確認していただきます。
なぜ日本の前進が遅いのかを分析します。
日本ももっともっと女性に力を発揮していただかないと
これからの日本の発展はないことを再認識していただきます。
ねらい:
その前提を確認して行動しましょう。
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先月、日本の「終身」雇用制度が、
日本の経済成長を阻害していることの分析をしました。
http://uenorio.blogspot.jp/2016/01/blog-post_98.html
ここでは、日本でなぜ女性の活躍ができていないのか
の分析をしたいと思います。
検討の内容は以下の2書から得ました。
1)女性を活用する国、しない国(竹信三恵子2010.9)
2)働く女子の運命(濱口桂一郎2015.12)
1.日本の女性が活躍していない現実
以下のデータは時点の古いものが多いのですが、大きな傾向は変わっていないようです。
(1)女性の活躍度指数(ジェンダー・エンパワーメント指数GEM)
国連(UNDP)発表 2009年版
順位 | 国 名 |
1 | スウェーデン |
2 | ノルウェー |
3 | フィンランド |
4 | デンマーク |
5 | オランダ |
6 | ベルギー |
7 | オーストラリア |
8 | アイスランド |
9 | ドイツ |
10 | ニュージーランド |
なんと日本は57位なのです。
これで日本政府もいろいろ女性の活躍促進を始めました。
ご承知のように、
2016年4月から通称「女性活躍推進法」の施行がされ
労働者数301人以上の企業には、
以下に関する行動計画と実績の発表が義務付けされました。
採用者に占める女性比率
男女の平均勤続年数の差異
労働時間の状況
管理職に占める女性比率
GEM指数は、以下の3つの指数の総合です。
1)国会議員比率
日本は2010年に11.3%で92位、
1位はルワンダ56%、2位はスウェーデン46%
2)管理職と専門・技術職比率
日本の位置づけは不明ですが、以下のようにかなり低い。
取締役の女性比率
北欧各国の比率が高いのは、法の縛りです。
ノルウェー:2005年役員会の女性比率を40%以上
フランスも2010年に追随
3)男女の所得比率
詳細の状況は「女性を活用する国、しない国」をご参照ください。
2.女性が活躍していない理由
濱口さんの分析は、国会議員のことについては触れていません。
国会議員は、何らかの社会で活躍している人がなるのですから、
浜口さんの分析は国会議員についても当てはまる面もあるでしょう。
その濱口さんの分析に一部私の判断を入れて
女性が活躍できない要因を連関図にしてみました。
(連関図の作成方法としては変則です)
(画像をクリックすると拡大します。
PDFファイルはこちら→「連関図PDFへ」)
まず、分析の前提として
日本の女性の活躍度は「他国に比較して低い」ということです。
北欧諸国は、少数民族国家なので女性も活躍しないと国がもたない、
という状況であったために、
あるいは他国も、
産業が多様化したので異才を糾合して国力を上げる必要が大きくなったので
女性の活躍が後押しされたのです。
それらの国に比較して、日本はその必要性の認識が強くなかったために
国際社会で後れをとったということなのです。
この連関図によれば、
日本が後れをとっている大きな要因は以下のとおりです。
1)高度成長期は
「男が働き、女性は家を守る」という役割分担で経済が回った。
2)そのため女性の仕事は、
短期の(結婚までの)、男性の補助的役割しか与えられなかった。
給与も低い。
3)男性の仕事は、職務が規定される「ジョブ型社会」(濱口)ではなく、
無限定(職務、職場、勤務時間)で会社に入る
「メンバーシップ型社会」である。
「いろいろな仕事を担当させられる、勤務時間は長い、転勤がある」
→女性がその条件を受け入れるのは容易ではない。
4)その経済環境が変わった(低成長時代になった)のに
保守的な日本社会ではその基本構造を変えられていない。
5)家事は相変わらず女性が中心である。
→女性の家庭での負担が大きい。
6)育児・介護は家庭労働に依存していたため
社会でのそのサービス提供が不十分である。
→女性が働く制約になる。
北欧諸国はそれらのサービス提供が充実しており、
女性の有力な働き場にもなっている。
7)ジョブ型社会でないために、個人の能力評価に客観性がない。
→そのため能力ある女性が正当に評価されない。
→男女差別がまかり通る。
女性の活躍が目に見えるという面では
タレントやテレビ出演者ははっきりしていますね。
私はフジテレビ新報道2001の
吉田惠アナウンサーのファンでした。
「偉い」出演者に質問や突っ込みを入れるのです。
彼女は先日妊娠を理由に降りました。
ところが代りのアナウンサーもしっかりしているのです。
フジテレビのアナウンサーは「芸能人もどき」ばかりかと
思っていましたが、見直しました。
このようにジョブが明確であれば
その人を正当に評価できるのです。
8)女性向きのサービス産業の発展が不十分であり、
女性の働く場が大きくならない。
製造業の現場は男性向きですが、
サービス業は相手の心を掴んで対応するという面で
女性向きです。
日本では「サービスはタダ」という伝統があるために、
サービス業の現場が大きくなりません。
9)3)5)6)7)8)の理由から女性の昇進・活躍の機会が限られる。
ということになっているのです。
3.女性活躍向上の解決策
解決策はどうなるのでしょう?
濱口さんは明示していません。
抜本的解決策は、無限定で「就社」する職業選択を改革し
ジョブ型社会に転換することでしょう。
この点について私は、昨年11月の
「どうすれば世界一低い労働生産性を高められるか」
http://uenorio.blogspot.jp/2015/11/blog-post_40.html
でジョブ型社会実現の必要条件になる
ジョブ対応の給与体系の提言をしています。
ご一読いただければ幸甚です。
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