2021年9月15日水曜日

100歳超長寿の話題(続き)健康寿命の延長対策

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 100歳以上のご高齢者の状況を確認いたします。
 100歳以上生き抜いてこられた方々をお祝いいたします。
 健康で長生きの健康寿命を延ばす方法の整理をいたします。
ねらい:
 健康寿命を延ばすように努力いたしましょう。
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【日本の長寿者の状況】
9月20日は敬老の日です。
恒例により 、100歳以上の高齢者の状況が発表されました。
今年は、昨年対比で6060人増えて、86,510人になりました。

上野仮説では、「100歳以上の合計の半分が100歳で、1年で半減する」
となっています。
その仮説に従って、各年齢の存命者数を計算すると、
下の表のようになり、ほぼその合計数は実数と一致しています。

男女比では、女性が88%で圧倒的です。
今年も最高齢は、田中カ子さんで118歳ですから、
上の表のモデルの限界を越えたご高齢者だということになります。
2019年にギネスの世界最高齢に認定されて以来の「超人」ですから
モデルを超えるのですね。

男性の最高齢者は111歳だそうで、
女性パワーに太刀打ちできません。
高齢者になってからの生活で言えば、女性の方が活動的です。
女性は買い物で出歩く、近所づきあいでおしゃべりするとか、
料理・洗濯などの家事、孫の面倒見など、男性の何倍も動いています。
人間、動かなければ終わってしまうのです。

田中カ子さんは、116歳のときに「好きなものは何ですか?」との問いに
「オトコ、オロナミンC、オセロゲーム」としゃれて話題になりました。
最近は寝ている時間が長くなっているそうですが、
以下の写真のようにお元気で、
オロナミンCは愛飲されているようです。他の二つは不明です。
ご長寿をお祝い申しあげます。
 出典:NHK NEWSWEB
因みに、私の母方の祖母は108歳でしたし、
一族の渡辺忠雄夫妻はそろって100歳超でしたので、
私も100歳超を目指しています。

【健康寿命を延ばす対策の整理】
長寿でも寝たきりでは、周囲に迷惑をかけるだけです。
実際の寿命と健康で生活できている健康寿命には
約10年の開きがあります。

健康寿命は、2000年にWHO(世界保健機関)が
「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」
と定義し提唱して以来、認知された概念です。

平均寿命と健康寿命との差は、
日常生活に制限のある「健康ではない期間」を意味します。
2016年において、この差は男性8.84年、女性12.35年でした。
常識的感覚とは逆に女性の方が長い理由は解明必要ですね。
図の出典:大正製薬ホームページ
さあどうやって健康寿命を延ばしましょうか。
それは「ネンネンコロリ」にならない「ピンピンコロリ」の術です。
いろいろ言われていますが、直接的な病気にかからない方法や
病気の早期発見の方法を除いて整理しますと、
以下のようになりました。

退化は体と脳の両方から来ますので、その両面からの対策が必要です。
1.体の維持
(1)歩くこと
 自分の足で歩くことが大事です。
 それには骨折をしない注意が必要です。
 私の祖母は長く単身で生活していましたが、
 98歳のときに自宅内で転倒して車いすになってしまいました。
 その後施設への入院生活となりました。
 寝たきりになると、脳の維持もできなくなります。

 オリンピック女子体操選手のハシリ、小野清子さんも
 自宅内で転倒して大事に至っています。
 公共の下りの階段で転んで亡くなった方もずい分おられます。
 自転車の場合を含めて、転倒には十分気をつけましょう。
 (自転車で転倒して頭を打ち亡くなった先輩や、
 大けがをした知人はたくさんいます。私もその一人です)

(2)食べること
 偏食しない栄養のバランス、 規則的な食事が大事なことは
 よく言われています。

 食べることに関連して、こういう記事もありました。
 「飲酒=悪」説に対する反論です。
 出典はPRESIDENT Online 星旦二首都大学東京名誉教授
 適度な飲酒は健康に良い。
 私たち研究チームが
 高齢者1.3万人を対象に3年間追跡調査したところ、
 男性では毎日飲酒する群、
 女性では週に1、2回飲酒する群の死亡率が最も低く、
 逆に死亡率が高かったのは男女とも「ほとんど飲まない」
 と回答した人たちでした。
 
(3)歯の健康
 最近は「歯の健康」が全身の健康に大いに関係があることが
 実証されるようになってきています。

 「高齢者の歯の喪失や歯周病などに起因する
 口腔機能の低下や口腔の炎症は、
 脳内炎症を惹起してアルツハイマー型認知症の誘因となり
 病態を悪化させる」

 「心血管系疾患、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎、誤嚥性肺炎、
 骨粗鬆症などの病態は、
 歯周病と相互に関わりあって病態を悪化させる」

 こうした研究成果から
 「口腔の健康は全身の健康の維持に重要である」
 ことが広く世間の常識となりつつあります。
 (兼松隆 九州大学歯学研究員教授寄稿學士會会報2021ーⅤ
 「口腔から考える健康戦略」)
   

 
 









   
   私の大学空手部仲間O氏は、
 いったん民間企業に就職したあと東京医科歯科大学を卒業して
 30代で歯科クリニックを開業しました。
 「患者と言わずにお客様と言う」「お客様本位の治療を行う」
 ことをモットーに歯科業界の「徳洲会」を目指しました。

 チェーン3店まで行きましたがそこで止まってしまいました。
 若い歯科医さんを養成するのですが、チェーンの院長よりも
 独立開業を選んで抜けていくのです。
 当時は、歯科医の営業は比較的容易だったのでしょう。
 非常に残念なことでした。

 彼は、常々「歯の病気は万病のもと」と言っていました。

 余談ですが、
 彼は歯科医として優秀なだけでなく、会合の座持ちも上手で
 「しかい(司会)のOです」とか
 「人生のハイシャです」とか言って皆を笑わせていました。
 先日ダイヤモンド婚の旅行に行って来られました。
 羨ましいことです(当方は金婚旅行もまだです)。

 したがって、歯は定期的に診断・治療を受けましょう、
 ということです。
 
2.脳の維持
(1)社会的つながり 
 「人間は社会的動物」です。
 マズローの欲求5段階説でも、上位から2番目が「承認欲求」
 3番目が「社会的欲求」となっています。
 これを失えば、人間、退化しかないですね。

 あるサイトにはこういう記述がありました。
 なかなか人と集まれない状況でも、
 例えば近くの公園まで散歩にでて、
 通りすがりの人やご近所の方と挨拶を交わす、
 買い物に出かけて、店員さんと会話するだけでも違います。
 積極的に人と話をする時間を作りましょう。

(2)ときめき 喜怒哀楽
 これが脳の活性化には一番でしょうね。
 田中カ子さん流で言えば、オトコとオセロゲームです。
 ワクワクできる趣味を持っている人は合格です。
 一所懸命取り組める仕事を持ち続けている人も合格です。
 先日、「98歳。戦いやまず、日は暮れず」を刊行された
 佐藤愛子さんはその模範生です。

 日々の努力としては、何事にも「どうしてだろう?」
 と関心を持つようにすることから始まるのでしょう。
 異性に対する関心も失ってはいけません。

3.自然との一体化
人間も自然の中から生まれてきたのですから、
その自然と一体になることが生命維持の基本なのでしょう。
「気功」がそれです。
ひと時、一世を風靡した帯津良一先生(空手部先輩です)の
「全力往生」(小学館刊)でも気功の有効性が説かれています。

私は、ある「先生」からこういう健康法を教わり、
30年間続けています。これも気功の一種でしょう。
1.太陽に向かって両手を差しのべ
 「あなたのエネルギーをください」と祈ります。
2.周囲の樹に向かって両手を差しのべ
 「あなたのエキスをください」と祈ります。
3.水を飲んで体にエネルギーとエキスを流し込みます。
有効かどうかは分かりません。
「信ずる者は救われる」だと思っています。

ということで、最終寿命=健康寿命を目指しましょう!!

2021年9月14日火曜日

日銀の政策目標はおかしい!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 日銀の政策目標の不当性を指摘します。
ねらい:
 日本経済の立ち直り対策の検討につなげます。
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2021年9月9日の日経新聞第1面に、
日銀黒田総裁のインタビュ―記事が載りました。
2013年の就任時に掲げた「物価上昇率を2年程度で2%にする」
という公約の敗北宣言をせずに
「今後も金融緩和政策を続ける」と主張しただけでした。
こんなに自信過剰かニブイ人も珍しいですね。

私は、2013年時点で、黒田総裁のコミットはおかしいという主張を

その要旨を、「再論」の方から転載します。
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前稿で私が申しあげたのは、以下の点です。

1.アベノミクスの積極政策は高く評価する。
2.金融緩和も必要である。
3.ですが、物価上昇率目標達成を日銀の責任とするのは
  筋違いである。
4.なぜなら、物価は需要と供給のバランスで決まるのだから
  金融政策は間接的な機能しか果たしえない。

ところが不勉強でしたが、その後
4月7日の日経新聞での「検証」という解説記事を読みましたら、
以下のことが分かりました。

金融の量的緩和は、物価上昇(脱デフレ)に有効かどうかは
1990年代後半から15年に亘って
学者の間で議論されてきたテーマである。

有効だと主張する側には
 岩田規久男現日銀副総裁(当時上智大学等の教授)
 エール大学jの浜田宏一名誉教授
 ポールクルーグマンMIT教授

これに反論して、金融政策の限界を唱えた人や
物価は需要と供給のバランスで決まると主張した人は、
 吉川洋東大教授
 小宮隆太郎東大名誉教授
 翁邦雄(当時日銀、京大教授)

日銀がいくら民間銀行に資金を供給しても
不況で借りる企業がないので世の中にお金は流れない
という主張でした。

この議論は未だに続いていて決着はついていないのだそうです。
(経済学をあまり勉強しなかった経済学部出身の上野としては
理解に苦しみます)

量的緩和の効果については、複数の実証研究が行われましたが、
分析機関やデータの解釈によって、

「効く」「効かない」と正反対の議論が出ているそうです。

おそらく効果がまったくないということはないでしょう。
どの程度効くのかの議論であって、
それを学者さんたちが、自分に都合のよい土俵を作って
争っているとしか思えません。

私の主張は、
物価上昇は他の要因(実体経済の需給関係など)によって
影響されますので、
日銀が責任を持ちます、と啖呵を切れる問題ではないでしょう、

ということです。
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今回、物価上昇の要因についてもう少し検討してみます。
基本的には、物価は需要と供給の関係で決まります。
 需要>供給なら物価上昇
 需要<供給なら物価下落

調達コストが上がれば、供給側のプラス要因になりますが、
需要側がそれを受け入れなければ、物価は上昇しません。

日本の食料自給率は、大ざっぱに言って5割です。
5割は輸入に頼っています。
供給側の事情で値上げを要求され、
それを受け入れれば物価上昇となります。
需要側が代替品で済ませるか、消費する量を減らして対応すれば
消費者物価は上がりません。
収入の増加の可能性のない現在の消費者は、
後者の対応をとっています。

エネルギーの自給率は、多くの原発が稼働していない状況で
たったの1割です。しかし、
脱石炭・石油で天然ガスなどエネルギーの手段が多様化していて
うまく対応できれば
調達コストアップ=光熱費料金アップにならないですみます。
この場合、エネルギーコストと資金供給の関係は希薄です。

国内自給製品の供給者は、財布のひもの堅い消費者を前にして、
値上げしないで生き延びる方法を懸命に探っています。

日本は、ご認識のように「失われた20年」の長期低迷状態です。
この20年間で、
米国の名目平均年収は約8割、ドイツやフランスは約5割アップに対して
日本はなんと5%減少です。

日本は以下の悪循環中なのです。
 売上が上がらない⇒給与を上げられない⇒消費購買力が低い⇒
 売上が上がらない⇒投資をしない⇒投資による産業の給与が増えない
 ⇒売上が上がらない

いずれにしても、収入の増える当てのない消費者は支出を押さえます。

日銀は、この間ずっと、
低金利政策をとって経済成長を実現しようとしています。
しかし金利が安いからといって、
売上が見込めない投資をする経営者はいません。
したがって、まず「消費購買力を高める」ことが必要なのです。

それでは、金融緩和ではなくどうすべきかについて、
別項の「日本経済の脱ジリ貧対策、「日本再興庁」設置の提言」
で検討してみました。
この内容は、アベノミクスの「機動的な財政政策」
「民間投資を喚起する成長戦略」に該当します。

ぜひ、新首相の政策として検討していただければと思っています。
3人の自民党総裁候補者にメールでお送りしています。

日本経済の脱ジリ貧対策、「日本再興庁」設置の提言

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 日銀の低金利政策に代わる「消費購買力増大」対策を提言いたします。
ねらい:
 日本は何とか長期低迷から脱したいものです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本は、ご認識のように「失われた20年」の長期低迷状態です。
この20年間で、
米国の名目平均年収は約8割、ドイツやフランスは約5割アップに対して
なんと!日本は5%減少です。

日本は以下の悪循環中なのです。
 売上が上がらない⇒給与を上げられない⇒消費購買力が低い⇒
 売上が上がらない⇒投資をしない⇒投資による産業の給与が増えない
 ⇒売上が上がらない
いずれにしても、収入の増える当てのない消費者は支出を押さえます。

日銀は、この間ずっと、
低金利政策をとって経済成長を実現しようとしています。
しかし金利が安いからといって、
売上が見込めない投資をする経営者はいません。
したがって、まず「消費購買力を高める」ことが必要なのです。

「消費購買力を高める方策」 日本経済の脱ジリ貧対策
その対策は一過性の補助金等ではダメです。
以下のような思い切った対策が必要です。

1.年金の一律1割アップ
 100兆円の国家財政規模に対して、
 年間2兆円程度の国庫負担増となります。
 これで社会が少しでも明るくなれば安いものです。
 高齢者市場も活性化するでしょう。

 日本産業が活性化して税収が増えれば、
 この負担増は容易に回収できるのではないでしょうか。
 必要なのは「英断」です。

2.投資に対する報奨制度
 需要を創出する新規事業に対する投資の補助を積極的に行います。
 例:
  ユーグレナの飛行機燃料化(これは発明でした)
  オートファジー適用健康寿命増大技術の開発
  そのほかの健康寿命増大技術の開発
  (健康寿命増大対策は
   高齢化先進国の日本が世界に範を示すべきものです)
  新たな人口肉の開発
  新たな果樹生産方式の開発
  安全な家庭内のロボット開発
  新ゲートボール場の開発
  簡易なうつ病治療法の開発
  AIの各種新規用途開発
  レガシーソフトウェアの自動マイグレーションシステム開発
  マインド落ち込みを自動把握するシステムの用途開発
  マスク着用状態の自動把握・アドバイスシステム開発
  家庭のCO²排出削減システム開発
 
 この制度の運用では、
 これまでの日本の制度のように審査を厳しくするとダメです。
 歩留まりが1割でも2割でもよいという考えで運用しないと
 日本社会のマインドが好転しません。
 ある面で「バラマキ」施策です。

 この制度によって、
 国民全員が自分ごととして新しい商品やサービスの開発をしてみよう
 と考えるようになったら、日本人の英知によって、
 失われた20年は少しずつ解消されていくのではないでしょうか。

 9月8日の日経新聞のインタビューで、黒田日銀総裁は
 「日本人のマインドセット(思考様式)を変えるのがたいへんだ」
 と「敗戦」の弁を述べられています。

 これくらいのことをどんどんしていかないと、
 日本人のマインドセットは変わらないでしょう。

 したがって、この制度を運用するのは既存官庁組織ではダメです。
 日本再興庁(さいこうちょう)とかの名称で、
 デジタル庁のような新しい組織を作って
 新しい発想で運営するのがよいと思われます。

 ぜひ、新首相の政策としてご検討ください。

2021年9月13日月曜日

これはスゴイ!!「もうだまされない 新型コロナの大誤解」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 新型コロナウィルス病の正しい知識を確認いただきます。
ねらい:
 不当に怖れることはやめ、的確な対応をするようにしましょう。
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本項は、西村秀一国立病院機構仙台医療センター ウィルスセンター長の
「もうだまされない 新型コロナの大誤解」のご紹介です。
同氏はインフルエンザ治療の大家です。

巷に新型コロナの専門家面をした方が多くおられますが、
これは新しい病気です。その専門家などいるわけがないのですね。

著者のような
新型コロナに近いインフルエンザの専門家の意見がまっとうなのです。
それが分かりました。

本書はこういう構成です。
第1章 新型コロナは空気感染だと知れ
第2章 手洗いよりうがいのすすめ
第3章 PCR検査をただ増やせば良いという大誤解
第4章 ウィルスに勝つマスクの達人になる
第5章 こうすれば飲食店も営業できる
第6章 ウィルスと細菌はちがいます
第7章 新型コロナはいつ終息するのか

多くの知見が得られました。
「残された首相の期間にコロナ対策に専念したい」といわれている
菅総理にぜひ読んでいただきたいと思います。
(ベストセラーのようですからもう読まれたかも、です)

私として主な収穫は以下のとおりです。
以下の記述は、上野注と表示した以外は本書の主張です。

1.ウィルスは新型コロナに限らず宿主となる細胞の中でしか
 生きられない(正確には「活性化されない」)。
 細菌は増殖によって増えるが、ウィルスはコピー生成により増える。

2.新型コロナは空気感染で感染する。
 空気から呼吸器系に感染するのです。
 空中に浮かぶ粒子(飛沫と飛沫核〔水分を失って乾いた飛沫〕)を
 エアロゾルと言います。


 新型コロナが感染する呼吸器系の全体図
 感染するリスクが最も高い行動は、
 ウィルスを肺まで吸い込むことで、
 乾燥した環境(冬も)だと飛沫が小さくなり、
 肺まで到達しやすくなります。
 
 生きたウィルスが何かに付着して長く生きることはありません。
 (上野注:ということは、
  電車のつり革は、感染者が咳を手で受けとめて
  その手でつり革を触った直後に他の人が掴み、
  その手を鼻や口に持っていく、
  ということでない限り感染はあり得ません)

 したがって、コロナで亡くなった方を納体袋に入れて密閉せよ、
 などという厚労省からの通達は、
 エボラ出血病の延長で考えられたまったくの非科学的判断である。
 
 患者の便からも生きたウィルスは確認されていません。

 したがって、オフィス・店の入り口にあるアルコール消毒は、
 気休めです。
 机などの消毒も同じです。

3.コロナウィルスは空気中で長く生きられない。
 新たな「カモ」にとっついて呼吸器系に入り込まない限り
 死んでしまいます。
 したがって、換気は重要な対策なのです。
 また、外を歩くときにはマスクは不要です。

4.物体の上でも長く生きられない。
 したがって、テーブルや室内、本などを消毒するのは無駄です。
 私は「硬貨が感染源の一つである」と想定していましたが、
 現実的にはそういうことは起きない、
 実社会の場でそれを確認した人はいない、のだそうです。

5.手洗いよりもうがいが重要である。
 上掲2.4.の理由からそうなります。
 著者は、鼻うがいも勧めています。そうでしょうね。

6.アクリル板設置は気休めでしかない。
 感染源の飛沫は容易にアクリル板の上下左右から越えてしまいます。

7.フェイスシールド・マウスシールドでは何も防げない。
 上下左右から漏れます。
 マスクをしてなおかつ他人からの飛沫を防御するためのものです。、
 場合によっては、外からの飛沫を貯めこみかえって危険です。

8.3密はどれか一つが欠けても危険である。
 リスクはand条件ではなくor条件です。
 したがって、屋外イベントでも密集は危険です。
 (上野注:実際にクラスターが発生しています)

9.マスク着用が最も有効な感染対策である。
 他人にうつさないため、自分がうつらないために、です。
 筆者らの実験では、
 マスクの材質の飛沫粒子の除去能力は以下の順序でした。
   N95マスク、医療用サージカルマスク
   少し下がって不織布マスク
     ⇓
   ガーゼマスク、ポリエステルマスク
     ⇓
   ポリウレタンマスク(無効に近い)
 ただし、どんなマスクでも密着させなければ効果がないのです。

10.ウイルスの有無判定のみのPCR検査はあまり信用できない。
 死んだウィルスでも陽性になります。
 陽性になった場合は、きちんと定量化できる再検査を実施すれば、
 状況の正しい判断ができます。

11.飲食店でも、3密を守れば感染は起きない。
 調理のため換気が必要なラーメン店や焼き肉店は安全です。
 料理やトングなどから感染することはありません
 (前掲4.の理由)
 上野注:その点からすると、
 現在の飲食店の一方的営業自粛要請は意味がないことになります。
 対策を取って営業すればよいのです。
 (上野注:橋下徹氏は以前からそういう主張をされています)

12.子どもの感染対策は騒ぎすぎをやめよう。
 子どもは感染しても滅多に重症化しません。
 熱や咳、鼻水、喉の痛みだけというものが多く、
 それもPCR陽性者の1割強だけです。

 濃厚接触者に対して行われたPCR検査で陽性者が一人出ただけで、
 学校全部を休校にしたり、消毒したりするのはもうやめましょう。
 いつまで経ってもキリがなくなり、
 学校教育自体が成り立たなくなります。
 怖がりすぎの保護者が、
 パニック気味に学校を非難するという話も聞いていますが、
 親ももっと賢くなりましょう。

13.生きている限り「ゼロリスク」なんてあり得ない。
 過剰に脅している「専門家」がいて、
 過度に恐れている人がいることも事実です。
 そういう人たちはゼロリスクを求めているとしか思えませんが、
 生きている以上、ゼロリスクなどあり得ません。
 飛行機に乗ること、自動車に乗ること、
 リスクよりも便益性を重視しているのです。
 食べものの中に未知の発がん物質があるかもしれません。
 それを思えば食べることができなくなります。

 なぜ新型コロナに関してだけゼロリスクを求めて
 社会生活の不自由を強いるのか、理解に苦しみます。
 (上野注:この意見大賛成です。
 私もコロナの死者はインフルエンザの死者・交通事故死者より少ない
 と言っていましたが、最近コロナ死者が急速に増えてきてはいます)

14.新型コロナはいつ終息するのか。
 過去のSARSやMERSが終息したのは、
 そのウィルスは肺の中で増殖するものです、
 肺を犯された人間は動けなくなり、
 他に感染させることができなかったので
 沈静化したのです。
 
 ところが、新型コロナは上気道で増殖しますので、
 直ぐに重症とならずに他人に感染させます。
 ワクチンでも治療薬でも絶滅は困難です。

 しかし、感染症の歴史を見ると、
 一般的には感染が広がるほどウィルスは弱毒化し
 病原性を発揮しなくなっています。
 (宿主を殺してしまうと自分も死ぬので、
 そのような変異をしていくと解釈されています)
 絶滅は困難です。末永く付き合っていくことになります。

 世界で100年前に大流行したスペイン風邪は、
 数千万人が死亡しましたが、第2波で終息しました。
 (原因は解説されていません)
 今のインフルエンザはその末裔ではないかと言われています。

 現在のコロナ対策は、100年前のスペイン風邪のときと
 ほとんど変わっていません。
 もっと歴史に学ぶべきです。

以上です。さらに詳しくお知りになりたい方は、
ぜひ本書をお読みください。

2021年9月11日土曜日

「バレット博士の脳科学教室」 ”おもしろい”ですよ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 脳科学分野で人気者になっておられるらしいバレット博士の
  脳科学入門書をご紹介します。
 一部についてその反論をすることによって、
  より著者の意図を明確にしています。
ねらい:
 脳科学分野も日進月歩です。今後の進歩に期待いたしましょう!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本テーマは、L.F.バレット米国ノースイースタン大学心理学特別教授著の
「脳に関する7と2分の1のレッスン」
(邦題「バレット博士の脳科学教室」2021年6月刊)の評論的ご紹介です。

著者の意図か出版社の意図か分かりませんが、
センセーショナルな章見出し(レッスン名)がついています。
たとえば、「あなたの脳は三つでなくひとつだ」です。
「入門書」をうたっていますから、
分かりやすくそのような表現をしているのかもしれません。

しかしその言葉を見ると、
多少なりと脳科学に知識のある者としては
反論したくなってしまうのです。
脳は繋がっていますが、どうみても異なる形態の部分があります。
何をもって一つと言うのか、です。

そこで、著者の主張を素人脳研究者が、
たいへん僭越ながら「評価」してみました。
それが以下の表です。

素晴らしい内容もたくさんあります。
それなのに、センセーショナルなアピールが、
本書の価値を台無しにしていると、私は思います。

しかしながら、この上野評価も若干拙速気味なので、
私としてもさらなる研究が必要だと思っています。


上野評価

レッスン名

主張の内容紹介および上野としてのその評価・反論

脳は考えるためにあるのではない

l  誰がそんなことを言っているのか。そういう主張はバカバカしい。

人間だけが考える知力を持っているという説に対する是正をしようという意図が前面に出過ぎているのではないか。

l  生物はみな環境に適応して進化している。飛ぶことができるようになった動物もいるし、早く逃げることで生き延びてきた動物もいる。仲間で巣を作って種族の維持を図ってきた動物もいる。人類は肉体的により強い動物に対抗するために、仲間と共同する知恵を持つ脳を発達させたのである。考えることが目的ではなく、生き残るために脳を発達させたのである。これは常識である。

あなたの脳は三つでなくひとつだ

l  三つというのは、爬虫類脳、情動脳、理性脳であり、理性脳である新皮質を発達させたのが人類である、という主張の反論をしている。

l  一般人にとっては、物理的に脳がこの3層でできているかどうかには関心がない。脳の働きに、動物本能を司る機能、喜怒哀楽の情動を司る機能、理性を働かせる機能があることを理解しているのである。三つの機能は抽象的・論理的な理解であればよく、その機能の存在を否定することはできない。これを一方的に否定するのは「ためにする議論」である。

l  パレット博士は、あらゆる動物は同じ設計の一つの脳を持っていて、種によって発達した部分が異なるだけなのであって、人間だけが持っている固有の部分はない、と説明している。

●これは意義のある主張だが、だからといって、脳が一つである、ということにはならない。

l  脳はひとつで連携して働いているということであるなら、現実の脳の物理的な各部分(視床下部、海馬、等)はどういう機能を持っているかの説明をするべきだと思うが、それは示されていない。

l  逆に一つである証拠は、脳の一部が損傷すると他の部分がその機能を実行するようになるという「脳の可塑性」であるはずであるが、著者はそのことを強調していないのは納得でできない。たとえば、左脳を損傷すると右脳が論理処理をおこなうようになる、など。

脳はネットワークである

l  これも今や常識である。

l  ただし本書で、航空業界のハブ機能に例えて、脳のネットワークにもハブ機能があることによって、効率的なネットワークになっているという説明は分かりやすい。ただし、脳科学的な実証結果は掲載されていない。

小さな脳は外界に合わせて配線する

l  生まれた時のニューロンの数は、成人の2倍存在する。チューニングとブルーミングによって使わない部分が削除される。

l  幼児のときには言語を習得するが、幼児に経験していない言語は成人してから習得は困難である。その言語を使う部分のニューロンが削除されてしまうのである。このことは、上野としては新発見である。

l  因みにレッスン名は「幼少時の脳は外界に合わせて配線される」の言い方の方がよいのではないか。

脳はすべての行動を予測する

l  脳は、過去の経験から次に起きることを予測する。見ているものは必ずしも物理的事実ではなく、脳で合成したものである、という。

l  上野はそういうことを実感したことはないが、挿絵でそういう例を示されていた。(注参照)

あなたの脳はひそかに他人の脳と協調する

l  「言葉あるいは態度による」他人へのメッセージが良い方・悪い方双方に影響を与えることを言っている。

l  その状況を実験例で示している。目を閉じた状態でストレスを感じる文章を聞かせ、脳スキャナーで測定すると、運動に関する脳領域や視覚に関する脳領域が活性化した。さらに、言葉の意味を処理しているだけにもかかわらず、心拍、呼吸、代謝、免疫系、ホルモン系などの体内の機能をコントロールする脳領域に活動の増加が見られた。

l  このことは、脳の働きとしてではなく、常識として理解されていることである。日本語には「以心伝心」という言葉があり、これは「ひそかに」であるが、「言葉や態度による」伝達は「ひそかに」ではないのではないか。

脳が生む心の種類はひとつではない

l  そんなことは分かっていることである。人間の心が多様であることは常識で、心理学やえせ学問がトコトン究明してきていることである。

l  心は脳の働きなのであり、脳が多様な「心」(気分)を生み出しているのであるが、その仕掛けはいまだに解明できていない、ということのようだ。

脳は現実を生み出す

l  人間の大脳皮質の配線は圧縮を、圧縮は感覚統合を、感覚統合は抽象を可能にする。抽象は高度に複雑化した人間の脳が、物理的な形態に基づくのではなく、機能に基づいた柔軟な「予測」を発することを可能にする。これが「創造性」であり、わたしたちは、「コミュニケーション」「協力」「模倣」「圧縮」を通じて「予測」を共有することが可能だ、と言う。

l  こうして5つのCは「社会的現実」を作り出し、共有する能力を人間の脳に与えてくれる。5つのCのそれぞれは、程度は異なるが他の動物にも備わっている。たとえば、イヌ・類人猿・一部の鳥類はシグナルを圧縮する脳を持ちある程度抽象的に物事をとらえる能力を持っている。

l  だが人間においては、5つのCは絡み合い、相互に強化していく。これは、人間を他の動物とはまったく異なる次元に置く能力である。(しかしこのことは証明されていないのではないか?)


注:
この図は何に見えますか?という出題です。
答えの例は、上から
 滝下りをする潜水艦
 逆立ちをするクモ
 ジャンプ台から観衆を見下ろすジャンパー
なのだそうです。
そう思ってみるとそう見えるでしょう?という解説です。
蛇足
著者の真意を探るために、著者の出世作品となった
「情動はこうしてつくられる」(原著2017年刊、邦訳で617頁)
も読んでみましたが、このご紹介は私の身にあまりギブアップしました。


ただし、自然科学者であるはずの著者が人文科学者のように、
非常に多数の他者の研究を調査していることは分かりました。
(その割に、自分の研究成果の報告は少ないのです)

もう一つ、人文科学的である証拠もあります。
この617頁の書は、本文が13章あり平均36頁なのですが、
その章の中では一切項目建てが行われていない(中見出しがない)のです。
読者は著者の論理展開を追うのに苦労します。

この中で、小さなことですが興味深いことがありました。
それは、こういうことです。
イヌは尻尾を、快いできごとが起こっているときには右に振り、
不快なできごとが起こっているときには左に振る、らしい。

(上野想定:人間の右脳左脳関係も
1割くらいの人が反対(左利き)なのと同様、
反対のイヌもいる可能性があります)

著者が出版界から歓迎?されているのは、
脳科学のスポークスマンが
他にいないからなのではないでしょうか。

2021年9月9日木曜日

「日本の医療提供体制の課題と展望」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 日本の医療の現状を確認いただきます。
 なぜ、コロナ対応の治療が円滑に行われていないのかを
  知っていただきます。
 その対策を知っていただきます。
 (非常に大きなテーマですので、十分な分析はできていません。
 状況の一端を知っていただくものとご理解ください)
ねらい
 国民一人ひとりが適切な医療対応を行いましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本項は、學士會会報2021ーⅤ号に掲載された
永井良三自治医科大学学長寄稿「日本の医療提供体制の課題と展望」
のご紹介を中心にした解説です。

本テーマは以下の構成となっております。
1.日本の医療体制の現状
(1)医療費の現状
(2)日本の医療体制
(3)日本の医療提供体制の基本型
(4)医療システムの制御
(5)医療体制の国内地域格差
(6)医療費の大小の要因
(7)日本の外科医師の生産性の低さ
2.コロナ対応が十分できない原因
3.今後の医療体制の課題
(1)地域医療構想
(2)医療体制整備の課題
 1)地域医療体制の整備
 2)医療施設間の連携強化
 3)治療のチームワーク化

1.日本の医療体制の現状

(1)医療費の現状

 

総額

保険料

患者負担

公費投入等

2018年度総医療費

43兆4千億円

49.4%

11.8%

38.1%

(約12兆円)

2020年度後期高齢者医療費

18.1兆円

7.7%

8.2%

5割、残は他の保険料から

後期高齢者一人当たり医療費

百万円超

13万円

90万円近く

総括:公費投入が膨大で国家財政破綻の要因になる。高齢者の医療費を非高齢者が負担する図式も破綻する。


(2)日本の医療体制

日本の外来受診回数

 

欧米の2倍

人口千人当たりの病床数

13.1床

英米の5倍、独仏の2倍

人口千人当たりの医師数

2.4人

OECD平均は3.5人

人口千人当たりの看護師数

11.3人

OECD平均並み

病床百床当たりの医師数

18.5人

米の5分の1、欧の2分の1

病床百床当たりの看護師数

86.5人

総括:病床数は多いがそれに見合う医師・看護師がいない。


(3)日本の医療提供体制の基本型
筆者によると、医療体制は、以下の3点で評価することができます。
 底辺=医療のアクセス
 高さ=医療の質
 面積=医療資源(コスト)

日本が目指してきたのは三者の共存で、以下の図の(平時)の状態です。
この体制は
軽症や中等症向きで重症や救急などの高度医療には手薄
なのです。



(4)主要国の医療システムの制御  一長一短あり。

米国

(民営)

民間主体。公的医療制度は高齢者や低所得者向けがあるがそれ以外は対象外で無保険車も多い。民間病院は、救急救命を除いて無保険者の診療の義務はない。保険会社の影響力が強い。

英国

(官営)

国民皆保険制度がある。病院は公営、医療従事者は公務員。医療費は原則として無料。家庭医制度があり、どんな病状でもまず家庭医にかからなければならない。家庭医も専門医も不足し非常に多くの治療待ち者がいる。

【現実が理想に追いついていない】

日本

(併営)

病院の8割は民間経営、公的病院は2割。医療財政・制度は国が管理している。明治維新後は公立病院中心であったが、財政難で公立病院への支援が亡くなり、私立病院が増加。民間病院のレベルも次第に上がり、大学と民間病院の医師間に階層分離は起こらず、専門医制度も発達しなかった。

総括:従来は医療体制の実質的制御が不十分であった。それを「地域医療構想」で挽回しようとしている。

 

(5)医療体制の国内地域格差

2012年データ

全国平均

最多

最少

人口十万人当たりの一般病床数

704床

高知県

1059床

埼玉県

489床

人口十万人当たりの療養病床数

258床

高知県

905床

宮城県

132床

一人当たり医療費

(外来・入院計、年)

49万円

高知県

63万円

千葉県

40万円

一人当たりの入院医療費(年)

22万円

高知県

34万円

千葉県

16万円

75歳以上の糖尿病患者外来医療費(年)

 

広島県

熊本県の1.5倍

熊本県

総括:地域間格差が極めて大きい。医療が重要な産業になっている県もある。


(6)医療費の大小の要因

65歳以上の一人当たり医療費

高齢者の就業率が高いと医療費は低い

〇長野県、山梨県、静岡県

✖北海道、沖縄県、長崎県、福岡県

医療以外の産業の有無

医療介護費の県GDPに占める比率が高いと医療費も高い

最高が高知県(GDP比18%)

最低が東京都(GDP比6%)

徳島県は、全産業中医療福祉間関係の就業者が最多。特に女性の就業が多く男性の2-3倍である。


(7)日本の外科医師の生産性の低さ

人口十万人当たりの脳神経外科医数

4.7人

 

欧米は1-1.5人

人口十万人当たりの脳外科医数

5.4人

米国1.2人

一人の医師が担当する脳外科手術件数

27.8件

米国620,3件

人口十万人当たりの胸部外科医数

4.5人

米国は1.6人

一人の医師が担当する胸部外科手術件数

18.2件

米国は56.1件

開胸心臓外科手術件数(年間)

日本の大学病院300件程度

米コロンビア大学

1500件(注)

:外科医6人、フェロー5人、30人以上の医師補助士の体制

日本の外科医師の低生産性の要因(上野意見)

1.チームでの取り組みが遅れている。

2.日本は専門医制度が遅れていて医師数算定が甘い(上野想定)。

3.(可能性)日本の方が困難な手術が多い(この要因はなさそう)。

4.(可能性)日本の方が丁寧な手術をしている(実態は不明)。


2.コロナ対応が十分できない原因
この項は「医療崩壊の真実」の著者渡辺幸子氏の意見です。
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日本の病床数、特に急性期病床数
(急患や重症で生命に関わる治療や応急処理、手術を行う病床)
が多い(人口千人当たり7.8で世界一)ために、
もともと多くない医師、
特に急性期対応医師(集中治療専門医、救命救急医など)が
多くの医療施設に分散している。

東京都のコロナ第一波でのコロナ患者受入れ病院52病院のうち、
41病院が集中治療専門医がいるが、
内15病院は集中治療専門医1人である。
集中治療は24時間体制が必要だから、1人では実質的に対応不能である。

日本にはECMO(人工肺装置)が2200台あるが、
ECMOを使える集中治療専門医は限られている。
(2020年2月時点の調査ではECMOの稼働率は1割程度であった)
日本のECMOを使った救命率は36%で、イギリスの場合は72%
(2020年4月18日「ニューズウィーク日本版)という情報もある。

渡辺氏の課題提起は、以下の3点です。
「集約化」「役割分担」「連携」です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その後の情報では、日本の救命率は70%だそうです。
日本集中治療医学会などによると、
2020年4月20日までに新型コロナウイルスに感染した
重症患者90人にECMOを装着し、治療を終えた患者の約70%が回復した
と報告されています。

ECMO治療には、
ECMOに精通した医師、看護師、臨床工学技士など10人以上が
チームとして対応しなければなりません。
治療期間は数週間以上に及ぶこともあります。

大規模病院でなければとても対応できません。

3.今後の医療体制の課題
(1)地域医療構想
日本の今後の医療の課題解決のために、
地域医療構想が、2015年に策定策定されました。

 厚生労働省ホームページ

こう書かれています。
〇今後の人口減少・高齢化に伴う
医療ニーズの質・量の変化や労働力人口の減少を見据え、
質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するためには、
医療機関の機能分化・連携を進めていく必要がある。
〇こうした観点から、各地域における2025年の医療需要と病床の必要量について
医療機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)ごとに推計し、
「地域医療構想」として策定する。
〇その上で、各医療機関の足下の状況と今後の方向性を
「病床機能報告」により見える化しつつ、
各構想区域に設置された「地域医療構想調整会議」において、
病床の機能分化・連携に向けた協議を実施する。

地域医療構想の基本目的
こうなります。

医療需要に対応する医療体制の確立 

(高齢化に伴う医療需要の変化への対応を含む)

医療体制の地域間格差の縮小


地域医療構想の施策
こうなります。

医療機関の役割機能の明示(高度急性期・急性期・回復期・慢性期対応の区分)

医療機関機能の需要予測と機能変換に対する制度的支援

医療職種の役割分担の見直し(看護士の役割強化、等)

医療データの活用

2次医療圏(一般の入院に係る医療の提供を行う)の見直し


国民の責務についても以下のように明記しています。
(法案6条の2第3項)

国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、

医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携の重要性

についての理解を深め、医療提供施設の機能に応じ、

医療に関する選択を適切に行い、

医療を適切に受けるよう努めなければならない。

上野要約:

「なんでも大病院」ではなく病院を適切に使い分けなさい。

過度な治療はやめなさい。


(2)医療体制整備の課題 

当ブログの重点課題の観点から整理すると以下のようになります。
すでに着手されています。

1)地域医療体制の整備

担当機能・役割分担の明確化とそれに伴う集約化が必要です。
この中では、コロナ対応等の強化という観点では、
急性期対応施設の集約化が重要です。

著者も、これは各種制約(既成事実等)があり、
早急な実現は困難であることを述べています。

2)医療施設間の連携強化
コロナ対応でも、
病院間のたらい回しや受け入れ拒否が問題となりました。
医療機関の役割分担の明示が行われれば、
医療機関間の連携強化も容易になり、
たらい回し現象も減少するでしょう。
デジタル化の進展により改善できる面もあります。

3)治療のチームワーク化
医療現場の生産性を高めるためには、
医師とそれ以外の医療従事者の連携強化が必要です。
上野の観察では、一般医院でも、
それを実現している医師の生産性(=収入)は高いのです。
医療現場に業務改善手法を持ち込めば、
適切な連携方法が解明されると思います。