2023年7月24日月曜日

「ヨーロッパにおける冷戦終結を問い直す」そういう裏があったのですか!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 ロシア・ウクライナ対決の背景を少し知りましょう。
ねらい:
 あらためてロシアは恐ろしい国である認識をしましょう。
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この項は、学士會会報2023-Ⅳ号に掲載されました
東京大学大学院法学政治学研究科板橋拓己教授の寄稿のご紹介です。













この内容は、今まであまり知らなかったことでした。
この寄稿はこういう文言から始まっています。

【NATO東方不拡大の「約束」をめぐって】
2022年2月24日、ウクライナ侵攻直前に放送された
国民向け演説の冒頭で、ロシアのプーチン大統領は
NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大を
「根元的な脅威」と呼んだ。
そして、西側は
「NATOを1インチたりとも東方に拡大させないという約束」
をしたが、「われわれは騙されたのだ」のだと主張した。

こうした「西側の裏切り」とか
「われわれは欺かれた」といった議論は、
2007年2月のミュンヘン安全保障会議での激しい非難以来、
プーチンが繰り返し述べ立ててきたものである。
2014年のクリミア併合に際しても、
西側の「噓」を口実の一つにしている。

そもそも「1インチ」発言は、
ベルリンの壁崩壊後の東西ドイツ統一をめぐる
国際交渉から出たものだ。
具体的には、1990年2月9日、
モスクワでのゴルバチョフとの会談で、
アメリカの国務長官ジェームズ・ベーカーが、
「NATOの管轄および軍事的プレゼンスが
1インチたりとも東方に拡大されることはないという保証」
について言及している。
ここで、ベーカーは、ゴルバチョフに対し、
東西統一(および米軍の西ドイツ領域への駐留継続)
を容認してくれるならば、
NATOを当方に拡大させないという保証を
ちらつかせたのである。

この約束をめぐっては、ここ10年余り、
とりわけアメリカ外交研究の領域で盛んに議論されてきた。
かたや、「NATOの東方拡大については
条文や公式声明の形で文書化されていないがゆえに
「公式の合意」は成立していない」とする。

かたや、「国際政治における「合意」に関しては、
そうした公式の条文だけでなく口頭での発言も
一定の拘束力を持つ。
冷戦期のキューバ危機などは
そうした口頭での「合意」で乗り越えられてきた」
と主張するものもいる。

現実には、その後アメリカのブッシュ政権が
(当方不拡大の)方針を転換し、
統一ドイツ全体のNATO帰属をめざすようになる。
そうして1990年2月24.25日に開催された
キャンプ・デーヴィッドでの米独首脳会談で、
ブッシュ政権とコール首相は同方針で一致した。

明らかに、1インチ発言はあったのでしょう。
その時はそれが正解(何に対する正解かは疑問ですが)
だと思っての米国発言だったのでしょう。
しかし、状況が変わったのです。

米国的な目的思考からすれば、
その時に自分たちに都合のよい判断をするのは
違和感がないのでしょう。
前例踏襲の日本的思考ではそんなご都合主義は認められません。

当時のソ連側も、口約束でも「1インチ」発言をとりつけることで、
本当にそれが実現できるとは信じなくても当時の力関係の現実論として
受け入れたのではないでしょうか。
国民の納得感も得られたのでしょう。

こういう経緯からすると、
国際政治に「正解」や「筋」はないと考えるべきでしょう。
正解を判定する超国家的司法は存在しないのですから。
(別項をご参照ください。

ロシアは歴史的に、
北の外れの地域からの領土拡大(脱出?)を目指してきています。
そうしないと、単に貿易港の存在についてみても、
国は発展できないのですから。
北方四島にしても、その方針からすると、
理屈抜きでその返却はありえないのではないでしょうか。

その状況からすると、ロシアとしては、
NATOは非常に大きな足かせに感じられるでしょう。
国の周りをNATOで固められたらどうにもなりません。
ご承知のように、
現在のNATOは軍事同盟ですから、参加国が攻撃されたら、
同盟国は自国への攻撃とみなして相手と戦うのです。

西側の反発を覚悟で、ウクライナ侵攻をするのですから、
その領土拡大意欲は強大なものです。
恐ろしい思考法ですね!!!

「国際刑事裁判所の機能と課題」ウクライナはどうなる?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 国際刑事裁判所なるものがあることを知っていただきます。
 その現状と限界を確認いただきます。
 その活動に、日本は年間30億円出していることを
  知っていただきます。
ねらい:
 これからはどうなるのでしょうか?
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本項は、学士會会報2023-Ⅳ号に掲載されました
中央大学法学部特任教授、元国際刑事裁判所裁判官尾崎久仁子氏の
寄稿のご紹介です。











本項もあまり知らないことでした。
この寄稿の要旨はこのように紹介されています。
ジェノサイド、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪は
「コア・クライム」と呼ばれる。
コア・クライムを犯した個人は、国内の裁判所のみならず、
国際法に基づいて国際刑事裁判所で処罰することができる。
国際刑事裁判所が常設されるまでの経緯、機能と課題、
ロシアによるウクライナ侵略における役割などについて、
元・国際刑事裁判所の裁判官が語る。

私にとって難しいテーマでしたが、以下のように整理しました。
 1.国際刑事裁判所とは
 2.戦争犯罪等を裁く条約
 3.国際刑事裁判の仕組み
 4.国際刑事裁判所で裁く犯罪
 5.国際刑事裁判所の運営費
 6.国際刑事裁判の現状
 7.国際刑事裁判の課題

1.国際刑事裁判所とは
国際刑事裁判所規程(ローマ条約)で
国際刑事裁判の基本原則を規定した。
1998年採択、2002年発効、
締約国123か国だが、米、ロ、中国が未締結。
これを管轄する国際刑事裁判所(ICC)の職員は約千名。

上野注;中国やロシアは、
「侵略」を行う可能性を自覚しているのでしょう。
ですから加盟しません。
米国は、
「侵略」される被害者になると思っていませんから加盟しません。
仮に「侵略」された場合には自分の力で反撃します。
現に、9・11の同時多発テロ事件に対しては、
首謀者のビン・ラーディンを10年間かけて追跡し殺害しています。

2.戦争犯罪等を裁く条約
上掲のローマ条約以外に以下がある。
1)ジェノサイド条約
 ジェノサイドを裁く。
 1948年採択
2)ジュネーブ4条約
 1949年採択、1977年追加議定書発効
 締約国 
  196国(米国、ロシア、中国、北朝鮮!を含む)
 規定内容 
  武力紛争中(敵国領域の占領中を含む)に、
  傷病兵、捕虜、文民などに対し、
  殺人、拷問、性犯罪などの虐待行為を行ったり、
  故意に民用物や学校などを攻撃、破壊すると
  戦争犯罪に問われます。
 

3.国際刑事裁判の仕組み
寄稿文ではよく分かりませんでしたので別途確認しました。








外務省の資料です。
対象の犯罪は、各国で捜査・訴追するのが基本である。
各国が被疑者の捜査・訴追を行う能力や意思がない場合に
ICCにより捜査・訴追が行われる。
ただし、ICCが捜査や裁判ができるのは、
1)被疑者の国籍国又は犯罪の実行地国が、
 条約締約国であるか合意している場合、
2)それ以外は国連安保理が付託する場合。
と限定されています。
ということは、ロシアや中国の「犯罪」は対象とできないのです。

4.国際刑事裁判所で裁く犯罪
1)ジェノサイド
 対象とするジェノサイドとは、
 国民的、民族的、人種的または宗教的な集団
 の全部または一部に対し、
 その集団自体を破壊する意図を持って行われる殺害、
 身体や精神への重大な傷害、出生の妨げ、
 児童の強制移動などの行為を指す。

2)人道に対する犯罪
 ①殺人
 ②絶滅させる行為
 ③奴隷化すること
 ④住民の追放または強制移送
 ⑤国際法の基本的な規則に違反する拘禁その他の身体的な自由の
  著しい剥奪
 ⑥拷問
 ⑦性的暴力
 ⑧政治的、人種的、国民的、民族的、文化的または宗教的な理由
  などによる迫害
 ⑨人の強制失踪
 ⑩アパルトヘイト犯罪

3)戦争犯罪
 前掲、ジュネーブ4条約の違反行為。

4)侵略犯罪
 侵略は通常、国が主体の行為で、
 その国は国際法違反に問われますが、
 侵略犯罪とは、
 「侵略行為を主導した個人の刑事責任を問う」という
 ニュルンベルグ裁判や東京裁判で初めて登場した新しい概念。

5.国際刑事裁判所の運営費 これも外務省資料で確認しました。
各国の分担金拠出によって賄っています。
日本は最大の拠出国で、2022年に15.4%、
約30億円を拠出している。
その計算からすると、全体では195億円となります。

6.国際刑事裁判の現状
これも外務省の資料です。
2003年から始まって、10数件しかないのですね。
4番のスーダンの事案、6番のリビアの事案は、安保理の付託案件で、
それなりの意義があったと思われますが、
最後のウクライナ案件を除きますと、
他は失礼ながら小国の紛争案件です。

ウクライナ案件の帰趨がどうなるかで、
国際刑事裁判の有効性が評価されるのですが、
どうなるのでしょうか。


























7.国際刑事裁判の課題
そもそも、世界を動かす大国が割れているような状況で、
国連を含む世界的活動はまとまりようがありません。

ロシアが、「俺は侵略などしていない」と主張すれば、
他国は「そんなことはないだろう!」と言えても、
ロシアをその可否を判断する場に引き出すことはできないのです。

中国のウィグル族迫害にしても、中国が
「迫害などしていない。内政問題だ、ほっといてくれ」と言えば、
他国は非難はしても干渉はできないのです。

現在、民族紛争を除く戦争をする可能性のある
中国とロシアが参加していない当条約は
有効に機能しようがないでしょう。

そもそも、戦争を裁くというのは、東京裁判にしても、
戦勝国が戦勝国の論理で相手を断罪するのですから、
公平な裁きとはいえないものです。

ところで、国際刑事裁判所の「目的・ねらい」はこうです。
目的=前掲の戦争犯罪を犯した者を処罰する。
ねらい:そのような戦争犯罪の発生を防止する。
これは全く異論のない正論です。

しかし、その目的をどうやって実現するか
の国際的制度設計ができていないのです。
それが不十分な状態で運営しているのですから、
ICCの職員千人は欲求不満でしょう。

この論文の著者尾崎さんは、
2009年から10年間もICCの判事をしておられたのです。
よく健康で過ごされましたね!ご苦労様でした。

「人口減少時代の地方社会の希望」どうすればよい??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 これからの社会・経済モデルは「地方分散型」であることを
 確認いただきます。
ねらい:
 国民全体がその方向を認識する必要があります。
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本項は、学士會会報2023-Ⅳ号に掲載されました
京都大学人と社会の未来研究院の広井良典教授の寄稿のご紹介です。













少し前のことになるのですが、
2017年9月に公表された研究成果の内容が紹介されています
(それがなぜ今回登場したのかは不明です)。

日本社会の現在そして未来にとって重要と考えられる約150個の指標
(人口、経済、高齢化、エネルギー等)に関する因果連関モデルを構築し、
AIを用いたシミュレーションにより、
2018年から2052年までの35年間の期間にわたる
約2万通りの未来シナリオ予測を行い、分析を行った。

分析にあたっては、
①人口
②財政・社会保障
③都市・地域
④環境・資源
という4つの領域の持続可能性と
a.雇用
b.格差
c.健康
d.幸福
という4つの社会領域に注目した。

シミュレーション結果の要点をごく完結にまとめると、
それは次のような内容だった。

(1)2050年に向けた未来シナリオとして主に「都市集中型」と
「地方分散型」のグループがあり、その概要は以下のようになる。

a)都市集中型シナリオ
主に、都市の企業が主導する技術革新によって、
人口の都市への一極集中が進行し、地方は衰退する。
出生率の低下と格差の拡大がさらに進行し、
個人の健康寿命や幸福感は低下する一方で、
政府支出の都市への集中によって政府の財政は持ち直す。

b)地方分散型シナリオ
地方へ人口分散が起こり、出生率が持ち直し手格差が縮小し、
個人の健康寿命や幸福感も増大する。
ただし、地方分散型シナリオは、
政府の財政あるいは環境(CO²排出量など)を悪化させる可能性を
含むため、このシナリオを真に持続可能なものとするには、
細心の注意が必要となる。

(2)8-10年後までに都市集中型か地方分散型かを選択して
必要な政策を実行すべきである。

8-10年程度後に、
都市集中型シナリオと地方分散型シナリオとの分岐が発生し、
以降は両シナリオが再び交わることはない。
持続可能性の観点からより望ましいと考えられる
地方分散型シナリオへの分岐を実現するには、
労働生産性から資源生産性への転換を促す環境課税、
地域経済を促す再生可能エネルギーの活性化、
まちづくりのための地域公共交通機関の充実、
地域コミュニティを支える文化や倫理の伝承、
住民・地域社会の資産形成を促す社会保障などの政策が有効である。

中略
思えば、デジタルが浸透する情報化の時代、
ひいては今後の「ポスト・デジタル」の時代
――医療、生活・福祉、環境、農業等、
「生命」を基本コンセプトとする領域が大きく展開していく時代ーー
とは、遠隔地にいても、あるいはそれぞれ自分の地域にいても、
あるいはそれぞれ自分の地域にいながら
相互に情報の伝達やコミュニケーションがとれる時代であり、
それは「新・分散型社会」と呼びうる社会像である。

さらに、イノベーションや経済活力という点からみても、
アメリカやドイツの例にも示されるように、
一定以上の「分散」ないし分権こそが新たな創造の土壌となるだろう。
これまでの日本のような過度の「一極集中」は、
実はとりもなおさず社会の「画一」「均質」を意味するものであり、
そうした中からは多様なイノベーションや価値の創発は生まれにくい。

著者は、この地方分散型モデルは、
現在の若い世代に多く見られる「ローカル志向」にも合致している、
と言われています。

この論文の主張の主軸はこうなります。
1.日本が持続的に発展していくためには地方分権が必要である。
2.それを明確な目標にした政策を実施すべきである。
3.地方分権に踏み切るチャンスは、8-10年後までである。
 (現在からすると3-5年後となる)

1.の主張は、これまでも大前研一氏など識者が主張していることで、
新説ではありません。
しかしそのことを
シミュレーションで証明したということがユニークなのですが、
残念ながらそのシミュレーションの詳細が分かりませんので、
「証明」には疑問符が付きます。

都市集中型と地方分散型の分岐点に時限があるというのは新設ですが、
これも当論文では詳細不明です。

以下、上野説です。
これからの時代に適合するのは、
集中型ではなく分散型であるということは以下の点からも言えることです。
1.これからの時代は多様化の時代です。
2.多様化の時代には、
  多様化した製品・サービスが受け入れられます。
3.多様化した製品・サービスは
  多様化した環境や人材から生まれます。
4.したがって、
  多様化した環境で多様化した人材を育てることが必要です。

日本は、縄文時代は、
地域特性に合わせた多様な狩猟採集生活をしていたのですが、
米作中心の農業社会になってから、
そして徳川幕府の全国支配体制になってから、
一極集中型(一律型)になってしまいました。
戦後大発展した大量生産モデルによる日本型製造業も、
一律型思考がベースになっています。

現在のテレビによる情報提供も、
一極集中型思考を助長していると思われます。

いろいろな面で、日本は思想的大転換をする必要があるのです。
別項「経済学の目的・ねらいは何か」もご参照ください。



アパホテルに泊まってみました!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 アパホテルのビジネスモデルの確認をしました。
ねらい:
 何事も、目的に合わせるということが大事です。
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先日、久しぶりに現場型集合研修があり、
浜松に宿泊しました。
常々、アパホテルの快進撃はすばらしい、
そのビジネスモデルが凄い、と思っていましたので、
実地検証をすることにしました。
  【アパホテルの客室数の伸び】













私は、アパホテルのビジネスモデルは、
「ビジネスホテルは、基本的には宿泊ができればよいので、
余計なスペースは要らない」ということで、
ホテル建設コストの多くを占める土地代を削減するために、
部屋のスペースを狭くしている、ということだと思っていました。

泊ってみまして、そのとおりでした。
以下の写真のように確かに部屋は狭いのですが、
全く支障はありませんでしたし、
必要な設備・備品・消耗品は完備していました。
朝食バイキングも料金は千円ですが、
内容は普通で不満はありませんでした。















大きなテレビモニターや冷蔵庫もついていますが
おそらく、贅沢を言わない低コストのものなのでしょう。

「贅沢言わないので安く泊まれればよい」という
ビジネス客のニーズに応えたサービス提供となっています。

最近は、そのビジネスモデルからはみ出たリゾートホテルなどにも
展開をしているようですが、こちらはどうなるのでしょうか。
成功するとすれば、
アパホテルのファンが支えるということでしょう。

脱線ですが、研修終了後に、浜松駅前の「八百徳」といううなぎ屋で
いただいた「うな茶」が最高でした。
この店は、今は亡き当社役員だったSH氏から、
「うまいよ!」と言って10年以上前に教わったものです。
たいへん懐かしい思いもいたしました。

救急車の出動ご苦労様ですがーーー

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 救急車の出動状況を確認しました。
 熱中症の状況についても確認しました。
 夜間のサイレンは音量を下げた方がよいという意見を述べます。
ねらい:
 夜間は静かになってほしいですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「熱中症で救急車の出動が多くて対応しきれない」
ということを聞きましたので少し調べてみました。

以下の表のように、
全体としては国民全体としてずい分救急車のお世話になっていますが、
熱中症による救急搬送件数は、
全体の何割にもなるようなものではないのです。

救急車の出動状況

項目

数値

備考

全国の救急車出動回数(2022年)

723.0万回

4.4秒に1回

全国の救急車搬送人員数

621.7万人

国民の20人に1

 内訳 急病

418.9万人

67%

    不慮の事故

 98.3万人

16%

    交通事故

  34.7万人

  6%

現場到着までの時間 全国平均

9.4分

 

病院収容までの所要時間は全国平均

42.8分

「たらい回し」もある。

全国熱中症搬送人員数(2022年5-9月)

住居内、道路、屋外、教育機関の順

71,029人

前年比23,152人の急増

全体の急病者数からすると2%弱。



しかしながら、以下のグラフのように、集中するので大変なのでしょう。
それにしても、平均に対しては1割以下の変動ではありますが。












そもそも熱中症とは何なのでしょうか。
確認してみました。以下は「全日本病院協会」のホームページです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
熱中症とは、体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、
体温の調節機能が働かくなったりして、
体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気のこと。

重症度によって、次の3つの段階に分けられます。

Ⅰ度:現場での応急処置で対応できる軽症立ちくらみ
   (脳への血流が瞬間的に不十分になったことで生じる)
   筋肉痛、筋肉の硬直(発汗に伴う塩分の不足で生じるこむら返り)
   大量の発汗

Ⅱ度:病院への搬送を必要とする中等症頭痛、
   気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感

Ⅲ度:入院して集中治療の必要性のある重症意識障害、
   けいれん、手足の運動障害、
   高体温(体に触ると熱い。いわゆる熱射病、重度の日射病)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最近家族が、孫に「日射病に気を付けなさい」と言いますと、
「ニッシャビョウってなに?」と聞かれたそうです。
前掲の定義では、「日射病」の表現がありますが
一般生活では、死語になってしまったのですね。

日射病は、長時間、太陽に照らされてなるものでしたが、
現在は家の中で夜間にも発症するのですから、
日射病という症名は適当ではないですね。
ーーーーー
最近近所での救急車出動がありましたので、
見ていましたら、救急車の後に消防車がくるのです。
理由を聞くと、救急車の乗員は4名ですが、
4名では患者を搬出できない可能性があるので、
消防車が応援に来るのだそうです。
常に消防車が来ることはないようですが。
1回の出動に10人弱が関わるというのは大変なことです。

ところが、ある人が言っていました。
「昨夜、真夜中に3回も救急車が来ていた。
そのサイレンで目が覚め眠れなくなってしまった」

それで、こう思いました。
夜間のサイレンは音を下げるべきだ、
(すでに音量を下げているならさらに下げるべき)
夜間は、昼間と違って静かなのでそれでも聞こえるし、
他の交通もほとんどないので
「緊急車両が行くぞ!」と知らせる必要もないでしょう。

消防庁長官に提言したらどうでしょうか。

2023年7月23日日曜日

経済学の「目的・ねらい」は何か?オモシロいですよ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 経済学の「目的・ねらい」について考えてみました。
 その経済学の物差しで、
 日銀黒田前総裁の施策、岸田政権の「骨太の方針」を解釈してみました。
 フィンランドに学ぶべきことが分かりました。

ねらい:
 理屈はどうでもよいから、
 日本が早く長期停滞から脱却してほしいですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先日、ある機会がありまして某先生の「経済学の歴史と経済政策」
という講演を聞きました。
その中でマクロ経済学、ミクロ経済学の歴代の先生たちの学説を
ご紹介いただきました。

正直、「それでどうなの?」と思いました。
私も経済学部卒業なのですが、
学生時代は経済学の勉強は全くしませんでした。
法学は法律の解釈をしているばかりで、
もっと興味が湧きませんでしたが、
経済学もとても実社会で役に立つとは思えなかったからです。

そういう私ですが、
今回の講演で、そもそも経済学の「目的・ねらい」は何なのか?
という疑問が湧きますと、とたんに興味が出てきました。

経済学の目的・ねらいはこういうことであるべきでしょう。
自明ですかね?
経済学の目的:
 国家あるいはそれに準ずる範囲の経済の構造を明らかにし
 経済が発展する方向を見出す。
経済学のねらい:
 国民の幸福感を実現する。

フィンランドは、
国土面積は33.8万㎢で日本の37.8万㎢と変わりませんが、
人口は554万人しかありません。
5年連続で世界幸福度ランキングの1位です。
フィンランドでは経済と幸福度が両立しています。
定時に帰り、残業はほぼなく、有休消化率もほぼ100%で、
それでいて、1人当りGDPは日本の1.25倍です。
どうすればこうなるかを経済学は解明する必要があります。

マクロ経済学は、
経済の構造を、GDP(国民総生産)、需要と供給、消費・投資などの
全体数値の関係で分析します。
ミクロ経済学は、
個人、企業、財政という経済主体の経済活動の結果として
経済成果が実現するという観点で経済を分析します。

マクロ経済学で把握するのは経済主体の活動の結果数値ですから、
それを直接的に操作することはできません。
具体的な経済政策は、ミクロ経済学の分析によらざるを得ないのです。

大雑把に言いますと、
原因と結果の関係、または全体と部分の関係ですから
一方だけの分析で経済状況の判断はできるはずがありません。

ということですから、
最近はマクロ経済学とミクロ経済学の融合が起きているそうです。
当然でしょうね。どちらも「目的・ねらい」は同じなのですからね。

そこで、最近の日本の金融政策を分析してみました。
ご承知のように、黒田前日銀総裁は、
インフレ率2%の実現を目指して、
長期にわたり超金融緩和政策をとりました。

インフレ率2%という目標は、需要が供給を多少上回って
(イメージとしては好景気です)、
その結果物価が僅かに上がる状態を想定していたのです。
そのために、金融機関として、市場に資金を潤沢に供給して、
投資を引きだそうとしたのです。

この政策が成功しなかったのは、こういうことです。
投資を行う経済主体である法人は、いくら金利が安いからといって
見返りが期待できないことに投資はしません。
有効な投資対象が存在しなかったために、
資金を供給しても投資を引きだすことはできなかったのです。

有効な投資対象を作り出すのは財政の役割です。
有効な財政政策(税務政策を含む)が不十分・不備だったのです。
よく言われたことですが、
アベノミクスの3本の矢の2本目、3本目が不十分で、
1本目の金融政策が孤軍奮闘して力尽きたのです。

因みに、最近はインフレ(物価上昇)率が2%を超えています。
しかし好景気とは程遠い経済状態です。
その物価上昇は
健全な需要と供給の関係から生まれているものではなく、
輸入原材料の上昇によるものだからです。

そのために、
個人の「実質」所得はマイナスとなる影響を受けています。
輸入物価の高騰は、
一般国民の誰にとってもプラスの恩恵はありません。
(唯一、商社が売上比例でマージンを取りますから大儲けです。
ケシカラン!)

名目、実質という分析もマクロ経済学の範疇です。

ところが、最近の法人の投資対象は、人的資本投資の伸びが
研究開発や設備投資を上回るようになったのです。

政府が「従業員の給与を上げよ」といくら叫んでいても、
20年間大卒者の初任給は、ほぼ20万円で横ばいだったのです。

それがどうですか!
昨今のDX人材をはじめとする高度人材の不足状況を受けて、
高度人材要員の給与アップだけでなく、
大卒初任給が一挙に25万円とかに上がる状況なのです。

それができるなら、なぜもっと早くしなかったのか、と思われます。
法人の経営者は、悪者ではないのですが、保守的です。
「給与を上げないと、会社がもたない」
となって初めて行動するのですからね。
会社を守らなければならない経営者としては
ある面で当然の行動なのでしょう。
それは、ミクロ経済学的分析です。

実は、3本の矢の3本目の民間投資を喚起する成長戦略が、
経済政策の根本対策のはずです。

最近の岸田政権の経済政策(2023年「骨太の方針」)は、
成長戦略を中軸に据えて、
ミクロ経済学的な経済主体の行動に変容を与えよう
ということで意欲的です。
以下がその骨太の方針の骨子です。

1.三位一体の労働市場改革による構造的賃上げの実現と
 「人への投資」の強 化、分厚い中間層の形成 
 2.投資の拡大と経済社会改革の実行 
 (1)官民連携による国内投資拡大とサプライチェーンの強靱化 
 (2)グリーントランスフォーメーション(GX)、
   デジタルトランスフォーメ ーション(DX)等の加速 
 (3)スタートアップの推進と新たな産業構造への転換、
   インパクト投資の促 進 
 (4)官民連携を通じた科学技術・イノベーションの推進
 (5)インバウンド戦略の展開 
 3.少子化対策・こども政策の抜本強化 
 4.包摂社会の実現 
 5.地域・中小企業の活性化

労働市場改革として、成長産業への人材流動の促進、
少子化対策として児童手当や育休給付の拡充、が目玉です。 

私は過去に、日本の労働生産性が低い=低経済成長について
以下のような分析をしました。
拡大してご覧ください。













製造業の生産性が低いのは、
「市場ニーズに合った製品が提供できていない」で
「過去の延長でビジネスを継続している」から。

現場型サービス業の生産性が低いのは、
「提供サービスの工夫が足りない」で
「過去を踏襲したサービス提供方法をしている」から。

オフィスワーク型サービス業の生産性が低いのは、
「新規サービスの創出が不十分」で
「ホワイトカラーの生産性が低い」から。

すべてに共通して
「労働の流動性が低い」ことが原因としています。

労働の流動性の結果は、一時的に失業率が高まります。
先進各国の失業率と経済成長率には正の相関がありました。



これらの表層的原因の奥に、以下の真因が潜んでいます。
1「雇用維持制度がある」 
2「既存産業・企業の温存政策がある」コロナ対策で拡大しました。
3「国民に安住マインドがある」
4「国民に現状肯定マインドがある」
5「国民の挑戦心が希薄である」
6「女性差別がある」
7「企業に現場尊重風土がある」
8「能力評価・処遇制度に欠点がある」
9「能力向上対策が不備である」

今回の「骨太の方針」は、これの1、2、6、8、9番の、
主に社会もしくは企業に存在する要因に対する対応です。
しかしながら、その対策は、
政策の目的に合致した実績に対する給付が中心で、
元になる制度(雇用維持制度等)の改革には踏み込んでいません。
抵抗が感じられる施策には及び腰なのです。
そこに踏み込まなければ、効果の実現はなかなかでしょう。

3、4、5番の国民の意識(マインド)に関する要因への対策は、
取りあげられていません。
対策があるとすれば幼児期からの長期にわたる教育の改革でしょう。

このマインドは縄文時代から続く日本人の伝統的なものですから、
明治維新や敗戦並みのショックがないと変わらないものです。

「自民党をぶっつぶす」と宣言した小泉元首相のような方が、
長期に腰を据えて取り組まないとならない難題です。

因みに前掲のフィンランドは、
国土の70%近くを占める森から得られる森林資源を活かした
製紙産業からスタートして、その産業機械、
さらには船舶などの輸送機械産業を展開しました。
(73%が山岳・丘陵地である日本と似ています。
産業構造も日本と似ています)。
有名なノキアの通信機械をてこにして
IT産業にもすそ野を広げました。

その国民性は、学士會会報2023-Ⅳ号に掲載された
フィンランド大使館員であるラウラ・コピロウさんの紹介によると
こうなっています。













1)心身の健康や幸福度、暮らしを大切にする。
2)仕事も休みも同じくらい大切にする。
3)企業よりも自分のためを重視する。
4)プロセスでなく成果・結果を重視する。
5)WHY?を重視する教育をしている。
 (「目的重視思考」なのですよ!! 因みに教育費は大学まで無料)
6)飲み会はしないが「コーヒー休憩」を取る
 (1日15分2回が法律で定められている)。
7)多様性を重視する。
 (現在の首相は30代の女性です!!

前掲の日本の国民性の真逆です。
真面目にフィンランドの国民性に学ぶべきでしょう!!

2023年7月17日月曜日

「人工知能(AI)の意識の可能性について」そうですか??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 優れた知能を持ったAIの行く末を考えてみます。
ねらい:
 AIが殺人鬼にならないように歯止めをかける必要があります。
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本項は、学士會会報2023-Ⅳ号に掲載されました
土谷尚嗣 豪モナシュ大学教授による
「最新の脳科学と意識の理論から予測する
人工知能(AI)の意識の可能性について」のご紹介です。












氏の問題提起は「1.AIは意識を持つか?」から始まっています。

(chatGPTは)人工知能の開発当初には考えられなかったほどの
Intelligentな回答が即座に得られ、
その対話の相手が、人間ではないか?と錯覚するほどに
巧妙に作られているのが特徴です。


しかし氏は、こう述べています。

私は、これまでの人工知能(とその大幅な延長)が意識を持つことは
おそらく無いと思っていますが、
今後の人工知能は、その内部の情報構造によっては
意識を持つこともありうると考えています。

その根拠
(上野注:持たない根拠)には、
少なくとも二つが挙げられます。
1)「意識を持つ」ことと「高い知能を持つ」ことは
全く別のことであり、
これまでの人工知能は後者に特化したものであること。
2)これまでの人工知能の情報構造は、生物における脳において、
意識には関係ないとされる処理に似ていること。

(上野注:小脳の働きは、
無意識で生命を維持する機能を果たしています。
そのことを指しているのでしょう)

では、意識とは何かが問題になります。
これについては以下の解説がありますが、
はっきり言ってよく分かりません。

我々人間は、朝起きてから夜寝るまで、
主観的な意識経験を持っています。
夜寝ている間も、夢を見ている間は夢の内容が意識にのぼっています。
意識がある状態では、意識の中身が刻々と変化していきます。
視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚などの感覚器官からの入力が
意識の中身にそのままのぼることもあります。
思考の中身や感情が意識を占拠することもあるでしょう。
これらの意識の中身は「クオリア」とも呼ばれています。




意識とはなんであるかについては、以下のように様々な捉え方がされています。
(上野の調査)

「意識」の用語法

使用領域

意味すること

例示

一般

認識

「コスト意識が強い」

覚醒(起きている状態)

「睡眠」との対比

気づき

「非礼を意識した」

哲学

「自我」など諸説あり。

 

心理学

感覚、感情、観念など諸説あり。

「無意識」

医療

生命維持状態

「意識がない(反応がない)」

生物学

意志(動物と植物の区分)

「植物に意識はない」

 

一般の用語法は、その意味が複数ありますが、
その言葉が使われている場合の意義は明確です。

医療での用語法も、目的が明確です。
生物学の定義はそれによって、動物と植物を分けて
何の意味があるかは不明です。

意識について最も多く詮索がされている哲学や心理学の定義は
目的不明確です。

そもそも、
このレポートのテーマである「AIの意識の可能性」ですが、
AIが意識を持つかどうかで何が変わるのか、
何が問題なのかが不明です。

大脳を損傷した人がAIを埋め込まれてその機能を回復させた場合、
AIが意識を持っていることは否定できないでしょう。
それで何も問題がありません。

私は,AIが「意識」を持つかどうかが問題なのではなく、
AIが「意思」を持つようになることが問題なのだと思います。

悪知恵をつけられた「狂ったAI」が原爆をばらまくなど、
人類を滅亡させる意思を持つことが恐怖です。
ときどき、狂った人が無差別殺人をしていますが、
「狂ったAI」のできることはその比ではありません。

現在の、生成AIは
ときどき誤った回答をすることが問題になっていますが、
誤った回答を出そうという意思を持っているわけではありません。
たまたま、誤っているだけなのです。

ところが、人間の指示によらずに、AIが、自らの判断で
誤った情報をばらまこうとか、人間に害を与えようとかを
どんどん考えていく「意思」を持ったらどうなりますか。
たいへんなことになります。

知能が発達すれば、意思を持つことになることは、
人間の成長を見れば明らかです。
AIが独自の意思を持つ方向については
しっかり歯止めをかけないといけないのではないでしょうか。

因みに、本レポートは、
4.脳の中の無意識の処理:フィードフォワード構造と小脳
5.脳の中の意識的な処理:再帰的ネットワーク構造と大脳皮質
で、小脳と大脳での脳の働き方の違いを
仮説レベルを含めて解説されています。

著者には申し訳ないのですが「だからどうなの?」と
一般の人にとってあまり意味のある内容ではありません。