2023年5月25日木曜日

マイナンバーカード事故の教えること!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 マイナンバーカードのトラブル原因を探求します。
 「運用軽視」はいけません。
ねらい:
 マイナンバーカードに基本的な欠陥があるわけではないので
 どんどん利用局面が広がることを期待しましょう。
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マイナンバーカードは、現在、河野大臣の大旗振りもあり、
国民の約80%、9700万人が取得または申請中です。

ところが、マイナンバーカードのトラブルが多発しています。

1)公金受取口座で他人の銀行口座が紐づけられている。
2)マイナ保険証に他人の情報が紐づけられている。
3)コンビニで他人の証明書が発行される。

1)は、基本的には自治体の端末で個人がその登録作業をする際に、
前の人の処理をログアウトしないで処理したために、
前の人のデータと紐づけられたというものです。
8つの自治体で13件発生しています。

2)は、健康保険組合が
マイナンバーと個人の保険証情報を紐づける際に
誤って別人(同性の人など)と紐づけてしまったもので
確認できたものだけでも
「昨年11月までに7312件」もあったようです。

3)は、何らかのシステム障害で、
現在そのシステムの開発者である富士通が原因調査中です。
3月から5月まで複数の自治体でトラブルが「頻発」したそうです。
出典:日本経済新聞2023年5月25日

























システムトラブルというと、
一般の人は、開発上の問題か、運用の問題か区別できないようですが、
1)と2)は運用上の問題で、3)は開発上の問題です。
1)と2)の場合は、
基本的にはシステム自体に問題があるのではありません。

トラブルが発生しましたから、
1)については、
「前の人のデータを削除(ログアウト)していますか?」
というメッセージを出すように改良するでしょう。
そこまで考えられなかったということは、開発の問題と言えますが、
そこまで考えるのはちょっとムリでしょう。

2)については、誤った判断をしないように、
氏名をカナ氏名と漢字氏名を表示するようにするようです。
開発者がそこまで考えなかったということになります。

いずれも本当は、
システムを利用する人がしっかり丁寧に処理すれば、
問題は起きないのです。
現に、2)について、厚生労働省は、
「本人情報の確認を徹底する」というルールにしたそうです。

ある面で、開発者が運用状態を深く考えて開発していない
ということになります。
開発者の洞察力不足ということになりますが、
運用のことをしっかり考えて開発の仕様を作る人はあまりいません。
特に、納期が厳しいときは最低限度のエラーチェックしかしない
ということも起きます。
どこまでが、開発者の責任であるかという判断は、難しいところです。

システムトラブルに関連して思い出されるのは、
みずほ銀行のトラブルです。

「みずほe-口座」の「e-口座一括切替処理」を
「処理が集中する月末」の2021年2月28日に実施したことに起因し、
(システムが過負荷となり)
定期預金システムにアクセスする更新処理がすべて不能になる
事態が発生し、以下の影響が出ました。

①ATMの稼働停止 最大4,318台
②通帳・カード取込み 5,244件
③ATM及びみずほダイレクトの一部取引不能

通帳やカードが戻らなくなったので、大騒ぎになりました。
これは、完全に運用の問題です。

みずほ銀行は10年以上をかけて素晴らしいシステムを開発しました。
みずほ銀行はこの案件以外にも何度も障害を発生させましたが、
開発したシステムに問題があったケースは皆無でしょう。

みずほ銀行のトラブルは
「運用軽視」で運用体制を大幅に縮小したことにある
と指摘されました。
運用の重要性を経営者が理解していないということです。

一般的に言えることですが、
「開発は難しい」という認識で「優秀」な人間が担当します。
「運用は難しくない仕事である」という認識で
「そうでもない」人が担当します。

前掲のマイナンバーカードのトラブルも
基本的には「運用軽視」です。
「システムを作ったのだから、あとは運用で行ける」と甘く見て
運用体制を整備しなかったことが根本原因だと言えそうです。

すぐに「システムが悪い」とするのは短絡的です。
あらゆることに対応するようにシステムを作るとなると、
前掲例でお分かりのように、システムがどんどん複雑で重くなります。
「お金もかかる」のです。

何でもシステムに作りこむのではなく、
人間が運用で対応することも必要です。
適切なバランス感覚が必要なのです。

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