目的:
「それって何だろう?」
と考えることを実用的に追求した図書を知っていただきます。
ねらい:
「問題解決の極意」を頭を使う材料に利用してみてください。
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この本は
故ゴールドラット博士の一番弟子である岸良祐司さんが書かれたものです。
「はじめに」ではこういうことが書かれています。
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「知識」を頭の中に入れることと、
それを適切に処理する「知恵」は違うということだ。
知識も頭を使って適切に処理する能力がなければ、
成果に結び付けるのは難しいともいえる。
(岸良さんは遠慮した表現ですがそのとおりです。
私の表現では記憶力と判断力は別物ということです)
考えてみれば当たり前だが「頭の中に何を入れるか」と
「頭をどうやって使うか」は別の問題なのだ。
頭の中に入れた知識をどうやって使うかという
「頭の使い方」にこそ、
成果を出すか、出さないかのギャップを埋める鍵があるはず。
(私もかねがねそう主張していますが、
今やそのことは常識かも)
この本は、一つひとつのテーマに描かれている「ラットくん」と一緒に、
1日3分間、日常のありふれた一つひとつの質問に、
ちょっとだけ立ち止まって「頭の使い方を変えて、考えることで、
頭も心もやわらかくしながら、
問題解決の極意を楽しく学んでもらうようにデザインされている。
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取りあげているテーマは、以下のとおりの37項目です。
因果関係、認識、理想、意欲、抵抗、仮定、理由、失敗、要望
実行、論理、懸念、現実、競争、性善説、必要条件、考える、
情報、直感、全体、集中、効率、混同、無駄、責任感、目標、順序、
最適化、惰性、答え、事例、対立、合理的、科学、理論、常識、訓練
上から目線的で申し訳ありませんが、
これだけの専門的でない用語に実用的な解説を付けられる
ということは素晴らしいことです。
それぞれご自分で「それって何?』と質問してみるとよいでしょう。
どういう答えが出るか楽しみですね。
岸良さんのご意見の例として「現実」を取りあげてみます。
副題は「思ったように行かないことから学ぶ心構えとは?」
となっています。
問題解決の極意のタイトルですが、
一般的問題解決の手引書のような問題解決はこうしたらよいですよ、
という内容ではありません。
「問題解決する時には、こういう考え方をしましょう」
というものです。
なるほどたしかに、問題解決に対して有効なアプローチです。
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現実は厳しい。思ったようにうまくいかない事も多い。
特に人が絡む現実の社会で
は、“思うようにいかないもの”とあきらめてしまう
ことも少なくない。
ところで、自然科学の実験で思ったような結果が
出なかった現実に直面した時、研究者はどうするだろうか。
その現実を結果としてとらえて、思うようにいかなかった
ことの原因を考察し、解決策を考えていくことになる。
ここでの現実は、決して思うようにいかないものではなく、
やり方次第で思うように解決できるものだと
考えているからだ。
人が絡む現実の社会でも同じように、
思ったような結果が出なかった場合に現実を
結果としてとらえ、原因を考察することは
できないだろうか。
自然科学とは違って人が絡むことであるならば、
なぜうまくいかなかったのかという原因を
一緒に話し合うことだってできる。
もしもお互いに同じ目標を持っているなら、
一緒に協力して解決策を考えることができる。
もしも同じ目標を共有する人が多ければ、
多くの人の協力を得ることができる。
そして、ここでの現実は決して思うように
いかないものではなく、我々のやり方次第で
思うように解決できるものになっていく。
思ったような結果が出なかった現実に直面した時、
その現実から逃げないで、現実を結果として受け入れる
勇気を持つ。
現実は、すでにたくさんのことを我々に
伝えてくれている。
現実から学べるか学べないかは、
それを受け入れる我々の姿勢次第なのだ
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奥深いですね。ぜひ他も読んでみてください。
ところでこの37語の中に、
「問題」と「解決」という2語が入っていません。
システム企画研修社の価値目標思考で
それをどう言っているかを以下に示します。
テーマ
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定義
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付言
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問題
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目標と現状の差である。
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したがって、目標がなければいくら現実を見ても問題は分からない。
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問題意識
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問題であると思う心
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「問題意識」はややもすると、単に現状を否定することが多い。例:給料が20万円では安い。それでは前進しない。
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目標意識
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目標に近づきたいと思う心
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現状の否定ではなく、「どうありたいか」と考える。例:給料が30万円欲しい。
そうすると、「ではどうしたらよいか」と問題解決に向かって前進する。
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問題解決
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問題を無くすこと。
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解決策の実施により、現状=目標となる状態である。
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1 件のコメント:
今月の上野さんの記事を楽しく読ませていただきました。
「忙しくても集中したことでできた」という解説は疑問符
ですが。潜在的にではあれ、普段から考えていたことが
ベースにあってこそ表面化できたのだろうと思います。
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