【このテーマの目的・ねらい】
目的:
虐待死やいじめ自殺はなぜ起きるかを整理します。
その対策を考えてみます。
ねらい:
日本のこれからを担う人間が損傷しないようになってほしい。
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親の虐待による小さな子供の死亡、
いじめによる児童の自殺、の記事が
頻繁に新聞をにぎわせています。
そのたびに、やりきれない気持ちになります。
特に、親の虐待はアタマにきます!
なぜこういうことが起きるのでしょうか。
少し考えてみました。
「虐待死 年350人の可能性
小児科学会推計 国集計の3倍超」(4/8日経新聞)
毎日1人が親の虐待で死んでいるのです。
奈良でこんなひどい事件がありました(4/12)。
2歳の男の子が死亡したのですが、父親が
3歳の女の子と2人をプラスチックの収納ケースに押し込めたのです。
男の子は下の方で息ができずに低酸素脳症になっていました。
経緯はこうです。
12月21日「子どもの泣き声がする」と
指導相談所に近所の人が通報しました。
翌22日に、児童相談所が市の子どもサポートセンターに調査を依頼。
市のセンター担当者は、
男児が健康診断などを受けた医療機関に聞きとりを実施。
「必要な予防接種などは受けており
特に目立った心配のある家庭ではない」
と判断し児童相談所に回答しました。
(何ですか!この対応は!!)
他の例を見ても、事故が発生している原因は二つです。
一つは親の判断です。
前掲のケースではそんなことをしたら死ぬかもしれない、
と思わなかったのか、ということです。
ひどい虐待を重ねて死に至らせているケースもあります。
中には子どもの存在が邪魔で
「死んでもらおう」と思っている確信犯もありますが、
多くは「まさか死ぬとは思わなかった」と言っています。
はっきり言えば、親の無知・バカです。
対策は、
周りで無知・バカが大事に至らぬようにフォロすることです。
前掲の例では、近所の人が気遣ったのです。
泣き方で虐待をしているかどうかは分かりますよね。
そこから先が問題です。
死に至る原因の2番目は、
相談を受ける側の相談員の問題です。
一つには相談員のセンスです。
危なさそうかどうか、ということにピンとくるかどうかです。
これは、本人の能力です。
基本的には、
そういう鈍い人を相談員等にしてほしくないですね。
教育やマニュアルでは限界があると思います。
もう一つは相談員の体制です。
多忙で手が回らないと
表面的な確認で「問題ない」と見過ごしてしまうことが大ありです。
それで、大事な命が失われることになっているのです。
全国の児童相談所が2014年度に対応した
児童虐待の通告は約8万8千件だそうです。
350人は0.4%です。
99.6%は重大事にはなっていないのですから、
「問題ない」と判断しがちになるでしょう。
そのくらいの比率で水が漏れるのは
「やむを得ない」と考えるかどうかは国民の判断です。
体制強化にはおカネがかかるのですから。
政府は、
児童相談所の体制や権限を強化する児童福祉法と
自動虐待防止法の改正案を今国会に提出しています。
ベテラン指導福祉司や弁護士の配置の義務付けや、
強制的に家庭に立ち入る「臨検」の手続きの簡略化、
虐待を受けた子供の自立支援策などが盛り込まれている、
そうです。
私は、この対策の中では「臨検」の強化に大賛成です。
プライバシーの侵害だとかが壁になるのでしょうが、
現実的な方策を実現してほしいものです。
臨検を強化すれば、親の無知・バカの補正にも役立ちます。
いじめ自殺問題も同じ構造です。
いじめをする側の無知・バカ、
ーそのことがどんな重大な結果を生むかということが分かっていないー
と相談を受けた周りの人間のセンス・感覚
ー親が気が付いていない、先生・学校側が問題ないと判断したー
とです。
いじめをする側の無知・バカは
成人ではないのである程度やむを得ないでしょう。
先生・学校側のセンス・感覚が問題です。
自殺に至った場合の状況の報道をみると、
どうみても学校側の判断が鈍いとしか思えないものが多いのです。
これはとんでもないことだ、と糾弾したくなる思いーー特に親はーー
は分かりますが、
鈍い人間は日本中どこにでもいるのです。
学校の先生だってそういう人はある比率でいます。
ではどうしますか?
これを防ぐのは、重大事案は個人の判断に任せないということです。
企業では、
上司に相談することをエスカレーション(上に挙げる)と言います。
情報システムの世界では、
ときどき話題になる失敗プロジェクト・大赤字プロジェクトがあります。
この直接原因はいろいろあるのですが、
問題が起きている、起きだしているときに、
プロジェクトの責任者(プロジェクトマネージャ)がその問題を
自分で何とかしようとして抱え込んでしまって大事に至る、
というパターンが多いのです。
そこで多くの会社では、
問題を抱え込まずにエスカレーションするルールを決めています。
このエスカレーションの仕組みは、
ルールに従うのであって自分が無責任であるわけではない、と
プロジェクトマネージャが割り切れるという良さがあります。
学校でも、そのようなエスカレーションルールを決めたらいいのです。
問題が提起されたら
学校側はしかるべく警察等の力も借りて対応しなければなりません。
先生個人ではなく学校としての判断でなおかつ大事に至ったら、
これは校長の問題です。
責任をとっていただきましょう!
虐待死の方のエスカレーションはこうです。
相談員が判断や処置に困る案件があったら、
専門家(弁護士)や警察に相談するのですが
(前掲の法改正もその強化を含んでいます)、
相談員の組織でその決定をする手続きを決めることが
エスカレーションルールになります。
ということで、虐待死やいじめ自殺を防ぐ対策のまとめです。
虐待やいじめをする側の補正自体は名案はないでしょう。
そこで周りがどれだけ、虐待やいじめをされる側を助けられるか
ということになります。
体制強化も結構ですが、
おカネのかからない方法を日本社会として知恵を絞りたいですね。
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