2023年1月28日土曜日

「死は存在しない」田坂広志著

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 驚天動地の死の研究書のご紹介です。
ねらい:
 これから死についてどう考えましょうか!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当テーマは、田坂広志多摩大学大学院名誉教授著「死は存在しない」
のご紹介です。氏は40年間で100冊の本を出しておられるそうです。


たいへんな書籍を紹介されてしまいました。
ある会合で気楽に紹介を受けたのです。
開けてビックリです。

そもそも「死は存在しない」という問題提起が理解しにくいことです。
3日がかりでようやくそのおよその全貌を把握しました。
本書の内容はスゴイものです。
ノーベル賞級のものです。
おそらく本人自身がZPFから多くの先人からの知恵を
いただいているのだと思われます。
したがってその内容は信ぴょう性の高いものでしょう。

あらためて分かりましたが、
過去の宗教家や偉人達もZPFから正解を受け取っていたのですね。
どんな偉人でも、
自分の一生ではそんなスゴイ仮説は打ち出しようがないのですから。
若くして悟りを得た人たち、29歳で処刑された吉田松陰、などは,
ZPFとの交流能力が高かったのでしょう。

以下にこういう項目建てで本書の内容をご紹介します。
私の要約は圧縮していて分かりにくいですから、
興味を持たれましたら、是非本書をご覧ください。
難しいテーマを分かりやすく解説されています。
著者は、解説の名人でもあります。

1.最先端の量子科学に基づく著者の主張
 
最先端量子科学で何を言いたいのかの確認です。
 よくは分かりません。

2.【ゼロ・ポイント・フィールド仮説】
 本書の提示の中心テーマであるこの点の解説です。
 本テーマではこれをZPFと略記します。

3.現代科学で説明できない謎(著者説)
 これまでの科学では説明できない謎の列挙です。
 これがZPF仮説だと説明可能という前触れです。

4.意識の階層(著者による整理)
 ZPF仮説で前提とする「意識」の5階層の説明です。

5.従来科学で説明できない事象のZPF仮説での説明
 これまで不思議・謎だったことがZPF仮説で説明されます。

6.宗教等での教えのZPF仮説との整合
 実は,ZPF仮説の神髄は従来の宗教でも説いていることである、
 という説明です。

7.過去の偉人の発言のZPF仮説での説明
 ZPF仮説に通じることを過去の研究者等が主張している
 という説明です。

8.不可思議な現象の研究書
 そういう研究書もあるという紹介です。

9.ZPF仮説に対する疑問
 死に関する基本的質問に対してZPF仮説でどう答える
 かが示されます。

本書で丁寧に説明されているZPF仮説はあくまで仮説です。
これまで、謎とされてきたことがこの仮説で説明できることは確かです。
しかしそれは、状況証拠であって証明にはなりません。

著者も、こう述べています。
本書を読まれた科学者や宗教家、心理学者や哲学者の方々には、
是非、この「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」を検討し、
この理論をさらに発展させて頂きたい。

この仮説は意識の領域です。
物理的思考の領域であれば、
技術進歩により脳内でどう処理されているか分かるようになるのでしょう。
しかし、意識は把握できないのですから
それがどう処理されているのかの証明ができるようになるのでしょうか?

なお、死に関しては以下のブログで取り上げています。
 ここでは、人類の不死の探求を4つに分けています。
 1.不老不死
 2.蘇り
 3.霊魂
 4.遺産
 本書はこの中の3の道の掘り下げです。 
死にたくないと騒いだ石原慎太郎さんの意見

1.最先端の量子科学に基づく著者の主張

ü  (唯物論的科学では確固たる存在であると信じられてきた)「物質」そのものが確固として存在するものではなく、非常に不確かな存在であることが明らかになっている。

ü  しかし、この世界を、極微のレベル、原子よりも遥かに小さな「素粒子」のレベルで観察するならば、そうした日常感覚で捉える「物質」という存在が「消えて」いく。

ü  光の実体、すなわち「光子」は、観察の方法によって、「粒子」の性質を示すときもあれば、「波動」の性質を示すときもある。すなわち、光子というものを「極微の物質」であり「極微の粒子」だと考えても、実際には、「波動」としての性質を示し、「物質」として、その「位置」を測定することさえできないのである。

ü  この世界の本質は「物質」ではなく、「波動」であり、「エネルギー」であることを明確に示しているのである。

2.ゼロ・ポイント・フィールド仮説

ü  宇宙に普遍的に存在する「量子真空」の中に「ゼロ・ポイント・フィールド(ZPF)」と呼ばれる場があり、この場に、この宇宙のすべての出来事のすべての情報が「波動情報」として「ホログラム原理」で「記録」されている。

ü  ホログラム原理に従えば、記録した情報が、記録する媒体の「すべての場所」に保存されているため、媒体の「一部」からも「全体情報」がとりだせる。

ü  したがって、フィールドの「一部」に繋がるだけで、フィールドに記録された「全体情報」に触れることができる。

ü  波動はエネルギーではないので、この記録は永遠に残る。

ü  ZPF内には、「現実世界」と同様の「深層世界」が存在している。

ü  ZPF内では、瞬時に情報伝達が起こるため、「深層世界」では、「情報同士の相互作用」が極めて容易に起こる。

ü  「現実世界」の「自己」が死んだ後も、深層世界の「自己」は生き続ける。

ü  波動は、過去と現在から未来が想定できるので、ZPFには未来の情報も含まれる。

ü  しかし、未来は確定しているのではなく、現在の行動によって変わりうるものである(実際に自分の乗る船が沈む夢を見て乗船をやめたら舟は沈んだが自分は助かったという例がる)

3.現代科学で説明できない謎(著者説)

.自然定数の奇跡的整合性

(説明省略)例:陽子と中性子の質量の大きさが0.1%違っていても、この宇宙は存在しなかった。

2.量子の絡み合いと非局在性

一度絡み合った量子同士は、宇宙の彼方に引き離されても、一方がある状態を示すと、もう一方は、瞬時にその反対の状態を示す。光の速さよりも速い。

3,ダーウィニズムの限界

ダーウィンの進化論の方式で人類が誕生するには、地球の年齢45億年では足りない。

4,生物の帰巣能力の謎

鮭が生まれた川に戻る、鳩や蟻の帰巣能力、犬が5千キロ離れた飼い主のところに戻った、など

5.神経の伝達速度と反射運動の謎

野球選手が時速160キロの球を打つことは、視神経の伝達速度、筋肉へ伝達速度ではできない。


.意識の階層(著者による整理)

意識階層

説明

ZPFとの関連

1.表面意識

日常生活の雑音に溢れている

「現実自己」が働く意識である。ネガティブな想念は我々の意識がZPFにつながることを妨げる。

2.静寂意識

祈りや冥想によって生まれる

ZPFに繋がりやすくなる。

適切な「直感」が降りてくるようになる。

3.無意識

運気の「引き寄せ」が起こる

ZPFを通じて「類似の情報」を引き寄せる。ネガティブ(ポジティブ)な想念があるとネガティブ(ポジティブ)な情報を引き寄せ悪い(良い)「運気」を引き寄せる。

したがって、ポジティブな想念を持つことが重要である。

4.超個的無意識

無意識と無意識が繋がる

お互いの無意識がZPFを通じて繋がる。

シンクロニシティや以心伝心が起きる。

5.超時空的無意識

意識が時間と空間を超えて繋がる

ZPFと深く結びついた意識の世界である。

この正体は、フィールド内の「深層自己」である。

予感、予知、占い的中が起きる。

5.従来科学で説明できない事象のZPF仮説での説明

従来科学で説明できない事象

それは何か

ZPF仮説での説明

宇宙の創成

そもそもの真空状態から量子(有)が誕生した経緯

138億年前に「量子真空」から生まれた。

ビッグバン

今の宇宙が誕生したビッグバン仮説

量子真空が揺らぎを起こし、急激に膨張し大爆発を起こした。ビッグバンの直後にこの宇宙は光子(フォトン)で満たされた。

視線観応

人の視線を感じる

ZPFでその状況を見ている。

直感

無意識に分かる

無意識レベルのZPF交信で可能である。

以心伝心

考えが相手に伝わる

超個的無意識レベルのZPF交信で可能である。

予感

何かが起きることを事前に感じる

超時空的無意識レベルのZPF交信で可能である。

予知

未来の出来事を感じる

超時空的無意識レベルのZPF交信で可能である。

考えが「降りてくる」事象

ふっと名案が湧いてくる

ZPFの誰かが教えてくれている。

占い的中

占いが当たる

超時空的無意識レベルのZPF交信で可能である。

既視感

ある光景を見たときに「あ、これは前に見たことがある」と思う。

ZPFで現在を過去として見てしまう。

幽体離脱

臨死体験

臨死体験をした人が「死後、自分が肉体から離れて上から見ていた」と言う。

死後も、「自我意識」を持った「現実自己」が、しばらくZPFに残り現実世界を見つめているから。そのうちZPF内で自我意識は消えて「深層自己」のみになる。

霊媒師

死者と交信をする。

ZPFにアクセスして情報を得ている。

背後霊

背後に死者が付いている、と言う。

死者に語らせたりするのも、ZPFから情報を得ている。

透視

目で見ていないものが見える。

ZPFにアクセスして見ている。

シンクロニシティ、

誰かのことを考えているとその人から接触がある

無意識レベルのZPF交信で可能である。

コンステレーション

身の回りで起こった様々な出来事が、全体として、何かのメッセージを伝えているように感じ、それに従うと良い結果になった。

無意識レベルのZPF交信で可能である。

前世の記憶

経験していないことを「以前こういうことがあった」と思う。

その個人がZPFにアクセスして他人の経験を知ったのである。

死者との交信

死者と話をする。

ZPFにアクセスできれば可能である。


6.宗教等での教えのZPF仮説との整合

宗教等

教え

ZPF仮説との関係

仏教

「唯識思想」では、我々の意識の奥には「末那識(まなしき)と呼ばれる意識の次元があり、さらにその奥には「阿頼耶識」と呼ばれる意識の次元がある。この「阿頼耶識」、この世界の過去の出来事のすべての結果であり、未来のすべての原因となる「種子」が眠っている

ZPF仮説と同じである。

 

「華厳経」では「一即多、多即一」と言っている。

「般若心経」では「色即是空、空即是色」と言っている。

 

ホログラム原理である。

世界(色)は真空(空)から生まれてきた。

 

「三界唯心所現」(我々の目の前の世界はすべて、我々の心を映し出した世界である)

 

「現実世界」を生きる「私」が、自分という存在が、実は「宇宙意識」であることに気が付いたとき、目の前の「現実世界」を変えていくことができる。

通夜や喪に服する習慣

 

個人の「自我意識」がまだ現実世界から離れていない(で淋しがっている)ので遺族が見守るのである。

成仏

 

死後、「自我意識」が消えて「至福の世界」に向かうこと。

「三途の川を渡る」(三途の川の水を飲むと生きているときの記憶をすべて忘れる。

同上

 

「極楽浄土」

死後の世界があることを示している。

「山川草木国土悉有仏性」すべてのものに「仏性」がある。

別掲「地球意識」を指す。

キリスト教

旧約聖書で天地創造を述べた部分で「神は『光あれ』と言われた」となっている。

「天国」

最初に光子が生まれたことを言っている。

死後の世界があることを示している。

イスラム教

「ジャンナ」

死後の世界があることを示している。

アニミズム

(自然崇拝)

自然そのものに「神」が宿るとする思想。

「八百万の神」

「自然」すなわち「地球」そのものに「意識」が宿っている、としている。

「地球意識」につながる。

 

古代インド哲学

「アーカーシャ」には宇宙誕生以来のすべての存在について、あらゆる情報が「記録」されている。

同上

ギリシャ神話

「レテの川を渡る。

「三途の川」と同じことが言われている。

チベット書

「チベット死者の書」

死者が「死後の世界」において、どのような体験を与えられ、それにどう処すればよいかを仔細に語っている。

死後の世界があることを示している。

 7.過去の偉人の発言のZPF仮説での説明

偉人名

主張・意見

ZPF仮説での説明

アインシュタイン

相対性理論

E=mc²、これはmという質量を持った物質がエネルギーへと変換されることを示した。

物質の本源は光子であることにつながる。

親鸞

「善人な表往生す。いわんや悪人をや」

死後の世界に差別はない。自我の精神から発する悪は存在しない。

レイモンド・カーツワイル

「シンギュラリティは近い」人類は、将来、脳内の情報をすべてコンピュータ内の人工知能に移植する技術「精神転送」を実現し、それによって、肉体は死を迎えても、意識は生き続けることが可能になる。

これはZPFのことを言っていることになる。

オルダス・ハクスリー(英国)

「永遠の哲学」において、キリスト教、仏教、イスラム教、ヒンズー教などの宗教を調べ、すべての宗教がその教義の根底にoneness(一つなるもの)を述べている、としている。

すべては一つであるという「全一性」を示す

ケン・ウィルバー

「無境界」の中で、自我意識が世界の中に様々な「境界」を設けている。自我意識が消えると「至福に満ちた世界」「愛一元の世界」がある、という。

ZPF説そのものである。」

ユング(スイス)

「ユング心理学」の中で「集合的無意識」という考えを提唱している。

すべての人々の無意識の世界が繋がった「人類共通の無意識の世界」がある、

トランスパーソナル心理学

「個を超えた無意識の世界」がある。

同上

アルネ・ネス(ノルウェー)

「ディープ・エコロジー」

すべての生命存在は、人間と同等の価値を持つ、とする。

死後、我々の意識は「超自我意識」になり、それは「人類意識」を超えて「地球意識」と呼ぶべきものに広がる。それは地球上のすべての存在の意識を包摂するものである。

ルース・ハリソン

「アニマル・マシーン」

アニマル・ウェルフェア(動物福祉)を訴えている。

ジェームズ・ラブロック(イギリス)

「地球生命圏 ガイアの科学」

地球そのものが「巨大な生命体」である、とする。

 

 

グレゴリーベイトソン(米国)

「精神の生態学」

「複雑なものには、命が宿る」「心とは、生きていることの証である」

(著者の解釈)

システム内部の相互連関性が高まってくると、自己組織化や創発という性質(生命的な性質)が生まれてくる。

8.不可思議な現象の研究書

研究者

研究書

内容

イアン・ステーヴンソン

「前世を記憶する子どもたち」

幼児が経験していないことを経験として語る事例集

ジム・タッカー

「リターン・トゥ・ライフ」

同上

9.ZPF仮説に対する疑問

疑問

ZPF仮説での説明

4次元の世界で未来も存在しているが、未来は決まっているのか

この世界は過去の延長で設定されているが、現在の行動によって変わる。

死後、死者と会えるのか

死後の世界は、すべての命が一元・一体なので誰とでも交流できる。

死後、生者と交流できるのか

生者がZPFを通じ呼んでくれれば交流できる。

 

本書を読み終えて、なお残る気持ちがあります。

現実世界を生きる現実自己が消滅して
深層世界で生きる深層自己に変わるとして、
それが自分の死ではない、と思えるのか?
それは自分とは関係のない存在であり、嬉しくもなんともない、
そういう気もします。

前掲の「不死の講義」の著者は、
自分としては第5の道、すなわちこの人生を楽しく有意義に過ごす道を望む、
と言っています。
同感です。
皆様はどうですか?

2 件のコメント:

向井淳彦 さんのコメント...

いつも貴重な情報を有難うございます。本件は大変く興味の尽きない話題ですので、じっくり読ませて頂きたいと思います。お仕事を続けながら、この様な作業をされていることに改めて大変敬意を表したいと思います。

上野 則男 さんのコメント...

向井さん

コメントありがとうございます。
このテーマについては、その後「再論」として米野さん、
「再々論」として藤井さんからの寄稿があります。
合わせてお読みくださいませ。