2022年4月18日月曜日

「危機感なき茹でガエル日本」経済同友会提言

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 経済同友会自作の「危機感なき茹でガエル日本」をご紹介します。
 「危機感なき茹でガエル日本」の実態を再確認しましょう。
ねらい:
 コロナ特別対応はおわりですから、これから本腰入れて
 脱「茹でガエル」に取り組まなければなりません。
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本テーマの対象書籍は、少し前の出版なのですが、
これからの日本にとって大事な提言ですので、
遅れ馳せですがご紹介します。

2019/3/16刊













本書の主張はこうです。
1)日本は敗戦時以上の危機状態になっているのにそれを自覚していない、
  そのことが最大の危機である、
2)ただちに国民全体がその危機を認識して行動を開始しないと
  日本は滅びるしかない。
3)その行動はこうすべきである(詳細記述あり)

1.危機は以下の3点
1)日本の財政危機
 年度国家予算の10年分の1000兆円の公的債務を抱えている。
 年間予算の4割の負債を積み増している。
 借金を返せる当てはない。問題の先送りである。

2)少子化・高齢化
 社会保障費の増大、働き手の減少による経済成長の制約

3)世界的環境変化の影響
 格差・貧困の拡大、資源・エネルギーの減少、地球温暖化、
 民族・宗教対立、など

2.日本没落の現状
1990年代前半にOECD加盟国中6位だった日本の1人当たりGDPは
2017年には17位まで低下し、
アメリカやドイツなどとの差は拡大傾向内にある。
(因みに2020年には20位に落ちています))

3.危機意識のない国民
そういう状態であるのに「国民生活に関する世論調査」(2018年6月)では、
「現在の生活に満足している日本人の割合」は74.7%に達している。
(これが茹でガエルです)

4.危機を痛切には感じていない原因の想定
以下を上げています。

1)戦後の成功体験
 かつての栄光の記憶から脱却できないでいる。
2)事なかれ主義 
 誰しも不都合な真実からは目を背けたい。
 「今さえ良ければ」「自分さえ良ければ」という事なかれ主義
3)多様な「個人」が活躍できる社会になっていない
 むしろ突出した言動を良しとしない風潮がある。

私は、もっと違う原因を考えています。
それは別項「茹でガエル日本の源流は縄文時代だ!!」で述べています。

5.危機を回避する対策
対策については、次の3軸で網羅的・具体的に提示されています。
本書の検討はシンクタンクには頼まずに自分たちで3年間かけて練り上げた
あるべき国家論なのです。
戦後100年となる2045年を目標として設定されています。
とても丁寧なご紹介はできませんので、
ご関心ある方は、ぜひ本書をご覧ください。

X軸:経済の豊かさの実現
Y軸:イノベーションによる未来の開拓
Z軸:社会の持続可能性の確保

Y軸に関しては以下の戦略が提示されています。
1)世界のトップ3に君臨できる産業分野・技術分野を明確化し育成する。
  情報技術、医療技術、環境技術領域がその鵜有力候補である。
  現実を直視し、日本企業にとってコントローラブルな領域で
  競争力の強化に注力する。
  DXに関連するプロジェクトに対しては
  投資対効果のような従来の投資判断の常識を捨て、大胆に資金を投入する。
  日本が世界のトップシェアを持つロボットやセンサーから取得するデータを
  活用できるBtoB領域において、
  プラットフォーマーを目指すことが可能であろう。

2)現状で日本が世界の後塵を拝している領域についてはキャッチアップする部分と、
  今後フロンティアを目指す部分をはっきり切り分け別の対策を講じる。

全般的に、ご尤もな意見が多くそのとおりであると思われます。

6.対策に対する行動
むすびでは、経済同友会の本書刊行時の代表幹事の小林喜光氏と
次期代表幹事の櫻田謙悟氏の対談で、「企業・経営者が行動しなければならない」
と述べられています。

たいへん結構なことなのですが、
その直後2020年からコロナ騒ぎが始まってしまい
地道な活動はすべて置き去りにされてしまいました。
これから、コロナ騒ぎが終息して、出直しです。
経済同友会の経営者の皆様は、
この提言時のようなエネルギ―を復活させることができるのでしょうか。

たいへん気がかりなところです。
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実は、茹でガエル日本の問題提起を本格的にされた元祖は
大前研一氏なのです。
この書籍は2003年5月に刊行されているのです。
それから、10数年経った2019年に
同じような問題提起をしなければならないのですから、
まさに「茹でガエル国家」なのです。


私は、日本が茹でガエルを脱却できるか、改善できる
大きな機会を逃したことが2度あったと考えています。
その一つは、
1989年に自民党総裁選(宇野内閣が2か月で退陣した後の選挙)で
石原慎太郎氏が総裁になり損ねたことです。
東京都知事の実績を見れば、もし実現していれば
「自民党をぶっ潰す」と発現した小泉総理よりも、
はるかに日本の強化・前進に貢献したでしょう。
(例:尖閣諸島の国有化)

もう一つの機会損失は、
大前研一氏が1995年の都知事選に落選したことです。
日本の選挙民は政策を評価しませんね。
申し訳ありませんが、
青島幸男氏ではなく大前研一氏が都知事になっていれば、
日本の中核都市東京は
まったく違った姿になっているのではないかと思います。
その点では、石原慎太郎都知事よりはるか上でしょう。

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