2019年7月8日月曜日

漁業法の改正ってご存じでしたか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 漁業法の改正内容を知っていただきます。
 個人に漁獲の上限割当をすると
  考えた漁獲をするインセンティブが働いた
  ことを知っていただきます。
ねらい:
 IQ制度は他にどういう例があるのでしょうか。
 そこでは、同じことが言えるのでしょう。 
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私も知りませんでしたが、
2018年12月8日に、漁業法がなんと70年ぶりに改正されたのです。


以下は、學士会会報2019Ⅳ号に掲載された
濱田弘潤新潟大学経済学部准教授の書かれた
「改正漁業法と個別漁獲割当(IQ)制度の意義」からのご紹介です。


今回の改正の主目的は、
1)適切な水産資源の管理
2)水産業の成長産業化
となっています。


まず水産業の現状を見ましょう。


生産量も漁業就業者数も激減していることが分かります。


改正内容は以下の4点です。
1)漁獲可能量(TAC)に基づく資源管理の実施
2)個別漁獲割当(IQ)制度の導入
  注:IQ=Indivisual Quata(個別割当)
3)養殖・沿岸漁業の漁場保全
4)漁業権制度の見直し


濱田氏が、2)のIQ制度の事例として紹介されている内容は
たいへん興味深いものです。


割当をするとそれに安住して努力をしないのかと思いましたら、
逆だったのです。


これは、一般の〇〇にも応用できる「原理」だと思われます。
その内容をご紹介します。
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佐渡赤泊地区えびかご漁のIQ制度
漁業法改正前に、県主導でIQ制度を導入した事例を紹介したい。
2011年に新潟県で、
佐渡赤泊地区のえびかご漁にIQ制度が導入された。


知事許可漁業で地元漁業者の合意に基づき、
沿岸・沖合漁業に導入する事例は、
佐渡赤泊地区の南蛮エビが初めての取組みである。


県を代表する食のブランドである
南蛮エビ(学名ホッコクアカエビ)の水揚げは、
1970年代をピークに減少傾向にあった。


新潟県では、資源量回復のため2010年に委員会を立ち上げ
2011年にIQ制度を実施した。


IQ制度導入の価格面での影響を要約すると以下のとおりである。


南蛮エビの大銘柄は出荷量が市場価格に影響する。
制度導入前後の大銘柄の平均単価を比較すると、
制度導入前と比べて、導入後1年目の平均単価は1割以上、
導入後3年めに2割近く上昇した。


単価上昇の理由の一つは、
これまで禁漁期だった夏季操業を
IQ制度導入後に一部認めたことにある。


漁業者に個別漁獲割当を与えずに禁漁期だけをなくすと、
単価の高い夏季に操業が集中し、
「オリンピック方式」が復活してしまう。
IQ制度は、各自の持つ漁獲枠を最大限活かし、
効率的操業を行うインセンティブを漁業者に与える。
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各人が、
自分の漁獲枠をどう使用すれば、収益が最大になるかを考え
行動するようになる、
つまり自己責任性の徹底が有効である、ということです。

2 件のコメント:

岩盛 熊悟朗 さんのコメント...

個人の自由を認める、いい試みですね。

上野 則男 さんのコメント...

クマゴロウさん

たくさん読んでいただいてありがとうございます。