2016年10月27日木曜日

ハート教授、ノーベル経済学賞の「不完備契約」とは?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「不完備契約」とはどういうことなのかを知っていただきます。
 当社での「不完備契約」の事例を知っていただきます。

ねらい:
 今後、「不完備契約」の言葉を使いましょう。
 
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今年のノーベル経済学賞を受賞された
ハーバード大学のオリバー・ハート教授の業績は、
「不完備契約」論です。

それは、こういうことだそうです。

契約書ですべてを具体的に決めるのは難しく、
予測不能なことが起きた際に
誰が対策を決めるのかが重要である。

現実論としてその考えは非常に有効です。
わが社が勧めている問題解決の方法は、
「不完備契約」を知っていたわけではありませんが、
まさにそういう考え方に立っています。

例として、
要件定義段階での不備対応を
以下のようにすべきであるとしています。

もともと、システム開発の要件定義は時間があまりとれないことと、
何を決めればよいのか、ということが明確でないことによって、
頻繁にもめ事を起こしています。

そこで要件定義は不完全だという前提で、
不備はどのような場で、未決事項を捌くかを明示するように、
という指導をさせていただいています。

要件定義未完了の場合の対応法
(図1 クリックすると拡大します)




もう一つの例を挙げます。
これは要件定義段階で最も重要な
「そのシステムは何のために作るのか」を示す「目的・ねらい」
が不明確な場合の例です。


この場合は判断対応を3段階(3階層)で行うようにしています。
 現場レベル
 マネージャレベル
 意思決定層レベル


(図2 クリックすると拡大します)


このくらいのことを想定していないと、
難しい案件は回りません。


このような課題対応方法が不備だと、
頻発している訴訟にまで発展してしまうことになります
(2016年10月13日号の日経コンピュータ特集では、
11件の訴訟事件が取り上げられています)。


日本は「契約社会」ではありませんので、
あまりギリギリ契約で決めるということをしません。
「何かあったら相談して決めましょう」
的な雰囲気で契約がされています。


相談をするのはよいのですが、
その相談方法を準備していないと、
一方的に押し切られたり、
ズルズル決まらないで損害を大きくする、
という状況になっているのです。


「不完備契約」の考え方は、
現実論として非常に有効です。



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