【このテーマの目的・ねらい】
目的:
人類は今でも進化しているという証拠を知っていただきます。
ほとんどの人間はミルクを消化する酵素を持っていない、
ことを知っていただきます!!
人類はどこから来たかについてさらに関心を持っていただきます。
生物進化学はどんな研究をしているのか知っていただきます。
ねらい:
いろいろ考えてみましょう!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本稿は、
専門が進化生物学のマーリーン・ズックという
ミネソタ大学教授(女性)の著書の紹介です。
この本のテーマは、興味深く刺激に富むものなのですが、
私が苦手な人文科学系の要素もあり300ページの読破は
たいへんでした。
人間は進化の結果、現在の姿があることは誰でも知っていることですが、
内実でどのような進化が行われているのかは、
あまり知られていません。
現人類を含むヒト科の動物のスタートは、
600万年前なのですが、現人類のホモサピエンスまで
何系統かの属が認定されています。
しかしそれらが進化して、
ホモサピエンスになったということにはなっていません。
ホモサピエンスに最も近い時代に生息していた
ネアンデルタール人は、絶滅したのです。
ただし、ホモサピエンスとの交配も行われ
一部地域の現人類には
ネアンデルタール人固有のDNAが入っていることが
最近の研究で分かって来ています。
考古学では、
いつ頃、その生物が存在していたかは解明できますが、
その間の関係は明らかにすることができません。
伝統的考古学の研究手段は以下のとおりです。
1)人骨
2)動物の遺骨
3)道具の遺品(石、金属、木)
4)文字・文書
これに遺伝子(DNA)という強力な武器が加わって
対象者間(ヒトとネアンデルタール人)の関係の有無が
解明できるようになったのです。
いずれヒト科の人類の相互関係が分かるのかもしれません。
いずれにしても、滅びた種があったことは確かです。
なぜ滅びたのかは興味津々ですが、
そういう証拠は出てこないでしょうね。
近世になってからの人種の消滅は、
相互の武力差による征服が原因です。
アメリカインディアン、オーストラリアのアポリジニ、日本のアイヌ、
ここではほとんど混血は生まれていないようです。
外見だけでなく言葉も違えば交流は起きにくいのでしょう。
そもそも、ホモサピエンスの源流から
各地の人種が派生したのは環境順応なのでしょうが、
何万年・何千年も続くとこれだけ違う外見になるのですね。
肌の色(強い紫外線を避けるために黒くなる)
顔の形(寒い地域では表面積が小さくなるように扁平な顔になる)
は推定されている原因があります。
それだけでなく、東南アジア人でも何系かという特色があります。
すべて何らかの理由があるのでしょうが解明されていません。
ホモサピエンスとネアンデルタール人の交流関係は
どうなっているのでしょう。
興味深いところです。
本書によれば、進化には以下の種類があるそうです。
進化とは、
ある遺伝子の頻度、あるいは個体群における頻度が変化すること、
例えば、
10匹のハムスターのうち3匹がひげを動かせる遺伝子を持っていたのが
6匹になる、という場合である。
進化が起きるメカニズムは4つある。
1)遺伝子浮動
偶然の出来事でいずれかの能力を持っていた種の多くが死ぬ場合。
2)遺伝子流動
特定の遺伝子を持ったものが移動をして遺伝子を他に広める場合。
3)突然変異
環境や体内での不調の結果により遺伝子が変化する場合。
4)自然選択
環境に適した特性が増加する場合
負の選択:有害な突然変異が遺伝子から除かれる
正の選択:以前はなかった新しい遺伝子や
数が少なかった有益な遺伝子を増やす
おそらく、ネアンデルタール人は
気候・温度変化やそれに関連した食生物の変化
に適応できなかったのでしょう。
今後あらためて研究してみます。
本書の本題ですが、
著者の功績は、
進化は従来考えられていたように時間がかかるものではなく
短期間で起きることを証明したことです。
著者は、2003年にハワイのカウアイ島で
鳴かなくなったコオロギを発見したのです。
コオロギ自体は150年前くらいにこの島に持ち込まれて生息していた。
ところが、この島にはコオロギの鳴き声を聞きつけて
そこに寄生するハエが住んでいた。
このハエはコオロギの体に穴をあけてもぐりこみ
相手の体を生きたまま食べて成長する。
1週間ほどでコオロギは死んでしまいハエのウジが誕生する。
たいへんな天敵です。
このコオロギに突然変異が起き、
オスが鳴かなくなったのです。
5年ほどで鳴かないオスばかりになりました。
たいへんな進化です。
著者は他の学説に対して的確な疑問を呈しています。
それにならって
私もこのコオロギの突然変異(遺伝子の変化)が起きた
ということに対して疑問を呈します。
もともと鳴かないオスの遺伝子も存在していたのではないか、
たまたまそのオスは優勢でなかっただけだったのが、
この件で優勢になったということは言えないのでしょうか。
現存するコオロギの遺伝子を調べればそのことは分かるでしょう。
調べてあるのかしら?
本題に戻ります。
ところが問題発生です。
オスが鳴くのはそれによってメスを引き寄せるためです。
オスが鳴かなくなったらメスは行き場所が分かりません。
著者たちの観察によると、まだ鳴くオスもいたので、
鳴かないオスは鳴くオスのそばにいてメスにありついていたのです。
しかし、鳴くオスが絶滅すると
この島のコオロギも絶滅ですね。
種の維持にとっては、
個体の維持本能よりも種の維持本能の方が強い
というのが生物学の教義です。
個体を犠牲にして種を守る行動は動物の世界でよく見られています。
ご存じですか?
女王蜂を中心にした蜂の世界
ライオンの襲撃から円陣になって守るシマウマの世界
ある種のクモやカマキリのオスは交尾の最中にメスに食べられてしまう。
(メスに栄養を与えて元気な子を作ることが種の維持につながる)
人間は食とセックスはどちらが大事なのでしょう?
この教義からするとこの島のコオロギの自然選択は
個体の維持を優先していますから誤っているのです。
寄生バエを受け付けない変異が生まれればよかったのです。
この他、
ガラパゴスフィンチ、グッピー、ヒキガエル、それを捕食するヘビ
漁獲される魚類などが、
環境変化に対応して数世代で変化していく例が紹介されています。
興味深い人間の例も紹介されています。
1.ミルク消化能力
本来の成人はお乳(ミルク)を消化する機能を持っていないが、
地域によってそれが可能となった人類がある、のだそうです。
その「進化」が起きたという発見よりも、
そもそものことがビックリです。
私は毎日牛乳を飲んでいますが、それを消化することができないのなら
何と無駄なことをしたのだろう、と思います。
ミルクにはラクトース(乳糖)と呼ばれる糖が含まれていて
その消化にはラクターゼという酵素を必要とする。
このラクターゼは小腸で生産されるが、
離乳直後に生産が止まるのです。
ということはミルクの消化能力がなくなる
ということなのです。
なぜ、離乳直後に消化不能になるのでしょうか。
必要でなくなるからというような消極的な理由であるとは考えられません。
害がないのならそのままでもよいからです。
やめる積極的理由があるはずです。
これは私の推定ですが、
男が母親のミルクを吸って生存の糧にするようなことがあると、
弱い乳児は生きられません。
よくできていますね。
授乳に関連して過去に私が感心した知識があります、
授乳することによって母親の産道が引き締まっていくのだそうです。
したがって、母乳の出ない母親はそういう機会に恵まれません。
原始の時代には母乳が出ない=育児ができない=種にとって存在価値がない
=男が相手にしない=子供ができない
というサイクルが回って、
母乳が出ない女性は少数になっていった(退化した)ようです
(このことはあまりおおげさに公表はされていません)。
ミルクの消化能力の点の進化は、世界人口の3分の1に発生し、
北ヨーロッパ(特にスカンジナビア半島)、アフリカおよび中東の一部だけ
に起きています。
アジアの国は含まれていません。
推定では牧畜をしている人種に発生した進化だと想定されています。
砂漠ではミルクは汚れていない貴重な水分なのです。
因みに、北ヨーロッパとアフリカ近辺の遺伝子変異は
別の時期にたまたま同じことが発生した珍しい例のようです。
2.高地生活順応
チベットの高地(3千メートル以上)に住む先住民は高山病になりません。
その遺伝子が解明されています。
通常は酸素濃度が低いと赤血球が運ぶヘモグロビンが増える、
しかしヘモグロビンが増えると血流が停滞して障害を起こす。
ところが、チベット人の場合は
酸素濃度が低くなってもヘモグロビンは増えずに
代りに速い呼吸で補っている、
のです。
チベット人が高地に住むようになったのが数千年前ですから、
遺伝子の変化がそのくらい最近に起きている、ということです。
実は高地に住むのは、アンデスにもあり、
こちらは1万1千年前ですが、
そちらの低酸素対応方法は、チベット方式とは異なり
ヘモグロビンが増えても血流停滞を起こさない方式だそうです。
人間が対応方式を考えるのではないので、
目的に合致したいろいろな方式ができるのですね。
その他、青い目はせいぜい6000年~1万円前の間に
染色体のランダムな変化によって起きた 最近の進化の事例
なのだそうです。
なぜ青いのがよいのかの解説はありません。
そもそも本書執筆のきっかけの一つは、
「人類の歴史は10万年、このほとんどが狩猟・採集生活で、
農耕生活はほんの数千年に過ぎず、
したがって人間の身体は狩猟・採集民族のままだ、
それなのに穀物中心の生活をするから不健康になる、
狩猟採集生活に戻るべきだ」
という「パレオ」主義者の主張への反論です。
パレオ とは 「パレオリシック (旧石器時代)」 の略で
パレオ主義は狩猟採集時代の生活に戻ろうという主張です。
著者の反論は
「人類は進化して農耕生活に順応できるようになっている。
狩猟採集生活のどこがよいのですか?
進化には終わりはない、今も人間は進化している」
ということなのです。
セックスの習性
この点についても1章を割いています。
過去の人類の生活がどうであったのかの研究手法は
考古学的アプローチでは不可能です。
せいぜいどんな道具を使って何を捉まえていたかしか分かりません。
それで、以下の方法で補っています。
1)類人猿や他の動物の習性
2)現在も原始生活を送っている人種の生活
他の動物や類人猿との対比は参考にはなりますが、
決めてに欠けます。
チンパンジーとボノボは乱婚
ゴリラは一夫多妻
オランウータンは雌雄とも一生涯単独で行動
人間は最も枝分かれが最後のチンパンジーに近い
のではないか、と考えることは参考になりますかしら?
生物学的には
オスの大きな種は一夫多妻だそうです。
ゴリラのオスはメスの2倍、オランウータンもそのくらい。
一夫一妻のテナガザルは雌雄同じ大きさ
ブラジルに棲むムリキは雌雄同じ大きさだが乱婚
その点からすると人間は
多少男が大きいの程度なので、
一夫多妻の時期は少しはあった程度であろう
としている学者が多いのだそうです。
このテーマでは、もう一つの考えが提示されています。
指の長さです。
男性の指は人差し指が薬指よりも短いことが多く、
女性の場合は、どちらも同じくらいか人差し指が少し長いのです
(知りませんでした)。
類人猿たちの人指し指の比率をみると、
テナガザルは 1.009
チンパンジーは 0.901
現在の人間は 0.957
チンパンジーは乱婚、
テナガザルは一夫一妻性
ということからこの指の比率が男性の強さを表すと考えられている。
その理由は、胎児がお腹にいるときに男性ホルモン(射精)の影響を
どれだけ受けるかで男性性が強くなるかが決まるのだと
考えられているのです。
セックステーマでは、これらの学問の結論は説得力に欠けますね。
まだまだいろいろなことが論じられています。
章立ては以下のとおりです。
序文 速い進化と遅い進化
第1章 マンションに住む原始人
第2章 農業は呪いか、祝福か
第3章 私たちの眼前で生じる進化
第4章 ミルクは人類にとって害毒か
第5章 原始人の食卓
第6章 石器時代エクササイズ
第7章 石器時代の愛とセックス
第8章 家族はいつできたのか
第9章 病気と健康の進化論
第10章 私たちは今でも進化しているのか
しかし著者は 博識すぎるために、引用がすごく多く
また脱線が多くて話の筋が分かりにくくなっている面もあります。
そういう点では生物学だから自然科学なのでしょうが、
著書は完全に人文科学的です。
もっと明快な構成・主張にしていただけたら良かった、と思います。
しかしおそらくありとあらゆる進化生物学のテーマに触れていますので、
本書は進化生物学事典といってもよいような内容です。
このテーマに興味のある方は是非ご一読ください。
ご参考までに
第6章と第10章の見出しを以下に示します。
これらの項目の表現に著者の優れたセンスが伺えます。
たいへん興味をそそられますが流れは読めません。
第6章 石器時代エクササイズ
積み重ねた石を運ぶ
座るのは堕落だ
肥満はなぜ進化で淘汰されなかったのか
糖尿病と倹約遺伝子
動かないことは危険信号
ジョギングは健康に悪い
団体スポーツは石器時代向き?
人間は走るようにできているのか
人類はマラソンの優勝者
史上最高の空冷エンジン
賢く走る「耐久ハンティング」
経験を積めば持久走は上達する
マラソン嫌いが存在する理由
マラソンは現代の悪習か
初期人類は待ち伏せ型
ランナーが怪我をする理由
裸足で走るテクニック
運動能力を司る遺伝子
五輪選手向きの遺伝子はあるか
第10章 私たちは今でも進化しているのか
ワニが菜食主義者になる日
弱肉強食の掟に反する?
文化も自然選択の一つ
進化が起きるメカニズム(注:こんなところに基本論があるのです)
自然選択は今も起きているのか
身近で起きている進化
太り気味だが低血圧
低下した出産年齢
最速の進化をとげたチベット人
高地に順応した遺伝子
自然選択の実例
自然選択を検知する方法
さまざまな反論
耳あかには二つのタイプがある
進化の急流に流される
進化自体を過去のものとするパレオファンタジー
人間は進化の最終形ではない
進化の最終形は何だと思われますか?
寿命のI延長よりもピンピンコロリでしょうね。
ですからまだまだ進化の余地があるのです。
まとめ
著者の主張の要約は以下のことなのでしょう。
人間もまだまだ進化している。
その例は、ミルク消化能力と高地生活順応である。
動物の世界ではもっと高スピードでの進化が見られる。
人類は狩猟採集時代が長かったが、
その後の農耕生活にも順応しているはずである。
最後にに著者の「ユニークな」文書スタイルの例をご紹介します。
ガラバゴス・フィンチのくちばし
詩人のロビンソン・ジェファーズは、 1936年に発表した
『ワシのくちばし』という詩の中で、
「ワシのくちばしが一万年前から変わらないのと同じように、
人の欲求と本質も、実は昔と変わらないことを知るべきだ」と、
殊勝ぶって忠告している。
フィンチが″急速な進化の殿堂入り″をしたことを考えると、
ジェフアーズが詩の題材としてフィンチ
(スズメ目フウキンチョウ科の鳥)ではなくワシを選んだのは、
おそらく正解だった。
もちろんワシのくちばしが昔から変わっていないかどうかは
正確にはわからないのだから、
「人の欲求と本質」云々もすべて怪しいということになる。
けれども、少なくとも南アメリカの沖合に浮かぶ
ガラパゴス島のフィンチについては、この数十年間で
くちばしだけでなく体の他の部分も変化してきたことが
はっきりしている。
2016年10月1日土曜日
2016年9月1日木曜日
今年のオリンピックの好成績の評価は?
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
ご参考までに、
オリンピックの成績と、その選手たちの育った時代背景に
相関があるという4年前の仮説を確認いただきます。
ねらい:
仮説を立てる楽しみをご経験ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨日、わが旧友二木英徳さんが、長年会長をしておられる
日本体操協会の祝勝会がありました。
活躍した主力選手がすべて参加していました。
前回の「残念会」を挽回したということで、
会場はお祝い一色に包まれていました。
マスコミ等ではさっぱり評価されていませんが、
二木会長のたいへんな尽力に深甚なる経緯を表したいと思います。
日本全体として、なぜ過去最高のメダル数になったのか
の一因を分析してみました。
と言いましても4年前に立てた仮説の追認なのです。
4年前の当ブログに以下の記述があります。
日本は
これでいくと、
日本は2007年から11年はその前よりも低迷感が強いですから、
この好成績は当然ということになります。
ヒニク者は、
全面的に喜んで良いことなのかどうか、と思ってしまいますね。
当時のこのブログをみてこういう批判をする方がいました。
「現場の努力が大事だ、それを無視する空論だ」
これは行き違いです。
私は日本体操協会のような
現場の努力を無視するわけではありません。
物事の見方にはいろいろあって「三つの目」ということが言われます。
「蟻の目、鳥の目、魚の目」です。
現場を見るのは蟻の目でこれは基本です。
しかし、上から全体を見る鳥の目も大事で、
さらに時間の流れで物事を見る魚の目も重要です。
このオリンピックの仮説は、魚の目ということなのです。
鳥の目を合わせて大局観ということですね。
以下は2012年9月12日の当ブログです。
http://uenorio.blogspot.jp/2012/09/blog-post.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は当ブログの
「ロンドンオリンピックの成果は立派なものだったのでしょうか」で
オリンピックの獲得メダル数と中心となる選手層が10代の時
(オリンピック開催年の10年前)の日本の経済状況には相関がある、
すなわち、その時日本の産業が活況を呈していると、
スポーツを目指す人が少なくなり、
オリンピックの成績が不振となる、という仮説を開陳しました。
岡本さんは、以下の表のように、
この仮説を戦後のすべてのオリンピックについて検証してくださいました。
力作です。
概ね私の仮説は当っているということのようです。
ご覧ください。
ーーーーーーーーー
私の大学時代の級友岡本正之さんから、
以下のメールをいただきました。
私は当ブログの
「ロンドンオリンピックの成果は立派なものだったのでしょうか」で
オリンピックの獲得メダル数と中心となる選手層が10代の時
(オリンピック開催年の10年前)の日本の経済状況には相関がある、
すなわち、その時日本の産業が活況を呈していると、
スポーツを目指す人が少なくなり、
オリンピックの成績が不振となる、という仮説を開陳しました。
岡本さんは、以下の表のように、
この仮説を戦後のすべてのオリンピックについて検証してくださいました。
力作です。
概ね私の仮説は当っているということのようです。
ご覧ください。
以下、岡本正之さんの寄稿
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
関連や如何に”、と思って、一寸遊んでみました。
(こういう見方や指摘をする人は、先ずいない!)

(注)
・1970年頃までの国内好景気は、選手にとって、
・ オイルショックを経て、75年以後の安定期末期の
1987から90年までの4年間の「バブル景気」
の影響が非常に大きく、選手を甘やかしたか?
・ バブル景気以後の、「20年間の経済の低迷」が
日本の若い人たちのハングリー精神、
ガンバリズムを呼び覚まして、
皮肉にも、好成績に繋がった?
・今の低迷期が今後も続くと思われるが、
その影響はどうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上記の表のリオの欄は、
個数=41個、コメント=過去最高、
その時代の経済情況=ますます低迷感強し、です。
残念ながら、予測どおりということになりました。
目的:
ご参考までに、
オリンピックの成績と、その選手たちの育った時代背景に
相関があるという4年前の仮説を確認いただきます。
ねらい:
仮説を立てる楽しみをご経験ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨日、わが旧友二木英徳さんが、長年会長をしておられる
日本体操協会の祝勝会がありました。
活躍した主力選手がすべて参加していました。
前回の「残念会」を挽回したということで、
会場はお祝い一色に包まれていました。
マスコミ等ではさっぱり評価されていませんが、
二木会長のたいへんな尽力に深甚なる経緯を表したいと思います。
日本全体として、なぜ過去最高のメダル数になったのか
の一因を分析してみました。
と言いましても4年前に立てた仮説の追認なのです。
4年前の当ブログに以下の記述があります。
日本は
これでいくと、
日本は2007年から11年はその前よりも低迷感が強いですから、
この好成績は当然ということになります。
ヒニク者は、
全面的に喜んで良いことなのかどうか、と思ってしまいますね。
当時のこのブログをみてこういう批判をする方がいました。
「現場の努力が大事だ、それを無視する空論だ」
これは行き違いです。
私は日本体操協会のような
現場の努力を無視するわけではありません。
物事の見方にはいろいろあって「三つの目」ということが言われます。
「蟻の目、鳥の目、魚の目」です。
現場を見るのは蟻の目でこれは基本です。
しかし、上から全体を見る鳥の目も大事で、
さらに時間の流れで物事を見る魚の目も重要です。
このオリンピックの仮説は、魚の目ということなのです。
鳥の目を合わせて大局観ということですね。
以下は2012年9月12日の当ブログです。
http://uenorio.blogspot.jp/2012/09/blog-post.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は当ブログの
「ロンドンオリンピックの成果は立派なものだったのでしょうか」で
オリンピックの獲得メダル数と中心となる選手層が10代の時
(オリンピック開催年の10年前)の日本の経済状況には相関がある、
すなわち、その時日本の産業が活況を呈していると、
スポーツを目指す人が少なくなり、
オリンピックの成績が不振となる、という仮説を開陳しました。
岡本さんは、以下の表のように、
この仮説を戦後のすべてのオリンピックについて検証してくださいました。
力作です。
概ね私の仮説は当っているということのようです。
ご覧ください。
ーーーーーーーーー
私の大学時代の級友岡本正之さんから、
以下のメールをいただきました。
私は当ブログの
「ロンドンオリンピックの成果は立派なものだったのでしょうか」で
オリンピックの獲得メダル数と中心となる選手層が10代の時
(オリンピック開催年の10年前)の日本の経済状況には相関がある、
すなわち、その時日本の産業が活況を呈していると、
スポーツを目指す人が少なくなり、
オリンピックの成績が不振となる、という仮説を開陳しました。
岡本さんは、以下の表のように、
この仮説を戦後のすべてのオリンピックについて検証してくださいました。
力作です。
概ね私の仮説は当っているということのようです。
ご覧ください。
以下、岡本正之さんの寄稿
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今月の「ロンドン・オリンピックの成果・・・」に触発されて、
”選手が育った時代(経済環境)と成績(メダル数)との関連や如何に”、と思って、一寸遊んでみました。
結果は添付の通りで、アテネの時と同様、貴殿の言われる
指摘がかなり当たっている!ことに、感じ入りました。(こういう見方や指摘をする人は、先ずいない!)
なお、資料は、「図録:経済成長率の推移(日本)」と
「図録:生活の向上感の推移」 に依りました。
(注)
・1970年頃までの国内好景気は、選手にとって、
後押しをしてくれた良い環境であったか?
・ オイルショックを経て、75年以後の安定期末期の
1987から90年までの4年間の「バブル景気」
の影響が非常に大きく、選手を甘やかしたか?
・ バブル景気以後の、「20年間の経済の低迷」が
日本の若い人たちのハングリー精神、
ガンバリズムを呼び覚まして、
皮肉にも、好成績に繋がった?
・今の低迷期が今後も続くと思われるが、
その影響はどうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上記の表のリオの欄は、
個数=41個、コメント=過去最高、
その時代の経済情況=ますます低迷感強し、です。
残念ながら、予測どおりということになりました。
2016年8月31日水曜日
高畑 裕太氏の犯罪報道
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
この件の真実は闇でしょう。
ねらい:
そうなるでしょうね。
-----------------------------
高畑 裕太氏が宿泊ホテルで、
従業員に対して強姦致傷を行ったということで逮捕されました。
この件は母親が有名女優だったこともあり、
興味本位の報道となりました。
強姦致傷という言葉は初めの頃、出ていましたが
その後、正式な罪名になったかどうかの報道はありません。
私は、「その経験があるわけではありませんが」
強姦は未遂だと推定します。
女性が断固拒絶したら、
刃物等で命の危険があることを感じさせない限り、
できるものではありません。
もし成就しているなら、
女性側にも受け入れる気があったということになり、
強姦罪は成立しません。
部屋に引き入れるときに腕を強くつかんでそれが「致傷」となっていますが、
罪名はそれだけでしょう。
ことの性質上、
その行為の詳細は女性の名誉のためにも公表されないでしょうから、
この件は自然消滅ですね。
おそらく、今回はばれてしまいましたが、こういうことは氷山の一角で
本当は成就している件が、100倍もあるのではないでしょうか。
高畑裕太氏がドジだったということです。
また、この件では、母親が謝罪したりしていますが、
道義的責任はあるかもしれませんが、
騒がれすぎですね。気の毒です。
母親の息子に対する愛というのは無限でしょうけれど、
それとこれとは別でしょう。
マスコミ報道の
ゲスな興味本位のいやらしさを感じました。
目的:
この件の真実は闇でしょう。
ねらい:
そうなるでしょうね。
-----------------------------
高畑 裕太氏が宿泊ホテルで、
従業員に対して強姦致傷を行ったということで逮捕されました。
この件は母親が有名女優だったこともあり、
興味本位の報道となりました。
強姦致傷という言葉は初めの頃、出ていましたが
その後、正式な罪名になったかどうかの報道はありません。
私は、「その経験があるわけではありませんが」
強姦は未遂だと推定します。
女性が断固拒絶したら、
刃物等で命の危険があることを感じさせない限り、
できるものではありません。
もし成就しているなら、
女性側にも受け入れる気があったということになり、
強姦罪は成立しません。
部屋に引き入れるときに腕を強くつかんでそれが「致傷」となっていますが、
罪名はそれだけでしょう。
ことの性質上、
その行為の詳細は女性の名誉のためにも公表されないでしょうから、
この件は自然消滅ですね。
おそらく、今回はばれてしまいましたが、こういうことは氷山の一角で
本当は成就している件が、100倍もあるのではないでしょうか。
高畑裕太氏がドジだったということです。
また、この件では、母親が謝罪したりしていますが、
道義的責任はあるかもしれませんが、
騒がれすぎですね。気の毒です。
母親の息子に対する愛というのは無限でしょうけれど、
それとこれとは別でしょう。
マスコミ報道の
ゲスな興味本位のいやらしさを感じました。
「ウソはばれる」――マーケティングのパラダイムチェンジ
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
現在起きているマーケティングのパラダイムチェンジ
について知っていただきます。
世の中の流れを見るとはどういうことかを感じていただけるのでは?
ねらい:
マーケティングに関心のある方はぜひこの本をお読みください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ウソはばれる」は、
イタマール・サイモンソンというスタンフォード大学ビジネススクール
のマーケテイングの教授と
エマニュエル・ローゼンというマーケティングの実務家が書いた著書の
日本語名です。
原題はAbsolute Value(絶対価値)で、
このえげつないけれども的を射たタイトルをつけたのは
出版社であるダイヤモンド社でしょう。
イタマール教授は、
これまで従来型のマーケティングの論客だったのが、
「もうそれは時代遅れ」と言っているのですから
説得力があります。
この本は最近私が読んだ本の中で、
秀逸に論旨が明快です。
すべての主張に、番号を付けた根拠が示されています。
まず、序文で「これまでのマーケティングの5つの常識」
は時代遅れであると断定しています。
------- その5つとは以下のとおりです。 ---------------------
「企業のブランドは今まで以上に重要である」
「ロイヤルティを築くことがマーケターの日々の大事な仕事」
「顧客はみんな不合理だ」
「過剰な選択肢は人々を麻痺させることがある」
「ポジショニングこそマークティングの最重要課題」
-----------------------------------------------------------------------------
そのすべてに解説が付いています。
その基本的な理由は、
消費者がネットで豊富な情報を入手できるようになったからです。
商品・サービスの提供者からの情報は胡散臭いのです。
商品・サービス提供者が、
きれいごとを並べて消費者を「ダマシても」
ネットで流れる消費者の情報でその「ウソはばれる」というのが
当書名のゆえんです。
著者は、消費者が購入するに際しての判断情報は、
以下の三つであるとしています。
この三つの組み合わせを「影響力ミックス」と称しています。
商品やサービスの種類によって、
あるいは個人の思考によってこのバランスは異なります。
ブランドがステータス・シンボルになる嗜好品の場合は、
Pで決まります。
この場合、従来型マーケティングが通じます。
最近は、ネットによって0の情報が入手しやすくなったので、
胡散臭いMよりも0が重要になったというのです。
以下に、
影響力ミックスについての解説を引用させていただきます。
あなたの顧客の影響力ミックスを割り出してみよう
--ヒントになる7つの視点ーー
マーケターは自分の顧客の現在と将来の影響カミックスを
理解しておく必要がある。
影響カミックスとは、顧客の購入判断にとつて、P、0、Mが
それぞれどのくらいの割合で重要かを指す。
これは製品カテゴリー、願客の特徴
(もちろん顧客セグメントによって異なる)、
ブランドのポジショニングに応じて変わってくる。
影響カミックスは、P、0、Mの3つの情報源の占めるウェイトが
時間とともにどう変化していくか、
それに応じてマークティング予算をどこにどれだけ投じるべきかを
分析するためのフレームワークである。
別の言い方をすれば、影響カミックスはあなたの製品にとって
絶対価値がどれくらい重要かを理解するためのツールだ。
その結果いかんで、従来型マーケティング・フレームワークを
用いるべきなのか、まったく新しい考え方を
採り入れるべきなのかが決まるだろう。
そのためにはこんな疑間について考える必要がある。
現在、顧客は購入を判断するときに、
どれくらい0(具体的な0の種類や要素)に頼っているのか?
将来的には? これは「はい/いいえ」の疑間ではないので、
答えは度合いで表すことになる。
本書で説明しているトレンドがあなたに当てはまるかどうかは、
あなたの顧客がPとM以外の情報源を
どれくらい使っているかで決まる。
あなたの顧客が右端の「Oに依存する」に近ければ近いほど、
本書でお話ししているトレンドは
あなたにとって重要、ということになる。
あなたが左端のまったく「0に依存しない」分野でビジネスを
行っているとしたら、ほとんどの顧客は購入を判断するときに
0にまったく頼らず、0からの情報に触れたとしても、
その情報に惑わされない、ということになる。
たとえば、あなたがハンガーを販売しているなら、
顧客は左端の「0に依存しない」領域あたりに位置する。
一方、反対側の「0に依存する」領域にいるのは、
製品やサービスの購入を判断するときにOの影響を
受けやすい顧客だ。
たとえば、フェイスブックのようなSNSサイトに
加入するかどうかは、ほかの人々(0)に大きく左右される。
そもそもフェイスブックはほかの人々と交流するための
サービスなのだから。ほとんどの企業にとって、
顧客は2つの極端な例のあいだのどこかに位置することになる。
顧客が先ほどのバーのどのあたりに位置するかを決定づける
一般的な要因を7つ挙げておこう。
7つの視点は以下のとおりです。
1)意思決定の重要性 どうでもよいことかどうか
2)質の重要性と質の差 似たようなものかどうか
3)リスクと不確実性 リスクがあると人の意見を聞く
4)そのカテゴリーの変化のスピード 早い場合も人だのみ
5)Oの有用性 Pで決まるものは?
6)ネットワーク効果 みんなが使っているものは無難
7)みんなの前で使う製品 みんなの評価を気にする
なるほど、です。
本題の「絶対価値」というのは、
自分がそれを使って感じる価値ということです。
私たちは「絶対価値」という言葉を、
消費者の体験する製品の質という意味で使っている。
たとえば、レストランでの体験、本を読んだときの楽しさ
(または退屈さ)、かみそりの切れ味、ヘッドホンの聞き心地、
またはカメラの利用価値といった風に。
つまりカメラの「絶対価値」とは、
その技術的仕様や信頼性だけでなく、
そのカメラを所有する感覚や実際の使い心地をも指している。
それに対して相対価値は、
ブランドや宣伝を信じて購入するときの価値観ということのようです。
(明確な定義はありません)
以下についても明快な解説があります。
絶対価値への4つの疑問に答える
情報化社会でブランドが衰退する理由
情報過多で消費者は混乱するのウソ
要約すると、ネットワークの発展により、
SNSなどの口コミ情報や比較サイトの情報によって
消費者が自分で判断するようになってきていて、
今後ますますそうなっていく、ということなのです。
したがって、冒頭の従来型マーケティングは
どんどん活躍の場が狭められていく、ということになります。
従来型、今も主流のマーケテイング手法は
いかに消費者の望むものを見つけ出して相手に提示するかです。
アマゾンが、「この本を買うならこれもいかがですか」とか、
スマホに「ここにいるなら、こんな良い場所がありますよ」とかです。
これらの従来型のマーケティングは「プッシュ型」です。
「売らんかな」です。
上の二つの例は、少しは知恵を出していますが
「これはどうですか」に変わりはありません。
8月18日号の日経コンピュータの特集は、
「今こそデジタルマーケティング」と称して、
その手法を紹介していますが
その大半が「プッシュ型のマーケティング」です。
著者たちが「もう終わるよ」と言っている手法です。
新しいマーケティングは「プル型」です。
「いいものはそれを欲しい人のところに流れていく」
ということなのです。
なお、
「プッシュ型マーケティングからプル型マーケティングへの
パラダイムチェンジ」
という言い方は上野の発案です。
わが社の製品・サービスも
「どうやったら売れるのだろうか」と考えているようではだめだ、
と悟りました。
しかし、プル型になるまではたいへんですね!
目的:
現在起きているマーケティングのパラダイムチェンジ
について知っていただきます。
世の中の流れを見るとはどういうことかを感じていただけるのでは?
ねらい:
マーケティングに関心のある方はぜひこの本をお読みください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ウソはばれる」は、
イタマール・サイモンソンというスタンフォード大学ビジネススクール
のマーケテイングの教授と
エマニュエル・ローゼンというマーケティングの実務家が書いた著書の
日本語名です。
原題はAbsolute Value(絶対価値)で、
このえげつないけれども的を射たタイトルをつけたのは
出版社であるダイヤモンド社でしょう。
イタマール教授は、
これまで従来型のマーケティングの論客だったのが、
「もうそれは時代遅れ」と言っているのですから
説得力があります。
この本は最近私が読んだ本の中で、
秀逸に論旨が明快です。
すべての主張に、番号を付けた根拠が示されています。
まず、序文で「これまでのマーケティングの5つの常識」
は時代遅れであると断定しています。
------- その5つとは以下のとおりです。 ---------------------
「企業のブランドは今まで以上に重要である」
「ロイヤルティを築くことがマーケターの日々の大事な仕事」
「顧客はみんな不合理だ」
「過剰な選択肢は人々を麻痺させることがある」
「ポジショニングこそマークティングの最重要課題」
-----------------------------------------------------------------------------
そのすべてに解説が付いています。
その基本的な理由は、
消費者がネットで豊富な情報を入手できるようになったからです。
商品・サービスの提供者からの情報は胡散臭いのです。
商品・サービス提供者が、
きれいごとを並べて消費者を「ダマシても」
ネットで流れる消費者の情報でその「ウソはばれる」というのが
当書名のゆえんです。
著者は、消費者が購入するに際しての判断情報は、
以下の三つであるとしています。
- Prior・・・・・・・・ その人が前々から持つ嗜好、信念、経験
- Others・・・・・・ 他者つまり他の人々や情報サービス
- Marketers・・・ マーケター
この三つの組み合わせを「影響力ミックス」と称しています。
商品やサービスの種類によって、
あるいは個人の思考によってこのバランスは異なります。
ブランドがステータス・シンボルになる嗜好品の場合は、
Pで決まります。
この場合、従来型マーケティングが通じます。
最近は、ネットによって0の情報が入手しやすくなったので、
胡散臭いMよりも0が重要になったというのです。
以下に、
影響力ミックスについての解説を引用させていただきます。
あなたの顧客の影響力ミックスを割り出してみよう
--ヒントになる7つの視点ーー
マーケターは自分の顧客の現在と将来の影響カミックスを
理解しておく必要がある。
影響カミックスとは、顧客の購入判断にとつて、P、0、Mが
それぞれどのくらいの割合で重要かを指す。
これは製品カテゴリー、願客の特徴
(もちろん顧客セグメントによって異なる)、
ブランドのポジショニングに応じて変わってくる。
影響カミックスは、P、0、Mの3つの情報源の占めるウェイトが
時間とともにどう変化していくか、
それに応じてマークティング予算をどこにどれだけ投じるべきかを
分析するためのフレームワークである。
別の言い方をすれば、影響カミックスはあなたの製品にとって
絶対価値がどれくらい重要かを理解するためのツールだ。
その結果いかんで、従来型マーケティング・フレームワークを
用いるべきなのか、まったく新しい考え方を
採り入れるべきなのかが決まるだろう。
そのためにはこんな疑間について考える必要がある。
現在、顧客は購入を判断するときに、
どれくらい0(具体的な0の種類や要素)に頼っているのか?
将来的には? これは「はい/いいえ」の疑間ではないので、
答えは度合いで表すことになる。
本書で説明しているトレンドがあなたに当てはまるかどうかは、
あなたの顧客がPとM以外の情報源を
どれくらい使っているかで決まる。
あなたの顧客が右端の「Oに依存する」に近ければ近いほど、
本書でお話ししているトレンドは
あなたにとって重要、ということになる。
あなたが左端のまったく「0に依存しない」分野でビジネスを
行っているとしたら、ほとんどの顧客は購入を判断するときに
0にまったく頼らず、0からの情報に触れたとしても、
その情報に惑わされない、ということになる。
たとえば、あなたがハンガーを販売しているなら、
顧客は左端の「0に依存しない」領域あたりに位置する。
一方、反対側の「0に依存する」領域にいるのは、
製品やサービスの購入を判断するときにOの影響を
受けやすい顧客だ。
たとえば、フェイスブックのようなSNSサイトに
加入するかどうかは、ほかの人々(0)に大きく左右される。
そもそもフェイスブックはほかの人々と交流するための
サービスなのだから。ほとんどの企業にとって、
顧客は2つの極端な例のあいだのどこかに位置することになる。
顧客が先ほどのバーのどのあたりに位置するかを決定づける
一般的な要因を7つ挙げておこう。
7つの視点は以下のとおりです。
1)意思決定の重要性 どうでもよいことかどうか
2)質の重要性と質の差 似たようなものかどうか
3)リスクと不確実性 リスクがあると人の意見を聞く
4)そのカテゴリーの変化のスピード 早い場合も人だのみ
5)Oの有用性 Pで決まるものは?
6)ネットワーク効果 みんなが使っているものは無難
7)みんなの前で使う製品 みんなの評価を気にする
なるほど、です。
本題の「絶対価値」というのは、
自分がそれを使って感じる価値ということです。
私たちは「絶対価値」という言葉を、
消費者の体験する製品の質という意味で使っている。
たとえば、レストランでの体験、本を読んだときの楽しさ
(または退屈さ)、かみそりの切れ味、ヘッドホンの聞き心地、
またはカメラの利用価値といった風に。
つまりカメラの「絶対価値」とは、
その技術的仕様や信頼性だけでなく、
そのカメラを所有する感覚や実際の使い心地をも指している。
それに対して相対価値は、
ブランドや宣伝を信じて購入するときの価値観ということのようです。
(明確な定義はありません)
以下についても明快な解説があります。
絶対価値への4つの疑問に答える
情報化社会でブランドが衰退する理由
情報過多で消費者は混乱するのウソ
要約すると、ネットワークの発展により、
SNSなどの口コミ情報や比較サイトの情報によって
消費者が自分で判断するようになってきていて、
今後ますますそうなっていく、ということなのです。
したがって、冒頭の従来型マーケティングは
どんどん活躍の場が狭められていく、ということになります。
従来型、今も主流のマーケテイング手法は
いかに消費者の望むものを見つけ出して相手に提示するかです。
アマゾンが、「この本を買うならこれもいかがですか」とか、
スマホに「ここにいるなら、こんな良い場所がありますよ」とかです。
これらの従来型のマーケティングは「プッシュ型」です。
「売らんかな」です。
上の二つの例は、少しは知恵を出していますが
「これはどうですか」に変わりはありません。
8月18日号の日経コンピュータの特集は、
「今こそデジタルマーケティング」と称して、
その手法を紹介していますが
その大半が「プッシュ型のマーケティング」です。
著者たちが「もう終わるよ」と言っている手法です。
新しいマーケティングは「プル型」です。
「いいものはそれを欲しい人のところに流れていく」
ということなのです。
なお、
「プッシュ型マーケティングからプル型マーケティングへの
パラダイムチェンジ」
という言い方は上野の発案です。
わが社の製品・サービスも
「どうやったら売れるのだろうか」と考えているようではだめだ、
と悟りました。
しかし、プル型になるまではたいへんですね!
2016年8月22日月曜日
「カルチャロミクス」?Googleの底力!
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
過去の図書の内容を分析すると、そのほんの一部でも
こんなことができるという驚きの事実を知っていただきます。
その実現のインフラを作ったグーグル社の凄さを知っていただきます。
「へーそうだったのか」という事実のいくつかを知っていただきます。
ねらい:
インフラ整備は大事、ビッグデータ分析にはアイデアが大事ということを
肝に銘じましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「カルチャロミクス」とは、カルチャ(文化)を測定し解析する
という意味の造語です。
大量の文献をビッグデータとして計測し、
社会や文化の動態を研究するのです。
この研究をしたのが著者である米国人二人ですが、
その研究の元になる文献の電子化を行ったのは
グーグル社です。
著者二人の研究は、著作権等の制約があったために、
文章としての解析は諦め、
単純に単語としての出現頻度の解析だけをしたことが、
思わぬ成果を生むことになったのです。
その手法がグーグル・Nグラム・ビューアです。
単語の出現頻度や概念・思想に言及する頻度が
時間と共にどのように推移したかを図で示すものです。
グーグルは3000万冊を超える図書を電子化しました。
その方法は、贈呈された本はばらしてスキャナにかけ、
そうでない本はめくる係と写真を撮る係の組み合わせで
写しまくり、それをOCRで読み込んだのです。
大金持ちのグーグルでないとできない気の遠くなるような取組みです。
3000万冊超はどの英米系の大学図書館よりも上です。
全世界の図書1億3000万冊の内での3000万冊です。
(上野注:どの範囲の図書を言っているのか不明です。
日本語の図書が含まれていないことは確かです)
こんなことができるグーグルはとてつもない)会社ですね。
驚きです!!
カルチャロミクスの手法を用いると、
次のような解明ができます。
英語の不規則変化動詞
(Burn,Burnt,Burnt、のようにedが付かない)
は次第に規則動詞に変化して行っているようです。
古英語(800年ごろに使われていた英語)の教科書と
中英語(12世紀を中心に使われた英語)の教科書を比較しました。
古英語には177の不規則動詞がありましたが、
中英語では145になっていて、あとの32は規則動詞になっていた。
残っているのは使用頻度が高い単語で、
使用頻度の低い単語から規則化されていっていることが判明しました。
「言葉は生きている」ことの証明です。
(グラフをクリックすると拡大します)
米国名を示すUnited Statesは建国の頃は複数形で扱われ、
次第に単数形で扱われるようになったのです。
そのグラフは以下のとおりです。
(グラフをクリックすると拡大します)
有名人の名声程度(時間軸も含み)を図書での出現頻度で測定する。
(グラフをクリックすると拡大します)
著名人の職業別に、何歳でどの程度有名になっているかを測定する。
(グラフをクリックすると拡大します)
こういうのもありました。
(グラフをクリックすると拡大します)
米国ではより直接的表現になってきているのです。
日本語では、「H(する)」とぼかしています。
日本人の方が奥ゆかしいですね。
以下は、
この図書の解説者である高安美佐子東工大準教授の解説です。
言葉には、以下の4種類があり、それぞれ生成・消滅の形が異なります。
1.非流行語
出現頻度は一定値の回りでランダムに時間的に揺らぐ。
(しかし、ともかく、など)
2.流行語
時間と共に指数関数的に数年単位で増加し、ピークを迎えて
指数関数で減少する。
(KY、パンケーキ、映画タイトルなど)
3.ニュース語
突然、不連続的に劇的に増加し、その後べき乗の関数で減少する。
(津波、マイケルジャクソン、など)
4.イベント日語
特定のイベント日付に向かってべき乗で増加し、
その後べき乗で減少する。
(クリスマス、こどもの日、など)
利用の限界
Nグラムという発想は素晴らしいものですが、
せっかくのビッグな図書データの利用法としては
たいへんもったいないことです。
著作権や個人情報保護に抵触しない範囲で
図書の内容を分析することができるようになったら
人類の文化の進歩についてどれだけのことが分かるようになるのか
想像もできないくらいのことがありそうです。
Nグラムの発明の前段の発明として、
「ジップの法則」なるものが紹介されていました。
1930年代から1940年代までハーヴァード大学に在籍し
独文科の学科長を務めたジョージ・キングスリー・ジップ氏が
1937年に発見した法則です。
これは、ユリシーズに出てくる単語の出現頻度の順位と
使用頻度とは逆比例の関係にある。
たとえば、1位と10位では使用頻度が10分の1、
50位と500位も10倍の開きがある。
というものです。
このジップの法則は、、
他の新聞記事中の単語、中国語やラテン語で書かれた本の中の単語
でも見られた。
その後の研究で、この規則性は、
既知のあらゆる言語の普遍的構成原理であることが明らかになっている
のです。
凄いことを見つける人がいるのですね!!
目的:
過去の図書の内容を分析すると、そのほんの一部でも
こんなことができるという驚きの事実を知っていただきます。
その実現のインフラを作ったグーグル社の凄さを知っていただきます。
「へーそうだったのか」という事実のいくつかを知っていただきます。
ねらい:
インフラ整備は大事、ビッグデータ分析にはアイデアが大事ということを
肝に銘じましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「カルチャロミクス」とは、カルチャ(文化)を測定し解析する
という意味の造語です。
大量の文献をビッグデータとして計測し、
社会や文化の動態を研究するのです。
この研究をしたのが著者である米国人二人ですが、
その研究の元になる文献の電子化を行ったのは
グーグル社です。
著者二人の研究は、著作権等の制約があったために、
文章としての解析は諦め、
単純に単語としての出現頻度の解析だけをしたことが、
思わぬ成果を生むことになったのです。
その手法がグーグル・Nグラム・ビューアです。
単語の出現頻度や概念・思想に言及する頻度が
時間と共にどのように推移したかを図で示すものです。
グーグルは3000万冊を超える図書を電子化しました。
その方法は、贈呈された本はばらしてスキャナにかけ、
そうでない本はめくる係と写真を撮る係の組み合わせで
写しまくり、それをOCRで読み込んだのです。
大金持ちのグーグルでないとできない気の遠くなるような取組みです。
3000万冊超はどの英米系の大学図書館よりも上です。
全世界の図書1億3000万冊の内での3000万冊です。
(上野注:どの範囲の図書を言っているのか不明です。
日本語の図書が含まれていないことは確かです)
こんなことができるグーグルはとてつもない)会社ですね。
驚きです!!
カルチャロミクスの手法を用いると、
次のような解明ができます。
英語の不規則変化動詞
(Burn,Burnt,Burnt、のようにedが付かない)
は次第に規則動詞に変化して行っているようです。
古英語(800年ごろに使われていた英語)の教科書と
中英語(12世紀を中心に使われた英語)の教科書を比較しました。
古英語には177の不規則動詞がありましたが、
中英語では145になっていて、あとの32は規則動詞になっていた。
残っているのは使用頻度が高い単語で、
使用頻度の低い単語から規則化されていっていることが判明しました。
「言葉は生きている」ことの証明です。
(グラフをクリックすると拡大します)
米国名を示すUnited Statesは建国の頃は複数形で扱われ、
次第に単数形で扱われるようになったのです。
そのグラフは以下のとおりです。
(グラフをクリックすると拡大します)
有名人の名声程度(時間軸も含み)を図書での出現頻度で測定する。
(グラフをクリックすると拡大します)
著名人の職業別に、何歳でどの程度有名になっているかを測定する。
(グラフをクリックすると拡大します)
こういうのもありました。
(グラフをクリックすると拡大します)
米国ではより直接的表現になってきているのです。
日本語では、「H(する)」とぼかしています。
日本人の方が奥ゆかしいですね。
以下は、
この図書の解説者である高安美佐子東工大準教授の解説です。
言葉には、以下の4種類があり、それぞれ生成・消滅の形が異なります。
1.非流行語
出現頻度は一定値の回りでランダムに時間的に揺らぐ。
(しかし、ともかく、など)
2.流行語
時間と共に指数関数的に数年単位で増加し、ピークを迎えて
指数関数で減少する。
(KY、パンケーキ、映画タイトルなど)
3.ニュース語
突然、不連続的に劇的に増加し、その後べき乗の関数で減少する。
(津波、マイケルジャクソン、など)
4.イベント日語
特定のイベント日付に向かってべき乗で増加し、
その後べき乗で減少する。
(クリスマス、こどもの日、など)
利用の限界
Nグラムという発想は素晴らしいものですが、
せっかくのビッグな図書データの利用法としては
たいへんもったいないことです。
著作権や個人情報保護に抵触しない範囲で
図書の内容を分析することができるようになったら
人類の文化の進歩についてどれだけのことが分かるようになるのか
想像もできないくらいのことがありそうです。
Nグラムの発明の前段の発明として、
「ジップの法則」なるものが紹介されていました。
1930年代から1940年代までハーヴァード大学に在籍し
独文科の学科長を務めたジョージ・キングスリー・ジップ氏が
1937年に発見した法則です。
これは、ユリシーズに出てくる単語の出現頻度の順位と
使用頻度とは逆比例の関係にある。
たとえば、1位と10位では使用頻度が10分の1、
50位と500位も10倍の開きがある。
というものです。
このジップの法則は、、
他の新聞記事中の単語、中国語やラテン語で書かれた本の中の単語
でも見られた。
その後の研究で、この規則性は、
既知のあらゆる言語の普遍的構成原理であることが明らかになっている
のです。
凄いことを見つける人がいるのですね!!
国民医療費削減対策の有効案 薬代削減対策は?
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
高齢者の健康維持の難しさを研究していただきます。
医療費削減の大きな柱である薬代の削減対策について
考えていただきます。
ねらい:
何とかしたいですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本項は、
學士會会報2016-Ⅲ号秋下雅弘東大病院老年病科教授の
「高齢者の賢い薬の飲み方・減らし方」を基にしています。
(そういう診療科があるのですね)
1.高齢者の心身活力低下状態
2014年、日本老年医学会は、
加齢によって筋力や心身の活力が低下した状態を
フレイル(Frail)と命名しました。
フレイルには、以下の3種類があります。
身体的フレイル 筋肉の衰えや関節疾患
精神的フレイル 認知機能障害や抑うつ
社会的フレイル 独居や経済的困窮
(上野注:社会的フレイルははフレイルの定義に合わないのではないか?)
2.高齢者の薬物有害事象
薬の効きすぎ
治療要注意病
高血圧:高齢者の場合、血圧を下げ過ぎると
脳の血流が落ち脳の機能も落ちる。
降圧剤の効き過ぎで血圧低下して意識を失う。
糖尿病:血糖値が下がりすぎて意識を失う。
場所によっては命取りになる。
多剤併用(ポリファーマシー)による副作用の発生
副作用に対する新たな薬剤投与でさらなる副作用発生
3.高齢者の薬物有害事象が多い原因
(1)疾患上の要因
多くの高齢者は慢性疾患を含む多くの疾患を抱えていて、
多くの薬を処方され、薬の副作用発生要因となっている。
(2)社会的要因
経済的に困窮した高齢者が投薬中断を余儀なくされている
ケースが増えている。
(3)機能上の要因
認知機能、視力、聴力が低下し薬を飲み忘れたり飲み間違えたりする。
感覚が鈍化しているので、副作用が重症化するまで気づかない。
臓器の機能低下のせいで、過剰投与となる。
薬害が発生する老年期の状態
消化管で吸収 = 正常に機能
↓
血液循環に乗って目的の臓器や部位に到達 = 蓄積されやすい
↓
肝臓で代謝 = 低下で蓄積
↓
腎臓で排泄 = 低下で蓄積
4.薬物有害事象を避ける対策
(1)高齢者が注意すべき薬
これは患者側ではよく分かりません。
1)筋弛緩剤
筋力が低下し転倒や階段の昇降困難を招く。
2)抗コリン薬
抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、H2ブロッカー等に含まれている。
継続的服用は認知機能を低下させる。
3)ベンゾジアゼビン系の睡眠薬
転倒、せん妄、認知機能の低下などの副作用がある。
(2)服薬管理と服薬支援
かかりつけ医に一元管理してもらう。
服薬数を減らす(1包にまとめる、など)
服用法の簡便化(1日1回夕食後にまとめる、など)
錠剤の形の工夫(上野?)
(3)本人の取組み
1)医師にかかる際、次のことを守る。
これは患者側でできる重要なこと!!
a.むやみに薬を欲しがらない。
b.他院や他診療科で処方された薬を正確に伝える。
c.処方された薬はきちんと飲む。
d.薬をやめたい時や減らしたい時は自己判断せずに医師に相談する。
2)生活習慣
a.規則正しい食生活を送る。
きちんと朝食をとる
1日の食事回数を決めて守る(1日2食とか)
b.夜更かしと早寝を避ける。
高齢者の睡眠時間は5時間!!
早寝をすると夜中に目が覚め「不眠状態だ!」と意識してしまう。
c.魚や野菜だけでなく肉も食べる。
d.孤食を避ける
うつになるリスクが高い。
このように整理するとやや無味乾燥ですね。
具体的な事例も紹介されていました。
75歳の女性が歩行困難としびれを訴えました。
----------------------------------------------------
75歳の女性にみられた
歩行困難としびれの原因(専門診療科)
# 糖尿病性神経症 (糖尿病内科)
# 閉塞性動脈硬化症 (血管外科、循環器内科)
# 骨粗鬆症 (整形外科)
# 脊柱管狭窄症 ( 〃 )
# 抑うつ (精神科)
# 白内障 (眼科)
# 糖尿病性網膜症 ( 〃 )
# 廃用症候群 (リハビリ科)
→治るものは治したいが、そうでないなら、
なるべく快適に生活できる方法を
教えてほしい。
----------------------------------------------------
その原因には多数の要因があり、それぞれ専門医にかかると
たいへんなことになります。
高齢者は往々にして複数の疾患を患っていますが、
疾患ごとに個別に治療しても根本治療になりません。
単なる合併ではなく症候とも複雑に絡み合っているからです。
これを「老年症候群」と言います。
そもそもしびれによく効く薬などない、
ビタミンB12が処方されることが多いのですが
脚気以外には効かないそうです。
症状全体を包括的に捉えて、
「効果のある治療は施し、効果がない治療はしない」
という選択を考える必要があります。
「部分最適でなく全体最適」
「着眼大局、着手小局」
「木を見て森を見ず(の否定)」
などそういうことを勧めるガイドは多数あります。
この当たり前のことがなぜできないのでしょうか?
その原因を整理してみましょう。
1.複雑な要因が絡み合う老年期の症状に対する
社会的経験蓄積ができていない。
前期高齢者までの患者については
エビでンスに基づいたガイドラインがあるが
後期高齢者については明確なガイドラインがない。
2.医療現場が専門化されすぎている。
この点については、当ブログでも何回か取りあげています。
2011,11.29「医療過誤2:プライマリケア医は難しい」
http://uenorio.blogspot.jp/2011/11/blog-post_7770.html
2014,11.24
「総合診療専門医の世界に潜在意識の活用を考えてみては!」
http://uenorio.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html
専門知識も必要としその上で総合的な判断ができなければならない
という「総合診療専門医」の目標は、尋常の努力では達成困難ですね。
解決策は,ITの活用です。
優秀な人材が英知を傾けて取り組めば
有効な診断支援システムができるのではないでしょうか。
3.患者の名寄せシステムができていない。
その基盤であるマイナンバー制度はできたのですから、
あとは、そのマイナンバーを活用した
医療に関する名寄せシステムを作ればよいのです。
重複したり似たような投薬の整理ができるでしょう。
これは、システム設計の困難性よりも
「個人情報保護」に名を借りた抵抗勢力が障害です。
でも国民医療費40兆円のうち、薬局調剤医療費だけで7兆円、
これに入院医療費15兆円の一部を加えると
おそらく合計10兆円に及ぶ「薬代」の改善に繋がることなのです。
この問題解決には
投薬の合理化に留まらず診療の合理化が必要でしょうね。
そうなると、抵抗勢力は見えてきそうです。
4.服薬支援システムが未整備である。
この点はこれからの課題ですが、
米国では、こういうIoT製品が実用化されているようです。
砂粒ほどのチップを錠剤に組み込む。
胃酸に触れると体内電気によってプロセッサが駆動され
皮膚に付けたパッチ経由でモバイルアプリに送信。
服用状態が把握できる。
2012年米国で、
処方された薬を飲まなかった人による救急外来、入院、診療の費用は
2580億ドルに上るという報告がある資料に載っていました。
26兆円ですから少し大きすぎる気がしますが、
こういうことがかなりあることは確かでしょう。
因みに、その資料では同じく米国で処方計画に従わなかったために
毎年13万人が死亡している、とありました。
そうすると、服薬支援は非常に重要なことですね。
ITで実現できることがたくさんあるのです。
安倍政権の1億総活躍社会も重要ですが、
既得権益の岩盤を崩す改革を積極的に進めないと、
国民が活躍する前に日本は沈没してしまいますね。
目的:
高齢者の健康維持の難しさを研究していただきます。
医療費削減の大きな柱である薬代の削減対策について
考えていただきます。
ねらい:
何とかしたいですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本項は、
學士會会報2016-Ⅲ号秋下雅弘東大病院老年病科教授の
「高齢者の賢い薬の飲み方・減らし方」を基にしています。
(そういう診療科があるのですね)
1.高齢者の心身活力低下状態
2014年、日本老年医学会は、
加齢によって筋力や心身の活力が低下した状態を
フレイル(Frail)と命名しました。
フレイルには、以下の3種類があります。
身体的フレイル 筋肉の衰えや関節疾患
精神的フレイル 認知機能障害や抑うつ
社会的フレイル 独居や経済的困窮
(上野注:社会的フレイルははフレイルの定義に合わないのではないか?)
2.高齢者の薬物有害事象
薬の効きすぎ
治療要注意病
高血圧:高齢者の場合、血圧を下げ過ぎると
脳の血流が落ち脳の機能も落ちる。
降圧剤の効き過ぎで血圧低下して意識を失う。
糖尿病:血糖値が下がりすぎて意識を失う。
場所によっては命取りになる。
多剤併用(ポリファーマシー)による副作用の発生
副作用に対する新たな薬剤投与でさらなる副作用発生
3.高齢者の薬物有害事象が多い原因
(1)疾患上の要因
多くの高齢者は慢性疾患を含む多くの疾患を抱えていて、
多くの薬を処方され、薬の副作用発生要因となっている。
(2)社会的要因
経済的に困窮した高齢者が投薬中断を余儀なくされている
ケースが増えている。
(3)機能上の要因
認知機能、視力、聴力が低下し薬を飲み忘れたり飲み間違えたりする。
感覚が鈍化しているので、副作用が重症化するまで気づかない。
臓器の機能低下のせいで、過剰投与となる。
薬害が発生する老年期の状態
消化管で吸収 = 正常に機能
↓
血液循環に乗って目的の臓器や部位に到達 = 蓄積されやすい
↓
肝臓で代謝 = 低下で蓄積
↓
腎臓で排泄 = 低下で蓄積
4.薬物有害事象を避ける対策
(1)高齢者が注意すべき薬
これは患者側ではよく分かりません。
1)筋弛緩剤
筋力が低下し転倒や階段の昇降困難を招く。
2)抗コリン薬
抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、H2ブロッカー等に含まれている。
継続的服用は認知機能を低下させる。
3)ベンゾジアゼビン系の睡眠薬
転倒、せん妄、認知機能の低下などの副作用がある。
(2)服薬管理と服薬支援
かかりつけ医に一元管理してもらう。
服薬数を減らす(1包にまとめる、など)
服用法の簡便化(1日1回夕食後にまとめる、など)
錠剤の形の工夫(上野?)
(3)本人の取組み
1)医師にかかる際、次のことを守る。
これは患者側でできる重要なこと!!
a.むやみに薬を欲しがらない。
b.他院や他診療科で処方された薬を正確に伝える。
c.処方された薬はきちんと飲む。
d.薬をやめたい時や減らしたい時は自己判断せずに医師に相談する。
2)生活習慣
a.規則正しい食生活を送る。
きちんと朝食をとる
1日の食事回数を決めて守る(1日2食とか)
b.夜更かしと早寝を避ける。
高齢者の睡眠時間は5時間!!
早寝をすると夜中に目が覚め「不眠状態だ!」と意識してしまう。
c.魚や野菜だけでなく肉も食べる。
d.孤食を避ける
うつになるリスクが高い。
このように整理するとやや無味乾燥ですね。
具体的な事例も紹介されていました。
75歳の女性が歩行困難としびれを訴えました。
----------------------------------------------------
75歳の女性にみられた
歩行困難としびれの原因(専門診療科)
# 糖尿病性神経症 (糖尿病内科)
# 閉塞性動脈硬化症 (血管外科、循環器内科)
# 骨粗鬆症 (整形外科)
# 脊柱管狭窄症 ( 〃 )
# 抑うつ (精神科)
# 白内障 (眼科)
# 糖尿病性網膜症 ( 〃 )
# 廃用症候群 (リハビリ科)
→治るものは治したいが、そうでないなら、
なるべく快適に生活できる方法を
教えてほしい。
----------------------------------------------------
その原因には多数の要因があり、それぞれ専門医にかかると
たいへんなことになります。
高齢者は往々にして複数の疾患を患っていますが、
疾患ごとに個別に治療しても根本治療になりません。
単なる合併ではなく症候とも複雑に絡み合っているからです。
これを「老年症候群」と言います。
そもそもしびれによく効く薬などない、
ビタミンB12が処方されることが多いのですが
脚気以外には効かないそうです。
症状全体を包括的に捉えて、
「効果のある治療は施し、効果がない治療はしない」
という選択を考える必要があります。
「部分最適でなく全体最適」
「着眼大局、着手小局」
「木を見て森を見ず(の否定)」
などそういうことを勧めるガイドは多数あります。
この当たり前のことがなぜできないのでしょうか?
その原因を整理してみましょう。
1.複雑な要因が絡み合う老年期の症状に対する
社会的経験蓄積ができていない。
前期高齢者までの患者については
エビでンスに基づいたガイドラインがあるが
後期高齢者については明確なガイドラインがない。
2.医療現場が専門化されすぎている。
この点については、当ブログでも何回か取りあげています。
2011,11.29「医療過誤2:プライマリケア医は難しい」
http://uenorio.blogspot.jp/2011/11/blog-post_7770.html
2014,11.24
「総合診療専門医の世界に潜在意識の活用を考えてみては!」
http://uenorio.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html
専門知識も必要としその上で総合的な判断ができなければならない
という「総合診療専門医」の目標は、尋常の努力では達成困難ですね。
解決策は,ITの活用です。
優秀な人材が英知を傾けて取り組めば
有効な診断支援システムができるのではないでしょうか。
3.患者の名寄せシステムができていない。
その基盤であるマイナンバー制度はできたのですから、
あとは、そのマイナンバーを活用した
医療に関する名寄せシステムを作ればよいのです。
重複したり似たような投薬の整理ができるでしょう。
これは、システム設計の困難性よりも
「個人情報保護」に名を借りた抵抗勢力が障害です。
でも国民医療費40兆円のうち、薬局調剤医療費だけで7兆円、
これに入院医療費15兆円の一部を加えると
おそらく合計10兆円に及ぶ「薬代」の改善に繋がることなのです。
この問題解決には
投薬の合理化に留まらず診療の合理化が必要でしょうね。
そうなると、抵抗勢力は見えてきそうです。
4.服薬支援システムが未整備である。
この点はこれからの課題ですが、
米国では、こういうIoT製品が実用化されているようです。
砂粒ほどのチップを錠剤に組み込む。
胃酸に触れると体内電気によってプロセッサが駆動され
皮膚に付けたパッチ経由でモバイルアプリに送信。
服用状態が把握できる。
2012年米国で、
処方された薬を飲まなかった人による救急外来、入院、診療の費用は
2580億ドルに上るという報告がある資料に載っていました。
26兆円ですから少し大きすぎる気がしますが、
こういうことがかなりあることは確かでしょう。
因みに、その資料では同じく米国で処方計画に従わなかったために
毎年13万人が死亡している、とありました。
そうすると、服薬支援は非常に重要なことですね。
ITで実現できることがたくさんあるのです。
安倍政権の1億総活躍社会も重要ですが、
既得権益の岩盤を崩す改革を積極的に進めないと、
国民が活躍する前に日本は沈没してしまいますね。
高齢者における低栄養が問題なのですって!
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
高齢者は健康維持のためにきちんと食事をすることが
非常に重要であることを確認いただきます。
ねらい:
健康寿命を延ばしましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回の検討テーマは、こういうことです。
若年層の場合には高栄養・肥満が健康障害として
問題になりますが、
高齢者の場合には、逆に低栄養(栄養欠乏)が問題となるのです。
「ようやく痩せ出した!」と喜んではいけないということです。
學士會会報2014-Ⅲ号 葛谷雅文名古屋大学教授の寄稿
「高齢者における低栄養とその対策」に基づき、
システム企画研修㈱が提供している「丸い三角形」のフレームで
整理をしました。
1.低栄養改善の目的・ねらい
1)本人にとって、「生活の質」を維持する。
高齢者においては,BMI値25kg/㎡以上の肥満に比較しても
BMI値18.5kg/㎡の痩せの方が生命予後のリスクが高い。
2)社会にとって、要介護者を減らし国民の経済負担を減らす。
国民医療費の削減は日本経済の最大の課題といってよい。
2.低栄養状態とは
(1)低栄養状態とはどういうことか
・(明確な定義はないようで)
一般的には全体的な摂取カロリー不足、
またはある種の栄養素の摂取不足により、
健康上何らかの支障がある状態を低栄養といい、
栄養不良、栄養失調と同義である。
( → なーんだ!!)
(2)低栄養状態の症状
・低栄養状態は、虚弱状態(フレイル)を引き起こす。
フレイルは、以下の5項目のうち3項目以上当てはまる場合をいう。
1) 体重の減少
2) 身体機能の低下(歩行速度の低下)
3) 筋力の低下(握力の低下)
4) 主観的疲労感
5) 生活活動度
(注)私の場合は2項目に当てはまり、
その場合はプレフレイル(予備軍)というようです。
・免疫機能の低下を伴い、感染症を引き起こしやすくなる。
主要疾患の治癒を遅らせ、合併症を容易に引き起こす。
・それ以外にも次のような病的な症状に至る。
------------------------------------------------------
高齢者栄養障害に伴う病態
1. 免疫異常(感染症)
2. 褥瘡
3. 創傷治癒の遅延(手術後の回復遅延)
4. 貧血
5. 骨粗鬆症
6. 薬剤代謝の変動
7. 筋萎縮(sarcopenia)
8. 転倒
9. 骨折
10. 呼吸機能の低下
11. 疲労感
12. 浮腫
------------------------------------------------------
(注)転倒には気をつける必要がありますね。
私の周りにも転倒が原因で命を落とした人がたくさんいます。
3.低栄養状態発生の原因
以下は転載です。
(1)社会的な要因
独居高齢者はそれだけで栄養障害のリスクとなる。
日常生活動作(activeities of daily living: ADL)
の障害がなくても、一人暮らしのため十分な食事量を
摂取していなかったり、食事内容が偏ったりする場会がある。
ADL障害がある高齢者は十分な介護力、
適切な介護がなければ、摂取量は確実に減少する。
経済的な問題があり満足に食事を取れない場合も
低栄養の要因になるのは言うまでもない。
(2)精神心理的要因
認知機能障害により、食事をするのを忘れたり、
空腹感を感じなかったりすることはまれではない。
認知症が進行すると味覚、嗅覚の低下が進むことも、
食事摂取量が減少する一つの原因である。
「うつ」は「消化管の問題」、「悪性腫瘍」にならぶ
高齢者の食欲不振・体重減少の原因として頻度が高い。
明らかな食欲不振・体重減少の原因がない場合は
「うつ」の存在を疑う必要がある。
嚥下障害がある場合、誤囃を恐れるため本人、
介護者が食事摂取量を制限している場合がある。
(3)加齢による影響
加齢自体によっても食欲は一般に低下しやすいと言われている。
味覚、嗅覚は食欲に重要な役割を果たすが、
高齢者では味覚機能が低下し
(六五歳以上では約四〇%に味覚障害があるとの報告もある)、
特に苦味に関する感覚が低下する。
また嗅覚の低下も一般的に認められる。
味覚の低下の原因は単に加齢の影響のみならず、
亜鉛欠乏、鉄欠乏、日腔内カンジダ症、
うつなどが起因となっているケースもまれではない。
さらに種々の薬剤によつても
味覚異常を引き起こす可能性がある。
また、高齢者では体重を保つため働く食欲の調節機構が
若年者と異なることが知られている
(急激な体重減少に反応して若年者では
体重をもどすため食欲増加が起こるが、
高齢者ではその調節が起こらない)。
(4)疾病要因
悪性腫瘍ならびに感染症、慢性炎症性疾患の存在、
さらには心不全、呼吸不全、肝、腎不全などは
食欲低下の大きな誘引になる。
さらにこれらの疾患は代謝性ストレスに直結し、
必要エネルギー量は増大し、
食欲低下と相まって低栄養につながる。
腰痛、頭痛、膝関節痛などの疼痛は食欲低下の誘因になる。
歯の問題は咀嚼機能の低下を合め栄養障害を
引き起こす重要な因子である。
特に義歯の不調、口腔ケア不足による歯槽膿漏などは
低栄養の誘因として重要である。
薬剤が高齢者の食欲低下、体重減少に関わっている
ケースは想像以上に多く、高齢者の食思不振の
二五%は医原病によるとの報告もある。
咀嚼・嚥下障害があれば、当然十分な経口摂取は
期待できず、放置すれば短期間で低栄養に陥る。
(5)その他
高齢者では咀嚼、嚥下障害を抱えるケースが多いが、
それに対応した食形態が提供されていない場会がある。
不適切な食形態の提供により、十分な食事が
摂取できないばかりか、誤嚥の要因にもなっている。
若い頃の過栄養に対する食事指導を体重減少が
既に現れている高齢者になっても
引きずっている場合がある。
また医療者も後期高齢者を対象に若年者と
同様の食事指導を行っている場合がある。
4.低栄養状態の対策
(肝心なことですが明確な提言はありません)
サルコペニア(加齢に伴う筋力の低下、または老化に伴う筋肉量の減少)
はフレイルや転倒との強い関連が指摘されている。
低栄養もその要因の一つになっている。
たんぱく質摂取並びに運動介入によりサルコペニアが改善する
との報告が蓄積されつつある。
(注)なーんだ!
最後は(低栄養になる要因に留意して)
「低栄養にならないようにきちんと食べなさい、肉も」
ということなのですね。
目的:
高齢者は健康維持のためにきちんと食事をすることが
非常に重要であることを確認いただきます。
ねらい:
健康寿命を延ばしましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回の検討テーマは、こういうことです。
若年層の場合には高栄養・肥満が健康障害として
問題になりますが、
高齢者の場合には、逆に低栄養(栄養欠乏)が問題となるのです。
「ようやく痩せ出した!」と喜んではいけないということです。
學士會会報2014-Ⅲ号 葛谷雅文名古屋大学教授の寄稿
「高齢者における低栄養とその対策」に基づき、
システム企画研修㈱が提供している「丸い三角形」のフレームで
整理をしました。
1.低栄養改善の目的・ねらい
1)本人にとって、「生活の質」を維持する。
高齢者においては,BMI値25kg/㎡以上の肥満に比較しても
BMI値18.5kg/㎡の痩せの方が生命予後のリスクが高い。
2)社会にとって、要介護者を減らし国民の経済負担を減らす。
国民医療費の削減は日本経済の最大の課題といってよい。
2.低栄養状態とは
(1)低栄養状態とはどういうことか
・(明確な定義はないようで)
一般的には全体的な摂取カロリー不足、
またはある種の栄養素の摂取不足により、
健康上何らかの支障がある状態を低栄養といい、
栄養不良、栄養失調と同義である。
( → なーんだ!!)
(2)低栄養状態の症状
・低栄養状態は、虚弱状態(フレイル)を引き起こす。
フレイルは、以下の5項目のうち3項目以上当てはまる場合をいう。
1) 体重の減少
2) 身体機能の低下(歩行速度の低下)
3) 筋力の低下(握力の低下)
4) 主観的疲労感
5) 生活活動度
(注)私の場合は2項目に当てはまり、
その場合はプレフレイル(予備軍)というようです。
・免疫機能の低下を伴い、感染症を引き起こしやすくなる。
主要疾患の治癒を遅らせ、合併症を容易に引き起こす。
・それ以外にも次のような病的な症状に至る。
------------------------------------------------------
高齢者栄養障害に伴う病態
1. 免疫異常(感染症)
2. 褥瘡
3. 創傷治癒の遅延(手術後の回復遅延)
4. 貧血
5. 骨粗鬆症
6. 薬剤代謝の変動
7. 筋萎縮(sarcopenia)
8. 転倒
9. 骨折
10. 呼吸機能の低下
11. 疲労感
12. 浮腫
------------------------------------------------------
(注)転倒には気をつける必要がありますね。
私の周りにも転倒が原因で命を落とした人がたくさんいます。
3.低栄養状態発生の原因
以下は転載です。
(1)社会的な要因
独居高齢者はそれだけで栄養障害のリスクとなる。
日常生活動作(activeities of daily living: ADL)
の障害がなくても、一人暮らしのため十分な食事量を
摂取していなかったり、食事内容が偏ったりする場会がある。
ADL障害がある高齢者は十分な介護力、
適切な介護がなければ、摂取量は確実に減少する。
経済的な問題があり満足に食事を取れない場合も
低栄養の要因になるのは言うまでもない。
(2)精神心理的要因
認知機能障害により、食事をするのを忘れたり、
空腹感を感じなかったりすることはまれではない。
認知症が進行すると味覚、嗅覚の低下が進むことも、
食事摂取量が減少する一つの原因である。
「うつ」は「消化管の問題」、「悪性腫瘍」にならぶ
高齢者の食欲不振・体重減少の原因として頻度が高い。
明らかな食欲不振・体重減少の原因がない場合は
「うつ」の存在を疑う必要がある。
嚥下障害がある場合、誤囃を恐れるため本人、
介護者が食事摂取量を制限している場合がある。
(3)加齢による影響
加齢自体によっても食欲は一般に低下しやすいと言われている。
味覚、嗅覚は食欲に重要な役割を果たすが、
高齢者では味覚機能が低下し
(六五歳以上では約四〇%に味覚障害があるとの報告もある)、
特に苦味に関する感覚が低下する。
また嗅覚の低下も一般的に認められる。
味覚の低下の原因は単に加齢の影響のみならず、
亜鉛欠乏、鉄欠乏、日腔内カンジダ症、
うつなどが起因となっているケースもまれではない。
さらに種々の薬剤によつても
味覚異常を引き起こす可能性がある。
また、高齢者では体重を保つため働く食欲の調節機構が
若年者と異なることが知られている
(急激な体重減少に反応して若年者では
体重をもどすため食欲増加が起こるが、
高齢者ではその調節が起こらない)。
(4)疾病要因
悪性腫瘍ならびに感染症、慢性炎症性疾患の存在、
さらには心不全、呼吸不全、肝、腎不全などは
食欲低下の大きな誘引になる。
さらにこれらの疾患は代謝性ストレスに直結し、
必要エネルギー量は増大し、
食欲低下と相まって低栄養につながる。
腰痛、頭痛、膝関節痛などの疼痛は食欲低下の誘因になる。
歯の問題は咀嚼機能の低下を合め栄養障害を
引き起こす重要な因子である。
特に義歯の不調、口腔ケア不足による歯槽膿漏などは
低栄養の誘因として重要である。
薬剤が高齢者の食欲低下、体重減少に関わっている
ケースは想像以上に多く、高齢者の食思不振の
二五%は医原病によるとの報告もある。
咀嚼・嚥下障害があれば、当然十分な経口摂取は
期待できず、放置すれば短期間で低栄養に陥る。
(5)その他
高齢者では咀嚼、嚥下障害を抱えるケースが多いが、
それに対応した食形態が提供されていない場会がある。
不適切な食形態の提供により、十分な食事が
摂取できないばかりか、誤嚥の要因にもなっている。
若い頃の過栄養に対する食事指導を体重減少が
既に現れている高齢者になっても
引きずっている場合がある。
また医療者も後期高齢者を対象に若年者と
同様の食事指導を行っている場合がある。
4.低栄養状態の対策
(肝心なことですが明確な提言はありません)
サルコペニア(加齢に伴う筋力の低下、または老化に伴う筋肉量の減少)
はフレイルや転倒との強い関連が指摘されている。
低栄養もその要因の一つになっている。
たんぱく質摂取並びに運動介入によりサルコペニアが改善する
との報告が蓄積されつつある。
(注)なーんだ!
最後は(低栄養になる要因に留意して)
「低栄養にならないようにきちんと食べなさい、肉も」
ということなのですね。
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