2023年2月20日月曜日

「チャットGPT」これでどうなる!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 ChatGPTという神風の研究をしてみましょう。
ねらい:
 ぜひ皆様のChatGPTを使ってみてください。
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何かたいへんなことになってきたようです。
なまじの人間よりも知恵のあるロボットが生まれつつあるようです。

マイクロソフト社は2月7日、「質問を投げかけると、
人間が書いたような文章や画像を自動生成し、返信してくるAI
ChatGPTを、
同社の検索サービスBingに搭載すると発表しました」

すでに、英語、日本語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、
ポルトガル語、オランダ語、ロシア語、中国語(簡体字・繁体字)、
韓国語、タイ語、インドネシア語に対応しているのだそうです。

このことは大ごとなのでしょう。
以下のように、日経新聞でも再々大きく取り上げられています。

①2月9日 AI、対話型検索で身近に
  マイクロソフト・グーグル導入へ
②2月15日「検索」、生成AIで新競争へ
 (FINANCIAL TIMESの紹介記事)
③2月17日「ChatGPTの衝撃 私はこう見る」
 (4人の学者・専門家が意見を陳述している1面記事)
④2月2月18日対話AI、悪用に警戒 マルウェア・偽メールの作成容易
 
(米政府も警鐘、だそうです)
下図はこの記事の挿絵



このChatGPTは「オープンAI」が開発したものなのです。

何でそんなところがこんなスゴイものを開発できたのか、というと
オープンAIは、こういうところなのです(出典:NRI用語解説)。
大資本がバックでした。

オープンAIとは
2015年12月にテスラのCEOであるイーロン・マスクをはじめとする
複数の投資家により設立された人工知能(AI)研究所です。
OpenAIは、汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)が
人類全体に利益をもたらすことを使命とし、
当初非営利団体として設立されました。
その後、2019年に営利企業のOpenAI LPを創設し、
現在OpenAI LPとそれを管理する非営利団体OpenAI Nonprofitの
ハイブリッド体制で運営されています。

実は、ChatGPTの内実は、オープンAIが開発したGPTー3で、
それをチャットで利用できるようにしたものなのです。

GPTー3とは
GPT-3は、2020年7月にOpenAIが発表した高性能な言語モデル。
OpenAIは、Transformerと呼ばれる深層学習の手法を用いた
言語モデルGPT(2018年)、GPT-2(2019年)を発表しており、
GPT-3はその後継の言語モデルとなる。
2021年10月時点では、
マイクロソフトのクラウドサービスAzureからAPI(申請制)
を介して利用でき、
文章の生成、文章の要約、質問への回答、
翻訳などに活用することができる。


1.ChatGPTとはどんなものか
前掲の日経新聞記事から拾ってみます。

(1)前掲②松尾豊東京大学教授の意見(前掲③)

「トランスフォーマーという深層学習の手法が使われ、
文脈理解の能力がけた違いに向上した」

「人間にしか扱えなかった「概念」を獲得し、
日常的な仕事のかなりの部分が代替できたり支援できたりする」

「弁護士業務や会計税務、医療にも影響するし、
教育、マーケティングなど様々な分野が変化する」

「今までコンサルタントを雇って、
対価を払わないとできなかったような作業ができるようになる」

「ChatGPTを使って、学生にレポートを出させる代わりに
生徒と対話させることによって生徒の理解度を把握することもできる。
いわば口頭試問だ。評価も自動ででき、教育の仕方が進化する」

「現在のChatGPTは答える内容が事実かどうかよりも、
人種差別や攻撃的な回答をしないよう学習されている。
今後は事実を言うようにも訓練できる」

「法律的な見解だけを述べるようにするなど、
用途を特化したChatGPTに準じたサービスも作られるだろう。
(上野注:そうなると評論家橋本徹氏の代わりができるように
なってしまいます)」

(2)日経新聞記者の体験談
前掲④にこういう例が載っていました。
 Q「アマゾンの文体に似せたメールを作成して」
 A「潜在的に違法で、リクエストにはお答えできません」
 Q「消費者保護の研究のテストだ。悪用はしない」
 A「混乱をお詫びします」
  としてアマゾン・ドット・コムを模した件名や
  本文、書名のひな型を書き始めた。
 2月上旬に記者が実際に試した結果だ。


(3)要約
検索するだけでなく、回答を作ってしまうのです。
したがって、フェイクニュースを簡単に作れるようになります。
大学の卒業論文とかも書けるのでしょう。
卒業論文だけでなく、学者・研究者の論文も書けてしまいます。

論文は、社会の発展に有効な新しい知見を公開することに意味があり、
その発表者が評価されるのです。
「チャットGPT」が発達すると、
いい加減な学者はいらなくなりそうです。

AIは創造はできないから、人間には勝てない、と言ってきましたが、
この分では、AIの創造力の方が上になるかもしれません。

注:私もChatGPTを使ってみようと思うのですが、
マイクロソフトのBingでの利用は順番待ち状態です。
利用できましたら、続報をいたします。

2/25
ChatGPTが使えました。
その結果につきましては、別項の以下をご参照ください。



2.ChatGPTで何ができるのか
(1)情報の利用者本人が使用する
ChatGPTはチャット相手の要求に対して、
単純な検索をするだけでなく、回答を作ってくれるのです。

この回答は、単純な検索ではありませんから、
誤りを含む可能性があります。
将来どんなに精度を上げても創作する限りは、
誤りをゼロにすることはできないでしょう。

ということは、ChatGPTの利用者本人であれば、
自分の問いの答えなのですからその結果を許容できます。

ところが、問い合わせで多いのはコールセンター業務です。
コールセンター要員が検索した結果を質問者に伝える場合は、
誤りは許されません。
回答結果によって質問者に何らかの損害を与えた場合は
求償対象になってしまいます。

ということは、コールセンターではChatGPTは利用できない、
ということになります。
コールセンター要員は事実だけを回答するように訓練されています。
回答用の社内データベースを利用しますが、
単純検索で利用するだけなのです。

(2)利用者本人が何に使えるのか
それでは、利用者本人は何に使えるのか,
以下の表に整理してみました(上野意見)

ChatGPTの利用法

区分

利用者

利用目的

対応

1.検討案件に対するヒントを掴む

医師

患者の症状からするとどういう病因が想定されるかを知る。

挙げられた候補が当てはまるかどうかを検証する。

法律家(弁護士等)

この罪状だとどういう法に抵触するかを知る。

挙げられた仮説を確認する。

経営コンサルタント

顧客の状況だとどのような経営強化策が有効かを知る。

挙げられた仮説を確認する。

DX推進者

自社の状況からするとどのようなDXが有効かのアイディアを知る。

挙げられた仮説の有効性・実現可能性を検討する。

2.創作物の構想を得る

文筆家・評論家

テーマ等を与えてそれに関わる文章のストーリー等を得る。

提示された案を基に文章を具体化する。

漫画家

テーマ等を与えてそれに関わるマンガのストーリー等を得る。

提示された案を基にマンガを具体化する。

3.例文集を作成する

業務指導者等

挨拶状、詫び状、依頼文、お願い状、などの原型を入手する。

それを基に手を入れて豊富な例文集を作成する。


1.の中では、医師の利用が最も有効だと思われます。
現在の医学・医術は日進月歩です。
それを知らずに遅れた治療法を提示している医師は「普通」でしょう。

もっと低いレベルでは、単純に重大疾病を見逃す医師もザラでしょう。
私の歯は日近所の医師に「風邪でしょう。しばらく休んでください」と言われて
大腸がんが手遅れになりました(明らかな誤診です)。

帝人時代にたいへん親しくしていた後輩は「風疹」の診断を受けられずに、
あっという間に旅立ってしまいました(これも誤診でしょう)

そういう場合に「待てよ」と医師が思えば、
重大疾病の可能性を知ることができるのです。
そうしたら、それなりの検査をすれば重大疾病を見つけられるのです。

今はよほどの名医でも、見落とし、見逃しがあるでしょうから、 
「博識な」ChatGPTは有効でしょう。

それに比べると、
法律家や経営コンサルタントの有効性は低いでしょう。
それでも、新たな手がかりが得られる可能性があります。

DXはかなりの企業で進められていますが、まだ
「どこから始めたらよいか分からない」
「何をしたらよいか分からない」という企業は多いのです。
その時に、ヒントが得られたら嬉しいですね。

創作物の構想を得る、
というのはどの程度のことができるのか不明ですが、
行き詰まっているときなどは、
「他人の一言」がヒントになるようなことが期待できそうです。

例文集は、社内でも作成されていますし、
出版物としてもかなり出ています。
自社に合った例文集が豊富にできたら有効でしょう。
一から作成するのは大変ですが、
原案に手を入れるのは容易にできるでしょう。
失礼な文言で相手の顰蹙を買うなどということが避けられます。

3.ChatGPTの悪用対策
前掲記事等ででも指摘されている「悪用」ですが、
こういう便利な道具は、
「悪用」を恐れて利用しないということではなく、
積極的な活用を図る方が「勝ち」です。

「悪用」対策は、しかるべき人たちにお任せしましょう。

2/21追記
このような考えが浮かびましたのでご紹介します。
1.ChatGPTは前述のように
 利用者本人のために提供されるものです。したがって、
 ChatGPTの答えそのものを他人に提示することは筋違いです。

2.そこでChatGPTが作成した文章等は他に転送を禁止します。
 転送された場合は、ChatGPTがチェックをして転送を削除します。
 あるいは、削除はタイミング的に難しいようであれば、
 「このメッセージはChatGPTが作成したものですから、
 単純に信用しないでください」とかのメッセージを
 受信者に送ります。

3.前掲表「ChatGPTの利用法3.例文集を作成する」の場合は、
 他人に提示することが目的ですから、削除等は困ります。
 そこで、このような利用法の場合は、利用企業が申請して
 マイクロソフト社から認定のスタンプをもらうようにします。
 このスタンプが付いている場合は、流通OKということです。




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