2024年3月27日水曜日

東京マラソン 目標の「完走」ならず!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 東京マラソン参戦記です。
ねらい:
 再度チャレンジしたい!!と思っています。
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5年ぶりに抽選が当り、
2024年3月3日、東京マラソンに出場しました。

過去4回出場しましたが、以下の到達記録でした。 
 2013年 15キロ
 2017年 15キロ弱
 2018年 23キロ
 2019年 20キロ弱
上野則男のブログ: 東京マラソン、今年も完走ならず!! (uenorio.blogspot.com)

今年は大分体力が落ちているので、
何とか10キロまで走りたい(「10キロ完走」)、
ひょっとしたらフルの完走もあるかも、と考えていました。

エントリーは38,000人です。
申告によって、早いメンバから遅いメンバへと組み分けされ
スタートもその順番になります。
私は一番遅い組です。
 当日は好天でした。その組の仲間です。















試合のスタートは9時10分でしたが、
われわれの組がスタート地点を通過したのは
すでに9時40分頃です。
その時は、大集団でしたが、
皆さん、どんどん走って私を追い越していきます。
私に抜かれる人は1人もいませんでした。
スタート前には、「オバサン」達も結構いたのですが、
皆さん先に行ってしまいました。

新宿駅のガード下を通る1キロ地点ではかなりまばらになりました。
この時の写真を注文しました。届いたら掲載します。
以下の写真は仮です。先頭の赤いのが私です。











当日、私はどこも具合が悪いところはなかったのですが、
何しろスピードが出ないのです。
5キロ関門の近くでは、
10メートル以上離れている人たちがぼちぼちいる、
という感じになっていました。

苦痛はなかったのでいけてると思っていましたら、
市ヶ谷駅前の5キロ関門でアウトになりました。
バスに収容です。
関門の締め切り時間は10時42分でした。
実際のスタートから約45分です。
1キロ平均9分ですから、歩く速度ではダメで、
結構厳しい時間です。

その時、収容された人は10人くらいです。
なんと私は3万8千人の中のびりから10番に入ってしまったのです。
こんな屈辱はないです。

そこで、原因を分析してみました。
身体のバネガなく足を引きずっているような走り方(歩き方)
になっているのです。
これでは速く走れるわけがありません。

このまま引き下がるわけにはいかんと
翌日から、毎朝のジョギングでの走り方を変えました。
足を引きずるのではなく、極力跳ねるようになるべく早く走るのです。

私が使用している万歩計では、
総歩数だけでなくジョギングの歩数も表示されます。
ジョギング歩数の対象になるのは、
7メッツ(約時速7キロ)以上を10秒間以上継続した場合の歩数です。

今年の東京マラソン参加前までは、
その数値がほとんど100以下でした。
反省後は1,000以上にすることを目標にしています。
努力して実現しています。
時速7キロが持続できればタイムアウトにならずに済みます。

来年、「10キロ完走」に再チャレンジする気です。
どうなることでしょうか???

2024年3月26日火曜日

「異常気象がノーマルに、春と秋が消え「二季」に?」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「異常気象が異常ではない」ということの確認をしていただきます。
ねらい:
 個人の力ではどうにもならないので、
 それを前提に生活設計をするしかないですね。
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本テーマは、学士會会報2024-Ⅱ掲載の
三重大学大学院生物資源学研究科の立花義裕教授による
当件名の論文のご紹介です。

最近巷では、「春がなくていきなり夏だ」とか
「夏から急に冬だ」と言われていることが
本当であることが分かりました。

この論文では、冒頭に以下のように書かれています。

最初に結論を書こう。
北極の著しい温暖化がの日本の異常気象を頻発させる。
人類が放置すれば、異常気象が普通の天候、すなわち、
異常気象発生がニューノーマルな時代になる。
いや、もうすでになったかもしれない。

ニューノーマルな時代では、
四季が亡くなり長い夏と冬だけの「二季」となる。
そうならないためにワタシたちは何をすべきか?
戦争している暇は無い。

気候危機は人類の最大の危機なのだ。
地球温暖化が新聞やテレビで報道されているが、
未だに無関心層が多数である。
気候危機は遠い未来のことではない。

以下に要点をご紹介します。
【猛暑は災害であり、「人災」でもある】
近年、日本では熱中症で毎年千人規模の人が命を失っている。
この数は、風水害による年間の死亡者の約10倍。

10年間猛暑が続けば、東日本大震災と同程度の死亡者数となる。
でも、猛暑で千人の人が亡くなっても「大災害」と呼んでいない。
その原因は地球温暖化でありそれは人災である。

【極端な猛暑は偏西風の異常な蛇行が原因】
猛暑が続く原因は偏西風の蛇行である。
偏西風の北は寒く、南は暖かい。
偏西風の蛇行で北に寄っているところに日本があり、
そのために温度が上がる。








【蛇行の一因は、北極の温暖化】
偏西風は、北極と低緯度の温度差が大きくなると強まり、
小さくなると弱まるメカニズムを持っている。
北極圏は地球全体の温暖化をはるかに上回るスピードで温暖化している。
その結果、北極と低緯度の温度差が減り、
偏西風が遅くなり蛇行が起きる。
遅いと蛇行が起きるのは川の流れと同じである。

【海水温度も未曽有の高温】
そのために、陸の温度も高くなる。
原因不明であるが黒潮も蛇行し、本邦近辺に長く留まっている。

【豪雨も広域で長時間続く】
豪雨頻発の原因も海の温暖化である。
海の温暖化により水蒸気の発生が多くなり、
これが異常な降水をもたらしている。

【豪雪も偏西風蛇行と水温上昇がもたらす】
猛暑で高まっている海水温は直ぐには下がらず、
冬でも水蒸気が大量に発生する。
この大量の水蒸気が、大陸からくる寒気により冷却され
大量の雪となる。

【アラスカ沖の北極海氷の激減の影響】
アラスカ沖の北極海氷の激減により、
アラスカの北の上空は異常に暖かくなる。
冬の偏西風は、温かい海を避けるように北に迂回させられ、
北極点近くまで侵入し、その反動で、
北極寒気を東西に引き裂いて偏西風の南北への蛇行をもたらす。
これにより、日本近辺と北アメリカの冬が寒くなっている。



「私の履歴書」野本氏 傍系からの東急社長就任!スゴイ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 東急野本社長の日本の異端児的偉業を確認いたします。
 (なかなか真似はできません)
ねらい:
 この「偉業」は、
 経営の教科書に仕立てることができるのではないでしょうか。
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2024年3月の日経新聞「私の履歴書」は
野本弘文東急会長(前社長)です。
氏の経歴はスゴイものです。












1.野本社長の経歴
東急電鉄に1971年に入社されたのですが、
以下のようにずっと傍系を歩まれています。

厚木の保有土地を住宅団地として開発・販売する部署に14年間
本社田園都市事業部勤務 3年間
東急不動産に出向 3年間
ケーブルテレビなどを手がける「ニューメディア課」勤務
                    43歳から13年間
ケーブルテレビ運営会社社長 56歳から3年間
本社取締役事業開発本部長 2007年6月 59歳
本社社長 2011年4月~ 63歳 

私は、当ブログで以下のように、
優れた経営者は傍系を歩んでおられると書いています。

上野則男のブログ: 中国・北朝鮮の強さ!!日本どうする?徒然草 (uenorio.blogspot.com)

私は、日経新聞の「私の履歴書」を愛読していますが、
登場される方は日本社会の成功者です。

どなたも何回か重要な意思決定場面に遭遇しています。
その意思決定の成功要因は「先を読む」ということです。

多くの成功者に共通しているのは、
本流の社内にずっといたのではなく、
傍系の会社や海外駐在の経験をお持ちです。

社内にいる場合も当時の中核事業ではなく
陽の当らない事業の担当をされています。

私が在籍した帝人の「凋落を止めた」安居祥策社長も
その典型でした。

そういう本流ではない経験が事業や案件を
客観的にみる能力を養成するのですね。
本流では流れに乗るしかなく冒険はできません。

「かわいい子には旅させよ」の言い伝えは
まさにそのことを言っているのですが、
英才教育の対象者に限定される対策です。
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しかし、野本社長の場合は異例です。
59歳に子会社から呼び戻されているのですから。
そういう人事をされた社長が偉いですが、
野本氏もそれなりの成果をあげておられるのです。

2.野本社長の人生訓

優れた成果を挙げられた野本氏の「人生訓」を拾ってみます。

厚木に配属された時「住宅開発については東急で一番になるぞ」
「それで何をやりたいんだ」を考える。
本流でないマルチメディア課に配属になった時
 「可能性のある新たな分野を勉強できるいい機会だ」
 「このままではダメです」と新しい方向性を探った。

「仕事で一番大切なのは何が正しいかを考えること」
「正しいと思ったことを諦めずに戦う勇気をもつこと」
「ここで、いっちょやってみようか」
「責任ではなく原因を追究しましょう」当時の社長に進言。

東急社長になって以下の標語を考えた。
 「3つの日本一、ひとつの東急」
 「日本一訪れたい街 渋谷」
 「日本一働きたい街 二子玉川」
 「日本一住みたい沿線 東急沿線」

このすべてを言うだけでなく、実現されているのです。
どうしてそのような素晴らしい考え方が生まれたのは
氏の幼少から学生までの生活に元が辿れます。

3.野本社長の生い立ち
氏は昭和22年9月に、福岡県行橋市の繁華街にある
酒屋「野本商店」で生まれました。
小学校時代はわんぱく。
中学でも悪さをして校長室で正座をさせられたのは「学校で一番」

よく店の手伝いをした。
母親とお客様が何を買うかの当てっこをしたが、
「よく見ていれば分かるよ」と言われた。
父親は頻繁に店の陳列を変更した。
「お客は必ず飽きるもの。目先を変えることが大事だ」と言われた。

高校時代は、学校の運動会で応援団長を買ってでて
ベニヤ板などで巨大なモニュメント(エイトマン)を作った。
文化祭では仲間とコント風のシナリオで劇をやった。
この時のいろいろな工夫が、のちの町づくりの発想に役立っている。
(注:まったく偶然ですが、
私は帝人時代に文化祭をイベント大会に仕立てて、
私の所属していた経理部では「コント風のシナリオで劇」をしました)

京都での浪人生活中に、仲間が頻繁にやってきたので
京都の観光案内に詳しくなった
(この経験が後々の仕事に役立っています)

希望校の大学受験は2度失敗し、
早稲田大学理工学部に入学された
(おそらく合格しなかったのは京大とかの国立大学でしょう)。

大学時代は、仲間と中古車で35日間日本一周をした。
バイトは50種類超経験した(「現場」の理解に役立っています)

入社前、父親に言われた。
「どんな大会社でも小さな商店の集合体なんだよ。
おそれることはない。しっかりとやって会社をもうけさせなさい。
自分の給料は自分で稼ぐつもりでやりなさい」
当事者意識を持つべしということで座右の銘にしている。

もう一つの座右の銘が「和而不同(和して同ぜず)」がある。
(前掲の「正しいと思ったことを諦めずに戦う勇気をもつこと」
につながります。

4.野本社長の実績
野本社長のキャリアを通しての実績は以下のとおりです。
厚木時代:
 本社から絶対無理と言われていた区画整理事業の認可取得
ニューメディア課時代:
 赤字続きのWOWOW(日本衛星放送㈱)の再建策の実現
 東急ケーブルテレビジョンの再建策の実現
ケーブルテレビ子会社社長時代
 赤字体質からの脱却
 東急線沿線全体の光ケーブル化の推進
東急電鉄社長時代
 4大開発プロジェクトの推進
 (渋谷、二子玉川、たまプラーザ、永田町)

5.野本社長のすごさ
社長になられてからは、次々と改革や新事業の展開をされています。
それは、革新性をお持ちの社長であればできることで、
そんなに驚くことではありません。

日の当たらない職場に10年以上を2回も経験され、
その時にめげずに前向きに仕事に取り組まれて、
成果を出されていることが真似のできない素晴らしいことです。
そのもとは、幼少時の経験と前向きの精神です。
(結果的には、長い傍系での経験が
新時代のニーズに合致した幸運もあります)

これだけ前向き・ポジティブな方はまずおられませんね。
これは遺伝でしょうか。育ちでしょうか。

こういう社長が、日本の大企業に多ければ、
日本は「失われた30年」を経験しないで済んだでしょうに!!


急に賃上げラッシュ!どうしたことか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 30年ぶりの高率の賃上げの要因を研究していただきます。
 今後どうなるかを考えましょう。
ねらい:
 日本経済が「失われた30年」を脱却できることを
 期待しましょう。 
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30年間、ほとんど動かなかった給与水準でしたが、
急に賃上げの動きが活発になってきました。
賃上げの傾向は、中小企業にまで及び
中小企業の賃上げ率は32年ぶりの高水準となりました。

 (3月14日日経新聞)

























同じ記事の続きです。










































これも上掲の記事の図ですが、これまで企業は配当金を増やしても
人件費は増やさなかったのです。











































なぜ急に賃上げが動き出したのでしょうか?
あらためて、その要因を探ってみます。

Ⅰ.これまで賃金が上がらなかった要因
2017年に以下の書籍が出ています。
編者は玄田有史東大教授で、
21人の専門家にこのテーマで書いていただいたものを収録しています。 
「人手不足なのに、なぜ賃金が上がらないのか」

このブログでもその内容をご紹介しました。
2017年6月20日

以下、そのブログの内容です。
2017年時点のほぼ一般的な認識を示しています。
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主としてその著書の要約から、
「人手不足なのに賃金が上がらない」理由を整理します。

1.労働市場の需給関係からの考察
1)経営がギリギリで少しでも人件費ががると撤退となる。
2)多くの高齢者や女性が求職するので賃金が上がらない。
3)競争激化のため、経営が賃上げできない。

4)離職者を防ぐための賃上げ効果は限定的である。
5)日本の労働市場は企業内に閉じているため
               市場全体の需給関係を反映しない。


2.行動経済学等の観点からの考察

1)日本の給与体系・給与決定方式だと 
  いったん上げるとなかなか下げられないので、
  経営は給与上げに慎重になる。

  過去に賃金カットを回避した企業ほど、
  その後の賃上げの度合いが小さい。
  賃金カットを実現した企業はその後に利益率が向上すると
  大幅に給与を引き上げている、
  という事象も報告されています。


3.賃金制度などの諸制度の影響

1)能力主義・成果主義を標榜する中で
  平均的には給与水準の引き下げが行われた。
2)社会保障費負担の増加も給与引き上げ原資を奪っている。

4.賃金に対する規制などの影響

1)雇用面の最大の成長産業である医療・福祉系の賃金が、
  診療報酬制度や介護報酬制度の規制によって
  上限が抑えられている。
2)その低賃金が、
  他の対人サービス業全体の足を引っ張っている。

 
5.非正規労働者の増加の影響

1)賃金の低い非正規労働者の増大は平均賃金を引き下げる。
2)定年再雇用の場合も低賃金となる。


6.能力開発・人材育成の弱体化の影響

1)高い技能を有する労働者が少ないから低賃金となる。
 それは社内の能力開発・人材育成の機会が減少したからである。
 

 企業が職場外で行う訓練であるOFFJTの
 従業員一人当たり支出額は
 リーマンショック後、それ以前に比べて半減している。

 労働者が自身で行う自己啓発も同じく半減している。

7.高齢問題や世代問題の影響

1)就職氷河期の「第2次ベビーブーム時代」及びその後の世代は、
 卒業時に有利な条件での就職ができず、
 その後の転職等の場合でも恵まれていない。
 この世代が平均賃金を引き下げている。

2)高齢者は役職定年や再雇用で大幅な賃金低下となっている。
 この影響も大きい。

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この指摘は正鵠を射ていたと思われます。
しかし、重要な視点が抜けています。
このブログで上野は以下のように述べています。
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8.給与が低いのは、
その労働が産み出す付加価値が小さいからである。


付加価値が高く、売上が得られるのであれば、
経営はその雇用を増やし、給与も上げます。

多くの労働者が従事している旧来型の労働は、
競争激化で付加価値を生み出さないか、
低生産性で生み出す付加価値が小さいのです。

そこで、賃金・給与を引き上げるには
労働の生産性向上が必要です。

ところが、従来型の労働者は、
「言われたことをこなす」という思考にはまっていて
より良い仕事の方法を自ら考えるという思考法を
持っていません。

その源流は、よく指摘されているように、
日本の教育制度にあります。
既存のでき上った体系を覚えることが中心で、
考える・創造する、ということに力点を置いていません。

ご承知のように、
ようやくその反省から大学の試験制度も
見直されるようになっています。

私共研修事業者の立場から見る新入社員層は
「指示待ち人間」です。
それをどうやって変革させるかが、
新入社員研修の最大の課題なのです。

研修でそれを成功させている例は殆どありません。
成功例は、日本電産殿が社長の発案で実施されている
「新入社員に毎日便所掃除をさせる」でしょう。

それを乗り越えられない社員は落第ですね。

新入社員だけでなく、
多くの社員が場合によって部長層までが
指示待ち人間なのです。
それを嘆いておあられる社長のなんと多いことでしょうか!

今後、日本はどうやって事業の競争力を高めていくのでしょうか。

人件費コストダウンの切り札だった非正規の増加は頭打ちです。
多くの企業で非正規社員の正規化に舵を切っています。

産業構造変化も頭打ちでしょう。
金融はアメリカに敵わないし、
製造業も、後進国やダイソンを考え出す国の後塵を拝しそうです。

トヨタのカイゼン活動は製造現場が中心です。
日本の製造現場のカイゼン力はおそらく世界一でしょう。

しかし、デスクワークで「カイゼン」を旨とする企業は、
日本のほんの一部です。

日本のデスクワーク現場の人たちは変化を好まないのです。
変化を嫌うのです。

「変化しないと企業が持たない!
変化を拒絶するものはクビだ!」
くらいのことを社長が言わない限り現場は変わりません。

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Ⅱ.2024年に変化した要因
それでは、これらの給与が上がらない要因のうちで、
何が改善されたのでしょうか。

以下の3点でしょう。
1.労働市場の需給関係からの考察

前掲資料では、離職者防止のための給与アップ効果は限定的である、
との記述があります。
今回は、DX等の先端的技術者確保のための給与アップが前面に出ています。
事業によってはそれらの技術者確保は死活問題なのです。

また、人材確保のための新入社員給与引き上げも目立っています。
給与が高くないと優秀な人材を採用できなくなったのです。

それらの影響で、全体の給与水準も見直しがされている、という状況です。

4.賃金に対する規制などの影響
賃金は抑制傾向から賃上げの積極的支持に轉換しています。
政府は、今年度から従来からの賃上げ分の一部を税額控除する
「賃上げ促進税制」を拡充して、積極的な賃上げの旗振りをしています。
物価高に対して給与が上がらないと、
国民の不満は日に日に大きくなって、
自民党政権の維持もおぼつかなくなってしまいます。

何としても、以下の好循環の歯車を回したいのです。


8.給与が低いのは、
その労働が産み出す付加価値が小さいからである。

日本経済としてのその抜本策は未解決ですが、
物価上昇が受け入れられる社会的環境になってまいりました。
物価高要因の大半は原料高ですから、
国民が「仕方ない』と受け入れているのです。

値上げ是認の風潮は、企業の収益改善の後押しとなります。
おそらく、これまで抑えていた値上げをこの際実現する、
ということも起きているでしょう。
これは、労働が産みだす付加価値増に該当します。

課題は中小企業がどうなるか、です。
上掲のグラフでも、中小企業は既に労働分配率が高くて
賃上げ余地は少ないのです。

取引先が値上げを引き受けてくれないと、
賃上げのしようがありません。
連合の2次集計では中小企業の賃上げ率が4.5%になりました。
好調の自動車産業の関連中小企業の賃上げが
他の産業にも波及しているようです。

中小企業の経営者は
事業採算的には給与アップはできにくいのです。
しかし、給与アップが一般的傾向になった中で、
その波に乗れないのは、従業員の意欲確保の点から致命的です。
中小企業の経営者としては苦渋の決断でしょう。
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こうして見てきますと、賃上げのラッシュには、
日本社会の付和雷同型思考も影響していると思われます。

以上を整理しますと、賃上げラッシュになった要因は、
特に目新しいことはありませんが、以下のとおりとなります。
1.高度人材確保が必須な企業が先陣を切って賃上げした。
2.国が賃上げに対して積極的な促進をしている。
3.原材料高でどうにもならない企業から値上げを始めた。
4.物価上昇を受入れる社会的意識が生まれた。
5.後続企業が値上げと賃上げをしだした。
6.様子見だった多くの企業が賃上げをしだした。

これが一過性に終わらずに、上掲の図の好循環が回れば、
日本経済の失われた30年から脱却できることになります。
そのキーは、一般の国民の消費拡大です。
先行き不安があれば、
給与増は消費に回さず貯蓄に回ってしまいます。

先行き不安の解消を実現するには、
国の強いリーダが現れて「こうすれば日本の将来は安定できる」
ということを示さなければなりません。
「こうすれば」の中には少子化対策も含まれます。
そういうことができる国のリーダは期待できるのでしょうか。

それが困難であれば、その効果は限定的ですが、
せいぜい「消費促進策」を大々的に打つしか手がないでしょう。
「GOTOトラベル」や「耐震・耐火リフォーム促進」などです。

いかがでしょうか。
皆様もお考えください。

2024年3月19日火曜日

奥村弘一郎氏の死を悼む!!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「会者定離』と言いますが誠に残念!
 「大」学友の死を悼みその功績を記します。
ねらい:
 ご冥福をお祈りするばかりです。
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奥村弘一郎氏は、数年前に
原因不明の動物タンパクアレルギー症になられてから、
体調をくずしておられました。
私は毎日、神様に「早く恢復しますように」とお祈りしていたのですが、
なんとこの3月2日に他界されてしまいました。
青天の霹靂、残念でなりません。

1. 学生時代

私は1956年から、奥村弘一郎氏と東大空手部でご一緒しました。
2年になった時に、彼は駒場のキャプテンになりました
(全体のキャプテンは本郷の学生です)。
キャプテンは先輩が決めるのですが、腕がよく人望もないとダメです。

腕(空手の昇級試験成績)は1番ではありませんでしたが、
人望があり面倒見がよいということで選ばれたと思います。
面倒見の良さは、あとあとずっと続いていました。

自己紹介のときには、多くのメンバが出身高校を自慢するのですが、
彼も「名門大手前高校出身」と言って自慢していました。
高校の1年後輩にAD君がいて
「ダイサン、ダイサン」と可愛がっていました。

こういうことを思い出します。
駒場寮の時代に、映画「OK牧場の決闘」が公開され大人気でした。
主役が、バート・ランカスターとカークダグラスだったのですが、
その真似事をして楽しんだりしました。
カークダグラス演じるドク・ホリディ役が奥村兄で、
「カークオクムラス」と称していました。
今にして思えば医師役ということは、
その後の人生を暗示していたのですね。

明るく社交的な彼は、
「こんにちは」のご挨拶に相手の「股間掴み」をするのです。
相手は「うわー」とビックリするのですが、
これですっかりお友達になってしまいます。
このご挨拶は、かなり晩年まで続けていました。

就職時代

1960年に経済学部を卒業、京都の日新電機に入社しました。
ゼミの脇村義太郎先生の推薦で「あそこの社長になれるぞ」
と言われて入ったと言っていました。

1964年 歯科医のお子様である満利子さんと結婚されました。
このご縁で、歯科医ビジネスに関心と問題意識を持たれたと思います。
そして日新電機の「社長の芽」を振って退職されました。

1966年 国立東京医科歯科大学を受験し一発で合格、
入学しました。
学士入学の制度はありませんので、
6年間かけてアルバイトをしながら通学されました。
奥様にもずい分ご心配・ご負担をおかけしたと思われます。

1972年に無事卒業されました。

相前後しますが、お子様3人に恵まれました。
彼は、長女の円(まどか)さんをずい分可愛がっていました。
次女の環(たまき)さんともども歯科医になられたのは、
大満足だったでしょう。

3.歯科ビジネス

1972年8月、36歳で奥村歯科を開業。
ほぼ卒業と同時ですから、在学中から準備をされていたことでしょう。

実は、東大卒の歯科医は歴代2人しかいないのだそうです。
先日、大学のOB会で、
もう一人が1982年農学部卒のS氏だということが分かりました。
今度奥村兄に会ったらそのことを聞いてみようと思っていましたが、
叶わぬこととなってしまいました。
S氏は理系の学部ですが、奥村兄は文系の卒業ですから、
理系の勉強はたいへんだったと思われます。

彼は、当然ながら、1歯科医の開業が目標ではありませんでした。
「東急線の沿線各駅に同一コンセプトの医院を作る」
と豪語していました。
同一コンセプトは一言で言えば、
「真にお客様の立場に立った治療を行う」ということです。

そのコンセプトには、
今は当然のようになったインフォームドコンセントの徹底、
その中には、安いが治療成果は高くない方法と、
料金は高いが治療成果も高い方法を提示して、相手に選択させる、
ことも含んでいました。

私が聞いた話では、
「患者」と言わずに「お客様」と言う、ということもありました。
「お客様」が来店すると、居合わせる従業員みんなが
「こんにちは!」と声かけをしていました。
ビジネスマン出身の彼らしい発想でした。

この医院展開構想は3医院までいって停滞しました。
それは、歯科医になる人は
「自分の医院を持つ」ことを目標にしていますので、
少し学ぶと勤務医を好まずに直ぐに独立してしまうためでした。

彼の思う同一コンセプトの医院を展開するには、
医療法人化が必要でした。
ところが、歯科の医療法人は前例がなく、
なかなか認可がとれませんでした。

1981年になってようやく、
初の歯科の医療法人仁愛会が設立されました。
地元の歯科医たちは猛反対だったようです。

この間、奥村兄は自ら陣頭指揮で治療にも当たりました。
「お客様の立場に立って」治療を行うことは、
経済効率が良いとはいえません。
奥様が「なぜそんなに働いていて収入が少ないの?」とこぼしていた、
ということを彼から聞きました。

お客様からはたいへん評判が良く、
一度お世話になった方はずっと継続されています。
我が家族はじめ一族、空手部仲間など大ファンだらけです。

歯科治療は結構体力を使うのですが、
かなりの晩年まで、お客様の期待に応じて治療を続けていました。

中断していた医院拡大は、2015年からは4医院新設となっています。
全国的に歯科医過剰時代になり、
独立が安易な道ではなくなったことが一つの要因でしょう。
彼が開業した1970年代が、そのような事業環境であったならば、
「東急線沿線全駅での医院設置」が実現できていたかもしれません。
誠に残念なことでした。

4.社会活動

頼まれるといやと言えない性格で、
多くの団体等の役を引き受けられました。

1)東大卒業生会である銀杏会
東大には長らくOB会は存在しませんでした。
優秀な人間が群れてはいかんというような暗黙の認識が
邪魔していたようです。
しかし、他大学でのOB会の活躍ぶりを見て、
東大も何とかした方がよいということになりました。
私も多少加担して、
1989年4月に東大OB会である「銀杏会」が誕生しました。

私が業務多忙でその活動から抜ける際に、奥村兄をひき込みました。
私はあまりその気がなかったのですが、
彼が「上野に引きずり込まれた」と盛んに言っていました
。彼ははまり込んで、1997年から2020年くらいまで、
事務局長3年、副代表幹事11年、副会長5年、
顧問などを歴任されました。たいへんな貢献です。
事務局長が一番大変だったでしょうね。
 (役員の詳細の記録)
 ・事務局長: 1999年から2002年
 ・副代表幹事:①1997年から2000年
        ②2002年から2010年
 ・副会長 : 2010年から2015年
 ・顧 問 : 2015年から2018年


2)東京医科歯科大学関係の活動
以下の役員をされています。
東京医科歯科大学の全学同窓会の顧問を2011/9/1~(現在)まで
同東京同窓会の顧問を2010/4/1~(現在)まで
それらの同窓会の活動にかなり参加されていたと思われます。

2022年には卒業50年記念行事で、
年次卒業生を代表して大学構内の記念植樹の贈呈をされています。  
その時の写真 右が奥村氏、左は、同大学田中学長です。


               












3)歯科医師会の活動
公益社団法人日本歯科医師会で次のような役員をされています。
 理事   2003/4~2004/4
 常務理事   2004/5~2006/3
   代議員  2006/4~2011/3

詳細不明ですが、
地元の社団法人横浜歯科医師会の活動にも参加されています。

注:2004年春に発覚した「日歯連事件」により
歯科医師界の幹部6人が起訴されました。
その直後に日本歯科医師会の常務理事になった奥村氏は、
その影響収拾に大変苦労をしたと聞いています。

 また、この理事をされていた時と、
東京銀杏会の副代表幹事をされていた時は、
重なっておりさぞ大変だったでしょう。

4)システム企画研修株式会社の支援
私が、2002年にリターンマッチの会社を始めたときに、
応援団として株主になってくださいました。
そして、ずっと励ましてくれていました。
未だに勃興の兆しが見えないのは、まったく申し訳なく思っています。
これからは「陰ながら」今まで以上に応援してくださる
ことを願っています。

結びです。

彼は仲間内の会などでは「シカイの奥村です」と言って、
ジョーク一杯の司会役を楽しんでいました。
皆もその司会ぶりを楽しみにしていました。
その「司会の上手な歯科医」の司会を二度と聞くことができないのは、
信じられないほど残念でなりません。
彼は、人生のハイシャ(これも彼のオハコ)ではなく
勝者だったのです。

心からご冥福をお祈りいたします。

2024年3月18日月曜日

「まっすぐ考える」とどうなる?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「世界的ベストセラー」といわれる思考法のご紹介をします。
 分かるような分からないような内容です。
ねらい:
 ご関心ある方は、本書を研究してその成果を教えてください。
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この本の表紙に
「考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり」
とありました野に引かれまして、買ってみました。
ところが、この本の目次は以下のようになっていて、
どこを見ても、考えた瞬間に答えが出てくることの記述はありません。
むしろ、「いろいろ考えろ」という感じなのです。







よくよく読んでみて、「考えた瞬間」に答えが出るなどということは
日本の出版社が勝手につけた文言で、
著者はそういうことは言っていません。

しかしながら、目次をご覧いただいてわかりますように著者の主張も体系的ではありません。
あれこれ、言いたいことを述べている、という感じなのです。

そこで私が、著者の主張の整理をしてみました。
それが以下です。






1.著者の主張の基本

私はこの本で、プラグマティズムを基盤とした

「明晰思考」という思考法を提唱したい。

明晰思考で大切なのは、いつでも地に足を着けていることだ。

事実を見て、他者の意見を聞き、その上で現実的な結論を導き出す。

 2.そのためにどう考えるか

自分がコントロールできることを考える。

「中立」になる。

「事実」を見る。

「今」に集中する。

「わかりやすく」考える。

「時間」をかける。

「細部」に気を配る。

 3.そのために必要なこと

内省の時間をつくる

心に「静寂」を見つける。

 

肝心の「明晰思考」とはなんであるかは
事実を見て、他者の意見を聞き、その上で現実的な結論を導き出す。
とあるだけで、これ以上の定義はありません。
それ以上のことが分かりません。

著者が挙げている以下の典型的例をご覧ください。
一切、原文のままです。
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2014年、私は生まれ育ったオランダのレーワルデンを離れて
ロンドンに移り住んだ。
レーワルデンの人口は10万人だが、
ロンドンの人口は700万人にもなる。

環境の変化は予想していたよりも厳しかった。
特に大変だったのが、住む場所を見つけること。
自分で調べたり、新しい同僚たちに聞いたりしたところ、
どうやら短期間で部屋を見つけるには、
かなりぼったくられることを覚悟しなければならないらしい。

そこで私は、3か月という短期の賃貸を選んだ。
そのほうがずっとかんたんだったからだ。
職場まで公共の交通機関で1時間以内という条件を決め、
その条件の中でロンドンの様々な場所に住んでみることにした。
それが私の計画であり、幸いにもすべてはうまくいった。
少なくとも最初のうちは。

そして2か月後、サウスウエスト・ロンドンのアールズフィールドに
寝室が一つの手頃な部屋を見つけた。
計画は完璧だった。
最初に借りた部屋を解約し、新しい部屋を借りる契約を結ぶ。
両親と兄弟がわざわざオランダから車でやって来て、
引っ越しの手伝いをしてくれた。
荷物はそれほどなかったので、車で十分に運ぶことができる。
新居までは車でわずか10分の距離だ。

これで引っ越しはすべて終わるはずだった。
荷づくりをして、新しい部屋の鍵を受け取り、
今の部屋の鍵を大家にかえし、新しい部屋に移る。
あとはネットフリックスでも見ながらのんびりすごせばいい。
荷造りから移動まですべて同じ日に終えるつもりだった。

しかし、物事は計画通りには進まない。
引っ越しの直前になって新しい大家の気が変わり、
やはり貸さないと言い出したのだ。
それを言われたのは、引っ越し予定日の前日だった。
前の部屋はすでに引き払っている。
突然、私は済み場所を失い、
ただ荷物を詰めたSUVだけが残された。
その日の夜、
私は両親が泊まるホテルで盛大にパニックを起こした。

「どうしたらよいかわからない!荷物は全部車に積んである。
みんなにわざわざオランダから来てもらったのに、
僕はこんなところで途方にくれているだけだ」
その日、私は夜遅くまでずっと自分を責めていた。

あなたはもしかしたら、
「それぐらいのことで?」と驚いているかもしれない。
たしかに今思えば、私の態度は少し過剰反応だった。
いや、正直に言おう。私はすっかり悲劇の主人公になりきっていた。

今、私がこの出来事について話すのは、
思考の影響力を理解するのにぴったりだと思ったからだ。
私は自分の思考にばかりとらわれていて、
現実の状況が見えていなかった。
明晰な思考を失っていた。
しかもその原因は、世界を揺るがす大問題だというならまだわかるが、
実際はささいな問題だ。

その翌日、両親や兄弟からの励ましもあり、
自己憐憫にひたるのをやめて、
その代わりに解決策を探すことにした。
私は自分にこう言った。「Think straight」
頭の中の混乱を解消し、明晰思考に置き換える必要があった。
問題の核心までまっすぐにたどり着きたかった。
これをイラストにするとこうなる。













左:役に立たない思考が集まってごちゃごちゃになった状態
  (心配、ストレス、混乱、どうしたらいいのかわからない)
右:一つの(有効な)目標を持つ明晰思考
  (自分の精神をツールとして活用したい。
   この引っ越しという問題で、
   今すぐにでも解決策を見つける必要がある)

明晰思考で考えると、答えは意外と簡単に見つかった。
新しい部屋が見つかるまでAirbnbで部屋を借りればいい。
結局、Airbnbでの滞在は1週間になった。
借りるつもりだった部屋の大家の気がまた変わり、
やはり私に貸してくれることになったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いかがでしょうか?
これで、明晰思考がどういうものか分かりますか?
「冷静になって考えろ」
という以外にどうやって考えればよいのか不明です。

「価値目標思考」の提唱者としての私なら、
このようにガイドします。
この問題も、問題解決問題です。
問題解決問題では「どうしようか?」が入り口です。
上掲の例で、著者が感じた心境です。
この問いに対して。「どうしようか」の前に
「どうなればいいのだろう?」と問題解決の目的を考えるのです。

価値目標思考では,目的を「目的」と「ねらい」に分けて考えます。
目的:この件で直接実現する成果の目標
   (どういう状態を作るのか)
ねらい:目的が達成できて実現したい成果の目標
   (それでどうなりたいのか)
ねらいは、著者の言うプラグマティズム的「役立つこと」です。

この例で言えば、
目的:まずは住む場所を見つける。
ねらい:長い期間に亘って安定した生活ができる。
(とりあえず、住む場所を見つけて、
そこで、安定した生活のできる住まいを見つける、
ということになります)

つまり、
「明晰思考」は「目的・ねらいを考えろ!」ということなのです。

前掲の私のまとめの「2.そのためにどう考えるか」は、
『目的・ねらい』を的確に捉えるためのハウツーなのです。
この中には「時間をかける」ということも含んでいて、
「考えた瞬間」というイメージには合わないものも含んでいますが、
それでいいのです。

この中にある「自分がコントロールできることを考える」は、
目的を考える場合の、「当事者責任」を言っていて、
「価値目標思考」と共通です。

そして「3.そのために必要なこと」は、
明晰思考実現の環境条件を示していて、
アイデア出しの環境条件である「三上」(枕上、鞍上、厠上)
に通ずるものがあります。

思考法の原理は、万国共通です。

2024年3月17日日曜日

「大常識」って何?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 百田直樹氏のしごくごもっともな「大常識」論をご紹介します。
ねらい:
 百田氏のファンはどのくらいおられるのでしょうか。
 そういう常識が日本全体の常識になってほしいですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本テーマは、百田尚樹氏著「大常識」のご紹介です。
本書は、2023年2月4日~10日の新書のランキング8位に
入っていましたので、何だろう?と思って買ってみたものです。
書名がシンプルなのも珍しいことでした。

百田氏の常識から世の中の事件等をみて、
これはおかしいのではないか、ということについて
意見開陳をされたものです。

そういう点では、この「上野則男のブログ」とも共通性があります。










本書で取り上げられている全項目は、以下の目次をご覧ください。

















全体として、私も賛同できる意見がほとんどなのですが、
特に賛同できる意見を以下にまとめてみました。
原文はデスマス調なのですが、デアル調にして要約しています。

原文のトーンをご理解いただくために、
この中の「電気は命に直結する」の一部を後掲しました。

テーマ

内容

個人情報過剰配慮社会を憂う

現在は、個人情報を保護するという名目で、かなりの情報が秘匿されるようになっている。住民票の続柄欄は「子」しかないし「男女」の区別もない。

差別が良くないのは言うまでもないが、何かにつけ「差別だ」と叫ぶのはいかがなものか。そのために本来しなければならない「区別」さえできないのはあまりにも不合理である。

上野注:私は以前から、個人情報保護の行き過ぎを懸念している。

上野則男のブログ: 過度な個人情報保護への反攻 (uenorio.blogspot.com)

女性専用車両の根本的な矛盾

女性専用車両は、痴漢行為を防ぐ目的で1912年の東京の中央線から始まっている。毎日ラッシュ時に通勤している友人は、空席の目立つ「女性専用車」を横目にいつも満員の一般車両に立っているとこぼしている。

女性を差別しない「平等主義」の現代に女性限定とは、いかがなものか。ちなみに鉄道会社の見解は自身が女性だと認識していれば「女性専用車」に乗車できるそうだ。

トップレススイマーが許可された

20233月に新たなベルリンの壁崩壊があった。それは、ベルリン市内の市民プールで女性も男性と同じようにトップレスで泳ぐことが認められた。

しかしこれは行き過ぎではないか。女性の胸は性の象徴である。ある調査によれば全裸の女性の前に突然男性が現れた場合、半数以上の女性はとっさに股間より胸を隠すそうです(上野もそういう経験をしたことがあります)。

「君が代」が放送禁止だったとは

20235月に、大分市の中学校で、昼休みの校内放送で「君が代」を流したら、教師が飛んで行って「ふさわしくない」と中止させたという。日本の国歌を流して何が悪いのか。指導を受けるべきは、生徒ではなくその学校である。

死刑はないけど射殺はある

20226月にアメリカ・オハイオ州で黒人男性が警察官から銃撃を受け死亡した。日本ももう少し警察が厳しくなれば、犯人たちも大人しくなるのではないか。

かたや欧米の国から「日本は死刑があるから残酷だ」という意見がある。しかし彼らは犯罪現場で勝手に死刑を執行しているのだ。それに対して犯罪者の言い分も十分聞いた上で、裁判を経て執行するわが国の方がはるかに人間的である。

やはり犯罪者に甘すぎる2

2021年2月、大分市内の県道で起きた交通死亡事故で、時速194キロで乗用車を運転していたとして危険運転致死で書類送検された元少年を、検察がより法定刑が軽い過失運転致死の罪で起訴をした。

亡くなった男性の遺族が「納得がいかない」として、危険運転致死罪を適用するよう訴えている。

どんな状態であれ、一般の道路で194キロ野スピードを出していれば、危険運転でしょうに。日本の刑事裁判の有罪率は99.9である。検察が確実に有罪をとれる「過失運転致死」を選んだのならとんでもないことである。遺族は浮かばれない。

電気は命に直結する

2022年の夏も電力供給が厳しく、政府も節電を奨励している。しかし節電は、クーラーを使わないことによる熱中症のリスクがあり、命に関わることである。

電力不足を解消するには、停止中の原発を稼働すればよいのである。がん発反対派は反対するが、止まっていても稼働していても自己のリスクは同じである。リスクの優先順位の考え方が、明らかに間違っている。

「遺憾」よりも「威嚇」が必要な時

2022年、北朝鮮がやりたい放題でミサイルを発射している。中国は尖閣周辺の日本の領海に入り放題、ロシアは北方領土で軍事活動のし放題と、わが国はならず者に好き勝手に振る舞われている。唯一の反応は「遺憾である」と言うだけなのである。

これでは舐められるのは当然である。「専守防衛」「非核三原則」などと言ってアピールしているが、世界はそんなことお構いなしに攻めてくる。今こそ軍備増強、核保有を含めて真剣に対応をかんがえなければならない。人間も野生動物と同じで自分より強い相手に攻撃をしかけることはない。攻撃を受けない最大の防御策は相手に「この国を敵に回すと偉いことになる」という恐怖心を抱かせることである。

優先席の使い方を考える

札幌の市営地下鉄では「優先席」ではなく「専用席」にした。北星学園大学の調査では、専用席の利用者で専用席を必要としている人の割合は93.4%に対し、関東の地下鉄の優先席では19.9%に留まっている、必要とする人が立っていた割合は、市営地下鉄が13.2%で関東が46.6%、空席割合は市営地下鉄が55.4%だが、関東は22.1%であった。専用席にする効果はあるようである。

しかし、朝夕の通勤ラッシュ時に優先席の空席の前で立っている人がいるが、これは迷惑である。座ってくれた方が隙間ができる。そういう判断やマナーは日本人が得意とすることのはずで、そうなっていないのは残念なことである。

救急車に道を譲らない人

20228月に、救急車に道を譲らない車や歩行者が増えているという記事があった。自己中心的で、救急車に乗っている人のことを考えないということなのであろう。

救急車の中にいるのが自分の身内だとしたらどう思うか、どけてくれない車には腹が立つだろうに。自己中心的でない思いやりあふれる日本人であってほしい。

何より子供を大事にしてほしい

20229月に、静岡県牧之原市の認定こども園に通う3歳の女の子が通園バスの中に取り残され死亡するというなんとも痛ましく、腹立たしい事件があった。親の信頼を裏切り「確認を怠りました。ミスでした」では、どうにもこうにも許されることではない。

この事件を受けて、いろいろな対策を講じるようになったが、そもそも、単純に社内を確認する、ということがなぜできないのか、分からない。子どもに、閉じ込められたらクラクションを鳴らす訓練をしているところもあるという。いったいこの国の大人たちはどうしてしまったのか。

 上野注:このテーマは、当ブログでも取りあげています。同意見です。

上野則男のブログ: 悲惨な幼児事故死の対策を考えましょう! (uenorio.blogspot.com)

生活保護の対象を拡大していいか

202210月、厚労省が「生活保護を受けながら大学に進学することは認めない」という見解をだした。生活保護は、働きたくても働けない人に、最低限度の生活を保証するために支給されるものである。大学に行けるなら働けるはずなので、この見解は妥当である。もし優秀な学生に「日本の将来のために」学んでもらいたいという人がいるなら奨学金を出せばよい。

それより問題は、海外からの国費留学生に、学費全額免除と生活費の面倒を見ていることがある。その約半数は中国人である。中国人留学生は日本人の働いた金で学び、知識や技術という何ものにも代えがたい土産を持って帰国する。その土産は中国のために使われるので、彼らへの投資は「日本国の役に立つ」どころか「日本国を脅かす」ことになる。お人よしも大概にしてもらいたい。

 上野注:現時点での国費留学生数は8,761人で、中国からの留学生が 60.8%と最も多く、次いで韓国(14.2%)、台湾(3.7%

進む「匿名化」への疑問

バスやタクシーの運転者の氏名の表示義務が廃止される(202381日道路運送法に基づく省令を改正)。女性の運転手のストーキングリスク、乗車態度を注意された客が逆恨みであることないことを実名入りでネットに上げることを防ぐことが目的のようで、乗客の安心安全のための措置が運転手を危険にさらすことになっているのである。今後は車両の識別番号が分かるようになる。お互いの安心のためには仕方のない妥協点かもしれない。

名札の廃止といえば、販売店や飲食店でも、同様の理由から廃止が進んでいる。接客業でありながらマスクで顔の半分を隠したうえで匿名にしなければならないとは世知辛い世の中になったものだ。

 上野注:最近は郵便局などでも、匿名化が進み残念なことです。

 

電気は命に直結する
前略 
電力は現代社会において最も重要なエネルギーのひとつで、
なにをおいても供給を止めてはいけないものです。
それを
暑くなってみんながクーラーをフル稼働するから足りなくなるなんて、
とても先進国とは思えません。

もちろん、
二進も三進もいかないのなら「節電」も仕方がないでしょうが、
わが国には簡単に電力不足を解消する方法があります。
いま稼働停止している原子力発電所を動かせばいいだけです。
東日本大震災での事故以来、全国の原子力発電所がストップしました。

原発反対派は「また大災害に襲われたら大変だ」と言います。
たしかに新たに原発を作ればそのリスクは増加するでしょう。
しかし、既に存在しているものは動いていようが止まっていようが
災害によるリスクは変わりません。
ならばあるものを利用して喫緊の危機を回避することに
何を躊躇うことがあるのでしょう。
危機対応の優先順位が明らかに間違っています。

電気料金は原価に適正な利潤を加えたものです。
すなわち節電によって電力使用量が減り電力会社の利益が減ると、
電力会社はその減少分を電気料金に加算するのです。
ですからコストの高い電気をわたしたちが使わなければ使わないほど
電気料金(上野注:その単価)は上がるのです。
いずれにせよ電力会社は痛くもかゆくもなく、
節電は我々が自分の首を自分で絞めているのと同じです。
そして、何よりも節電を頑張ろうとエアコンのスイッチを切ることは
「首を絞める」という比喩ではなく、
本当に熱中症で命をおとすことになるのです。
(上野注:実際にそのような事故がありました)