【このテーマの目的・ねらい】
目的:
日本および世界の食に関する情報を得ていただきます。
今まで知らなかったことが一杯でビックリです。
ねらい:
ぜひ、現本でお読みください。
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石毛直道先生は、日経新聞「私の履歴書」11月のご担当でした。
ビックリする新事実が多かったので、
最もコンパクトなこの本(文庫版、290ページ)を読んでみました。
本当にビックリです。
30年以上に亘って世界を調査されたのです。
その結果分かったこともビックリですが、
なるほどそうだったのか、ということばかりです。
その本の序章の一部をご紹介します。
この序章が本論の要約になっている面もあります。
太字部分は原本そのままです。
【主食的な食物の分布】
まず「主食」ということばについての但し書きをつけておこう。
主食という観念は世界の民族に共通するものではない。
たとえば、ヨーロッパの言語には主食にあたることばはなさそうだ。
パンは、食卓にならべられる食べ物のひとつにすぎず、
食事の主役ではない。
肉や野菜の料理は、パンを食べるためのおかずではない。
パンは、スープ、肉料理、野菜料理などの皿とともに、
食事を構成する食品のひとつとして位置するものである。
それにたいして東アジア、東南アジアにおいては、
食事というものは主食と副食の2種類のカテゴリーの食品から
構成されるものである、という観念が発達している。
たとえば現代日本語では、
飯(あるいはご飯)に対置されるのがおかずであり、
正常な食事というものは飯とおかずの両者から構成されている、
という観念がある。
そして食事そのものが飯ともよばれる。
飯を飯(ファン)、おかずを菜(ツァイ)ということばに
おきかえれば、中国語でも同じ関係が成立する。
東南アジアの諸言語でも、
食事が主食と副食のふたつのカテゴリーの食品から構成される
という観念がみられるのが普通で、
この場合しばしば米飯が主食をしめすことばとして用いられる。
そのほかに、
太平洋諸島の民族や東アフリカのいくつかの民族のあいだで、
食べ物を主食と副食に分類することがみられる。
これらの民族で、料理を主食と副食のふたつのカテゴリーに
分類するさいに、普通主食にあたるものは、
腹をふくらませることを第一の目的とした
穀物やイモ類などの炭水化物に富んだ食品で、
原則として味つけをしないで料理することが共通点としてみられる。
それにたいして、副食は肉、魚、野菜などを味つけした料理で、
主食を食べるさいの食欲増進剤としての役割をになっている。
このような前置きをしたうえで、
世界の主食的な食品の分布について簡単にのべてみよう。
(以下省略)
「主食」ってそういうことなのですか。
初めて知りました。
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【地域による味つけと調味料】
もっとも普遍的な調味料は塩であるが、
いわゆる未開社会のなかでは、特別に塩を使用しない民族も
世界各地に存在していた。
狩猟民のように動物の肉や内臓をおおく摂取していれば、
食塩を特別に摂取しなくても
生理的に身体を維持することも可能である。
また、ニューギニアのいくつかの民族のように、
製塩はしないが料理のさいに
海水を使用する習慣をもつ人びともいる。
酢は酒の加工品としてつくられる。
そこで酒を欠く文化や、飲酒を禁じるイスラーム教や
ヒンドゥー教の文化圏では、酢を醸造せず、柑橋類や
タマリンドの実の酸味を料理に利用することがおこなわれる。
ダイズその他の豆類や穀物に塩をくわえ、
麹の作用で発酵させた味噌、醤油に代表される調味料が
普及したのは、日本、朝鮮半島、中国である。
日本では味つけの主流を味噌と醤油にほとんど依存しているが、
朝鮮半島ではコチュジャンといわれるトウガラシをいれて
発酵させた味噌が、重要な調味料としてくわわる。
中国では発酵性調味料の種類はきわめておおく、
醤(ジャン)とよばれる一群の調味専門の食品のジャンルがある。
東南アジアでは、塩幸系の調味料―魚醤―がよく使用される。
小魚、アミの類でつくった塩幸の上澄み液を集めたものが、
ヴェトナムのニョク・マム、タイのナム・プラー、
フィリピンのパティスなどの名で知られている魚醤油であり、
日本のしょっつるも同様の調味料である。
魚醤油の系統の液体調味料はインドシナ半島部とフィリピンで
よくつかわれる。
マレー半島でブラチャン、ジャワでトラシといわれるものは、
プランクトン性の小エビの塩幸を乾燥させた塊状の魚醤である。
東アジアの麹を使用した醤類と東南アジアの魚醤は、
塩味だけではなく、アミノ酸のうま味成分をふくんだ調味料であり、
たいていの料理につかうことができて、いっぺんに塩味、
香り、色、うま味をおぎなえる万能調味料である。
このような万能調味料に味つけを依存する料理法は、
世界のほかの地域では発達しなかった。
インドでは、複数の香辛料をミックスして
使用するカレー系の料理が特徴的な味となっている。
スパイス類をミックスした料理はインドを中心に
東西にひろがっており、東南アジア、西アジア、北アフリカにも
カレー風の料理が分布する。
現在イスラーム圏となっている
西アジアから北アフリカにかけての地帯と、
キリスト教圏であるヨーロッパは、
ともに料理におけるスパイスの効果を重視する文化である。
熱帯アジア原産のスパイス類は、
アラブ商人の手を経てヨーロッパに運ばれたので、
中世までは貴重品であった。
肉の保存にスパイスは欠くことができないので、
イスラーム圏を通過せずに熱帯アジアにたどり着いて、
スパイスをヨーロッパに直接運ぼうという目的から大航海時代が
はじまったのである。
スパイスが世界史を変えたのだ。
その結果新大陸が発見され、トウガラシとトマトが旧世界に導入され、
トウガラシは世界中にもっともひろく分布するスパイスとして普及した。
トウガラシなしの朝鮮半島の料理の味、
トマトソースなしのイタリアの味は考えられぬ、
といった例からもわかるように、
このふたつの作物は世界の味を変えたのである。
油脂は、炒めたり揚げたりする料理の加熱手段の
媒体としてつかわれるだけではなく、
それ自体が、味、香り、質感をそなえた調味料でもある。
バターの類の乳製品、動物の脂身、植物油が
食用油脂のおもなものである。
脂身にたいする嗜好は、
料理法が発達しない狩猟採集民のあいだでも認められる。
明治時代になるまで表向きは
四足獣の食用を禁じられていた日本では、
肉食にまだ慣れないせいか、
脂身をしつこいといって敬遠する傾向があるが、
世界の民族のおおくは
脂肪のおおい肉のほうをうまいと感じているようである。
乳製品の油脂は牧畜、作物を利用する植物油は農業という
生活様式が成立してはじめて開発されたものである。
地中海圏のオリーヴ油、
東南アジア、オセアニアにおけるココナツミルクのように、
油脂の風味がそれぞれの地方の料理の味に
独自性を付加していることを忘れてはならない。
世界を股にかけた凄いレポートですね。
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【世界の過半数は手づかみ】
ホテルやレストランで食べるかぎりは、
世界中、ナイフ、フォーク、スプーンのセットで、
あるいは箸をもちいて食事をすることができる。
しかし、家庭での食べ方でいえば、
世界の人口の半分以上の人びとが、
手づかみで食事をしているのである。
箸は古代中国に起源し、その周辺の文化に伝播した。
現在、日常の食事に箸を使用するのは、
中国、朝鮮半島、日本、ヴェトナムである。
ヨーロッパはながいあいだ手づかみで食事をしていたが、
十七世紀以後になって、ナイフ、フォーク、スプーンの
三種の道具を使用して食べ物を口に運ぶ
習慣が普及するようになった。
現在の世界でこの三種の道具を食卓での必需品としているのは、
欧米、スラヴ圏を中心とした
いわゆる白人たちのあいだにおいてである。
非白人社会でも、植民地であった場所では、
上流階級においてはこれらの道具で食事をすることもある。
また、現在、東南アジアのタイ、マレーシア、インドネシア、
フィリピンでは、外食のさいはスプーンとフォークを供することが
一般的となりつつある。
右手にスプーンを持ち、左手のフオークで皿の上の飯やおかずを
スプーンにのせて口に運ぶのである。
東南アジアの料理は指先でつまめるようにあらかじめ食物を
ちいさく切り刻んであるので、ナイフは必要ない。
手づかみで食べるからといって、不潔であるとか、
野蛮であると考えてはならない。
手づかみの食事をする地域では、食前・食後に手を洗う冒慣を
もつ場所がおおい。
だれが洗ったかわからないナイフやフオークをつかうのと、
自分で洗った手の指と、
どちらが清潔であるかは決めがたいことである。
イスラーム教圏、ヒンドゥー教圏では、
食べ物に触れることが許されるのは右手にかぎられる。
用便の始末につかう左手は不浄の手とされている。
北アフリカのイスラーム教徒の例でいえば、
上流の家庭ならば、
食前に手洗い用の真鍮製の水さしと受け皿、
庶民の家庭ならば
ヤカンとホウロウびきの洗面器がせっけん、タオルとともに
会食者にまわされる。
客の手に主人が水をかけてやるか、あるいは客どうし、
隣の者の手に水をかけるのが作法である。
手を洗い、口をすすぎ、短いアラーヘの祈りのことばが
となえられたのちに食事がはじめられる。
男女隔離のつよい文化であるので、男の客があるさいには、
食事の場に家族のなかの女は参加しない。
主人は下座に座って、客が食べおわるのを見とどけてから、
残り物に手をつける。
五本指で食べ物を手づかみにするのはいやしい食べ方とされ、
親指、人さし指、中指の三本の指の先端だけをつかって
食べるのが上品な食べ方とされる……。
といったふうに、手づかみの食事においても厳格な食事に
かんする作法がある。
食事のさいのふるまい方や、禁止される食べ物の種類、
ぎゃくに年中行事にさいして特別の食べ物を食べるべきである
という決まりなどには、宗教に関係した事柄がすくなくない。
イスラーム教徒がブタ肉の食用を禁じられていることは
よく知られているが、ユダヤ教の戒律を厳格に守る人びとも
またブタ肉を食べないし、
鱗やヒレのない魚であるエビ、カニ、イカ、タコは
ユダヤ教徒にとっては不浄な食品とされている。
人が死後、他の動物に生まれかわる輪廻転生の観念をもつ
ヒンドゥー教徒にとっては、動物を殺して食べることは、
死んだ親族の生まれかわった肉を食べることになる
可能性をもっている。
そこでヒンドゥー教徒には菜食主義者がおおい。
菜食主義といっても、動物を殺さないで得られる乳や乳製品は
食用の対象にされる。
その乳を供給してくれる聖なる動物であるウシを殺すことは、
乳を赤子にあたえる母親を殺すことになぞらえられる。
キリスト教、イスラーム教、仏教などの世界宗教は、
個別的な文化の枠をこえてひろく分布し、
宗教によって結ばれた文明を共有するひろい世界をつくりあげた。
この世界宗教の年中行事が、ふだんはことなる民族の食生活を
共通の連帯をもつものにしている。
全世界のイスラーム教徒が
断食月にはいっせいに昼間の飲食をつつしんだり、
イスラーム暦でメッカ巡礼の終了した日にあたる犠牲祭には、
家畜を殺して肉を贈り合う風習や、
現在ではかならずしも守られないことがおおいが、
キリスト教徒が金曜日には肉を使用せず魚料理ですますとか、
クリスマスや復活祭には特定のごちそうを食ベるといった例を考えれば、
食事の背景に神が見え隠れすることに気がつく。
食事という日常茶飯事をばかにしたらいけないのである。
それは奥行きの深い文化である。
食事を通じて文化を体験することができるのだ。
金属の加工ができない時代はどうやって食べていたのだろう?
と思っていました。
欧米人の方が古くから箸を使う東洋人より「野蛮」だったのですね。
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本論は以下の構成になっています。
どのテーマもたいへん興味深い内容です。
ぜひ原本をお読みください。
Ⅰ諸民族の食事
第1章 朝鮮半島の食
第2章 世界における中国の食文化
第3章 東南アジアの食文化
第4章 オセアニア―太平洋にひろがる食文化
第5章 マグレブの料理
Ⅱ日本の食事
第6章 米―聖なる食べ物
第7章 日本の食事文化 その伝統と変容
第8章 現代の食生活
第9章 日本人とエスニック料理
Ⅲ食べ物からみた世界
第10章 世界の米料理
第11章 すしの履歴書
第12章 麺の歴史
麺は中国が発祥の地である。
東に行きうどん・そばができ、西に行きパスタができた。
第13章 料理における野菜の位置
第14章 世界の酒ー伝統的な酒の類型
第15章 茶とコーヒーの文明
第16章 うま味の文化
この図を作るにはどれだけの調査の裏付けが必要か、
考えてみると、著者たちはたいへんな調査をしてきたのですね。
人文科学を見直します。
2017年12月27日水曜日
2017年12月19日火曜日
「逆説の日本経済論」
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
これからの日本がどうなっていくのか、どうすべきかを真剣に考えてみましょう。
特に、高齢化=明るいという点の研究をしていただきます。
ねらい:
日本国民全員で少しでも将来が明るくなる努力をしましょう!!
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この本は、斎藤史郎氏(日本経済新聞編集局長など歴任)が
編著をされたものです。
副題は「14人の識者が俗論を撃つ」となっています。
これだけの識者の意見を短期間に集められたことは、
驚異的です。
編者の凄腕を感じます。
しかし、インタビュの際にご自分の意見が出すぎて
相手の素直な論の展開を邪魔している
という感じのところが見受けられました。
私から見ると、逆説でなくて正論だと思うものがほとんどで、
俗論に対して正論の主張というとらえ方が
当たっていると思います。
タイトルはマスコミ的です。
1編を除いて、編者のインタビュ形式での著述となっています。
冒頭は、私が大尊敬する永守重信氏です。
私は、2011年9月17日の「哲人永守重信社長」で、
以下のように紹介しています。
その時の原典は雑誌致知での牛尾治朗氏との対談でした。
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これまで赤字会社を30社買収して
どの会社も黒字になった。
(上野注:これは凄いことです。
この偉業を成し遂げた人は他にいないでしょう。
ギネスものです)
1年で過去最高益になった会社もある。
6Sを重視している。
整理、整頓、清潔、清掃、作法、躾
ダメな会社は士気が落ちていて、
これらがダメになっている。
汚い会社はダメだ。
それは経営者の責任だ。
だから、6Sの徹底から始める。
なぜ儲かるようになるか。
能力の差は2倍からせいぜい5倍どまり。
これに対して「やる気」の差は百倍の結果になる。
「やる気」を出させることがカギだ。
買収した会社では、自分で現場に通う。
伝票を1枚1枚見たりする。
そうして問題を見つけ出す。
経営の問題なら直ちに変えていく。
頑張る人に報いることも迅速に行う。
頑張れば報われるということを見せることが重要だ。
会社がダメになる要因は以下の6つである。
マンネリ、油断、驕り、妥協、怠慢、諦め
後の3つに陥ったら取り返しがつかない。
いつも社員にこう言っている。
「どんな辛いことがあっても自分の人生はもうダメだ
と決して諦めるな、逆にチャンスと思え」
成功には運気が必要だが、
自分のやっていることに惚れこまなければダメ。
2世経営者が惰性でやっているような会社は
すぐダメになる。
誰よりも朝早く起きて、
気合を入れて会社に行きます。
気合いを忘れると家内が「掛け声!」と言うから、
「おーっ!」と叫んで出てくるのです。
成功には挫折体験が必要である。
そのため、
これという人間には大きなミッションを与えて
失敗させる。
そうして人間は成長していく。
30億円から50億円くらいの失敗は許す
覚悟が必要だ。
5人なら150億円で、そこまで使ってようやく
そこそこましな経営者が出てくるという感じだ。
「人の倍働け」「勝ちにはとことんこだわれ」
「従業員は大切にしろ。
自分の給料はゼロになっても従業員は守れ」
というような考え方は母親から教えられた。
経営者には犠牲の精神、奉仕の精神が必要だ。
日本企業の経営者は
真剣にやったら一番割に合わない。
仕事が一番好きで、
この会社が好きだという人が
経営をしなければならない。
リーダーたる者は
会社が大きくなるにつれて
高い理想、夢を追求していかなければならない。
経営とは夢を形にすることだ。
今回、追加されていたのは、以下の内容でした。
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【働き方改革について】
永守
これまで「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」とか、
「情熱・熱意・執念」と繰り返し言ってきました。
高い士気のもとで、みんなが力を合わせて
一生懸命働くのが基本です。
1人の天才より100人の凡オ。
1人の100歩より100人の1歩です。
ところが、従業員が一生懸命働いていることを
安易に批判する声がある。
目標を持って研究開発している社員の中には休日出勤してでも
研究したい人が結構おり、
自主的に働いているのに、すぐに、働き過ぎじやないかと。
これは全くおかしい。
今時、働きたくない人を無理に働かせたら全員辞めますよ。
優秀な社員なら、いくらでも行くところはあります。
休め休めとさんざん言われていますが、
一生懸命に働くことまで否定したら、
日本からグローバルに通用する強い会社は生まれてこないですよ。
それで、中国企業とか、韓国企業とかに勝てるのかと。
そうでしょう。
だから、我が国の多くの企業が、韓国企業に負け、
中国企業に負けてリストラの嵐になつてしまっているのです。
確かに、仕事もないのにダラダラ残るとか、
残業手当もきっちり払わずに働かせるとか、
これは絶対にだめです。
こうした点は正すべきで、働き方の改革をしないといけません。
例えば、従業員に何故あなたはこの会社の管理職に
なりたくないのですか、と聞くと、
管理職になったら遅くまで働かないといけないから、と。
そういう働き方は間違っているんですよ。
また、いま日本電産には世界中に、10万人以上の従業員がおり、
日本には1万人弱、残り9万人以上は外国人です。
アメリカだったら、時間がきたらパッと帰ってしまうでしょう。
ヨーロッパだったら一ケ月夏休みを取る国もあるわけです。
それでも業績はそう悪くない。
みんな利益を上げているわけです。
だから、日本でも働き方の改革をしないといけないのです。
調べてみると、
OECD加盟諸国の労働生産性で日本は20位そこそこですが、
上位を占める欧州諸国と比べると約半分しかありません。
グローバル化が加速度的に進むなか、
働き方を改革して生産性を現在の2倍にしないと
グローバルではもはや戦えないのです。
(注=2016年秋に、永守会長は日本電産グループの
働き方改革を実行に移したことを宣言。
1000億円規模の設備投資やシステム投資を伴った
生産性倍増運動で2020年には残業ゼロを達成し、
日本一働きやすい会社にすると発表した)
生産性が2倍になると、
結果として残業はゼロになるでしょうが、
社員の評価の仕方も変わります。
これまで残業といういわば延長戦で結果を残してきた人は、
時間内で同じ成果を上げなければ評価されなくなります。
そのためには社員自らが能力開発を行う必要がありますが、
グローバル研修センターはその学びの場を社員に提供します。
米国では一般的な社会人向けの大学の夜間コースを
会社が用意するのです。
残業が減って浮いた人件費の半分をこの教育投資に振り向けます。
斎藤 残りの半分は?
永守
残りの半分はボーナスという形で社員に還元します。
というのも、残業代も収入のうちと見越して住宅ローンを
組むなど生活設計している社員も多いからです。
私も、サラリーマン時代、起業資金を貯めるため
基本給とボーナスには手をつけず、
残業代だけで生活していたのでその気持ちも分かります。
だから私は社員に、安心していいぞと言いました。
残業ゼロは手段であって、目的はあくまで生産性を倍にして
世界のトップレベルに引き上げることだから、
競争力が高まって利益が増えれば給料もポーナスも増えると。
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【シェア軽視は大きな誤り】
斎藤
最近、「シェア獲得を大事にしろ」とも言っていますね。
ひところ、
日本の企業論では日本の企業はシェアばかり追いかけているが、
それは間違いで利益が大事なのだ、
という主張が優勢でした。
あえてシェアが大事というのは?
永守
そう。私は、安易なシェア競争否定論は間違っていると思います。
経済構造、産業構造が大きく変わっており、
シェアを確保しなければ利益を得ることが極めて難しい
市場構造になっていることに気付くべきです。
今から30年、50年前は、世界を目指して、
日本企業同士で戦ってきた。
日本企業は基本的に農耕民族です。
だから、隣の家も百姓、後ろも百姓、こっちも百姓、
競争相手がみな同じ百姓だ。
農機具を共同で買い合って一緒に仕事しているわけですよ。
同業者の中で、シェアが1位、2位、3位……
と順位がつき、5位ぐらいまでは、
その当時はある程度の利益をあげて残っていたわけですよ。
農耕民族に適した産業の姿です。
日本で今、生き残っている産業というのは
自動車とか社会インフラとか、ああいう産業は
時間軸が比較的長く農耕民族に適しているんですね。
ところが海外にいるのは狩猟民族。
相手が倒れるまでやるわけですから、
敵と一緒に共同戦線なんでありえないわけですよ。
要するに勝つか、負けるかの世界ですね。
今はグローバルな社会。
そこでは極端な言い方をすれば、シェア1位が利益の8割、
二番が2割、三番以下は赤字なんですよ。
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【厳しい中国企業との戦い】
斎藤
中国企業の台頭もありますね。
一部の中国のひとびと、経営者はとんでもないくらいよく働き、
判断も早い。
永守
大変ですよ。
今の中国のオーナー経営者は大半が40代ですよ。
みんなすごい。
今から20年間、中国はとんでもない力を発揮しますよ。
斎藤
アリババのジャック・マー氏とか、
台湾ですが鴻海精密工業のテリー・ゴウ氏とかね。
永守
もう、要するに普通の働き方では、こてんぱんにやられますよ。
日本人は二言目には、
技術では負けていませんと反論しますが、技術だけではだめ。
ビジネスで勝たないといけないのです。
時間軸が大切ですね、時間軸=コスト。
だから行動の時間軸とコスト競争で負ける。
それは、物づくりの日本企業を中心としての、
日本の最後の生き残りの戦いです。
これで負けたら日本は属国になる。
斎藤
スピードが違う?
永守
そう、スピードが求められている。
とにかく時間軸ですよ。
土曜日は散歩、日曜日は読書、
ウィークデーはゴルフと言っていたら、
そのうち、こてんぱんに負けますよ。
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【M&A成功の条件】
1)高く買わない
2)シナジーがないものは買わない
3)社風が合わないものは買わない
【経営理念】
足下悲観、将来楽観
これで十分お分かりのように、
すべて逆説ではなく正論ですね。
判断基準は、
永守会長がすべて成功しているという実績です。
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小泉進次郎さんの説も正論です。
小泉さんの分だけは対談ではなく講演の記録です。
タイトルは【人生100年時代の日本に向けて】
以下のようなテーマを述べておられます。
太字は小泉さんの言葉のままの部分です。
海外留学無償化を
教育の無償化をすると言うなら、どこを無償化するのか
そして何のために、どんな人材を育てたいのか、
何が故に教育の無償化をするのかということを考えなければ、
私は無償化というのはやるべきではないと思っています。
仮に本当に無償化するならば、海外留学を無償化すべきです。
理由は、こうだと言われています。
1)日本にいたら日本のことはわからない
2)多様性と何かを学んでもらいたい
3)最低限の語学力を身に付ける必要がある
4)機会の平等のため
5)国内の大学を改革するため (競争原理)
複線型の社会を
一括採用をやめよ
働き方改革は生き方改革
働き方改革は残業削減や生産性改善ではない。
戦後長く続いてきた生き方の見直しである。
「いい大学を出ていい会社に就職し一生務める」
これではない生き方を考えなくてはいけない。
子供向け財源を作る
たとえば医療保険の改革、
風邪薬や湿布薬は保険対象外にする。
農業に国際認証の普及を
農業に国際認証の普及を
ISOの農業版を作り日本の農業の国際化の後押しをする。
経済団体役員は年金辞退を
副業・兼業の自由を
経済団体役員は年金辞退を
副業・兼業の自由を
そのとおりです!働き方改革の一環で重要な対策です。
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逆説的なのは、日本の人口減少問題を論じた以下の3編です。
八田達夫先生 人口減少恐るるに足らず
小宮山宏先生 日本、高齢化衰退論は浅薄
吉川 洋先生 人口減少ペシミズムは誤り
3者3様で大変興味深い内容です。
八田先生は、
構造改革によって高い生産性を実現しようという主張です。
抵抗勢力の壁をどうやって突破するかが課題ですが、
私は八田論が正解だと思います。
吉川先生は、民間のプロダクトイノベーションによって
それが実現できるという主張です。
残念なのは、どうやって民間のイノベーションを引き出すか
という提言がないことです。
小宮山先生は、対策が一本線ではなく、
博識ぶりを発揮して複数の対策を提示されています。
以下3人の先生の主張をキーワード的にご紹介します。
ご関心あれば、原本をご参照ください。
八田達夫先生 人口減少恐るるに足らず
人口増加率と一人当たりGDP成長率は無関係
人口増加率とGDP増加率の関係も絶対ではない
GDPは生産性の成長で伸びる
日本は生産性の低い産業の従事者が多い
→国としての生産性改善の余地あり。構造改革必要。
農業保護をやめる。
既存産業保護の規制もやめる。自由な競争を促す。
国家戦略特区を活用する。
成長の陰には衰退産業がある、
これの保護をするのでなく対策を講じるのが筋。
セーフティネットを設ける。生活保護、職業訓練、
------------------------------------------------------------------------
八田先生の主張 原本どおり。
先ほど述べたように労働力不足は生産性の上昇で克服できます。
ただ日本では制度が労働力の増加を無理やり
抑え込んでいる面があります。
例えば配偶者控除や国家公務員の配偶者手当は、
女性の労働市場参加を抑えています。
これらの制度は、「平均的な」家族持ち労働者の
利益のために女性労働者を犠牲にしています。
このような人為的な労働力抑制要因はなくすべきでしよう。
例えば、配偶者控除を廃止して増収分を
保育所増設の財源にしたり、
国家公務員の配偶者手当を廃止することによって
公務員一般の給料を上げる、
といった改革を行う必要があります。
保険や税制を変えることで
女性の就労を促すことはとても重要です。
保育所問題もあります。
補助金の配分が株式会社に対して著しく不利だったり
保育所利用率に価格メカニズムが導入できない規制が
行われているため、保育所が不足し
保育所を利用したくても利用できない女性がいます。
このように制度によって結果的に、
女性が労働市場に参加しにくくなっているとすれば問題でしょう。
女性労働力だけでなく雇用全般の流動化も重要です。
雇用の流動性がないと、一度、大企業から落ちこぼれると
大企業はその労働者を再び雇用してくれません。
それは大企業の労働者が基本的に定年まで
居座り続けているからです。
生産性の低い人を退出させることができれば、
優秀な人を新たに雇いやすくなります。
1980年代にモーゲージ・ボンドを発明して
世界の金融界にデリバティブ商品を導入した
ソロモン・ブラザーズの社員は高校中退で
社内郵便配分室にいた人ですが、
日本でもそういう適材適所が可能になるでしょう。
雇用法制は能力が劣る労働者の既得権を保護して
能力が優れた人の雇用機会を失わせる結果をもたらしています。
これらを改革すれば、
たまたま良い大学を出た生産性の低い人が
大企業に居座るということもなくなるでしょう。
有能な女性が労働市場に出てくるし、
潜在的に生産性の高い人の労働市場への参加が促されます。
労働人口を増やすというよりは、
雇用の流動化を図って全体の生産性を高めるということが
生産性を向上させます。
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小宮山先生 日本、高齢化衰退論は浅薄
日本は高齢化課題先進国である。
生産年齢15歳~60歳は誤り、20歳~75歳とすべき。
高齢者の活躍の場は以下のようにたくさんある。
小中学校の教員
理科 理系の技術者OB
英語 海外生活経験者
怖い顔をしたひと(ビジネス常識者) モンスターペアレンツ対応
地域活性化
地元の利を活かしたビジネスを興す
大規模農業を興す.IT支援により10日間働けばコメはできる。
大規模林業を興す。50万人の雇用を生む。
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小宮山先生の主張 ロボットで介護は変わる 原本どおり。
要介護者に対してどうするか。
そこにはビジネスチャンスがあるということを
社会全体が認識すべきでしょう。
例えば、ロボットの活用です。
人間は頭が生きている限り、自立できるのです。
なぜかというと、頭で考えるというのは、
ニューロンからパルス電流が出ているわけです。
これが神経を通って、末端の手まで行き、
戻っていくという電気回路中の作用が、
人間がものを考えて手を動かすということです。
生きているということは、この電流が出ているわけです。
働きたいけど手を動かすことができない人の
この電流を検知して、サポーターが動いてくれれば、
手を動かせるわけです。
それを既にスタートさせているのは
筑波大学の山海嘉之先生がつくったベンチャー、
サイバーダイン社のサイボーグ型ロボットのHALです。
今はリハビリなんかに使われています。
脳溢血のあとで歩けなくなった人でも、
歩こうという意思は出るわけです。
そうすると、電流が流れ、ロボットスーツが漏れる電流を測り、
歩くパワーを与えることになるわけです。
そういうかたちで、パワーをもらって動くと、
戻りの回路が働いて学習ができるから、
リハビリにもなっていきます。
このあいだ三菱総研である玩具を買いました。
その玩具の遊び方は、まず人間の頭の2カ所に電極を付けます。
横に小さなヘリコプターがあって神経を集中します。
すると、ヘリコプターが飛ぶのです。
原理は大したことなくて、脳波を見ているのです。
斎藤
人間が神経を集中すると、ロボットが動くのですか。
小宮山
ロボットというか、ヘリコプターが天井まで上がるのです。
そういうのが玩具として出てきている。
それはある種の脳波を測っているわけだけども、
この技術、要するに、電流が流れているということは
電磁波が出ているということで、この電磁波を測ってもいいし、
神経のところに何か埋め込んでもいいし、
HALのように表面に漏れてくる電流を測ってもいいのです。
人が考えていることをセンサーが理解してロボットスーツと
結び付ければ良いのです。
人間の脳が働く限り手足が自由に動かなくなっても
トイレに一人でも行けます。
一人でご飯も食べられます。
ぼけてしまったらわからないですけれども、
技術的には絶対にできます。
人間の尊厳を大事にする
大きな産業になる可能性を秘めているのです。
つまり、介護は変わる。それがわかっていない。
自動車なんかより大きいビジネスチャンスがあると思います。
この技術をどこが開発できるかといったら、
日本かドイツか、アメリカのベンチャーのどれかです。
幸いにしてアメリカのベンチャーはまだ高齢化
なんてことを考えていません。
この技術はドイツと日本の競争ですよ。
日本はロボット技術でいったら世界一です。
そして高齢化の課題先進国です。
日本が取り組めば勝つに決まっています。
それをやらずに高齢化衰退論なんて言っている人たちは
まったくわかっていません。
高齢化衰退論はいろんな意味で浅薄だと思います。
注:上野もそういうことを言ってきたのですが、
この本を見て、やはりそうか、と思いました。
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小宮山先生の主張 医療にビッグデータ活用を 原本どおり
医療を考えると、ビッグデータの活用が
大きな可能性を秘めていると思います。
今の医療というのは、例えば、原因がノロウィルスで、
病気が下痢で、答えはノロウィルスを退治する抗生物質、
というような因果関係で出来上がっています。
ところが、例えば腰痛は、いま日本で2500万人いると
言われています。
このうち8割が原因不明です。
腰痛だといって医者に行ってわかることは少ないでしょう。
夏樹静子さんが『腰痛放浪記 椅子がこわい』(新潮社)
という本を書いています。
ひどい腰痛で2年間名医を回っても全然だめで、
結局、うつ病の薬が効いたのです。
心療内科の医者で彼女は治ったのです。
それはかなりの理由があって、原因不明の腰痛のうちの
相当部分は脳に原因があるということがわかってきています。
それでうつ病の薬が効いたわけです。
でもヘルニアで痛いだけの人が
うつ病の薬を飲んだらぼけるだけですね。
------------------------------------------------------------------------
吉川 洋先生 人口減少ペシミズムは誤り
イノベーションを起こせ!
特に、プロダクトイノベーション 例:スタバ、
起業家精神の衰えが問題
シルバー市場は狙い目、イノベーションの宝の山
例:ドローンが配達してくれる。
女性・高齢者の労働参加促進を
吉川先生の論はほとんどが正論ですから、詳細のご紹介はしません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ご紹介した5人以外は以下の方々です。
小峰隆夫 俗論・トランプ貿易政策を正す
井堀利宏 年齢階層別選挙区制の導入を
上村達男 皮相な株主主権論
片山義博 機能不全の地方議会
武藤敏郎 中福祉・中負担は幻想
中前 忠 超金融緩和は資本主義を破壊する
八代尚宏 高齢者に変動相場制を
渡辺博史 教科書的為替理論に怪しさ
小林喜光 国家価値を三次元で捉える
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
興味のある方は是非原典に当たってください。
2017年12月18日月曜日
すごい「ニュー山田」誕生!!人生100年時代の再生計画
【当テーマの目的・ねらい】
目的:
人生100年時代の早い段階で人生の設計書を作る意義を
ご理解いただきます。
そのいくつかの事例を知っていただきます。
ねらい:
人生100年の半ばに到達していない方は
このような機会を作ることをご検討ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本年6月29日の当ブログ
「人生の要件定義書を作りませんか」
http://uenorio.blogspot.jp/2017/06/blog-post_29.html
でご紹介いたしましたOne‐UPゼミナールの
第1期が終了しました。
このコースは、こういう目的・ねらいで実施されているものです。
自分の持てる力を十分発揮できないでいる方に、
「人生100年時代」ともいわれる
長いビジネスライフを見通していただいて、
100%自分自身の考えで
自分のビジネスライフの開発計画(要件定義書)を
作っていただきます。
それに従って、自分を磨いていくことによって
悔いのない人生を送っていただきます。
誰しも過去の栄光を捨てなければならない変革時代、
全般的には人手不足でありながら、
行き場がなく迷える50歳代となっている人が多いのです。
今さら「働き方改革」と言われてもね!という状況です。
そうならないように「若い」今のうちに、
自分の「売り物」を見つけて磨こうということなのです。
このコースでは、
4か月かけて以下のプログラムをこなします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1.自身の特性診断を実施する
(自分はどういう領域に向いているのかを見つけ出します)
2.自分のビジネスライフの要件定義書を作成する
(自分の内面に問いかけて
自分がどうなりたいのかを自分でひっぱり出します)
3.ビジネスライフ目標を達成するための行動計画を作成する
(情報収集も行って全体計画と
第1ステップのアクションプランを作成します)
4.第1ステップを実践しその結果を確認する
(3か月の実践期間の後、報告会を開催します)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
12月6日にその成果報告会が開催されました。
今回は少数精鋭3名のご参加でした。
3名の方のビジネス目標、
行動計画を若干デフォルメしてお伝えします。
▼PDFファイルでもご覧いただけます。→PDFへ
ときどきカーブを投げてしまう、
あるいは突き放す傾向があったのです。
それを総ざらいして、
良さ・持ち味がそのまま出る方向に軌道修正されました。
その目標イメージが、
「ムードブレーカーではなく改革のムードメーカーになる」
だったのです。
行動指針として自他共に非常に分かりやすいと思います。
ニュー山田の受講後の感想は以下のとおりでした。
率直なご意見ですね。
受講して熱く燃える思いになった。
しかし日が経つとまた迷いも出てくる。
そんな中で、何か継続的に取り組むことで、
少しずつ定着していくもの、新たに発見することもある。
そうしたことを「要件定義書」にアップデートして指針としたい。
日々成長するニュー山田を毎日更新する心意気で頑張りたい。
Bさんは、
これまでの業務経験が偏っていて、
将来への不安を抱えておられました。
そこで、
1人のビジネスマンとして確立できるために
1)自分のビジョンを持ちたい
2)自分の武器を持ちたい
3)自分の意見を表現できるようになりたい
ということで検討を開始されました。
それで行きついた当面のゴール目標が
「上司に信頼される懐刀」だったのです。
昔のビジネス社会では、
目指すべきゴールイメージの上司がいたものです。
その方を目標としてイメージすれば、
自分の行動指針とすることができたのです。
ところが、ご承知のように現代は変革の時代です。
変革の時代のリーダとしてふさわしい上司は
残念ながらほとんど見受けられないでしょう。
目指す目標がないのです。
そこで、まずは上司の懐刀になろう
という目標設定をされたのです。
Bさんが優秀な上司に恵まれているのはラッキーです。
この目標は、
日々の行動に対する具体的指針とすることができる
非常に有効なものと考えられます。
Cさんも、
優れた専門知識を持っていない、
自身の思いをうまく表現できない、
関わる積極的必要のない他者とのコミュニケーションを
面倒くさいと思っている、
など弱気でした。
それに対して、よし自分はこうして強くなろう
ということで生まれたコンセプトが
「堅い意思を持つ守護者」だったのです。
この目標も、
日々の行動に対して具体的指針とできる
たいへん有効なものです。
そうなるために、かなりの努力を自分に課しています。
PCの新規購入もしているのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全員これらの内容を、4カ月強で作成されました。
人から言われて作ったのではなく、
自分自身を改めて見直し・考えなおすことによって
生まれてきたものなのです。
ビジネス従事者、というより人間は毎日何かに追われて
ゆっくり考えることなく年月を重ねてしまいます。
このゼミナールは、
「ちょっと待て、少しゆっくり考えてみようよ」
という場を作るのです。
そうするとこんな素晴らしい目標ができるのですね。
これなしで過ごしていく場合と、
この段階でねじをまいて
これからのビジネスライフを送るのとでは
非常に大きな差が出てきそうに思われます。
この研修を受講しなくても、
自らでそのような場を作って検討することは
できなくないのです。
チャレンジしてみますか?
現実はムリでしょうね。
時には人生を変える強制が必要なのです。
禅による瞑想でもよいでしょう。
皆さまもぜひトライしてみませんか?
http://www.forward-consortium.com/pg939338.html
目的:
人生100年時代の早い段階で人生の設計書を作る意義を
ご理解いただきます。
そのいくつかの事例を知っていただきます。
ねらい:
人生100年の半ばに到達していない方は
このような機会を作ることをご検討ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本年6月29日の当ブログ
「人生の要件定義書を作りませんか」
http://uenorio.blogspot.jp/2017/06/blog-post_29.html
でご紹介いたしましたOne‐UPゼミナールの
第1期が終了しました。
このコースは、こういう目的・ねらいで実施されているものです。
自分の持てる力を十分発揮できないでいる方に、
「人生100年時代」ともいわれる
長いビジネスライフを見通していただいて、
100%自分自身の考えで
自分のビジネスライフの開発計画(要件定義書)を
作っていただきます。
それに従って、自分を磨いていくことによって
悔いのない人生を送っていただきます。
誰しも過去の栄光を捨てなければならない変革時代、
全般的には人手不足でありながら、
行き場がなく迷える50歳代となっている人が多いのです。
今さら「働き方改革」と言われてもね!という状況です。
そうならないように「若い」今のうちに、
自分の「売り物」を見つけて磨こうということなのです。
このコースでは、
4か月かけて以下のプログラムをこなします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1.自身の特性診断を実施する
(自分はどういう領域に向いているのかを見つけ出します)
2.自分のビジネスライフの要件定義書を作成する
(自分の内面に問いかけて
自分がどうなりたいのかを自分でひっぱり出します)
3.ビジネスライフ目標を達成するための行動計画を作成する
(情報収集も行って全体計画と
第1ステップのアクションプランを作成します)
4.第1ステップを実践しその結果を確認する
(3か月の実践期間の後、報告会を開催します)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
12月6日にその成果報告会が開催されました。
今回は少数精鋭3名のご参加でした。
3名の方のビジネス目標、
行動計画を若干デフォルメしてお伝えします。
▼PDFファイルでもご覧いただけます。→PDFへ
Aさんは、
判断力の優れた優秀な方なのですが、ときどきカーブを投げてしまう、
あるいは突き放す傾向があったのです。
それを総ざらいして、
良さ・持ち味がそのまま出る方向に軌道修正されました。
その目標イメージが、
「ムードブレーカーではなく改革のムードメーカーになる」
だったのです。
行動指針として自他共に非常に分かりやすいと思います。
ニュー山田の受講後の感想は以下のとおりでした。
率直なご意見ですね。
受講して熱く燃える思いになった。
しかし日が経つとまた迷いも出てくる。
そんな中で、何か継続的に取り組むことで、
少しずつ定着していくもの、新たに発見することもある。
そうしたことを「要件定義書」にアップデートして指針としたい。
日々成長するニュー山田を毎日更新する心意気で頑張りたい。
Bさんは、
これまでの業務経験が偏っていて、
将来への不安を抱えておられました。
そこで、
1人のビジネスマンとして確立できるために
1)自分のビジョンを持ちたい
2)自分の武器を持ちたい
3)自分の意見を表現できるようになりたい
ということで検討を開始されました。
それで行きついた当面のゴール目標が
「上司に信頼される懐刀」だったのです。
昔のビジネス社会では、
目指すべきゴールイメージの上司がいたものです。
その方を目標としてイメージすれば、
自分の行動指針とすることができたのです。
ところが、ご承知のように現代は変革の時代です。
変革の時代のリーダとしてふさわしい上司は
残念ながらほとんど見受けられないでしょう。
目指す目標がないのです。
そこで、まずは上司の懐刀になろう
という目標設定をされたのです。
Bさんが優秀な上司に恵まれているのはラッキーです。
この目標は、
日々の行動に対する具体的指針とすることができる
非常に有効なものと考えられます。
Cさんも、
優れた専門知識を持っていない、
自身の思いをうまく表現できない、
関わる積極的必要のない他者とのコミュニケーションを
面倒くさいと思っている、
など弱気でした。
それに対して、よし自分はこうして強くなろう
ということで生まれたコンセプトが
「堅い意思を持つ守護者」だったのです。
この目標も、
日々の行動に対して具体的指針とできる
たいへん有効なものです。
そうなるために、かなりの努力を自分に課しています。
PCの新規購入もしているのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全員これらの内容を、4カ月強で作成されました。
人から言われて作ったのではなく、
自分自身を改めて見直し・考えなおすことによって
生まれてきたものなのです。
ビジネス従事者、というより人間は毎日何かに追われて
ゆっくり考えることなく年月を重ねてしまいます。
このゼミナールは、
「ちょっと待て、少しゆっくり考えてみようよ」
という場を作るのです。
そうするとこんな素晴らしい目標ができるのですね。
これなしで過ごしていく場合と、
この段階でねじをまいて
これからのビジネスライフを送るのとでは
非常に大きな差が出てきそうに思われます。
この研修を受講しなくても、
自らでそのような場を作って検討することは
できなくないのです。
チャレンジしてみますか?
現実はムリでしょうね。
時には人生を変える強制が必要なのです。
禅による瞑想でもよいでしょう。
皆さまもぜひトライしてみませんか?
http://www.forward-consortium.com/pg939338.html
2017年11月27日月曜日
「大学病院の奈落」
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
まったく気が重くなる群馬大学の医療事故問題の総括究明書の
ご紹介です。
ことの本質を一緒に考えましょう。
ねらい:
大病院のガバナンスの改善に期待しましょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「大学病院の奈落」は読売新聞社の記者である
高梨ゆき子さんの大力作です。
文章もたいへん読みやすくできています。
「こんな気が重くなる事件をよく追いかけ切ったな」と
感服・脱帽です。
本書は読売新聞の以下のスクープ記事からスタートします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スクープ記事
〈腹腔鏡手術後8人死亡 高難度の肝切除
同一医師が執刀 群馬大病院〉
群馬大学病院(前橋市)で2011~2014年、
腹腔鏡を使う高難度の肝臓手術を受けた患者約100人のうち、
少なくとも8人が死亡し、病院が院内調査委員会を
設置して調べていることがわかった。
8人を執刀したのはいずれも同じ医師。
同病院ではこれらの手術は事前に院内の倫理審査を
受ける必要があるとしているが、
担当の外科は申請していなかった。
病院関係者によると、
手術が行われたのは第二外科(消化器外科)。
死亡した8人は60代~80代の男女で、肝臓がんなどの
治療として腹腔鏡を使う肝臓切除手術を受けた。
手術と死亡の因果関係は現時点では不明だが、
8人は術後に容体が悪化し、
約3ヵ月以内に肝不全などで亡くなった。
事態を重く見た病院側は現在、同科肝胆膵(肝臓、胆道、膵臓)
グループの全手術を停止している。
腹腔鏡を使う肝臓切除手術は、
比較的実施しやすい「部分切除」などに限り、
2010年4月に保険適用された。
しかし、高度な技術が必要な「区域切除」などは
有効性や安全性が十分に確認されていないとみなされ保院適用外だ。
同外科ではこうした保険適用外の手術を多く手がけており、
8人が受けたのも同様の手術だったとみられている。
これらの手術は、
病院の倫理審査委員会に臨床研究として申請しなければならなかったが、
第二外科は行っていなかった。
今年4月には千葉県がんセンターで、
膵臓などの腹腔鏡手術を受けた患者が
相次ぎ死亡していたことが明らかになり、
10月時点で計11人の死亡患者について調べている。
群馬大病院の小出利一・総務課長は
「倫理審査を受けずに治療したことは問題で、
あってはならないことと重く受け止めている。
院内で様々な側面から調べており、まとまり次第、
ご遺族や社会にきちんと説明し、さらに本格的な調査をしたい」
とし、執刀医については
「医師個人への取材には応じられない」としている。
群馬大病院は、725の病床を持つ北関東の医療拠点。
重粒子線治療など最先端の医療も導入している。
消化器がんに詳しい
がん研有明病院の山口俊晴・消化器センター長の話
「一般的には腹腔鏡による肝切除を受けた悪者が
短期間で死亡することは非常にまれだ。
8人が亡くなるのはきわめて多いといえる。
調査委員会は原因を究明し、再発防止に努めるべきだ」
(2014年11月14日 読売新聞朝刊東京最終版一面)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こんな大惨事が起きた原因は、本書によれば以下のとおりです。
番号は上野が付番。
1.医師の技能未熟
弁護団の独自調査において、協力医が手術の録画映像
(内視鏡手術の場合は手術の状況がすべて録画される)を見ての
コメントが紹介されています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「(執刀医の)手技はななり稚拙である。
鉗子のハンドリングもよくなく、
剥離操作、止血操作にしても全部悪い。相当下手。
術野も出血で汚染されており、血の海の中で手術をしているような状態。
腹腔鏡の技量についてはかなり悪いといえる。
無用に肝臓に火傷させるなど、愛護的操作がない。
助手のカメラ操作も下手」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2.インフォームドコンセント不足(医師の責任)
3.医師の手抜き(カルテ記載の粗雑さ)
4.医師の院内規則無視
5.患者の事前検査不足(医師の責任)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2014年11月14日、
読売新聞の初報当日の午前、群馬大学病院の記者会見が
病院長、医療安全管理部部長、事務部長が参加して行われた。
そこで明らかになった事実は以下のとおり。
手術と患者の死亡との因果関係は不明。
診療内容の詳細に問題があったかどうかは調査中だが、
手術の前に、肝臓の機能が切除後も持ち堪えられるかどうか
を評価するための検査がほとんど行われておらず、
カルテの記録が不十分で、
インフォームド・コンセントが適切に行われたかどうかも
把握できないほどだった。
死亡した8人が受けた保険定期用外とみられる手術。
基本的には安全性や有効性がまだ十分確立していない
研究段階の治療法だった。
本来は病院の倫理委員会に申請し、
倫理的に問題ないかどうかの審査に通ってから実施し、
結果を検証するというステップを踏むべきだったと
病院側は判断しているが、その手続きはとられていなかった。
保険適用外とみられる腹腔鏡下肝切除は、
患者が死亡した8例を含め56例行われていた。
この内、倫理審査の申請がされていたのは7例だけだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6.術後のフォロ不備
こういう記述があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ところが、手術は、事前の説明から予想したものとは
かなり違っていた。
当日、朝一番で病室から運ばれていった栄子さんと
次に対面したのは、夜になってからだった。
栄子さんを送り出してから一〇時間以上たっていたはずだ。
その間、途中の追加説明は何もなく、
父をはじめ親族と不安な気持ちで待ち続けていた充博さんは、
夜になってようやく姿を見せた早瀬から説明を受けたという。
「がんが思った以上に広がっていて、
全部はとりきれませんでしたといわれました。
手術前、『いま、切れば大丈夫』と聞いていたから、
話が違うと思いました。
そのことを話したら、親父は『ええっ』と言って
それ以上言葉を続けられない状態でした。
ショックが大きかったんだと思います。
しかし、そんな深刻な事態にもかかわらず、
術後の栄子さんは、胆知るが漏れたり発熱したり、
腹痛を訴えたりしても、
これといった検査を受けることのないままに過ごしていた。
その間血液検査やCTが十分に行われた様子はなく、
手術から一週間後退院の話が出た。
「お母さんはもう大丈夫ですよ。
クリスマスには退院できるので、
抗がん剤の投与について考えましょう」
病院でそんな話を聞いた充博さんはその後、
実家に寄って父を訪ね、そのことを報告した。
父はニコニコしながら、「そうかい、そうかい」
と頷いていたという。
よほど嬉しかったのか、父は翌朝一番で病室を見舞った。
その後まもなく、病室のトイレに入った栄子さんは突然倒れた。
物音に気づいて扉を開けた父が見たのは、
白目をむいた状態でその場に崩れた栄子さんの姿だった。
(中略)
後に日本外科学会が行った検証によると、
栄子さんの事例は、トイレで意識を失って倒れ、
蘇生を受けているときに行われた腹部超音波検査から、
腹隆内で出血が起こっていた疑いがあった。
術後の経過を注意深く診てタイミングよく
必要な検査と処置を行うべきだったのに、
行われていなかったことも指摘された。
死因としては、
縫合不全で腹陸内に漏れ出した胆汁により
血管が損傷されて出血が起こったと推測されるものの、
解剖が行われていないため確証が得られない
と結論づけられている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こんな惨憺たる唖然とする状況だったのです。
7.医師の功名心
当該医師(資格は助教(助手))は、中堅技術者で超多忙だったようです。
その中で、なぜそんなリスクを冒して次々と難しい手術をしたのでしょうか。
その点に関しては、本人に対する調査(「尋問」)が実施されていないので
不明ですが、著者も医師の功名心であったのだろうと推定しています。
以下の記述があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
肝臓に遅れること2年、2009年12月には、
新たに結成された膵臓内視鏡外科研究会も、
最初の学術集会を東京都内で開いている。
肝胆膵外科の領域における腹腔鏡手術は、
「外科のトレンド」として、注目を集めるテーマになっていた。
特に若手外科医の目には、とても魅力的に映ったであろう
ことは想像に難くない。
外科系学会の学術集会では、
肝胆膵外科の腹腔鏡手術に関するセッションはどこも盛況で、
関心の高さを物語っていた。
その流れに乗り、腹腔鏡下肝切除は2010年4月、
比較的難易度が低いとされる「部分切除」と
「外側区域切除」に限り保険適用された。
2012年4月には、腹腔鏡下膵切除のうち
「膵体尾部切除」も保険の利く手術として認められている。
若手外科医たちがこの分野に注目し、
新しい手法の導入に意欲を持った動機としては、
もちろん、医療の進歩を目指し、社会に貢献するという、
医師としての向上心や探究心、使命感があったに違いない。
ただ、おそらくそれだけでもないだろう。
従来の開腹手術では、数々の経験を積んでいる
ベテランにはなかなかかなわないが、
新しい手法であれば、
外科医として他人より一歩抜きんでるための
早道になるかもしれない。
また、もともと患者の集まりやすい旧帝大など
都市部の有力な大学病院などと違い、
特色を出したい私大や地方の大学病院、
市中病院にとっては、新たな手法を採り入れることが、
病院としてのアドバンテージにもなりうる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
8.教室間の対抗意識
当時、埼玉大学病院外科には、
明確な役割分担がない二つの外科教室がありました。
教室間の対応意識があり、
それぞれが実績を競うという状況にありました。
本書ではその問題に1章を割いていますが、
当ブログでのご紹介は割愛します。
9.上司(教授)の無責任(放置)
10.大学の無責任
前掲の記者会見後の記述の続きはこうなっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
記者の多くが、このようなずさんで危険なやり方が
なぜ何年もまかり通っていたのか疑問を抱いた。
執刀医や教授は、このことをどう考えていたのか。
記者会見で野島(病院長)らが明らかにしたところによると、
患者が死亡していることは認識していたものの、
問題だとは思っておらず、
保険適用外で安全性や有効性が確立していない手術をする際、
病院の倫理委員会に申請すべきであるということについては、
「申請が必要であるという認識が甘かった」
と当人たちは話していたという。
倫理や安全を確保するための意識が、
極めて低かったということになる。
病院長はじめ
病院の安全管理部門は把握できなかったのだろうか。
野島は
「把握が不十分なところがあった。
診療行為を実施する側の問題もあり
医師がきちんと申請してくれないと、病院は把握できない」
と話し、
判断は現場任せで野放し状態なのが実情だったことを認めた。
そのうえで、
(「必要な手続きをとるよう)各診療科、医師個人に
しっかり周知させる、守らせるための取り組み方が
少し甘かった側面はある」と、
病院として管理体制に甘さがあったと述べた。
執刀医がこうした手術を続けた動機については、
「そこは何ともわからない」(野島)、
「明確には……」(永井医療安全管理部部長)とあいまいな
受け答えに終始するばかりで明らかにされなかった。
保険適用されていない高難度の手術であることの
インフォームド・コンセントは、執刀医の言い分では
「患者に話している」ということだったが、
記録としては残っていなかったという。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私が見たあるブログでは、
「担当医師は悪くない、悪いのはそういう状況に追い込んだ
上司(教授)と大学である」と主張している医師がいました。
この無責任経営の一環で、「健康保険請求の不正」が行われています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
群馬大学病院による最初の記者会見の内容には、
よく考えると一つおかしな点がある。
記者会見した病院長の野島らは、病院の内部調査により、
第二外科で、保険適用外とみられる腹腔鏡下肝切除手術が、
2010年12月から2014年6月までの間に
56例(注・後に58例と訂正)行われていたことが
わかったと説明している。
このうち、患者が死亡した8例も含め多くの例が
倫理審査を通さずに実施された。
保険が利かない手術だったとすれば、
費用の支払いはどうしていたのか、
何ら言及がなされていないのである。
保険適用されるということは、原則として、
全国の病院で幅広く行って差し支えないと考えられるほど、
安全性や有効性が確立された標準的な治療法と
見なされたということである。
だからこそ公的な医療保険が利き、
病院は保険から診療報酬を受け取れるので、
患者は一部の自己負担(一般的には、かかった医療費の三割)
だけで治療を受けられる。
それでは、保険適用外の手術であればどういうことになるか。
当然、その治療に保険は利かない。
となると、費用負担の方法は三通りに限られる。
一つは、美容整形と同じように、
患者が医療費の全額を自己負担する自費診療として行う方法であり、
もう一つは、臨床研究の一環として、
病院側が全額を研究費などから支払い、
患者に負担を求めない方法である。
いずれの方法でも、倫理審査は通さなければならない。
しかし、第二外科で実施した手術の多くで、
倫理審査手続きは行われていなかった。
遺族への取材によって、そのからくりは鮮明になった。
取材に応じた遺族は誰一人、
自分たちの家族が受けた手術が高難度の術式であり、
いまだ保険適用もされていない手術だったということを
知らなかったのである。
遺族は診療に対する支払いの請求書や領収書を保管しており、
それを確認すると、患者側に請求されていたのは、
保険の自己負担分だけだった。
それは、病院側が、保険適用外の手術を保険診療だった
ことにして診療報酬を不正請求していた
疑いがあることを意味する。
群馬大学病院は後に、
このことで厚生労働省の監査を受け、
多額の診療報酬を返還させられることになる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上について、2015年3月3日に行われた病院長による
「群馬大学医学部付属病院
腹腔鏡下肝切除術事故調査報告書(院内調査)」
の結論はこうなっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【結論】
1.新規医療技術の導入に際し、
IRB (臨床試験審査委員会)への申請を怠る等、
2.術前評価が不十分であり、
過剰侵襲から予後を悪化させた可能性が考えられた。
3.手術に関する説明同意文書の記載が不十分であり、
適切なインフォームドコンセントが取得できているか
確認ができなかった。
4.主治医による診療録記載が乏しく、手術適応、
術後の重篤な合併症等に対して主治医がどのように判断し
対応したかという思考過程等を診療録から
把握することが困難であった。
5.カンファレンスなどによる診療の振り返りが十分に
行われておらず、手術成績不良に対する診療科としての
対応が不十分であった。
6.院内の報告制度は設けられていたが、
診療科からの報告がなされておらず、
病院として問題事例の把握が遅れた。
7.保険診療制度に対する理解が浅く、
不適切な保険請求がなされた。
8.1~6の問題点は、8例全てで共通に認められた。
さらには、腹腔鏡手術の適応、術中の処置、
術後管理等においてもそれぞれに問題が指摘された。
以上のことから、全ての事例において、
過失があったと判断された。
(上野注:自分たちの責任を素直に認めているようですが、
見方を変えると
すべてを医師の過失責任であることにしようという意図が
丸見えということになります)
9.病院全体の管理体制として、問題事例の早期把握、
倫理審査の徹底、適正な保険請求、
医療事故の届け出等に不備が認められた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この「事件」の状況は、経営のガバナンス問題としてみると
きわめて程度の低い問題です。
企業の営業担当にたとえるとこうなります。
多くのまともな企業では今や考えられない状況です。
1.どこに何の営業で行くかを事前に上司に連絡しない。
2.お客様に、商品の有効性を吹聴するが、
会社で定められている商品の有効範囲や会社の責任範囲については
まったく説明しない。
3.お客様に対する技術的プレゼン(説明会)に対して、
技術部門が的確なフォロをしない。
4.営業状況の日報を具体的に記述していない。
5.いい加減な日報に対して上司は何も指導しない(放置)。
6.商品の使用法や効能の疑問点に対する
お客様からの問い合わせに営業担当が答えない。
(コールバックもしない)
7.営業担当および上司の指導のずさんな状況や、
お客様からのクレーム状況を会社が把握していない。
8.実質的に激しい超過勤務状態なのに
会社はその状況を把握していないし
ましてや改善の対策をとっていない。
要するに、営業を完全に営業担当任せで、
実績が上がっていればよいという無責任体制です。
最近は、日本の伝統的産業である製造業における不正が
次々と発覚しています。
しかし不正や不備が
人間の命にかかわる世界で起きているのですから、
大問題なのです。
まさにこの「人の命にかかわる」という点が医療の特異性です。
11.医師の人間性(人間軽視)
最後はこれだと思います。
この事件の当事者である医師は、
自分の職業の対象がモノではなく生身の人間であるという点の認識が
まったくないか希薄なのです。
生身の人間には感情があるし生きたいという意志があり、
生きてほしいと思う家族がいるのですが、
そういう面を捨象して、単なる施術あるいは治療対象としての物体として
客観的に見ているのです。
医師が患者をそのように客観視してみるという経験を、
私は40年前に父親の死に際して経験しました。
父は今で言うC型肝炎(劇症)に罹り
2週間の闘病生活の末に亡くなりました。
父は当時69歳でしたが、発病と同時に意識不明になってしまいました。
当時は,C型肝炎は認知されていなく、治療法も不明で試行錯誤でした。
父は大学医学部の名誉教授でしたから、
身内を含む内科の先生たちが
医師団をくんで治療にあたってくださいました。
当時試作段階であった人工肝臓機能装置も使っていただきました。
その効果があっていったん意識回復しました。
そのおかげで米国出張から急きょ戻ってきた私は
父と会話をすることができました。
家族は交代で付きっきりでした。
家族たちは病気は適切な治療があれば治るものと思っていましたし、
何としても治ってほしいと思っていました。
ところが、闘病生活2週間めになったときに、
先生たちが「もうダメかもしれない」
というようなことを話しているのを聞いてしまいました。
そのとおりなのでしょうが、
何としても治ってほしいと思っている家族からすると、
「父を治療対象物としてしか見ていないのだ」
とショックを受けました。
そのような特別な関係の医師団でも、
そのような見方になるのですから、
普通の関係の「患者さん」ならなおのこと
「単なる1物件」としてしか認識しないのでしょうね。
患者ひとりひとりに患者や家族の立場になって診ていたら
体も精神も持たないでしょう。
しかし群馬大学のこの医師は
その限界のはるか手前で患者との交流を遮断しています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
裕美さんが亡くなった朝、
急変の知らせで駆けつけた家族に、
その場にいた早瀬(担当医の仮名)は
全く言葉をかけなかったという。
「 私、待ってたんです。先生、何か言ってくれるかなって。
別に私を励ますような言葉じゃなくても、
こういう経過でしたとか、
何か話しかけてくれてもいいじゃないですか。
でも、何もありませんでしたね。
目を合わさないようにして、そこにいただけ」
看護師たちは、泣き続ける裕美さんの娘の肩を
抱えるようにして、慰めようとしているのが伝わったが、
早瀬は何も言わず、何もせず、見送りの一群に付いてきた。
娘は、裕美さんの遺体に寄り添って車に乗り込み、
病院の出入り口に目をやった。
早瀬は、車が走り出すとすぐ、くるりときびすを返して
病院の中に消えていった。
一瞬、白衣の裾がひらりと舞うのが目に入った。
それが冷徹な割り切りのようにも感じられ、
裕美さんの娘は一層悲しい気持ちにさせられた。
「次の人がいるから、患者が一人亡くなったからといって、
いちいち構っていられないのかな。
これが大学病院なのかな。
そう思って、なんだかすごく寂しくなったのを覚えています。
お母さん、あんなに苦しんだんですよ。
ほんとに、すごく苦しんだんですよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これが遺族の気持ちです。
医師は、患者・家族の気持ちに寄り添っていただきたいですね。
そうでない医師は免許返上でしょう。
目的:
まったく気が重くなる群馬大学の医療事故問題の総括究明書の
ご紹介です。
ことの本質を一緒に考えましょう。
ねらい:
大病院のガバナンスの改善に期待しましょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「大学病院の奈落」は読売新聞社の記者である
高梨ゆき子さんの大力作です。
文章もたいへん読みやすくできています。
「こんな気が重くなる事件をよく追いかけ切ったな」と
感服・脱帽です。
本書は読売新聞の以下のスクープ記事からスタートします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スクープ記事
〈腹腔鏡手術後8人死亡 高難度の肝切除
同一医師が執刀 群馬大病院〉
群馬大学病院(前橋市)で2011~2014年、
腹腔鏡を使う高難度の肝臓手術を受けた患者約100人のうち、
少なくとも8人が死亡し、病院が院内調査委員会を
設置して調べていることがわかった。
8人を執刀したのはいずれも同じ医師。
同病院ではこれらの手術は事前に院内の倫理審査を
受ける必要があるとしているが、
担当の外科は申請していなかった。
病院関係者によると、
手術が行われたのは第二外科(消化器外科)。
死亡した8人は60代~80代の男女で、肝臓がんなどの
治療として腹腔鏡を使う肝臓切除手術を受けた。
手術と死亡の因果関係は現時点では不明だが、
8人は術後に容体が悪化し、
約3ヵ月以内に肝不全などで亡くなった。
事態を重く見た病院側は現在、同科肝胆膵(肝臓、胆道、膵臓)
グループの全手術を停止している。
腹腔鏡を使う肝臓切除手術は、
比較的実施しやすい「部分切除」などに限り、
2010年4月に保険適用された。
しかし、高度な技術が必要な「区域切除」などは
有効性や安全性が十分に確認されていないとみなされ保院適用外だ。
同外科ではこうした保険適用外の手術を多く手がけており、
8人が受けたのも同様の手術だったとみられている。
これらの手術は、
病院の倫理審査委員会に臨床研究として申請しなければならなかったが、
第二外科は行っていなかった。
今年4月には千葉県がんセンターで、
膵臓などの腹腔鏡手術を受けた患者が
相次ぎ死亡していたことが明らかになり、
10月時点で計11人の死亡患者について調べている。
群馬大病院の小出利一・総務課長は
「倫理審査を受けずに治療したことは問題で、
あってはならないことと重く受け止めている。
院内で様々な側面から調べており、まとまり次第、
ご遺族や社会にきちんと説明し、さらに本格的な調査をしたい」
とし、執刀医については
「医師個人への取材には応じられない」としている。
群馬大病院は、725の病床を持つ北関東の医療拠点。
重粒子線治療など最先端の医療も導入している。
消化器がんに詳しい
がん研有明病院の山口俊晴・消化器センター長の話
「一般的には腹腔鏡による肝切除を受けた悪者が
短期間で死亡することは非常にまれだ。
8人が亡くなるのはきわめて多いといえる。
調査委員会は原因を究明し、再発防止に努めるべきだ」
(2014年11月14日 読売新聞朝刊東京最終版一面)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こんな大惨事が起きた原因は、本書によれば以下のとおりです。
番号は上野が付番。
1.医師の技能未熟
弁護団の独自調査において、協力医が手術の録画映像
(内視鏡手術の場合は手術の状況がすべて録画される)を見ての
コメントが紹介されています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「(執刀医の)手技はななり稚拙である。
鉗子のハンドリングもよくなく、
剥離操作、止血操作にしても全部悪い。相当下手。
術野も出血で汚染されており、血の海の中で手術をしているような状態。
腹腔鏡の技量についてはかなり悪いといえる。
無用に肝臓に火傷させるなど、愛護的操作がない。
助手のカメラ操作も下手」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2.インフォームドコンセント不足(医師の責任)
3.医師の手抜き(カルテ記載の粗雑さ)
4.医師の院内規則無視
5.患者の事前検査不足(医師の責任)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2014年11月14日、
読売新聞の初報当日の午前、群馬大学病院の記者会見が
病院長、医療安全管理部部長、事務部長が参加して行われた。
そこで明らかになった事実は以下のとおり。
手術と患者の死亡との因果関係は不明。
診療内容の詳細に問題があったかどうかは調査中だが、
手術の前に、肝臓の機能が切除後も持ち堪えられるかどうか
を評価するための検査がほとんど行われておらず、
カルテの記録が不十分で、
インフォームド・コンセントが適切に行われたかどうかも
把握できないほどだった。
死亡した8人が受けた保険定期用外とみられる手術。
基本的には安全性や有効性がまだ十分確立していない
研究段階の治療法だった。
本来は病院の倫理委員会に申請し、
倫理的に問題ないかどうかの審査に通ってから実施し、
結果を検証するというステップを踏むべきだったと
病院側は判断しているが、その手続きはとられていなかった。
保険適用外とみられる腹腔鏡下肝切除は、
患者が死亡した8例を含め56例行われていた。
この内、倫理審査の申請がされていたのは7例だけだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6.術後のフォロ不備
こういう記述があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ところが、手術は、事前の説明から予想したものとは
かなり違っていた。
当日、朝一番で病室から運ばれていった栄子さんと
次に対面したのは、夜になってからだった。
栄子さんを送り出してから一〇時間以上たっていたはずだ。
その間、途中の追加説明は何もなく、
父をはじめ親族と不安な気持ちで待ち続けていた充博さんは、
夜になってようやく姿を見せた早瀬から説明を受けたという。
「がんが思った以上に広がっていて、
全部はとりきれませんでしたといわれました。
手術前、『いま、切れば大丈夫』と聞いていたから、
話が違うと思いました。
そのことを話したら、親父は『ええっ』と言って
それ以上言葉を続けられない状態でした。
ショックが大きかったんだと思います。
しかし、そんな深刻な事態にもかかわらず、
術後の栄子さんは、胆知るが漏れたり発熱したり、
腹痛を訴えたりしても、
これといった検査を受けることのないままに過ごしていた。
その間血液検査やCTが十分に行われた様子はなく、
手術から一週間後退院の話が出た。
「お母さんはもう大丈夫ですよ。
クリスマスには退院できるので、
抗がん剤の投与について考えましょう」
病院でそんな話を聞いた充博さんはその後、
実家に寄って父を訪ね、そのことを報告した。
父はニコニコしながら、「そうかい、そうかい」
と頷いていたという。
よほど嬉しかったのか、父は翌朝一番で病室を見舞った。
その後まもなく、病室のトイレに入った栄子さんは突然倒れた。
物音に気づいて扉を開けた父が見たのは、
白目をむいた状態でその場に崩れた栄子さんの姿だった。
(中略)
後に日本外科学会が行った検証によると、
栄子さんの事例は、トイレで意識を失って倒れ、
蘇生を受けているときに行われた腹部超音波検査から、
腹隆内で出血が起こっていた疑いがあった。
術後の経過を注意深く診てタイミングよく
必要な検査と処置を行うべきだったのに、
行われていなかったことも指摘された。
死因としては、
縫合不全で腹陸内に漏れ出した胆汁により
血管が損傷されて出血が起こったと推測されるものの、
解剖が行われていないため確証が得られない
と結論づけられている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こんな惨憺たる唖然とする状況だったのです。
7.医師の功名心
当該医師(資格は助教(助手))は、中堅技術者で超多忙だったようです。
その中で、なぜそんなリスクを冒して次々と難しい手術をしたのでしょうか。
その点に関しては、本人に対する調査(「尋問」)が実施されていないので
不明ですが、著者も医師の功名心であったのだろうと推定しています。
以下の記述があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
肝臓に遅れること2年、2009年12月には、
新たに結成された膵臓内視鏡外科研究会も、
最初の学術集会を東京都内で開いている。
肝胆膵外科の領域における腹腔鏡手術は、
「外科のトレンド」として、注目を集めるテーマになっていた。
特に若手外科医の目には、とても魅力的に映ったであろう
ことは想像に難くない。
外科系学会の学術集会では、
肝胆膵外科の腹腔鏡手術に関するセッションはどこも盛況で、
関心の高さを物語っていた。
その流れに乗り、腹腔鏡下肝切除は2010年4月、
比較的難易度が低いとされる「部分切除」と
「外側区域切除」に限り保険適用された。
2012年4月には、腹腔鏡下膵切除のうち
「膵体尾部切除」も保険の利く手術として認められている。
若手外科医たちがこの分野に注目し、
新しい手法の導入に意欲を持った動機としては、
もちろん、医療の進歩を目指し、社会に貢献するという、
医師としての向上心や探究心、使命感があったに違いない。
ただ、おそらくそれだけでもないだろう。
従来の開腹手術では、数々の経験を積んでいる
ベテランにはなかなかかなわないが、
新しい手法であれば、
外科医として他人より一歩抜きんでるための
早道になるかもしれない。
また、もともと患者の集まりやすい旧帝大など
都市部の有力な大学病院などと違い、
特色を出したい私大や地方の大学病院、
市中病院にとっては、新たな手法を採り入れることが、
病院としてのアドバンテージにもなりうる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
8.教室間の対抗意識
当時、埼玉大学病院外科には、
明確な役割分担がない二つの外科教室がありました。
教室間の対応意識があり、
それぞれが実績を競うという状況にありました。
本書ではその問題に1章を割いていますが、
当ブログでのご紹介は割愛します。
9.上司(教授)の無責任(放置)
10.大学の無責任
前掲の記者会見後の記述の続きはこうなっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
記者の多くが、このようなずさんで危険なやり方が
なぜ何年もまかり通っていたのか疑問を抱いた。
執刀医や教授は、このことをどう考えていたのか。
記者会見で野島(病院長)らが明らかにしたところによると、
患者が死亡していることは認識していたものの、
問題だとは思っておらず、
保険適用外で安全性や有効性が確立していない手術をする際、
病院の倫理委員会に申請すべきであるということについては、
「申請が必要であるという認識が甘かった」
と当人たちは話していたという。
倫理や安全を確保するための意識が、
極めて低かったということになる。
病院長はじめ
病院の安全管理部門は把握できなかったのだろうか。
野島は
「把握が不十分なところがあった。
診療行為を実施する側の問題もあり
医師がきちんと申請してくれないと、病院は把握できない」
と話し、
判断は現場任せで野放し状態なのが実情だったことを認めた。
そのうえで、
(「必要な手続きをとるよう)各診療科、医師個人に
しっかり周知させる、守らせるための取り組み方が
少し甘かった側面はある」と、
病院として管理体制に甘さがあったと述べた。
執刀医がこうした手術を続けた動機については、
「そこは何ともわからない」(野島)、
「明確には……」(永井医療安全管理部部長)とあいまいな
受け答えに終始するばかりで明らかにされなかった。
保険適用されていない高難度の手術であることの
インフォームド・コンセントは、執刀医の言い分では
「患者に話している」ということだったが、
記録としては残っていなかったという。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私が見たあるブログでは、
「担当医師は悪くない、悪いのはそういう状況に追い込んだ
上司(教授)と大学である」と主張している医師がいました。
この無責任経営の一環で、「健康保険請求の不正」が行われています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
群馬大学病院による最初の記者会見の内容には、
よく考えると一つおかしな点がある。
記者会見した病院長の野島らは、病院の内部調査により、
第二外科で、保険適用外とみられる腹腔鏡下肝切除手術が、
2010年12月から2014年6月までの間に
56例(注・後に58例と訂正)行われていたことが
わかったと説明している。
このうち、患者が死亡した8例も含め多くの例が
倫理審査を通さずに実施された。
保険が利かない手術だったとすれば、
費用の支払いはどうしていたのか、
何ら言及がなされていないのである。
保険適用されるということは、原則として、
全国の病院で幅広く行って差し支えないと考えられるほど、
安全性や有効性が確立された標準的な治療法と
見なされたということである。
だからこそ公的な医療保険が利き、
病院は保険から診療報酬を受け取れるので、
患者は一部の自己負担(一般的には、かかった医療費の三割)
だけで治療を受けられる。
それでは、保険適用外の手術であればどういうことになるか。
当然、その治療に保険は利かない。
となると、費用負担の方法は三通りに限られる。
一つは、美容整形と同じように、
患者が医療費の全額を自己負担する自費診療として行う方法であり、
もう一つは、臨床研究の一環として、
病院側が全額を研究費などから支払い、
患者に負担を求めない方法である。
いずれの方法でも、倫理審査は通さなければならない。
しかし、第二外科で実施した手術の多くで、
倫理審査手続きは行われていなかった。
遺族への取材によって、そのからくりは鮮明になった。
取材に応じた遺族は誰一人、
自分たちの家族が受けた手術が高難度の術式であり、
いまだ保険適用もされていない手術だったということを
知らなかったのである。
遺族は診療に対する支払いの請求書や領収書を保管しており、
それを確認すると、患者側に請求されていたのは、
保険の自己負担分だけだった。
それは、病院側が、保険適用外の手術を保険診療だった
ことにして診療報酬を不正請求していた
疑いがあることを意味する。
群馬大学病院は後に、
このことで厚生労働省の監査を受け、
多額の診療報酬を返還させられることになる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上について、2015年3月3日に行われた病院長による
「群馬大学医学部付属病院
腹腔鏡下肝切除術事故調査報告書(院内調査)」
の結論はこうなっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【結論】
1.新規医療技術の導入に際し、
IRB (臨床試験審査委員会)への申請を怠る等、
診療科として組織的取組が行われていなかった。
2.術前評価が不十分であり、
過剰侵襲から予後を悪化させた可能性が考えられた。
3.手術に関する説明同意文書の記載が不十分であり、
適切なインフォームドコンセントが取得できているか
確認ができなかった。
4.主治医による診療録記載が乏しく、手術適応、
術後の重篤な合併症等に対して主治医がどのように判断し
対応したかという思考過程等を診療録から
把握することが困難であった。
5.カンファレンスなどによる診療の振り返りが十分に
行われておらず、手術成績不良に対する診療科としての
対応が不十分であった。
6.院内の報告制度は設けられていたが、
診療科からの報告がなされておらず、
病院として問題事例の把握が遅れた。
7.保険診療制度に対する理解が浅く、
不適切な保険請求がなされた。
8.1~6の問題点は、8例全てで共通に認められた。
さらには、腹腔鏡手術の適応、術中の処置、
術後管理等においてもそれぞれに問題が指摘された。
以上のことから、全ての事例において、
過失があったと判断された。
(上野注:自分たちの責任を素直に認めているようですが、
見方を変えると
すべてを医師の過失責任であることにしようという意図が
丸見えということになります)
9.病院全体の管理体制として、問題事例の早期把握、
倫理審査の徹底、適正な保険請求、
医療事故の届け出等に不備が認められた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この「事件」の状況は、経営のガバナンス問題としてみると
きわめて程度の低い問題です。
企業の営業担当にたとえるとこうなります。
多くのまともな企業では今や考えられない状況です。
1.どこに何の営業で行くかを事前に上司に連絡しない。
2.お客様に、商品の有効性を吹聴するが、
会社で定められている商品の有効範囲や会社の責任範囲については
まったく説明しない。
3.お客様に対する技術的プレゼン(説明会)に対して、
技術部門が的確なフォロをしない。
4.営業状況の日報を具体的に記述していない。
5.いい加減な日報に対して上司は何も指導しない(放置)。
6.商品の使用法や効能の疑問点に対する
お客様からの問い合わせに営業担当が答えない。
(コールバックもしない)
7.営業担当および上司の指導のずさんな状況や、
お客様からのクレーム状況を会社が把握していない。
8.実質的に激しい超過勤務状態なのに
会社はその状況を把握していないし
ましてや改善の対策をとっていない。
要するに、営業を完全に営業担当任せで、
実績が上がっていればよいという無責任体制です。
最近は、日本の伝統的産業である製造業における不正が
次々と発覚しています。
しかし不正や不備が
人間の命にかかわる世界で起きているのですから、
大問題なのです。
まさにこの「人の命にかかわる」という点が医療の特異性です。
11.医師の人間性(人間軽視)
最後はこれだと思います。
この事件の当事者である医師は、
自分の職業の対象がモノではなく生身の人間であるという点の認識が
まったくないか希薄なのです。
生身の人間には感情があるし生きたいという意志があり、
生きてほしいと思う家族がいるのですが、
そういう面を捨象して、単なる施術あるいは治療対象としての物体として
客観的に見ているのです。
医師が患者をそのように客観視してみるという経験を、
私は40年前に父親の死に際して経験しました。
父は今で言うC型肝炎(劇症)に罹り
2週間の闘病生活の末に亡くなりました。
父は当時69歳でしたが、発病と同時に意識不明になってしまいました。
当時は,C型肝炎は認知されていなく、治療法も不明で試行錯誤でした。
父は大学医学部の名誉教授でしたから、
身内を含む内科の先生たちが
医師団をくんで治療にあたってくださいました。
当時試作段階であった人工肝臓機能装置も使っていただきました。
その効果があっていったん意識回復しました。
そのおかげで米国出張から急きょ戻ってきた私は
父と会話をすることができました。
家族は交代で付きっきりでした。
家族たちは病気は適切な治療があれば治るものと思っていましたし、
何としても治ってほしいと思っていました。
ところが、闘病生活2週間めになったときに、
先生たちが「もうダメかもしれない」
というようなことを話しているのを聞いてしまいました。
そのとおりなのでしょうが、
何としても治ってほしいと思っている家族からすると、
「父を治療対象物としてしか見ていないのだ」
とショックを受けました。
そのような特別な関係の医師団でも、
そのような見方になるのですから、
普通の関係の「患者さん」ならなおのこと
「単なる1物件」としてしか認識しないのでしょうね。
患者ひとりひとりに患者や家族の立場になって診ていたら
体も精神も持たないでしょう。
しかし群馬大学のこの医師は
その限界のはるか手前で患者との交流を遮断しています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
裕美さんが亡くなった朝、
急変の知らせで駆けつけた家族に、
その場にいた早瀬(担当医の仮名)は
全く言葉をかけなかったという。
「 私、待ってたんです。先生、何か言ってくれるかなって。
別に私を励ますような言葉じゃなくても、
こういう経過でしたとか、
何か話しかけてくれてもいいじゃないですか。
でも、何もありませんでしたね。
目を合わさないようにして、そこにいただけ」
看護師たちは、泣き続ける裕美さんの娘の肩を
抱えるようにして、慰めようとしているのが伝わったが、
早瀬は何も言わず、何もせず、見送りの一群に付いてきた。
娘は、裕美さんの遺体に寄り添って車に乗り込み、
病院の出入り口に目をやった。
早瀬は、車が走り出すとすぐ、くるりときびすを返して
病院の中に消えていった。
一瞬、白衣の裾がひらりと舞うのが目に入った。
それが冷徹な割り切りのようにも感じられ、
裕美さんの娘は一層悲しい気持ちにさせられた。
「次の人がいるから、患者が一人亡くなったからといって、
いちいち構っていられないのかな。
これが大学病院なのかな。
そう思って、なんだかすごく寂しくなったのを覚えています。
お母さん、あんなに苦しんだんですよ。
ほんとに、すごく苦しんだんですよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これが遺族の気持ちです。
医師は、患者・家族の気持ちに寄り添っていただきたいですね。
そうでない医師は免許返上でしょう。
2017年11月21日火曜日
「超予測力」
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
難問に対する予測の精度を上げる方法を探求したレポートの紹介です。
予測の精度を上げるためのガイドの
ビジネスのガイドとの共通性を検討してみました。
ねらい:
予測に関心のある方は、この貴重な実験レポートをご覧ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「超予測力」は、
ペンシルバニア大学のテトロック教授と
カナダのジャーナリストであるガードナー氏が書かれたものですが、
小島寛之帝京大学教授の書かれた日本経済新聞の書評を見て
読んでみました。
ですが、この書評以上の簡潔で要領を得たご紹介はできませんので、
まずはその書評をご覧いただきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鉄板だと思われた予想がみごとはずれることがしばしば起きる。
今年で言えば、イギリスのEU離脱や
トランプ氏の大統領選勝利がそれだ。
株価の暴落が大多数の人の読み違いを裏付けた。
本書は、このようなままならない地政学的予測・経済的予測に
長けた「超予測者」が実際に存在することを明らかにし、
彼らの特徴を分析した本である。
著者テトロックらは数千人のボランティアを集め、
「優れた判断カプロジェクト(GJP)」なるものを組織し、
彼らに、「朝鮮半島で戦争が勃発するか」
「金相場は暴落するか」といった膨大な予測間題を課した。
日本に関する予測では「安倍晋三首相が靖国神社を訪間するか」
などがある。
これらの予測問題について、一般人よりも、
また、専門家と呼ばれる人々に対してさえも、
成績が有意に優れた人々が見つかったのである。
こう聞くと、慎重な人は、単なるまぐれじゃないの?
とかんぐることだろう。
O×クイズに莫大な人が参加すれば、
統計的に全間正解者が存在する。
でも大丈夫、著者はちゃんとこのツッコミヘの回答を用意している。
統計学の観点でも、超予測者はまぐれではないのだ。
彼らは学歴も職業もさまざまだ。
その特徴は人物ではなく方法論にある、と著者は説く。
方法論的な特徴は多数ある。
彼らは複眼的であり、数字に強い。
思想・信条に固執せず、反対意見を重んじる。
確率論的な視点を持ち、情報によって予測を更新する。
本書を読むと、まるで我々誰もが超予測者になれるか
のような錯覚に陥るが、そう甘くはないだろう。
何より彼らは、膨大な予測問題に、タフな情報収集と
詳細な論理的考察で回答するエネルギーを持ち合わせている。
これだけでもう生まれ持った特殊能力と呼べるだろう。
でも、超予測者の仲間入りは無理としても、
並予測者くらいにはなれるかもしれない。
超予測者の方法論は、どれもが常識的であり、突飛ではない。
高度な数学も必要ない。
ただそれは、我々が面倒がって無意識に避けている考え方なのだ。
これらを表層意識に刻むだけで、
予測能力はだいぶ改善されることだろう。
さらに本書を同僚みんなで読み込んで議論すれば、
会社の雰囲気が明日から変わるかもしれない。
とりわけ、第9章のチームワークの議論は、
管理職の方々に溜飲下がるものだろう。
そんな時間がない、と嘆く超多忙者は、
付録「超予測者をめざすための10の心得」を
斜め読むだけでも十分に役立つ本である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本書には驚きの事実が紹介されています。
株価等の予測に関心のある方はぜひご覧ください。
この中に、
第10章にリーダのジレンマという項があり、
以下の記述がありました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リーダーは決断しなければならない。
それには予測を立て、使いこなす必要がある。
予測は正確なほど良いので、
超予測力に関する知識には強い関心を持つべきだ。
ただリーダーには行動し、日標を達成することも求められる。
つまリリーダーたらねばならない。
これまでリーダーを務めたことのある人なら、
超予測力の知識がどれほど役に立つのかと
疑間を感じているかもしれない。
有能なリーダーに必要な資質を周囲の人や
リーダーシップ研修の専門家に聞いたり、
あるいはこのテーマに関する文献を読んだりすれば、
基本的に三つ挙がるはずだ。
「自信」は誰もが挙げるだろう。
リーダーは健全な自信を持ち、
周囲にもそれが伝わらなければならない。
できるという信念がなければ、なにごとも達成できないからだ。
「決断力」も欠かせない。
優柔不断ではリーダーは務まらない。
状況を評価し、決断し、前に進まなければならない。
そしてリーダーは「ビジョン」を語らなければならない。
みなが一致団結して達成しようとする目標である。
超予測者の思考スタイルを思い出し、
リーダーに求められる資質と比べてみよう。
確実なものなどひとつもないと考えていたら、
揺るぎない自信を持ち、
周囲にそれを伝播させることなどできるだろうか。
時間をかけて複雑かつ自己批判的に思考をする人間が
決断力を持てるか、そして「考えすぎて身動きがとれない」
状態に陥るのを避けられるだろうか。
新しい情報が出てくると意見を変え、
自分は間違っていたと認めるようでは、
断固たる決意を持って行動するなど不可能ではないか。
なにより超予測力の根底にあるのは謙虚さだ。
現実はあまりに複雑で、それを理解するにはわれわれの能力に
は限界があり失敗は避けられないという意識である。
ウィンストン・チャーチルやスティーブ・ジョブズのような
傑出したリーダーが「謙虚」と評されたことなどあっただろうか。
ガンジーはあるかもしれないが、
あと一人か二人思い浮かべようとしても難しい。
またスーパーチームの特徴を思い浮かべてみよう。
有効なチームのあり方について説明は受けたものの、
ヒエラルキー、ルール、正式なリーダーなど
何も押しつけられなかった。
このようなちっぼけなアナキスト的集団は、
超予測者らが好む徹底した議論には適しているが、
一致団結して事を成すのには不向きだ。
後者に必要なのは組織力と責任者たるリーダーである。
これは重大なジレンマに思える。
リーダーは予測者であると同時にリーダーでなければならないが、
一方の成功の条件は他方での成功を阻害しかねない。
幸い、超予測者であることと傑出したリーダーであることは、
現実にはそれほど矛盾しない。
むしろ超予測者の行動モデルは、
優れたリーダーを傑出したリーダーに変え、
そして彼らの率いる組織の力量、適応力、有効性を高める。
ここでカギとなるリーダーシップ論と組織論は、
19世紀プロイセンの参謀総長が生み出し、
第二次世界大戦でドイツ軍が完成させ、
その後現代アメリカ軍の土台となり、
今日の成功企業の多くで取り入れられているものだ。
みなさんの近所の大手スーパーマーケットチェーンも
実践しているかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なるほどと思う面もありますが、
私は、超予測者の資質とリーダの資質は異なると思います。
それは、ビジネス界では常識と思いますが、
スペシャリスト(専門職)とマネージャの違いです。
共通点があるという言い方よりも、
異なる資質であると言った方が適切だと思います。
書評にあった
「超予測者を目指すための10の心得」の項目は以下のとおりで、
その項目に対して
ビジネスでの心得との共通性について私がコメントしてみました。
◎ ビジネスでも非常に重要、〇 重要、△ 一面で適合、
☓ ビジネスでは該当しない
と判断しましたが、皆様はどう思われますか?
△1.トリアージ(選別格付け)
ビジネスではこちらの都合で案件を選択することはできません。
ビジネスポートフォリオの考え方であれば、合致します。
◎2.一見手に負えない問題は、手に負えるサブ問題に分解せよ
重要な考え方ですが、ビジネスでは常識でしょう。
システム企画研修社の提供する解決策検討手法では、
まず問題領域を「部分に分解」せよ、としています。
◎3.外側と内側の視点の適度なバランスを保て
どんなにトップを行くビジネスでも
内向き志向になったら終りです。
その例は多数ありますね。
〇4.エビデンスに対する過少評価と過剰反応を避けよ
エビデンスであると示されても、疑わしければ、
安易に受け入れず徹底的に確認すべきです。
◎5.どんな問題でも自らと対立する見解を考えよ
これも先入観で決めつけることへの警句として有効です。
〇6.問題に応じて不確実性はできるだけ細かく予測しよう
リスクを検討すべきことはビジネスでは常識です。
ただし抜かりから問題が起きていますね。
◎7.自信過少と自信過剰、
慎重さと決断力の適度なバランスを見つけよう
バランスを欠いた自信過剰と決断力で小池百合子氏は自滅しましたが、
日本人全般の傾向からすると、自信と決断は強化されるべきです。
◎8.失敗したときは原因を検証する。ただし後知恵バイアスにはご用心
失敗に対する原因分析・反省がなければ進歩はありません。
授業料を無駄にしていることになります。
日本では失敗を隠す傾向があるので改善しなければなりません。
〇9.仲間の最良の部分を引き出し、自分の最良の部分を引き出してもらおう
本来ビジネスではこうありたいですね。
☓10.ミスをバランスよくかわして予測の自転車を乗りこなそう
ビジネスでは「チャンスをうまく掴んで発展しよう」でしょうね。
〇11.心得を絶対視しない
ビジネスでは、
チェックリスト過信や形骸化は避けるように戒められています。
目的:
難問に対する予測の精度を上げる方法を探求したレポートの紹介です。
予測の精度を上げるためのガイドの
ビジネスのガイドとの共通性を検討してみました。
ねらい:
予測に関心のある方は、この貴重な実験レポートをご覧ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「超予測力」は、
ペンシルバニア大学のテトロック教授と
カナダのジャーナリストであるガードナー氏が書かれたものですが、
小島寛之帝京大学教授の書かれた日本経済新聞の書評を見て
読んでみました。
ですが、この書評以上の簡潔で要領を得たご紹介はできませんので、
まずはその書評をご覧いただきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鉄板だと思われた予想がみごとはずれることがしばしば起きる。
今年で言えば、イギリスのEU離脱や
トランプ氏の大統領選勝利がそれだ。
株価の暴落が大多数の人の読み違いを裏付けた。
本書は、このようなままならない地政学的予測・経済的予測に
長けた「超予測者」が実際に存在することを明らかにし、
彼らの特徴を分析した本である。
著者テトロックらは数千人のボランティアを集め、
「優れた判断カプロジェクト(GJP)」なるものを組織し、
彼らに、「朝鮮半島で戦争が勃発するか」
「金相場は暴落するか」といった膨大な予測間題を課した。
日本に関する予測では「安倍晋三首相が靖国神社を訪間するか」
などがある。
これらの予測問題について、一般人よりも、
また、専門家と呼ばれる人々に対してさえも、
成績が有意に優れた人々が見つかったのである。
こう聞くと、慎重な人は、単なるまぐれじゃないの?
とかんぐることだろう。
O×クイズに莫大な人が参加すれば、
統計的に全間正解者が存在する。
でも大丈夫、著者はちゃんとこのツッコミヘの回答を用意している。
統計学の観点でも、超予測者はまぐれではないのだ。
彼らは学歴も職業もさまざまだ。
その特徴は人物ではなく方法論にある、と著者は説く。
方法論的な特徴は多数ある。
彼らは複眼的であり、数字に強い。
思想・信条に固執せず、反対意見を重んじる。
確率論的な視点を持ち、情報によって予測を更新する。
本書を読むと、まるで我々誰もが超予測者になれるか
のような錯覚に陥るが、そう甘くはないだろう。
何より彼らは、膨大な予測問題に、タフな情報収集と
詳細な論理的考察で回答するエネルギーを持ち合わせている。
これだけでもう生まれ持った特殊能力と呼べるだろう。
でも、超予測者の仲間入りは無理としても、
並予測者くらいにはなれるかもしれない。
超予測者の方法論は、どれもが常識的であり、突飛ではない。
高度な数学も必要ない。
ただそれは、我々が面倒がって無意識に避けている考え方なのだ。
これらを表層意識に刻むだけで、
予測能力はだいぶ改善されることだろう。
さらに本書を同僚みんなで読み込んで議論すれば、
会社の雰囲気が明日から変わるかもしれない。
とりわけ、第9章のチームワークの議論は、
管理職の方々に溜飲下がるものだろう。
そんな時間がない、と嘆く超多忙者は、
付録「超予測者をめざすための10の心得」を
斜め読むだけでも十分に役立つ本である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本書には驚きの事実が紹介されています。
株価等の予測に関心のある方はぜひご覧ください。
この中に、
第10章にリーダのジレンマという項があり、
以下の記述がありました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リーダーは決断しなければならない。
それには予測を立て、使いこなす必要がある。
予測は正確なほど良いので、
超予測力に関する知識には強い関心を持つべきだ。
ただリーダーには行動し、日標を達成することも求められる。
つまリリーダーたらねばならない。
これまでリーダーを務めたことのある人なら、
超予測力の知識がどれほど役に立つのかと
疑間を感じているかもしれない。
有能なリーダーに必要な資質を周囲の人や
リーダーシップ研修の専門家に聞いたり、
あるいはこのテーマに関する文献を読んだりすれば、
基本的に三つ挙がるはずだ。
「自信」は誰もが挙げるだろう。
リーダーは健全な自信を持ち、
周囲にもそれが伝わらなければならない。
できるという信念がなければ、なにごとも達成できないからだ。
「決断力」も欠かせない。
優柔不断ではリーダーは務まらない。
状況を評価し、決断し、前に進まなければならない。
そしてリーダーは「ビジョン」を語らなければならない。
みなが一致団結して達成しようとする目標である。
超予測者の思考スタイルを思い出し、
リーダーに求められる資質と比べてみよう。
確実なものなどひとつもないと考えていたら、
揺るぎない自信を持ち、
周囲にそれを伝播させることなどできるだろうか。
時間をかけて複雑かつ自己批判的に思考をする人間が
決断力を持てるか、そして「考えすぎて身動きがとれない」
状態に陥るのを避けられるだろうか。
新しい情報が出てくると意見を変え、
自分は間違っていたと認めるようでは、
断固たる決意を持って行動するなど不可能ではないか。
なにより超予測力の根底にあるのは謙虚さだ。
現実はあまりに複雑で、それを理解するにはわれわれの能力に
は限界があり失敗は避けられないという意識である。
ウィンストン・チャーチルやスティーブ・ジョブズのような
傑出したリーダーが「謙虚」と評されたことなどあっただろうか。
ガンジーはあるかもしれないが、
あと一人か二人思い浮かべようとしても難しい。
またスーパーチームの特徴を思い浮かべてみよう。
有効なチームのあり方について説明は受けたものの、
ヒエラルキー、ルール、正式なリーダーなど
何も押しつけられなかった。
このようなちっぼけなアナキスト的集団は、
超予測者らが好む徹底した議論には適しているが、
一致団結して事を成すのには不向きだ。
後者に必要なのは組織力と責任者たるリーダーである。
これは重大なジレンマに思える。
リーダーは予測者であると同時にリーダーでなければならないが、
一方の成功の条件は他方での成功を阻害しかねない。
幸い、超予測者であることと傑出したリーダーであることは、
現実にはそれほど矛盾しない。
むしろ超予測者の行動モデルは、
優れたリーダーを傑出したリーダーに変え、
そして彼らの率いる組織の力量、適応力、有効性を高める。
ここでカギとなるリーダーシップ論と組織論は、
19世紀プロイセンの参謀総長が生み出し、
第二次世界大戦でドイツ軍が完成させ、
その後現代アメリカ軍の土台となり、
今日の成功企業の多くで取り入れられているものだ。
みなさんの近所の大手スーパーマーケットチェーンも
実践しているかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なるほどと思う面もありますが、
私は、超予測者の資質とリーダの資質は異なると思います。
それは、ビジネス界では常識と思いますが、
スペシャリスト(専門職)とマネージャの違いです。
共通点があるという言い方よりも、
異なる資質であると言った方が適切だと思います。
書評にあった
「超予測者を目指すための10の心得」の項目は以下のとおりで、
その項目に対して
ビジネスでの心得との共通性について私がコメントしてみました。
◎ ビジネスでも非常に重要、〇 重要、△ 一面で適合、
☓ ビジネスでは該当しない
と判断しましたが、皆様はどう思われますか?
△1.トリアージ(選別格付け)
ビジネスではこちらの都合で案件を選択することはできません。
ビジネスポートフォリオの考え方であれば、合致します。
◎2.一見手に負えない問題は、手に負えるサブ問題に分解せよ
重要な考え方ですが、ビジネスでは常識でしょう。
システム企画研修社の提供する解決策検討手法では、
まず問題領域を「部分に分解」せよ、としています。
◎3.外側と内側の視点の適度なバランスを保て
どんなにトップを行くビジネスでも
内向き志向になったら終りです。
その例は多数ありますね。
〇4.エビデンスに対する過少評価と過剰反応を避けよ
エビデンスであると示されても、疑わしければ、
安易に受け入れず徹底的に確認すべきです。
◎5.どんな問題でも自らと対立する見解を考えよ
これも先入観で決めつけることへの警句として有効です。
〇6.問題に応じて不確実性はできるだけ細かく予測しよう
リスクを検討すべきことはビジネスでは常識です。
ただし抜かりから問題が起きていますね。
◎7.自信過少と自信過剰、
慎重さと決断力の適度なバランスを見つけよう
バランスを欠いた自信過剰と決断力で小池百合子氏は自滅しましたが、
日本人全般の傾向からすると、自信と決断は強化されるべきです。
◎8.失敗したときは原因を検証する。ただし後知恵バイアスにはご用心
失敗に対する原因分析・反省がなければ進歩はありません。
授業料を無駄にしていることになります。
日本では失敗を隠す傾向があるので改善しなければなりません。
〇9.仲間の最良の部分を引き出し、自分の最良の部分を引き出してもらおう
本来ビジネスではこうありたいですね。
☓10.ミスをバランスよくかわして予測の自転車を乗りこなそう
ビジネスでは「チャンスをうまく掴んで発展しよう」でしょうね。
〇11.心得を絶対視しない
ビジネスでは、
チェックリスト過信や形骸化は避けるように戒められています。
2017年11月17日金曜日
日本を凋落の危機から救う対策は??
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
日本の良さを明らかにし、それを通すことを主張されている
「日本のものづくりを救う!最強のすり合わせ技術」
をご紹介します。
その延長で日本が生き残る道を検討してみます。
ねらい:
何とか安倍総理の力で
この方向が実現できることを期待いたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
津曲公二さんと酒井昌昭さんの書かれた
日本のものづくりを救う!最強の「すり合わせ技術」
を読ませていただいて考えました。
本書は、日本の国民性、優れた資質を活かして、
日本頑張ろうというメッセージを発信しておられます。
思いがたいへん重いメッセージです。
大賛成で、これを機会に
日本を凋落ならぬ没落の危機から救う方法を検討してみました。
まず日本人の国民性についてこう書いておられます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【わが国だけにある資源】
他の国にはなく、わが国だけにある資源、
それは日本だけを見ていると見えにくいかもしれません。
海外に旅行すれば、はっきりとわかってきます。
階層意識が低くオープンな社会構造
約束を守る、
時間を守る、
協調性にすぐれ、
勤勉で誠実な国民性、
黒か白か決着を付けずにあいまいさを許容する、
職場で上司が部下を育成する気風、
必ずしも儲けだけを追求するのでなく誰かの役に立ちたいという経営、
リクツはともあれまずはやってみようという技術(実践)志向。
技術大国日本の資源はヒトであり、
ヒトを大切にする文化だと思います。
―――――――――――――――――――――――――
ビジネス風土についてはこういう主張をされています。
1)社会の階層意識が低い。
2)カネ儲けより誰かの役に立ちたい。
3)いいとこどり(クリスマス、除夜の鐘を聞く、神社に初詣する、
TQC,QC、シックスシグマ、PM、TOC,VE,VA)
そ
して「経済と道徳を融合させた渋沢栄一」
「行き過ぎた儲け主義を否定したソニー創業者の信念」を紹介された後で、
「誠実で真摯な努力が世界で味方をふやす」を結びとされています。
途中で、現代日本の弱点も指摘されています。
企業間で階層意識がある。
見せかけの安心で、ほんものの安全をごまかしている。
効率性重視で効果性軽視の傾向がある。
しかし、日本の良さを見直して原点回帰しようと主張しておられます。.
そのとおりだと思います。
しかし私の見るところ、
現代日本が苦境に陥っている原因は大きく二つあります。
1.技術がそして社会生活が革新の
時代に入っている。
これはご承知のとおりのことですが、日本人には逆風です。
日本人の思考法には全般的に見ると、
千年に亘る農耕文化によって醸成された以下の傾向があります。
1)先進性がない(過去の延長で物事を考える)
2)集団の和を重んじ独自意見表明を嫌う。
3)その延長で、リーダシップを発揮したがらない。
この思考法は、
過去の延長で改良をしていけば良かった高度成長期まで、
日本の製造業が世界を制覇するのに貢献しました。
今はその時代ではありません。
ダイソンに掃除機で負ける時代になってしまったのです。
この掃除機には
技術で負けたのではなく発想・企画で負けたのです。
製造技術で生き残れる日本の製造業はあるのでしょうか。
今や自動化・ロボットの時代でしょう?
自動車だってEVになると
すり合わせ技術は不要になると言われています。
この時代は、新しいモノ、コトを考える発想力が求められているのです。
2.精神風土は米国流に毒されて、
日本的良さ・美徳を失いかけている。
「失いかけている」と言うのは、こういうことです。
戦前生まれの旧世代人およびその旧世代人に育てられた日本人は
日本的良さを失っていません。
しかしその後の世代は、
都会の核家族育ちでその良さが伝承されていません。
東北大震災の時に、
自分のことを置いて他人を助けた多くの美談が
世界の人たちに感銘を与えました。
これは「田舎」であるから実現したことなのです。
都会ではマンションの隣人を助けたりしないでしょう。
この2点を要約すると、
日本人の思考特性の良い部分を失って
苦手な部分で戦わなくてはならない時代になってしまっている
ということです。
どうしたらよいのでしょうか。
同書では、「すり合わせ」を知の世界に持ち込んで、
知のすり合わせ」をしたらよいと言っておられます。
「知のすり合わせ」は、
部門間とか機能間での調整ということになります。
私の勉強不足かもしれませんが、、モノのすり合わせ技術と
部門間の調整技術とは全く異質のものではないでしょうか。
部門間の調整が日本でやりやすいとすれば、
縦割り意識よりも企業一家主義で
協調意識があるという面かもしれません。
残念ながらこの点も、
米国流に毒されて弱くなってきているのではないでしょうか。
もう一度言います。どうしたらよいのでしょうか。
あらためて日本の特性を評価してみましょう。
1)高齢化先進国である
2)きめ細かい気づきが得意
3)地道な努力をする
4)自然との共生
この2)~4)は日本人のDNA的な特性で今も活きています。
日本が得意な技術は、2)と3)を活かして
5)ロボット
6)ゲーム、アニメ
でしょう。
この特性から考えられるのは、
以下の領域のビジネスではないでしょうか。
A.ロボットを積極的に活用する介護・医療の世界
この点の認識は一般的かと思いますが、
国家戦略として他の領域は捨ててここに重点投資すべきです。
B.ロボットとゲームを融合した
老人を元気にするもの・スポーツの世界
老人が元気に活動すれば、
健康寿命が延びて医療費の削減になります。
老人たちが家にこもらずに毎日外で楽しめる
ゲートボールより断トツで素晴らしいものを開発するのです。
AIの活用なども有効でしょう。
ヒントはSONYが今年の6月に13年ぶりに出した玩具
と言われる、学べるロボ「トイオ」です。
これを人体大に大型化して、チームでロボットを作り
お互いに戦わせるのです。
C、老人が社会貢献できる働きの場を作る世界
老人が遊んでばかりの社会は成り立ちません。
老人の知識・知恵を活用する働き場を作る必要があります。
たとえば、
ロボットの助けを借りての介護関係
ゲーム・アニメの力を借りての小学校の社会科の先生
同じく体育や音楽、家庭科の先生
ロボットの力を借りて植物(お花や果実)を育てる農業
(お花や果実は心を込めるといいモノができるのです)
自然との共生心を活かす道はもっとたくさんあるでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
途中から、私の主張になってしまいましたので、
あらためて、本書の主張をご紹介しておきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本書では、すり合わせ技術を使いこなすだけにとどまらず、
技術者の生き方や日本のビジネス道などを
6つの章(観点)にして、述べています。
第1章 効率一辺倒はやめる。
わが国は「見えない資産(無形の資産)」の宝庫であり、
社会の安定を維持していること、
これはどこの国もなし得ない優れた特質です。
すべてにおいて効率指標をもちこむことをやめれば、
わが国はもっと発展できます。
第2章 国際標準に振り回されない。
国際標準にはホンネがある。
物ごとには、もっともな建前や美しいかけ声の裏に
必ず都合のよいホンネがあります。
これらを知り、自らが提案できるためにはどうすればよいか。
筆者たちが企業で体験した事例を加えています。
注:津曲公二さんは日産自動車、酒井昌昭さんはソニーのご出身です。
第3章 「すり合わせ技術」
わが国でなければできないことは、「見えない資産」を知り、
他社がまねできないやり方を生みだすことです。
いまそこにあるさまざまな資源の活用を考えます。
第4章 戦略に強くなるカギも
「すり合わせ技術」
わが国は戦略で負けています。
マクロよりもミクロが気になり、手法に関心を寄せるが、
残念ながら、その背景にある思想(ベースになる考え方)は
あまり気にしない傾向があります。
すり合わせ技術を上手に使えば、
戦略と戦術は同時進行できることをみていきます。
第5章 チーム力を磨くために
技術者がはたすべき役割
技術者はやりがいのある仕事です。
とくに日本においてはそうだと思います。
職場で仕事をしながら自分はどう成長するか、
技術者のリーダーシップとは何か、
いざというとき判断がぶれないための軸にしたいことなど、
技術者の器量について述べます。
注:お二人は技術者です(でした?)。
第6章 日本のビジネス道
積極的に世界に向けて発信すべきことを提案しています。
誠実で真摯な努力を基本にする日本のやり方は、
世界の各国から信頼されています。
いま世界中でカネ設け第一のやり方が広まっています。
日本のビジネス道がこれからも
世界で信頼され続けることを述べます。
日本のように共存や共生に重きを置く国は、
世界にもっとあったはずですが、
今ではほとんど日本だけになりました。
自分の企業の利益だけしか考えないやり方、
市場を独占するのがベストという考えかたなどは、
いずれは破綻してしまうことでしょう。
日本のやり方は世界に広めるべきすばらしいもの、
という認識を、技術者にかぎらずすべての人たちに
強くもってもらいたいと思っています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お二人の言われるとおりです。
しかし、最近の製造業で起きている複数の不正は、
まさに「効率重視」に毒されて起きてしまっていることで、
世界に対して日本の信用を大きく傷つけてしまっています。
お二人の悩みは大きいでしょう。
目的:
日本の良さを明らかにし、それを通すことを主張されている
「日本のものづくりを救う!最強のすり合わせ技術」
をご紹介します。
その延長で日本が生き残る道を検討してみます。
ねらい:
何とか安倍総理の力で
この方向が実現できることを期待いたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
津曲公二さんと酒井昌昭さんの書かれた
日本のものづくりを救う!最強の「すり合わせ技術」
を読ませていただいて考えました。
本書は、日本の国民性、優れた資質を活かして、
日本頑張ろうというメッセージを発信しておられます。
思いがたいへん重いメッセージです。
大賛成で、これを機会に
日本を凋落ならぬ没落の危機から救う方法を検討してみました。
まず日本人の国民性についてこう書いておられます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【わが国だけにある資源】
他の国にはなく、わが国だけにある資源、
それは日本だけを見ていると見えにくいかもしれません。
海外に旅行すれば、はっきりとわかってきます。
階層意識が低くオープンな社会構造
約束を守る、
時間を守る、
協調性にすぐれ、
勤勉で誠実な国民性、
黒か白か決着を付けずにあいまいさを許容する、
職場で上司が部下を育成する気風、
必ずしも儲けだけを追求するのでなく誰かの役に立ちたいという経営、
リクツはともあれまずはやってみようという技術(実践)志向。
技術大国日本の資源はヒトであり、
ヒトを大切にする文化だと思います。
―――――――――――――――――――――――――
ビジネス風土についてはこういう主張をされています。
1)社会の階層意識が低い。
2)カネ儲けより誰かの役に立ちたい。
3)いいとこどり(クリスマス、除夜の鐘を聞く、神社に初詣する、
TQC,QC、シックスシグマ、PM、TOC,VE,VA)
そ
して「経済と道徳を融合させた渋沢栄一」
「行き過ぎた儲け主義を否定したソニー創業者の信念」を紹介された後で、
「誠実で真摯な努力が世界で味方をふやす」を結びとされています。
途中で、現代日本の弱点も指摘されています。
企業間で階層意識がある。
見せかけの安心で、ほんものの安全をごまかしている。
効率性重視で効果性軽視の傾向がある。
しかし、日本の良さを見直して原点回帰しようと主張しておられます。.
そのとおりだと思います。
しかし私の見るところ、
現代日本が苦境に陥っている原因は大きく二つあります。
1.技術がそして社会生活が革新の
時代に入っている。
これはご承知のとおりのことですが、日本人には逆風です。
日本人の思考法には全般的に見ると、
千年に亘る農耕文化によって醸成された以下の傾向があります。
1)先進性がない(過去の延長で物事を考える)
2)集団の和を重んじ独自意見表明を嫌う。
3)その延長で、リーダシップを発揮したがらない。
この思考法は、
過去の延長で改良をしていけば良かった高度成長期まで、
日本の製造業が世界を制覇するのに貢献しました。
今はその時代ではありません。
ダイソンに掃除機で負ける時代になってしまったのです。
この掃除機には
技術で負けたのではなく発想・企画で負けたのです。
製造技術で生き残れる日本の製造業はあるのでしょうか。
今や自動化・ロボットの時代でしょう?
自動車だってEVになると
すり合わせ技術は不要になると言われています。
この時代は、新しいモノ、コトを考える発想力が求められているのです。
2.精神風土は米国流に毒されて、
日本的良さ・美徳を失いかけている。
「失いかけている」と言うのは、こういうことです。
戦前生まれの旧世代人およびその旧世代人に育てられた日本人は
日本的良さを失っていません。
しかしその後の世代は、
都会の核家族育ちでその良さが伝承されていません。
東北大震災の時に、
自分のことを置いて他人を助けた多くの美談が
世界の人たちに感銘を与えました。
これは「田舎」であるから実現したことなのです。
都会ではマンションの隣人を助けたりしないでしょう。
この2点を要約すると、
日本人の思考特性の良い部分を失って
苦手な部分で戦わなくてはならない時代になってしまっている
ということです。
どうしたらよいのでしょうか。
同書では、「すり合わせ」を知の世界に持ち込んで、
知のすり合わせ」をしたらよいと言っておられます。
「知のすり合わせ」は、
部門間とか機能間での調整ということになります。
私の勉強不足かもしれませんが、、モノのすり合わせ技術と
部門間の調整技術とは全く異質のものではないでしょうか。
部門間の調整が日本でやりやすいとすれば、
縦割り意識よりも企業一家主義で
協調意識があるという面かもしれません。
残念ながらこの点も、
米国流に毒されて弱くなってきているのではないでしょうか。
もう一度言います。どうしたらよいのでしょうか。
あらためて日本の特性を評価してみましょう。
1)高齢化先進国である
2)きめ細かい気づきが得意
3)地道な努力をする
4)自然との共生
この2)~4)は日本人のDNA的な特性で今も活きています。
日本が得意な技術は、2)と3)を活かして
5)ロボット
6)ゲーム、アニメ
でしょう。
この特性から考えられるのは、
以下の領域のビジネスではないでしょうか。
A.ロボットを積極的に活用する介護・医療の世界
この点の認識は一般的かと思いますが、
国家戦略として他の領域は捨ててここに重点投資すべきです。
B.ロボットとゲームを融合した
老人を元気にするもの・スポーツの世界
老人が元気に活動すれば、
健康寿命が延びて医療費の削減になります。
老人たちが家にこもらずに毎日外で楽しめる
ゲートボールより断トツで素晴らしいものを開発するのです。
AIの活用なども有効でしょう。
ヒントはSONYが今年の6月に13年ぶりに出した玩具
と言われる、学べるロボ「トイオ」です。
これを人体大に大型化して、チームでロボットを作り
お互いに戦わせるのです。
C、老人が社会貢献できる働きの場を作る世界
老人が遊んでばかりの社会は成り立ちません。
老人の知識・知恵を活用する働き場を作る必要があります。
たとえば、
ロボットの助けを借りての介護関係
ゲーム・アニメの力を借りての小学校の社会科の先生
同じく体育や音楽、家庭科の先生
ロボットの力を借りて植物(お花や果実)を育てる農業
(お花や果実は心を込めるといいモノができるのです)
自然との共生心を活かす道はもっとたくさんあるでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
途中から、私の主張になってしまいましたので、
あらためて、本書の主張をご紹介しておきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本書では、すり合わせ技術を使いこなすだけにとどまらず、
技術者の生き方や日本のビジネス道などを
6つの章(観点)にして、述べています。
第1章 効率一辺倒はやめる。
わが国は「見えない資産(無形の資産)」の宝庫であり、
社会の安定を維持していること、
これはどこの国もなし得ない優れた特質です。
すべてにおいて効率指標をもちこむことをやめれば、
わが国はもっと発展できます。
第2章 国際標準に振り回されない。
国際標準にはホンネがある。
物ごとには、もっともな建前や美しいかけ声の裏に
必ず都合のよいホンネがあります。
これらを知り、自らが提案できるためにはどうすればよいか。
筆者たちが企業で体験した事例を加えています。
注:津曲公二さんは日産自動車、酒井昌昭さんはソニーのご出身です。
第3章 「すり合わせ技術」
わが国でなければできないことは、「見えない資産」を知り、
他社がまねできないやり方を生みだすことです。
いまそこにあるさまざまな資源の活用を考えます。
第4章 戦略に強くなるカギも
「すり合わせ技術」
わが国は戦略で負けています。
マクロよりもミクロが気になり、手法に関心を寄せるが、
残念ながら、その背景にある思想(ベースになる考え方)は
あまり気にしない傾向があります。
すり合わせ技術を上手に使えば、
戦略と戦術は同時進行できることをみていきます。
第5章 チーム力を磨くために
技術者がはたすべき役割
技術者はやりがいのある仕事です。
とくに日本においてはそうだと思います。
職場で仕事をしながら自分はどう成長するか、
技術者のリーダーシップとは何か、
いざというとき判断がぶれないための軸にしたいことなど、
技術者の器量について述べます。
注:お二人は技術者です(でした?)。
第6章 日本のビジネス道
積極的に世界に向けて発信すべきことを提案しています。
誠実で真摯な努力を基本にする日本のやり方は、
世界の各国から信頼されています。
いま世界中でカネ設け第一のやり方が広まっています。
日本のビジネス道がこれからも
世界で信頼され続けることを述べます。
日本のように共存や共生に重きを置く国は、
世界にもっとあったはずですが、
今ではほとんど日本だけになりました。
自分の企業の利益だけしか考えないやり方、
市場を独占するのがベストという考えかたなどは、
いずれは破綻してしまうことでしょう。
日本のやり方は世界に広めるべきすばらしいもの、
という認識を、技術者にかぎらずすべての人たちに
強くもってもらいたいと思っています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お二人の言われるとおりです。
しかし、最近の製造業で起きている複数の不正は、
まさに「効率重視」に毒されて起きてしまっていることで、
世界に対して日本の信用を大きく傷つけてしまっています。
お二人の悩みは大きいでしょう。
2017年11月15日水曜日
今年の流行語大賞は何でしょうか!
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
今年の流行語らしきものを知っていただきます。
どれが大賞になるか予想していただきます。
(宝くじよりは当たるでしょう!)
ねらい:
楽しみにしていただきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今年の流行語大賞の候補30語が発表されました。
大賞が発表されるのは12月1日だそうですから、
どの語が大賞になるか予想してみましょう。
流行語と言えば、「はやり言葉」ですから、
本来は多くの人が使った言葉ということなのでしょう。
しかし候補を見ると、
話題になったけれども一般の会話の中では使われてはいない言葉も
多く登場しているようです。
例えば、「藤井フィーバー」「線状降水帯」「GINZA SIX」などです。
うんこ漢字ドリルは、このままの言葉では使われなくて、
「うんこ」という言葉が、
日常会話の中であまり抵抗なく使われるようになった
という面があるかもしれません。
そういう意味でこの語は、あるとすれば特別賞でしょう。
その意味で、
会話の中に登場したのではないかと思われる言葉としてみると、
炎上、35億、忖度、ちーがーうーだーろー、ファースト
せいぜいが、働き方改革、でしょう。
その中からどれが一番でしょうか。
どうもこれが1番とはっきりしているのはなさそうです。
私としては、35億やちーがーうーだーろーも面白いのですが、
多くの人が政治や社会に関心を持っていただくという意味で
忖度であってほしいと思います。
因みに、過去3年の大賞は以下のとおりで、
2014年の以外は、そうかなあ、という程度ではないでしょうか。
2014年 ダメよーダメダメ
2015年 爆買い
2016年 神ってる
皆様はどう予想されますでしょうか。
目的:
今年の流行語らしきものを知っていただきます。
どれが大賞になるか予想していただきます。
(宝くじよりは当たるでしょう!)
ねらい:
楽しみにしていただきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今年の流行語大賞の候補30語が発表されました。
大賞が発表されるのは12月1日だそうですから、
どの語が大賞になるか予想してみましょう。
2017年流行語大賞候補
1.アウフヘーベン
|
11けものフレンズ
|
21.ハンドスピナー
|
| 2.インスタ映え |
12.35億
|
22.ひふみん
|
3.うつヌケ
|
13.Jアラート
|
23.フェイクニュース
|
| 4.うんこ漢字ドリル |
14.人生100年時代
|
24.藤井フィーバー
|
5.炎上○○
|
15.睡眠負債
|
25.プレミアムフライデー
|
6.AIスピーカー
|
16.線状降水帯
|
26.ポスト真実
|
7.9.98(10秒の壁)
|
17.忖度
|
27.魔の2回生
|
8.共謀罪
|
18.ちーがーうーだーろー
|
28.○○ファースト
|
9.GINZA SIX
|
19.刀剣乱舞
|
29.ユーチューバー
|
10.空前絶後の
|
20.働き方改革
|
30.ワンオペ育児
|
本来は多くの人が使った言葉ということなのでしょう。
しかし候補を見ると、
話題になったけれども一般の会話の中では使われてはいない言葉も
多く登場しているようです。
例えば、「藤井フィーバー」「線状降水帯」「GINZA SIX」などです。
うんこ漢字ドリルは、このままの言葉では使われなくて、
「うんこ」という言葉が、
日常会話の中であまり抵抗なく使われるようになった
という面があるかもしれません。
そういう意味でこの語は、あるとすれば特別賞でしょう。
その意味で、
会話の中に登場したのではないかと思われる言葉としてみると、
炎上、35億、忖度、ちーがーうーだーろー、ファースト
せいぜいが、働き方改革、でしょう。
その中からどれが一番でしょうか。
どうもこれが1番とはっきりしているのはなさそうです。
私としては、35億やちーがーうーだーろーも面白いのですが、
多くの人が政治や社会に関心を持っていただくという意味で
忖度であってほしいと思います。
因みに、過去3年の大賞は以下のとおりで、
2014年の以外は、そうかなあ、という程度ではないでしょうか。
2014年 ダメよーダメダメ
2015年 爆買い
2016年 神ってる
皆様はどう予想されますでしょうか。
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