2023年9月26日火曜日

富士フイルムが情報子会社を吸収します!!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 親会社が情報子会社を吸収する時代になったことを
 確認いただきます、
ねらい:
 その動きがどの程度進展するか見守りましょう。
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2023年8月21日の官報によりますと、
富士フイルム株式会社が、
その情報子会社富士フイルムシステムズ株式会社を
吸収することになりました。

その時期は、この官報に記載されていませんが、
一説によると、2023年10月1日だそうです。

「人の真似はしない、自分で考える」
という思考風土の富士フイルム殿らしい施策です。

大きな時代の転機を感ずる「事件」です。
一時期は、情報機能を子会社に分離するのが「流れ」でしたから、
その反対の「流れ」が起きている、ということです。

親会社が情報子会社を吸収するのは、
以下の点から納得の行くことです。

理由その1
DXの動きに代表されるように、
情報システムは企業経営の中枢を担う機能となっています。
その機能を社外に置くのは不当です。
経営企画部門を外だしする企業はありません。

理由その2
情報システムが経営の中枢を担うようになった結果、
変化する事業環境に適時に対応していくには、機動性が必要です。
そのため、多くの企業で「内製化」の動きがあります。
情報システム子会社の吸収は、大きな内製化です。

理由その3
従来、情報システム機能を別会社にしていた理由の一つは
親会社の処遇体系と合致しない専門部隊だったからです。
ところが、現在は「ジョブ型処遇」が採用されるようになり、
異質な処遇体系の併存が許されるようになっています。

理由その4
情報システム子会社が担っていた運用機能については、
実質的な運用そのものは外部のクラウド系事業者に委託していて
自ら担当しているのは運用の企画と管理ですから、
この体制を親会社に持っていくことは、何の課題も発生しません。
自社でクラウドを運用している場合であっても、
その運営を担う専門家は、多くの場合外部依存ですから
同じことです。

一般的に、情報子会社吸収の課題としては、以下があると想定されます。

課題その1
吸収合併する子会社の要員再配置をどうするか、です。
間接部門は、親会社の該当部門に配属することになるでしょう。
不要になる要員は、業務轉換です。
親会社で、子会社の管理をしていた要員や、
子会社で営業的機能を担っていた要員は担当替えです。
企画機能は、親会社と子会社との一体化で担当再編です。
子会社の開発機能は、当面は現状維持なのではないでしょうか。

おそらく、担当替えは全体の1割程度と想定されます。
その人たちは「リスキリング」が必要です。

課題その2
情報システム子会社は親会社の情報システム機能を担うだけでなく、
グループ企業の情報システム機能も担ってきています。
グループ企業の情報システム機能を親会社が担うのは、
経営のガバナンス上、不具合です。

対策としては、定型的処理を担う間接業務請負会社を設立し
あるいは既存の間接業務請負会社に、
その情報システム機能を移管します。

既にそのような間接業務請負会社を設立している企業も増えています。
例:
ヤマハ発動機株式会社は
「ヤマハ発動機ビズパートナー株式会社」を設け
人事、総務、財務・経理、ロジスティクス、間材調達、保険の業務
を担っています。

課題その3
情報システム機能には、ご承知のように、
定型業務処理的ないわゆるSoRと
戦略的機能処理のSoEがあります。
グループ企業各社は、SoR機能については間接業務請負会社に委託し
SoE機能は自社で対応するようにします。
そのための体制確立が必要ですが、
今やDXは全社員が対応しなければならないという時代です、
避けて通れない道です。

付言:
情報システム子会社の設立理由の一つに、
親会社の事業が不況で、自分たちで稼げ、ということもありました。
その方針で成功した企業はほとんどありません。
例外は、日鉄ソリューションズ,、SCSK、
伊藤忠テクノソリューションズ、野村総研(少し違う面もありますが)
くらいです。
(TISは三和グループの共同情報システム会社です)

多くの情報システム子会社は、親会社が繁忙になってきたら
「余計な仕事をしないで親会社の仕事に専念せよ」
などと勝手なことを言われました。

情報子会社設立ブームのときにも、情報システムの意義を評価して
子会社化を行わずに、内製を通してきた会社もあります。
菱食(現三菱食品)です。イトーヨーカドーもそうでしょう。


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