岸田文雄総理大臣殿
「脱失われた30年」の対策のご提案
2023年3月20日
システム企画研修株式会社
代表取締役 上野則男
・日本が元気な国になるためには、弱者の救済も重要ではありますが、日本がもう少し豊かで将来に夢が持てる国になる必要があります。そのためには、経済を担う産業を強化しなければなりません。
・以下にその方策の骨子をご提案します。
1.前提の確認
(1)米国GAFAの確認
・この表の下の3社は、ICTを武器にして、「(日本の)失われた30年」の間に、
売上10兆円以上の企業になっています。
企業名
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主な事業
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創業年
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売上規模
2021年度
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Apple
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PC販売
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1976年4月
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51.3兆円
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Amazon
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EC
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1994年7月
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61.1兆円
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Google
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検索サービス
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1998年9月
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33.5兆円
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Facebook
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SNS
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2004年2月
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15.3兆円
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(2)日本の過去10年の高成長企業の状況
・以下の表のように、最近の高成長企業は、ファーストリテイリングだけが、製造販売業で、他はICTを活用したビジネスをしています。
日本の最近10年間の高成長企業
注:売上倍率は10年間の倍率を示します。ChatGPTによります。
2.「失われた30年」脱却のためのICT関連産業の育成・発展の必要性
1)ご認識のように、インターネット時代の幕開けは1995年です。
・ 初の本格的民間利用のインターネットツールであるNetscape Navigaterがリリースされたのは1994年ですが、1995年に、マイクロソフト社のInternet Explorerリリース,Yahooのサービス開始 amazonのサービス開始がありました。
・ この時から、情報処理のあり方が大変革し、前掲のようなICTを取り入れた新サービスが輩出したのです。
・ このタイミングと、日本の「失われた20年ないし30年」の開始とは一致しています。
2)日本経済が発展するには、ICT関連ビジネスの遅れを取り戻さなければなりません。
ž 日本全体としては、ICT関連ビジネスに出遅れました。その遅れを取り戻し、失われた30年から脱却するには、日本に合ったICT関連ビジネスを多く興し発展させなければなりません。
3.支援対象とする事業
・ 日本に合ったICT関連ビジネスは、以下の事業であると思われます。
1)高齢者の活性化を目指す事業
2)結婚を促進する事業
3)出産を促進する事業
4)日本の伝統工芸を強化する事業
5)観光立国を促進する事業
6)精密機器を製造する事業、など。
・1)から3)は少子高齢化先進国対応であり、4)から6)は日本の国情に合致した事業です。
・ その観点からは、他にもあると想定されます。
・ 上野案の1)と2)の例を後掲します。
4.支援対象とする企業
・前掲3.に該当する事業を営む新興企業とします。
・大企業の子会社も可ですが、経営の独立性を担保できることを前提とします。
・社長は、原則として20歳代とします。GAFAMの創業者も、リクルートグループの創業者も、創業時は20歳代でした。
・経済産業省主催の「DX銘柄」、IT協会主催の「IT賞」受賞案件の中で、新規事業開発を目指して未だ完成できていない案件に取り組む企業も対象にしたらよいと思われます。
5.支援の仕組み(概要)
・新規ICT関連事業の創業企業を集める「村」(○○Village)を作ります。
・ そこへの入植者は、上記4.の支援対象とする企業のみとします。
・最終的には、100社程度を目標とします。
・「村」の中心部に、入植者が自由に利用できるサロンを設けます。
・サロンの飲食は無料とします。
・支援対象とする企業は公募します。他薦もありです。
・支援対象とする企業の審査は、その事業が成功した場合の効果を重視し、成功リスクは重視しません。創業者社長の意欲を評価します。
・審査をどういう組織メンバーで実施するかが極めて重要です。
・支援対象とする企業には、1社に1億円を国が出資します(金額は要検討)。
・状況により、追加で開発費を助成(追加出資)することもありです。
・国は、支援対象企業が成功して上場すれば、投資資金を回収できます。
・サロンでは、経営者に対する経営教育も実施します(リクルートやライブドアの轍を踏まないためにも)。
6.「高齢者の活性化を目指す事業」と「結婚を促進する事業」の例(上野案)
(1)「高齢者の活性化を目指す事業
案件名
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単身高齢者向けシェアハウス創設
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備考
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当事者
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・当事業賛同者(土地所有者)
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事業支援の目的
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・単身高齢者専用のシェアハウスの開設を支援する。
・単身高齢者の活性化・健康増進を実現する。
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・単身高齢者は現在日本に737万人いる。
・現在の単身高齢者の多くは家にこもっていることで健康を阻害しているという認識に基づく企画である。
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事業支援のねらい
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・高齢者の健康寿命の延伸が実現し、社会保障費の削減が可能となる。
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・現在日本の年金を除く社会保障費は62兆円。その1%強の削減で年間1兆円が浮く。
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期待事業規模
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・ シェアハウスは、1階10人×4階を標準とする。この規模だと全員が顔なじみになる。
・全国1千か所だと4万人収容(単身高齢者の1%弱)、1人年間100
万円の家賃収入だと、400億円の売上となる。
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事業内容
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次頁資料参照。
・1か所の入居者は、男女比が偏らないようにする。
・高齢者専用のシェアハウスと近隣にゲートボール場等を設ける。
・事業者としては、5億円の初期投資を20年で償却すると、年間2500万円なので、40人の年間家賃収入4,000万円に対して付加価値1500万円となる。
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ICT活用方法
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・独身高齢者の情報をあらゆる方法で入手し、このシェアハウスの案内をする。
・希望しオンにすれば、室内の状況を家族が見ることができるようにする。
・入居者は、ウェアラブル端末(腕時計型)を付け、体温・血圧・心拍数・血中酸素量、運動量・睡眠状態を把握する。
・この分析をAIで行い、対象者に健康増進のためのアドバイスを行う。
・登録している家族にも、安否・健康状態を知らせる。
・友人が欲しい人は、その旨をスマホで知らせると、システムが、相性の良さそうな人を判定し、「○○さんがお友達を欲しがっています」と相手に知らせる。
・他にも、各人の状況をAIで把握し、本人または関係者にアドバイスや情報提供を行う。
・設備の利用状況を分析し、リフォームやその後の設備設計に活かす。
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国の補助助成内容
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・モデルハウスの開発・仕様公開 5億
円
・施設利用動画の作成・配付、
運営相談 1億円/年
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・建築費は100坪の5階建て鉄骨造りで約2.5億円
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単身高齢者専用シェアハウス構想
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1)1フロアに10室(LDK)×数フロアとする。
2)高齢単身者専用とする(男女不問)。 日本の737万人が潜在的対象。
3)当然ながら、部屋への行き来は自由とする。 男女の交流も期待する。
4)各フロアにゆったりした共有交流スペースを設ける。 てんでに好きなことができるようにする。他のフロアの共有スペースに行ってもよい。
5)1階は家族や友人が訪問できる公開スペースとする。 2階以上は通常のマンション等と同じ入室管理方式とする。
6)全体で利用できるゲートボール等のスペースも作る。
7)1階には、トランクルームを設ける(家族も使用できる)。
8)屋上に露天風呂ができればなおよい。
9)ここで亡くなる人がいても、お祓いをして次の入居者が気にならないようにする。
10)入居者のニーズ変化を想定し、できれば20年で建て替えができるような造りとする。(旧式マンションのゴーストタウン化の轍を踏まない)
11)国や自治体の他の補助も活用する。
12)室料は10万円以下しを目標にする。
13)多数の入居者の状況を伝える動画(YouTube等)を公開し、広告費(協賛金)を集め、入居者に還元する。入居者たちは、その資金をここでの生活の充実に使用する。
14)このような共同活動は、入居者の自立意識で運営するようにする。
15)これが成功すれば、高齢者先進国日本の良きモデルとなる。
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(2)「結婚を促進する事業」
独身男女交流サロン創設
案件名
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独身男女交流サロン創設
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備考
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当事者
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・イベント興行者(結婚紹介業でない方が良い)
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事業支援の目的
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・独身男女が参加するパーティ開催を支援する。
・このパーティによって独身男女の結婚を促進する。
・副次的目的として、全国の観光促進も行う。
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事業支援のねらい
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・日本の人口減を緩和させる。
(特定の対策だけでは「焼け石に水」ではある)
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・現在、30代男性の40%、30代女性の30%が未婚。
・30代未婚者は全体で
500万人もいる。
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期待事業規模
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・全国各地で約100の当イベント興行者を認定する。
・1事業者当り年間平均100組、全国で年間1万組の成婚を目標にする。
・事業者は、参加費2万円、1回の参加者が200人のイベントを年間10回開催する。1回10組の成婚が目標となる。
・会費収入は1事業者4千万円×100事業者で40億円。補助金が71億円(下記参照)、合計年間111億円の事業である。
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事業内容
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・会員は独身が前提の登録制。例会を月1回開催する。参加費2万円。
・抵抗感なく独身男女が参加できることを目指し,イベントへの参加が主目的であるようにする。
・毎回、特定の観光地の観光案内を映写する。提供する料理・飲み物もその回の観光案内に合わせた郷土料理とかにする。
・全員、登録番号とニックネーム(話のとっかかりにする)の名札を付ける。
・実質は、カクテルパーティで自由にアルコールを飲み、緊張や見栄をほぐす。
・「2万円も払ったんだから、何とかしなくては」という気になってもらう。
・会場内の外周に2人用のテーブル席を多数配置する。利用はフリー(無償)である。
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ICT活用方法
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1)あらゆる方法を駆使して、独身男女の情報を入手し、入会案内を送信する。
2)当日参加者の相性をAIで解析し、相性のある二人それぞれに「N番の方があなたと相性が良いようです。探してください」と本人のスマホにメッセージを送る。
3)その相手が見つからないようであれば、待ち合わせ場所(「泉スポット」)に行く。そうして、所定のセンサーにスマホをかざすと「N番の方,M番の方が泉スポットでお待ちです」と、自動で会場内の電光掲示板に表示する。
4)当日の出し物と参加者の状況をAIで解析し、企画に活かす。
5)飲み物・軽食の消費状態を把握し適切な補充を行うと同時に、要因分析し次回の企画に活かす。
6)婚約成立した場合、二人から情報を入手し、相性解析や会場運営に反映させる。
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国の補助助成内容
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・トライアル実施をし、運営マニュアルを作成する。5千万円
・イベント会開催の費用を、観光案内支援目的で、1回あたり200万円補助する。年間20億円。
・会の会員同士が結婚した場合に1組50万円の報奨金を主催者に支給する。年間1万組で50億円。
・新婚旅行に、当会で紹介した観光地に行く場合は、そのカップルにお祝い金を出す
(5万円)。年間2千組,1億円
・ こういうパーティ方式の有効性と報奨金のことを、事業者に案内する。
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・成婚の報奨金1組50万円は、高い印象もあり、偽装結婚の発生も心配であるが、高い報奨金を目指して、各事業者が婚約成立に持ち込む工夫をすることを期待する。
・少子化に悩む日本としては、子孫誕生につながることに大きな投資をすることは理に適っている。
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