2018年10月17日水曜日

とうとう国も「DX」の旗振りを始めました!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 経済産業省が「DX」の旗振りを始めたことを知っていただきます。
 日本の企業がDXを進めるために大きなハンデを背負っていることを
  認識いただきます。
 対策としてどうすべきかの一部を知っていただきます。
ねらい:
 ご関心ある方は,「DXレポート」をご研究ください。
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経済産業省が9月7日に「DXレポート」を出しました。
チャチな表紙ですね。
このレポートは経済産業省のホームページで見ることができます。

DXには、「デジタルトランスフォーメーション」という(ふり仮名)
がついていますが、
DXの何のレポートなのかは不明です。

こんな意味不明のタイトルのレポートは珍しいと思います。

出している方も、そのスタンスが「不明」なのでしょう。
勧告なのか、提言なのか、単なる報告なのか、
内容を見てもそのスタンスはあいまいです。

しかし、経済産業省の当該担当課である
情報技術利用促進課の担当課長は、
日経コンピュータ誌の取材に対してこう答えています。
(日経コンピュータ誌2018.10.11号「おんぼろ基幹系の損失12兆円
経産省が企業に異例の刷新要請」
因みに、この紹介記事はたいへん良くできています)

「企業がどんな情報システムを使おうと
国にとやかく言われる筋合いは無いとの批判は承知の上だ。
現状のままでは社会的な損失が生じると分かったので
看過できなくなった」

つまり、気持ちは「要請」ですが、
民間に対する勧告や指示の権限はないので
曖昧にして単なる「DXレポート」にしたのでしょう。

このレポートの要旨はこういうことです。
1.DXは今後の企業の発展、
  その全体としての産業の発展を大きく左右する。

2.日本企業の情報システムは、古く継ぎはぎだらけで
  DXのシステムを構築していく障害になっている。

3.システムの刷新には大きなコストがかかり、
  かつ失敗のリスクもあるので先送りされている。

4.このまま推移すると2025年には6割の企業が、
  システムの維持管理にシステムコストの9割を使わざるをえなくなり、
  DXを含む前向きの投資をほとんどできなくなる。

システム責任者は、
経営に対してシステム刷新を上申せずに先送りしてきています。

大きなシステム刷新は数年がかりですから、
自分の代に結果が出るとは限らないことに
エネルギーをかけられません。
結果として代々先送りで20年・30年経ってしまうのです。

現状や現場を大事にする国民性のせいだという面も考えられます。
米国の経営は、
割り切ってどんどん新しいものに入れ替えてきています。

DX推進の対策として、
「『DX推進システムガイドライン』の策定」と並んで、
(現行システムの)「『見える化』指標、診断スキームの構築」
が挙げられています。
これは非常に有効だと思います。

これがないために、経営者は自社のシステムの弱点に気がつかず、
システムの補強に人材・予算を振り向けずに来ました。
システム責任者は経営に対して上申せずに先送りしてきています。
その結果が、大レガシー(技術的負債)を産むこととなッたのです。

私が、システム保守方式の刷新を呼び掛けても、
ユーザ企業からもシステム子会社からも
積極的な支持を受けなかった大きな原因は、
経営者の無関心にあると断定していました。

しかしながら、
「レガシーシステムを刷新せよ」の掛け声は結構なのですが、
どうやってそれを実現するかについては、
「コストがかかりリスクもあるので共同でやったらどうか」
くらいのことしかこのレポートは言っていません。

レガシーシステムの刷新は、以下の理由から
大苦戦または失敗のオンパレード状態なのです。

1.ユーザ企業では、長期間システム刷新をしていないので
 システム刷新の経験者がいない。
 (式年遷宮をしていないので経験が継承できていない)

2.情報サービス業にも経験がある人材はほとんどいない。

3.対象システムは、
 一つ一つが異なる生い立ち・歴史を持っていて
 システム刷新は、完全な手作り作業となる。
 担当の多少の経験はあまり役に立たない。

1企業では経験の蓄積ができませんから、
社会的なレベルでどこかに、
システム刷新のノウハウを集積する必要があるのです。
しかし、そういう試みはほとんどされたことがありません。

ソフトウェアジェネレーション社とシステム企画研修社が、
そのアプローチを試行していましたが、
資金難で中断しています。

2社が目指しているシステム刷新システムができあがれば、
日本全体で何兆円ものシステム刷新コストが
浮くことになります。

なお、システム企画研修社が、最近各社にご提案している
「デジタル化システムの開発標準プロセスの作成」は、
前掲の「DX推進システムガイドライン」の一部となるものを
実現することであると考えられます。

以下、続きを検討中です。

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