2012年12月26日水曜日

津曲公二さんの「坂の上の雲」名言集は素晴らしい!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「坂の上の雲」から何を学べるかを再確認していただく。
 「坂の上の雲」の別の楽しみ方を知っていただく。
 過去の偉人の言動から今あらためて学ぶべきであることを
  確認していただく。

ねらい:
 
 「人生に役立つ 『坂の上の雲』名言集」を読んでいただく。
 現在の日本の危機を何とかする方策を考えていただく。

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だいぶ前に津曲さんから、あるご縁でいただいた
「人生に役立つ 『坂の上の雲』名言集」
(津曲公二、酒井昌昭著)をようやく読みました。





二つの意味で非常に感心しました。

一つめは、
幕末から日露戦争あたりまで日本の先達には
素晴らしい人たちがたくさんおられたということを
今更ながら再認識したこと。
歴史嫌いの私の不勉強を強く認識しました。

二つめは、
津曲さんたちの司馬遼太郎の「坂の上の雲」からの
教訓の導き方です。
ほんとうに今の日本にぴったりの教訓が満載です。

例えば、こういう感じです。

常識のウソ
以下は著者の文章です。
この部分だけでも当書を読む価値があると思いました。
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常識とは、単なる一つの見解くらいに考えた方がよい。
多くの人が知ってはいるが、
自然界の摂理や法則とはまったく違うものである。
常識を鵜呑みにするのは危ない。

「大国ロシアと戦争をしたら小国日本は勝てない」
というのが当時の常識だったが、
これを避けて通れない日本は常識を鵜呑みにしなかった。
「意思あるところに道あり」
日本は勝てないまでも負けないためのさまざまな算段をして
常識を覆した。

それから100年以上経った現在、
日本は少子高齢化で衰退するという「常識」がはびこっている。
少子高齢化自体は事実だろうが、
果たして衰退はどうか?
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「常識のウソ」の例示はこういうものです。

日露戦争で、203高地や旅順要塞を陥落させた
重砲陣地の移動を実現した児玉源太郎満州軍総参謀長の判断。
それを据え付けるには
1個のビルを作るほどの基礎工事を必要とすることを命じています。

常識は「そんな無茶なことできない」でしょう。
「それはできません」という現場の声を聞いていたら実現しません。
児玉はその声が出ることを知っていてあえて命じているのです。
できるかできないかではない、必要なのだから実現しなさい、
ということなのです。

児玉さんはこう言っているらしいです。
「(専門家は専門バカ)専門家のいうことをきいて
戦術の基礎をたてれば、とんでもないことになりがちだ」

 
原発事故の時に、「専門家」がたくさんテレビに登場しました。
原子炉の専門家に、
放射性物質の拡散や放射性物質の健康被害のことなどを
質問していました。
答えられるわけがないでしょう!

テレビのキャスタ-たちは、
専門家なら何でも知っていると思っているようでした。

暮も迫ってきましたので、
残念ながらあまり多くをご紹介できません。

以下に津曲さんたちが挙げられた教訓の言葉だけを
列記します。
私も改めてまたゆっくり読んでみようと思います。

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常識を覆すのは素人
(軍事戦略の世界では素人も玄人もない)
教科書や論文にこだわるな

主体性を持てば自分のものにできる
ハラをくくれば事は進む (ほんとうにそうです)
ちょうどよい目標を見つけて与える
さばく技術とこなす技術がある

具体的な成功イメージを描く
人がやらないところを開拓する (そうですね)
全体感が上司を動かす
画期的商品は発想の転換から
開拓者の努力が現場を支えた
明文・美文に大きな意味があった(「天気晴朗なれど浪高し」)

ひらけた国家のありがたさ
スーパーマンを使える人になる
整理と整頓を区別する
現場では臨機応変の処置もとれる人 (が大事)
小差は大差
陥りやすい錯覚
上手に見切ることは千両に値する
現場でできることから始める

目的と手段を混同しない
わかってみれば実はかんたんなことだ
経験は積み、固定概念は捨てる
内輪を巻き込むには先ず目標を共有する
白紙の状態から考える大切さ
(この塊りは「ほんとうの目的にせまる」という章で
私の年来の主張の根幹思想です)

次に起こすアクションを見える化する
徳のある人材こそが発展の必要資源
人心をまとめるには信賞必罰は重要
WHATが先,HOWは後
失敗を味方にして成功への足がかりに
自ら判断し行動できるリーダー

相手の魂胆を知って作戦に乗ることも必要
「そのとき義経すこしも騒がず」
天の運と人間の力で開く運
外国人から見ても圧倒的な人格 (乃木希典)
ポジティブな情動が混乱を救う
自分なりの原理原則をうちたてる
不要不急のものは大胆に切り捨てる
自ら使命を課して自ら行動する

思いがあれば行動に移せる
指示されたとおりに動けばよいか?
現場に行けば真実がわかる
ワンマン体制を突破するには
日ごろの訓練・鍛錬で捨て身がいきる
精神基盤の共有でルールに血が通う
自国の良き伝統を知る。
礼の気持ちは万国共通

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こういう教訓は、ほとんどが「あたりまえ」というものですが、
過去の日本を支えてくれた偉人の事例で示されると
「そうか!」と納得のいくものです。

そこから行動までは、まだ間(あいだ)があって、
それを埋めるのが「何かの力」です。
「何か」にはいろいろあります。
他人だったり、自分の厳しい経験だったりでしょう。

最後に考え始めてみました。
当然ながらまだ答えは出つくしません。

これまで2度の危機を乗り越えた日本が
なぜ、
現在の国家存亡のこの危機を認識しないのでしょうか。

1.ゆでガエル状態である
  過去の2回の危機(黒船襲来と敗戦)は
  急激な変化でした。誰しも認識できることです。
  ところが、今の危機は徐々の変化です。
  危機が直接見えません。
  実感できない人が多いのです。

2.分権が不十分である
  みな自分のことなら必死で考えるでしょう?
  失業とか病気とか。
  家族のことも、ふつうは考えます。
  近所の環境のことは?考えますね。

  ところがだんだんその範囲を広げて国のこととなると
  何とかしてくれるだろう、自分が何か言っても通らないし、
  と考えてしまいます。

  その点からすると、
  日本を一つの行政で動かそうというのは無理がありそうです。
  橋下さんたちの言われる地方分権が必要でしょう。
  道州制のさらに下への分権も重要だと思われます。

  明治維新で強かったのは、
  それまでの幕藩体制が基本的には地方分権で
  地域ごとに真剣に考える人が育っていたからだ、
  ということを今回の勉強でさとりました。

  地方は国で必要とする人材の養成機関でもあるのです。

3.教育
  戦後の教育は考えさせる教育をしていない!
  これはかなり指摘されていることです。

  戦後の一時、日本古来のものはすべて捨てさせられて
  昔話、お伽話もすたれました。
  これらは貴重なケーススタディで、
  そこから基本的な人生訓を学ばせています。

  さらにその際に「どうしてそれがダメなのか」
  も考えさせるようになっています。
  最近孫娘の相手をしていて、
  そのことが分かるようになりました。

  男の子が夢中になるゲームはどうですか?
  ゆっくり考える力を失わせているのではないでしょうか。

  日本が世界に誇る「寺小屋」式の教育では、
  読み書きそろばんだけでなく、
  考える教育もしていたのでしょうか。

  とにかく、物事を考えなければ、
  危機は感じないでしょう。
  原発は何が悪いのか、なぜ必要なのか
  物価が下がるデフレはなぜ悪いのか
  なぜ中国は怖いのか

 
さいごに
津曲さんも述べていますが、
高齢化社会はピンチではなくチャンスです。
高齢化社会のモデルを作る知恵はないのでしょうか?
それができれば世界にそのモデルを提供できます。

少しずつでも考えて行きたいものですね。

2012年12月25日火曜日

上野が日経コンピュータ誌に寄稿!「保守コスト半減の勘所」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 ソフトウェア保守業務に関心を持っていただく。
 ソフトウェア保守業務の現状を知っていただく。
 ソフトウェア保守業務は大幅に改善可能であることを知っていただく。
 ソフトウェア保守業務改善・改革の対策を概括していただく。
 上野が苦労しているのだな、ということを知っていただく。

ねらい
 
 
 日経コンピュータ誌を読んでいただく。
 ソフトウェア保守業務を改善しようかと思っていただく。
 「この対策」を実施してみようかと思っていただく。

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日経コンピュータ誌2013年1月10日号に
上野則男寄稿の
  保守コスト半減の勘所 
   目的・ねらいの明確化が必須 
   ツール活用で作業を自動化
が掲載されます。

私の所属する会社のグループは、
ソフトウェア保守業務の経営戦略的な重要性を
事あるごとに訴えてきました。

その主張を一言で言えば、
「ソフトウェア保守業務の経営貢献を高めましょう!!」
です。

今や新規開発は一部の業種を除いて、行われません。
開発の一部であるシステム再構築も、
その難易度・コスト制約の点から、行われることは稀です。

ところがビジネスは生きていて変化・成長しますから、
システムに対する要求もずい分あるはずです。
それを受けるのは、
ソフトウェア保守でなければならないのです。

ところが、現在の保守の体制あるいは資産が、
その要求に応えられるようになっていません。

そこを改善すべきなのです。

改善はこうすればよい!!と訴え続けてきました。
しかし、
まだまだ本格的に改善に取り組もうという企業は少数派です。

今回の日経コンピュータ誌の寄稿は、そのさわりです。

この寄稿の主な内容をご紹介します。

1.ソフトウェア保守業務の現状

・ソフトウェア保守業務は、
 全国平均で開発業務の3~4倍、
 金額にして年間合計7兆円の大きさです。

・それにも拘らず、
 これまでほとんど実施方法の改善が行われずに、
 昔ながらの人海戦術で業務が実施されています。

・その結果、ほんのわずかの改修に大きな時間と費用がかかり、
 改修作業の不備でたびたび障害を起こしています。

・そのため、改善者に取っては「宝の山」状態です。

2、改善した場合の期待効果

・そこで、以下の対策を講じると、
 3年で現在の業務は半減、5年で3分の1にできます。

・その浮いた工数で、 現在は先送りになっている
 ビジネスを支援する機能拡張・改良等を実施することができます。

2.1短期的効果(3年以内に実現)
 ・目的・ねらいの明確化 15%
 ・障害削減対策の実施  10%
 ・作業の自動化      20%
 ・保守インフラの整備   10%

2.2中長期的効果(3年以上で実現)
 ・保守インフラの整備   10%
 ・システム部門の保守機能強化 (測定不能)


3.対策の内容 

(1)まず第1は、「目的・ねらいの明確化」です。

・これは当社のオハコテーマです。

・保守の依頼者はあまり深く考えずに
 「こういうことができたらいいかな」という程度で
 依頼している案件もかなりあるのです。

・JUASの調査でも、
 「ユーザビリティ変化」
 「担当者要望」
 「業務方法変化」
 という理由の案件が全体の半分近くを占めています。

・これらの案件は、「どういうことなのですか」と探求することによって
 当初の要望が変更になる可能性があります。

・それでも、多くの企業では、
 一つ一つの案件はたいして大きくないこともあり、
 担当者の要望がそのまま通ってしまいます。

・そこで、すべて案件について
 「これは何のために変更するのですか?」と探求すると
 費用対効果の観点から別の方法で対応した方がよいと分かったり、
 内容を変更するということになったりします。

・これを徹底しましょう、という対策が1番めです。
 あるシステム部長は、このことによって2割のコストカットが可能だ、
 と言っておられます。

(2)障害削減対策の徹底実施
・障害対策はほぼ完全に実施済み(それでも障害は発生する)という企業と
 まだまだ対策強化の余地が大きい企業と、ばらつきがあります。

・JUASの調査では、保守工数の25%が障害対応であるとなっています。

・障害が半分になれば、保守工数の10%以上が浮く計算になります。

・障害が起きなくなるようにする対策は、非常に多くあります。
 この一つずつを地道に実施していかないと障害の撲滅はできません。

・寄稿文では、各保守プロセスでの障害対策の優先度等を示しています。

・これらの対策と並んで有効な基本対策として、障害発生状況の見える化
 (どのグループのどのような障害が多いのか)を勧めています。

・これを行うと、各組織が自律的に障害削減対策を実施し、
 「目に見える効果」が各社で実現しています。

(3)ツール活用による作業の自動化
・現状の保守業務では、ツールの利用率は極めて低い状況で、
 竹やりでゲリラと戦っているようなものです。

・保守プロセスで大きな工数がかかっているのは、
 影響範囲調査(この変更・修正はどこに影響するかを見極めること)と
 テスト(間違いなく変更・修正が行われていて
 余計なことをしていないことの確認)です。

・そこでこのプロセスにツールを導入して、作業の自動化を行います。
 有効なツールが存在することをご紹介しています。

・特に、影響調査ツールは、影響調査が省力化されるだけでなく、
 影響調査の精度が高くなりますので、
 後のプロセスすべてに好影響を与え、
 保守の全体工数が半分になったという事例も報告されています。

(4)保守インフラの整備
・保守業務のインフラとは、以下のものを指します。
  a.保守に必要なドキュメント(資料)の整備
  b.そのデータベース化(リポジトリ化)
  c.データマネジメントの整備

・多くの保守業務担当者は、 プログラムソース以外は
 何も頼りになるものがない状態で業務をしています。
 「必要な情報はすべて頭の中にある」という状況です。

・このため、仕事の習熟に時間を要し、
 「業務が属人化している」と言われています。

・こうなっている原因はいろいろありますが、
 あらためて、保守に必要なドキュメントを決定して
 (開発用のドキュメントとはかなり異なるのです)
 それを整備するのです。

・この作業は結構大変ですので、
 一念発起しないと取り組めません。

・必要ドキュメントが整備できたとしても、 
 便利に使えるのでなければ、
 じきに使い物にならなくなってしまいます。
  

・便利に使える仕掛けがリポジトリ化です。
 寄稿文ではそのポイントを示しています。

・次いで、データマネジメントの整備です。

・情報システムはデータの処理ですから、
 基本となるデータの定義や取扱いが標準化されていなければ、
 その基盤が揺らぎ、まともな処理ができるわけがありません。

・この整備も時間と労力がかかり、日本企業は遅れています。
 寄稿文では、整備すべきという問題提起に留めています。

(5)システム部門の保守機能強化
・現在のシステム部門およびその代理人である情報子会社は、
 経営に対してまともに責任を果たしているとはいえないのではないか、
 ではどうすればよいのか、という非常に重大な問題提起をしています。

・中途半端な記述は誤解を生みますので、
 ここではこれ以上述べません。
 日経コンピュータ誌をご参照ください。

・それでも言葉足らずですので、
 このブログで改めて解説させていただきます。

以上、かなり長くなりましたが、
半年以上の醸成期間のかかった寄稿の概要紹介を
させていただきました。

大事なことは冒頭の
「ソフトウェア保守業務の経営貢献を高めましょう!!」
です。

皆様と一緒にその実現を目指して
さらなる努力を続けたいと思っています。

2012年12月24日月曜日

有馬記念はどうでしたか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 たまには違う話題で気分転換していただく??
 上野の雑談を聞いていただく。

ねらい:
 あまり役に立たないですね。

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このブログを読んでいただいている方がたの中にも
競馬ファンはおられるのではないでしょうか。

私は年数は長いのですが、
ほとんど毎週少額で仮説検証を楽しんでいるレベルです。

今回のレースは面白い展開でしたね。
いろいろ勉強になります。

優勝のゴールドシップは、前半最後尾くらいに控えていて、
中盤から少しずつ前へ出て
終盤は一気に出てゴールした時には
2着を1馬身以上離していました。

他の馬も必死で走っている時に
追い上げて抜き去るということは何たる強さかと驚嘆しました。

人間の走るレースではこんな激しいことはありません。
マラソンで最後尾から抜けることは見たことがないでしょう?
「バリキがある」と言うくらいですから馬は違うのでしょうね。

こんなに強い馬ならいつも勝つかというとそうでもありません。
素質や筋力等で勝負が決まるのなら、
勝つ馬は自明ということで「ケイバ」は面白くありません。

その日のコンディションで結果が違ってきます。
だから、調教師や騎手との相性・チームワークが
重要なのですね。

人間への教訓としては、
「「やる気」によって結果は大きく違ってくる」
ということかと思いました。

箱根駅伝で「山の神」と言われた東洋大学の柏原でも、
3年の時にスランプで成績不振だったそうです。

スランプを抜け出したのは、
東日本大震災で故郷が悲惨な目に遭ったのを見て、
「自分も頑張らなければ!」
「自分がたいへんなのは1時間強だけではないか」
と思ったからなのだそうです。

見事4年の時には自分としての過去最高を記録して
東洋大学の総合優勝奪還に貢献しました。

2着のオーシャンブルーは、
サンケイスポーツ紙の人気指数は0、スピード指数は最悪の次、
予想者のマークはほとんど付いていませんでした。

人気とか予想とかは当てにならないものです。
当てになったら競馬で損をする人はいなくなるのですものね。

人間社会への教訓としては、
「他人の評価は当てにするな、自分で確認しろ」
ということでしょうか。

3着が、これまた物語がありました。
走る実力はかなりあるルーラーシップですが、
スタートで立ち上がってしまい5馬身ほど、
出遅れてしまいました。

知りませんでしたが、スタートのミスは4戦連続なのですって。
そのため、予想者は誰も◎や〇を付けていませんでした。
この点は予想者も読んでいましたね。

それでも最後尾から追い上げて
あわや1着か、というところまで行ったのですから
凄いものです。

教訓は、
「癖がある者でも、それを克服する個性・能力があれば、
人生やっていける」
ということでしょうかね。

そんなことを考えさせられる素晴らしい
本年掉尾のレースでした。

因みに私の成績は、3着までの3頭すべてが当りましたが
ワイドでしたので、36%プラスになっただけでした。

それでも、来年に期待が繋がる成果でした。
来年は良い年にしたいですね。


万引きの1対8対1ってお分かりですか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 万引きについてあらためて考えていただく。
 万引きの歴史について考えていただく。
 万引きが欧米の過去において極刑だったことを知っていただく。
 万引きが無くなりそうにないことを考えていただく。

ねらい:
 何かを考えていただく(不明です)。

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レイチェル・シュタイアという米国の大学の先生が書かれた
「万引きの文化史」という本を読んでみました。


 

万引きの語源は、
万から一つを抜くという説と間引くからなまったという説
とがあるらしいですが、詳細は不明のようです。

万引きを研究しているのは、
被害者である小売業者くらいのものだと思っていましたら、
研究している人がいるのですね。

話が多岐に亘っていますので、
システム企画研修社が提唱している
企画書の項目5W2Hを少し変形してご紹介してみます。

1.Why なぜ万引きをするのか

 万引きの動機・目的は単純ではないようです。

  単なる遊び(若年層)
  仲間からの圧力(若年層)
  経済的理由
 
  不満や鬱屈した気分のはけ口
 
  スリルを求める冒険的行為
  病気

 
 「大金持ちの女は不安感や憂鬱な気分に襲われそうになると、
 とにかく買い物しまくり、ときには一つか二つ万引きをする。
 
 

 それほど金のない女は窃盗症になり、
 自分に足りないと思うものを盗むことで、
 不安感や欠乏症を解消しようとする。

 そして貧しい女は、
 単に家族に必要な物―食品や衣類などの必需品ー
 を万引きする。
 

 貧困の猛威をいくらかでも和らげようと、
 ときに余分な物も万引きする」(1990年ルイーズ・カプラン)

2.Where どこで万引きは行われるのか。
 (以下は主としてあとがきでの情報)
 小売業
  日本の場合、
   破損等を含むロス率は売上高の1.04%
   (他国と比較すると率はそれほど高くないが、
   損失総額は世界2位)
   

   その内、万引きは構成比1位で
   被害額は4500億円以上。
   
   小売業の利益は数%なので万引き防止は大課題。

 書店
  日本の場合、
   ロス率は1.91%、損失額は262億円
   その内、74%(194億円)が万引き被害

3.WhatとHow 万引き防止するための課題と対策

この項は、本来は万引きを成功させるための課題と対策
でなければならないのですが、
反社会的な表現となりますので、裏返しの防止対策としました。
 

万引きを摘発する監視員であるLPエージェント向けの
ガイドがこうなっている。
(1992年にどこかで発表されたもののようです)

 
 1)容疑者が商品に近づくのを確認する
   当りをつけているか挙動不審者をマークしていて。
 2)容疑者が商品を取ったことを確認する。
 3)容疑者が商品をどこに隠したか確認する。
 4)容疑者から目を離さずに監視を続け、
   商品をどこかに戻していないか確認する。
 5)容疑者がその商品の代金を支払わなかったことを確認する。
 6)質問をするために声をかけるのは容疑者が店を出てからにする。

5)までで、万引きであることは確定ですが、
ヴァージニア州では3)段階で相手に接触してよい、
ということになっている、 

シアーズやメーシーズでは5段階まで確認する、
ウォルマートでは4)までで追求するようになっている、
のだそうです。

安売りスーパーではそんなに手間をかけていられませんものね。

万引き防止対策は以下のとおりです。
 極刑による抑止
 犯人に対する損害賠償請求による抑止または損害補てん
 
 警備員の配置
 陳列方法変更(高級品のガラスショーケース収納など)
 
 防犯タグ(精算していないと出口で警報音が鳴るタグ)
  (これが絶対的対策と思われたが、そのタグを切ったり、
  ラジオ波とセンサータグを遮断する素材を裏打ちした
  ブースターバッグの使用などで破られる)
 ビデオ監視カメラ
 
 高性能なCCTVカメラ
 インクタグ(タグをはがそうとするとインクが飛び出す)
 サブリミナルメッセージ(潜在意識に思いとどまることを訴える)
 アグレッシブホスピタリティ(積極的にお客様に声かけする)
 
 

これらの対策にはかなりの費用がかかりますが、
万引き被害よりも小さいということでしょう。

 
 
 
 
 
  
そういえば、保険はないのです。
損害が証明できにくいでしょうからね。   

4.When 万引きの歴史
 窃盗の元祖はイブ

 窃盗は人類の生誕から付いて回っています。
 動物は種族の維持(生存)のためにしか物を盗まないそうです。
 初めは人類もそうだったのでしょう。
 その後、複雑な目的で窃盗が行われるようになりました。
 

 16世紀後半、ロンドンでは多くの商店が誕生した。
 その時、流浪の窃盗団も誕生した。

 その後、一般の大衆も万引きに参加するようになり、
 後掲の6.で述べるような極刑が課されても
 なくなることはなかった。

 
 19世紀パリをはじめ百貨店が次々と登場し
 女性の疾患としての窃盗症が増加した。
 スカートを大きくふくらませたペチコートや
 普通のドレスの上に付けるキックと呼ばれる
 短いオーバースカートに細工を施し
 大きなポケット代わりとした。
 

 その後は、大規模店舗の増大とともに
 万引きも増大した。
 
 

5.Who 誰が万引きをするのか
 
 

 冒頭の「1対8対1」ですが、
 あるLPエージェントの説として紹介されていました。
  1割 絶対に万引きをしない人
  8割 チャンスがあれば万引きする人
  1割 必ず万引きする人

 つまり、誰でも万引きをする誘惑にかられるということです。

 全米万引き防止協会の発表によると、
 万引き犯罪の検挙者数は2700万人にのぼり、
 総人口の9%を占める。

 2001年の4万人の米国人を対象にした調査では、
 万引き経験のある人は11%で、
 10%の人々が生涯万引きをやめられないと答えた。

 上掲の目的からして、いろいろな人が万引きに手を染めます。

 女性 
  伝統的に万引き犯は女性の方が多いとされています。
  美しく飾りたいという欲求からも、
  子供に「パン」を与えたいという欲求からもそうなるでしょうね。
 
  
  

  デパートやディスカウントショップで
  化粧品、衣料品、宝飾品、香水を盗む。
  

  2001年米国30歳の大人気女優ウィノナ・ライダーは
  百貨店でデザイナーブランドの衣類5500ドルを万引きした。
 
  

 男性
  ホームセンター、工具店で。
  電子機器、テレビ、電動工具を盗む。

  かのルソーも窃盗を行ったことを
  自著「告白」で述べている。

  「こうして私は、何かを欲すると、
  ごまかし、嘘をつき、しまいには盗むことを学んだのだが、
  それも初めて盗むまでは考えてもみなかったことである。
  しかしその後は、
  一度身についた盗癖から脱することはできなかった」

 
  
  
  それが高じて来ると、万引き依存症になる。

6.How much 万引きの費用

費用(負担、処罰)
 今でもアラブ社会の一部では
     窃盗犯は手首切断刑が行われる。

 中世以降の英国では
   親指にVの字の焼印が入れられた。

 
 1699年に制定された英国法律で
  窃盗犯は絞首刑に処せられることになり
  多くの処刑が行われた。
  
  

  1771年、夫を海軍に徴収されて貧窮した女性が
  赤ん坊に着せるリネンを盗んで絞首刑に処された。
  (とんでもなく可哀そうなことですね!!)

  それでも窃盗は減らなかった。
  

  1821年は絞首刑に処された万引き犯が16人いた。
  この法律は1832年ようやく廃止された。

 
 植民地時代の米国では奴隷による万引きは
  盗品の価値にかかわらず厳しく罰せられた。
  
 

  北部で18歳の混血奴隷が
  女主人に衣服を与えてもらえなかったために
  身にまとうささやかな衣料品とハンカチなどを盗んだとき、
  女主人の被害額に見合う金額で売り払われた。
  

  その罪で他の州では即座に絞首刑だった。

 フランスでは、フランス革命の前には、
  食品を盗んで死刑に処せられた者は
  全犯罪者の5%だったが、 
  1790年代には15%になっていた。

 現代以前には、
 窃盗を防止することが社会秩序の維持にとって
 それだけ重要だったということです。

効果(稼ぎ)
万引きで生計を立てるプロもいたようですが、
それは例外で、
多くは、1.項の「万引きの目的」が達成できる
ということでしょう。

2012年12月23日日曜日

阿川佐和子さんの「聞く力」はどのくらいあるの?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 阿川佐和子さんの「聞く力」に興味・関心を持っていただく。
 当社の研修のことも少し知っていただく。

 
ねらい
 
 阿川佐和子さんの「聞く力」を読んでいただく。
 当社の研修に少しでも関心を持っていただく。

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阿川佐和子さんの「聞く力」を読んでみました。
私はお恥ずかしながら阿川弘之さんは知っていましたが、
阿川佐和子さんのことは全く知りませんでした。

なぜこの本を買ったかというと、
この本がたいへんなベストセラーになっているらしいと知って、
当社のヒアリングの研修の参考になるかもしれない
と思ったからです。

読んでみて、とにかく楽しい本でした。

「私はそんな本を書くなんてとてもできない」
と編集者に断った「謙遜さ」から始まって、
次から次と出てくる話が、豊富な経験に基づいていて、
軽妙洒脱な語り口でとても面白いのです。

阿川さんの「聞く力」はたいへんなものです。

「ためになる」なんてことは忘れてしまいます。
提供される題材に笑ったり泣いたりすることができます。
作家としても素晴らしい方です。

阿川さんは間もなく60歳ですが、
文章を読んでいるととても若くて魅力的です。
まだ結婚願望もあるようです。

是非楽しい読み物としての一読をお勧めします。

本書の構成はこうなっています。
章立て
 Ⅰ聞き上手とは    11項目
 Ⅱ聞く醍醐味       9項目
 Ⅲ話しやすい聞き方 15項目

たくさんのエピソードの中から一つ選んでみました。
「知ったかぶりをしない」の中の一節です。

これが一番感激的というわけではありません。
一番短く完結しているからです。

12月28日追記
本日、松井選手が引退表明をしました。
ここで12月23日に
松井選手の例を取りあげたのは単なる偶然です。

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巨人軍の若手だった頃の松井秀喜選手へのインタビューも
同じ不安を抱えたまま、立ち向かいました。
野球、よくわからないんだけどなあ。
でもそんなに怖そうな人じゃないし、私よりずっと若いし、なんとかなるかな。

例によって、細かい試合の経緯や技術的な話はそこそこに、
松井選手の子供時代や高校球児時代の話を順を追って伺っていきました。
そのとき、何かの拍子につき合っていた女の子の話になりました。

「どんな出会いだったんですか」
「彼女の幼ななじみが、星陵のライバルだった金沢高校のエースで……」
「それはバッターで?」

そこらへんで、あたりの空気がどうも怪しくなっていることに気づきました。
私側のインタビューチームが、なにやらオタオタし始めた。

あれ? なんかおかしなこと、私、聞いた? 
異変に気付いた私が、あたりをキョロキョロすると、
松井選手が「……ピッチャーです、エースって(笑)」
「あ、いや、ハハハハ。そうか、エースってピッチャーのことだけを言うのか」

私はてっきり、「エース」と言えば、
そのチームのスター選手のことを総じて呼ぶのだとばかり思っていたのです。
「優秀なバッターは、エースって呼ばれないの?」

その瞬間、
それまでなんとかごまかしながら続けていた数々の野球に関する質問が、
どれも浅知恵だったことがバレてしまいました。

でも、松井選手は、それは優しい心の持ち主らしく、
そんなインタビュアーに腹を立てることもなく、
苦笑いをしながらじっと耐えてくださったのです。

今でも、大リーグで活躍する松井選手の姿を見るたびに、
「エース」という言葉が頭に蘇り、胸がチクチク痛みます。

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阿川さんはかなりのスポーツレディなのですが、
観戦は嫌いで野球のこともほとんど知らなかったのです。

松井秀喜選手以外に登場する主な有名人は
以下のとおりで、いずれもたいへん興味深いものです。

(順不同、敬称略)
北野武、橋下龍太郎夫人、井上ひさし、
野村克也監督夫妻、若乃花・貴乃花兄弟・花田憲子、
室伏広治、鶴瓶、柳谷小さん
デーモン閣下、西村雅彦、渡部篤郎、


阿川さんのインタビュは、
もちろんそれぞれのインタビュでの当初目的はありますが、
結果的に有意義な(読者・視聴者が喜ぶ)結果が
得られればよいのです。

ところが、私たちの仕事でのインタビュは、
必ず当初目的を達成しなければなりません。

その意味でインタビュの目的が少し異なりますが、
阿川さんの言われる35項目を多少読みかえれば
私たちの仕事のインタビュへのガイドとなります。

特に有効そうな10項目を選んでみました。

 面白そうに聞く
 「あれ?」と思ったことを聞く
 素朴な質問を大切に
 観察を生かす
 相づちの極意
 上っ面な受け答えをしない
 知ったかぶりをしない
 聞きにくい話を突っ込むには
 先入観にとらわれない
 最後まで諦めない

この10項目は、当社の研修の
「ヒアリングの達人を目指す価値目標訓練」の
「ヒアリングの達人10か条」の補足版として使う予定です。

ヒアリングの達人がインタビュする時も、
知らない業務だったら事前に勉強します。
間違えてもベーシックな単語は「それは何ですか」
と聞いてはなりません。その覚悟で勉強します。

それでも知らない言葉が出てきたら
「知ったかぶりをしない」で素直に聞きましょう、
というようにガイドしています。

なお、この研修を含む「達人シリーズ」全体については、
別項「達人シリーズ」の研修が開発されました!!」
  http://uenorio.blogspot.jp/2012/12/blog-post_1.html
をご参照ください。
 

2012年12月22日土曜日

ビッグデータ分析で何ができる?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 以下を再認識していただく。
  ビッグデータ分析でも「目的・ねらい」の明確化が重要である、
  やみくもにコンピュータを回しても何かいいことが見つかるわけではない
  
ねらい
 日常生活でさらに「目的・ねらい」を意識するようになっていただく。

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12月22日の朝日新聞に以下の記事が
1面に載っていました。
1面ということは「どうだ!」ということなのでしょう。

日本未来の党が結成を発表した11月27日から
12月15日の投票日前日までの19日間、
衆院選にからんだツイッタ―のつぶやき460万件
を分析しました。

その結果、自民党に関するものが151万件
民主党に関するものが100万件だった。

自民党の場合、前向きな内容(「支持する」「期待する」など)が
後ろ向きの内容(「駄目だ」「嫌だ」など)
よりも多い日が19日中2日だった。

民主党の場合、それは1日だけだった。

日によってこの動きが変化がある(そのグラフが示されていた)。

まだまだこれから解析するのでしょうが、
この範囲だと「だからどうなんだ」です。
自民優勢は世論調査でも出ていました。

ツイッタ―の声の分析はリアルタイムでできることが有利ですが、
対象が偏っています。
日本国民の縮図とはなりにくいのです。

性別・年齢・地域などの属性が分かっていれば、
リアルタイムで層別した分析は
選挙戦の予想に使えるかもしれませんが、
層別分析はできませんしね。

ビッグデータの分析は仮説がなければ、
自動的に分析結果が出てくるわけではありません。

この場合だと、
前向きのコメントは何についてそう言っているのか、
後ろ向きのコメントは何についてそう言っているのか、
を解析することが第一歩でしょう。

おそらくそれは登場する単語の集計でできるでしょう。
しかし、お分かりのように
同じことについて賛否両論あるはずですから、
それがマクロ的に分かっただけでは
具体的な戦略・戦術に結び付きません。
発言者の層別ができなければなおさらです。

ということで、
この分析では有効な仮説の立てようないようです。
仮説がなければ検証もできません。

朝日新聞は1面で気負って載せてみましたけれど、
「だからどうなの?」で終りのようです。

ビッグデータの分析では、「目的・ねらい」が重要です。
「お客様の属性と結び付けて
いつ何と何が組み合わせで買われているかを見つけだして(目的)、
それに対応した品揃え・陳列・価格設定をしよう(ねらい)」とか、

家族構成と消費支出の傾向を分析して(目的)、
有効な販促策を見つけよう(ねらい)、とかです。

朝日新聞の分析では、
「ねらい」がはっきりしていないのです。
ねらいを考えたら、この分析をしてもダメだと
分かったのではないでしょうか。

疑似科学の批判者が自らそのミスを犯しているぞ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 科学と疑似科学の定義を知っていただく。
 何が疑似科学であると思われているかを確認いただく。
 血液型性格学が疑似科学であると思うことは誤りである 
  根拠を知っていただく。

ねらい:
 今後、科学と疑似科学の区分に留意していただく。
 (一般の社会生活ではあまり有効な区分と思えませんが)

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菊池聡さんという信州大学教授(専門は認知心理学)が、
書かれた「なぜ疑似科学を信じるのか」を読んでみました。


 
 
疑似科学の例として、血液型性格論が挙げられていたからです。
どんな論点で否定するのだろうと興味があったのです。

菊池さんは学者らしく、疑似科学の定義をしています。

疑似科学の前に科学の条件はこういうものである。
1)第1の特徴は「対象」である。
 科学では自然や人間の行動といった
 客観的に観察可能なものを扱う。

2)第2の特徴は「方法」である。
 理論だけでなく、
 実験や観測といった実証的方法を重視する。

3)第3の特徴は「知の姿勢」である。
 実験や観察データを公平に解釈して、
 主観や価値観を排して客観的な事実や法則を追求しようとする。

疑似科学も、同じような外観を備えている。
しかし違うのは「方法」と「知の姿勢」の内実である。

それは「反証可能性」である。
科学ではある仮説を証明する場合、
「確証(検証)」と「反証」とが行われる。

「確証(検証)」とは、その仮説に適合する証拠によって
仮説の正しさを確認すること、たとえば、
「万有引力の法則は、リンゴの落下で確証された」
というもの。

「反証」は、誤りを証拠で示すことで、
「天動説は惑星の観測データによって半焼された」
というもの。

反証不能なものは科学ではない。
たとえば、
「明日は晴れるか曇るか雨か雪か、いずれかが起きる」
これは常に正しいが反証ができない。

科学は、
証拠によって間違いが証明できる見込みがなければならない。

疑似科学では
統計的に正しいと主張することが、サンプリングの方法の説明がなく、
したがって反証ができない。

都合のよいデータのみを示して自説の正しさを主張している。

というのです。

典型的な疑似科学の例として、
「血液型性格学」が挙げられています。

血液型性格学では、血液型と思考特性の関係があることを
示しているが、実験方法に客観性がなく、
別の学者が同じような実験をすると、
その両者には関係が認められないというのです。

この点はたしかにその誹りは免れない気がします。

しかし、職業と血液型の関係については、
血液型と性格との関係論の元祖である能見正比古氏は
きちんと客観性を示しています。

たとえば、歴代の横綱・大関と血液型の関係です。

皆様は横綱・大関は、何型の血液型が多いと思いますか?
A型なのです。
この関係は統計検定をしてはっきり有意である、となっています。
なぜかは分からないけれど、何らかの因果関係がある、
ということです。
そこから先の因果関係については推定となります。

菊池氏は、この点に関してこう述べています。

 政治家やスポーツ選手などと血液型の関係については、
 衆議院議員では、とか参議院議員ではとか、
 自民党議員では、社会党議員ではとか、
 自分に都合のよい部分を切り出して証明に使っている。

これは、菊池氏の勉強不足です。
サンプリング方法に恣意性があるという前提(先入観)で
能見説を十把一からげにして切り捨てています。

横綱・大関の場合は、サンプリングではなく、
戦後からその時までの全横綱・大関が対象なのです。
それを確認もしないで、結論を導いているのは
明らかに科学的ではありません。

因みに、横綱・大関以外の場合の職業と血液型の関係でも、
客観性のある場合が多数あるようです。

菊池氏の「科学的」の定義からすれば、
「いい加減なサンプリングの方法だから科学ではない」
という主張は、すぐに反論可能で誤りであることが判明します。

したがって、血液型性格学は疑似科学であるという菊池説は
誤っています。
ですが菊池説は疑似科学ではありません。、

菊池氏が疑似科学の例として
血液型性格学をとりあげたのは失敗です。
墓穴を掘っています。

菊池氏が挙げている疑似科学の他の例は、
宏観異常現象(異常の観察から来る地震予知)、
チャネリング、UFO、輪廻転生、などです。

占星術は疑似科学にもならないようです。
「超常現象一般を科学ではない」と言っていないのは
評価できます。
私はその存在を信じています。

しかしよく考えてみると、疑似科学であるかどうかよりも、
その説が正しいかどうかの方が実用的には重要ですね。

大事なところでミスもありましたが、
この本には、よいところがあります。
それは、書の構成が明確で、
どこに何が書いてあるかがすぐに分かることです。

書評を書く立場としてはたいへん助かります。
今後はますます人文科学者の本は読まないことにします。