2011年10月31日月曜日

トップの強い意志と現場力

別稿の「「日本企業の針路」 野中先生の暗黙知は?」では、
これからの日本企業に求められるものは
現場力だけでなく、
トップの強いリーダシップも必要であることを述べましたが
その例をご紹介します。

「保守コストの半減を目指す
ソフトウェア保守業務のプロセス改善」と題した研修が
JUAS(日本情報システム・ユーザ協会)主催で
行われました。

総論を上野則男が担当し、
事例をヤマハモーターソリューション㈱殿と
㈱野村総合研究所殿にお願いしました。

前者は、
ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ、
イギリス政府が策定した、
コンピュータシステムの運用・管理業務に関する
体系的なガイドライン)/ISO20000を活用して
ソフトウェア保守業務を活性化しているという事例、

後者は、
2005年から「エンハンス業務革新推進室」を設置し、
ソフトウェア保守業務の改善・改革に取り組んでこられ
大きな成果を上げられた事例です。

どちらもご担当の方の大変なご努力で実現している成果
であることは間違いないのですが、
その裏には、両社とも社長の強い意志があるのです。

前者の渡辺卓也社長は、
生え抜きのシステムやさんですが、
情報子会社として同社が果たすべきミッションは何か、
そのためには何をしなければならないかを
常時考えておられ、
各種の仕組み整備を精力的に進めておられます。

ITILによる体制整備もその一環です。
言うなれば
渡辺社長の意志で進めておられることなのです。

後者の場合、
「エンハンス業務革新推進室」
を作る判断をされたのは、当時の藤沼彰久社長でした。
藤沼氏(現会長)は、野村総研初のプロパ社長です。
現場をよくご存じで、
業務ウェートの高い保守業務を
何とかしなければならない判断されたのです。

研修当日、受講者から
「自分たちも改善や整備を一所懸命やっているが、
なかなか現場が動いてくれない。
どうすればよいのだろうか」
という質問が出されていました。

両社の講演者は、自分たちが努力・工夫している方法を
説明されていました。

私は、
「現場を動かすために必要なのは
トップのリーダシップです。
信頼できるトップが本気でやるつもりだ、
ということについては現場も従います。
トップがその気でないことはうまくいきません」
と申しあげました。

改革は、
トップ、スタフ、ラインがその気にならなければ
成功しないのです。
現場は変わりたくない、変えたくないが本心ですからね。

日本企業の針路  野中先生の暗黙知は?

野中郁次郎先生と遠藤功教授の書かれた
「日本企業にいま大切なこと」を読みました。

その目次をご紹介しますが、
どの項目も「なるほど、そのとおりだ」というものが多く、
たいへん示唆に富んだ「教科書」です。
 
序章 日本の経営者は「実践知のリーダーである」

第1部       成功している世界企業は「アメリカ型」ではない
第1章       リーマン・ショックと大震災で何が変わったか
     日本企業にはコモングッドの精神がもともと宿っている
     いまこそ「エコノミックアニマル」に立ち戻れ

第2章       横文字思考の“毒”
     コンプライアンスや数字から知恵や勇気は生まれない
     情緒的な国でどこが悪い

第3章 傷ついた日本の「暗黙知」と「現場力」
・ イノベーションは平凡な日常からしか生まれない
  ・ 愚直なまでに「質」を追及する現場を取り戻せ

第2部 海外に売り込める日本の「強み」

   第4章    ムダが多いはずの「総合力」が生きる時代
     「ぶら下がり」社員を海外に送り込め
     「ガラパゴス」こそ日本の「際立ち」の象徴

第5章       世界に注目される共同体経営
     日本企業の価値観にいまになって欧米が近づいてきた
     モノや技術だけではなく「価値観」を売れ

 第6章 優秀な個を結集する「チーム力」
     モノづくりに“身体性”を取り戻せ
     「日本的なもの」を素直に誇れる20代を活用せよ

第3部       スティーブ・ジョブズに学ぶ「日本型」リーダシップ
第7章 意思決定のスピードをいかに上げるか
     社員をその気にさせる「大ボラ」を吹け
     「職場」という単位に回帰せよ

第8章       優秀なミドルをどう育てるか
     リーダは自分の夢や失敗談を語れ
     現場が元気な会社は「ノリ」がいい

第9章       賢慮型リーダの条件
     「ディシジョン」ではなく「ジャッジメント」
     危機に直面したときの行動で企業の品格は決まる

終章 リーダーはつねに現場とともにあれ
  ・ 「中央」と「現場」の鮮烈なコントラスト
     「平時の現場力」の重要性
     「中央」のエゴを押しつけるな
     いまこそ企業は「社会的責任」を果たすべき
     日本にカリスマ的リーダーは要らない

この中で、特に賛成なのは、
第2章       横文字思考の“毒”
     コンプライアンスや数字から知恵や勇気は生まれない
     情緒的な国でどこが悪い
第9章 賢慮型リーダの条件
     「ディシジョン」ではなく「ジャッジメント」
     危機に直面したときの行動で企業の品格は決まる
あたりです。

ここは日本なのだから
「カタカナ語ではなく日本語を使おう」という考えは、
1984年にシステム分析方法論MINDSAをリリースしたとき
からの私の主張です。
残念ながら、「システム」は「脱カタカナ語」ができない
数少ないものの一つでした。

日本は現場重視で現場が強い、
現場の暗黙知は大きな価値がある、
という野中先生の主張には大賛成です。

ですが、現場力だけで日本は勝っていける、
「カリスマ的リーダは要らない」という主張には賛成しかねます。

近代日本が大きな力を発揮した2回は、
ご承知のように明治維新と敗戦後です。

このときはカリスマ的な強いリーダはいませんでした。
それでも多くの国民あるいは国民一人一人の努力で
偉業を成し遂げられたのは、
国の目標がはっきりしていたからです。
いずれもお手本になる欧米が目標でした。
明確な目標が示されれば「現場」は強いのです。

これからはどうでしょうか。
未知の世界へ足を踏み出していくのです。
少子高齢化社会の先頭を切るトップランナです。
先を指し示すリーダが必要です。

たまたま2011年10月の日経新聞の
「私の履歴書」は東レの社長をされた前田勝之助氏です。
氏は、若い時からユニークな発想をする方で、
炭素繊維など
数々の特許を取られるくらいの技術者でありながら
経営も立派にやられたことが
この「履歴書」で分かります。

この方はカリスマ的なリーダです。
労働組合からCEOへの復帰を要請されたくらいですから。

なお、10月31日の「私の履歴書」最終号の見出しには、
「決断ではなく判断 私の信条」という副題がついていました。
前掲の野中先生の「「ディシジョン」ではなく「ジャッジメント」
に符合するものです。
どちらが元祖か分かりませんが、この説には私も全く同感です。


ビルゲイツ、スティーブ・ジョブズ、グーグルのラリー・ペイジ、
Facebookのマーク・ザッカーバーグのような
知的なカリスマ性あるリーダなしで、
企業はこれからのビジネス界で
リーダシップを取っていくことができるのでしょうか。

日本のビジネス界の創業リーダは
楽天の三木谷浩史社長、ワタミの渡邊美樹会長、
ユニクロの柳井正社長ですが、
皆様強烈な個性のカリスマ経営者です。

軽自動車業界で気を吐いている
スズキの鈴木修社長だってカリスマです。

現場力だけでは、
世界の下請け工場に甘んじることになるでしょう。

当書の最後の一言「日本にカリスマ的リーダーは要らない」は
現場を重視するあまりの勇み足ですね。

2011年10月24日月曜日

指導・しつけの原理 養護施設の教育原理から学ぶ

致知11月号で、
105歳で養護施設「しいのみ学園」の現役理事長
をしておられる曻地三郎さんが書いておられる
「しいのみ学園で生まれた10大教育原理」
をご紹介します。

曻地三郎さんは、105歳で仕事の前線に活躍されて
おられることも脅威ですが、
もっともっとすごい面をお持ちです。

お若い頃に、相次いでお子様2人が脳障害を起こされる
逆境に遭われています。
その時、このことを前向きの試練と捉えられて
養護施設の運営にまで到達されたのです。
本当に頭の下がることです。

本稿では、曻地三郎さんが
長年のご苦労の結果で獲得された原理を
「幼児の指導」と
「ビジネスでの指導」に援用してみました。

この10大教育原理は、言葉はよくないですが、
知恵遅れの方を活性化するノウハウです。

このノウハウは、
今、私の私的時間の多くを占めている
1歳の孫娘の知的育成に
ぴったり当てはまると思いました。

知的育成と言うと格好いいのですが、
どうやって孫の関心を引き出し、
爺ちゃんとの時間が楽しい、と思ってもらえるか、
ということです。

小さなお子様がおられる方は参考になさってください。

1.活動の原理(揺さぶる。刺激を与えて反応させる)
2.興味の原理(あら、何かしら、という興味を引き出す)
3.許容の原理(叱らない教育)
4.賞賛の原理(誉めて伸ばす)
5.自信の原理(達成の喜びを経験させる)
6.予見の原理(先を見る)
7.変化の原理(マンネリズム化を避ける)
8.集中の原理(ここぞという時にはやり遂げさせる)
9.共在の原理(先生と子供がいつも同じ空間にいる)
10.体感の原理(スキンシップ)

「活動の原理」
赤ん坊は、
揺さぶったり動かしたりすると笑い声を立てて喜びます。
確かに、これが1番でしょう。

「興味の原理」
初めてのものを見せると
すごい興味を持ちます。
大人から見るとつまらないものでも興味津津です。
孫の今一番の関心は自動販売機のコインの戻りです。
手を入れて取り出すのが楽しみのようです。

しかし、同じことがそんなに続きません。
7.の「変化の原理」を実践しなければなりません。

「許容の原理」が有効かどうかは分かりません。
今のところ叱ることがほとんどありませんから。

ダメということについては、
(たとえばボールペンとかライターとか危ない物を持つ)
分かってきて、そういうものを掴もうとするときには
周りの大人の顔を窺います。

「賞賛の原理」は動物すべてに有効な原理でしょう。
「よくできたね」とほめると、またまたトライします。
「豚もおだてりゃ木に登る」
というジョークがあるくらいですから。

「自信の原理」は、賞賛の原理の延長です。

「予見の原理」は、
意味が難しく事例の紹介がありました。
「こうしていると次はこうだな」と先を予見してあげる、
ということのようです。

我が孫の場合は、
なぜか眠くなると耳に手をやり、
次いで頭に手を持っていきます。
そうしたら寝る準備をする、ということになります。

「集中の原理」
孫も、ここ一番という時には頑張らせます。
階段を一人で上がるようになってきましたが、
ここぞという時には手を貸さずにハッパをかけ
最後まで上がるようにして達成感を味あわせます。
(親たちは途中で手を貸したがります)

「共在の原理」
カギっ子の精神的大成は難しいのでしょうね。
孫はわけがあって
週日の昼間は保育所に預けていますが、
共在は保育所のお姉さんでもよいようです。

「体感の原理」
これは論を俟ちません。
育児は授乳から始まるのですから。

今、孫の朝の散歩をしていて
気がついたことがあります。
それは、見えるものより音に敏感だということです。

大人が聞こえていない遠くの足音とか車の音に
気がついてそちらを向くのです。
動くものに関心があるということも言えるでしょうが。

胎児の時は音だけですから、
音に敏感なのだろうと納得しています。

感じる順番は
体感、音、絵・画像、なのでしょう。
絵本を読んであげる時は
ワンワン、メー、ウォー、あら、とかの音を入れると
一所懸命に見ますね。

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ところで、この原理はビジネスではどうでしょうか。
 興味の原理
 賞賛の原理
 自信の原理
 変化の原理
 集中の原理
は、ビジネスでの人の活性化や能力向上での原理
として一般的です。

「許容の原理」は、
「叱らない」ではなく、ダメなことは教える・指導する
はもっと必要でしょう。
現在は、社会全般が「ダメ」と言わなくなっています。
「昔」はきちんと家庭でも学校でも社会でも
「ダメはダメ」と教えていましたね。

私はこのブログでもときどきご紹介していますように
「ダメはダメ」と言うように気をつけています。

「活動の原理」はどうでしょうか。

ビジネスでは肉体的な一体感やスキンシップは
問題でしょうから、
以下のようになるのではないでしょうか。

それは、
 一緒に汗を流す
 一緒に苦労をして一体感を醸成する
ということでしょう。

「上から目線」で指示をするだけでは
人の心は動かせません。
アメリカ型のマネージャはその点失格です。

この「活動の原理」が一番めにあるところが
この10原理のミソです。

幼児の指導原理は人間の根源的本質を
突いているはずです。
それは大人になっても変わらないでしょう。

それを外しているアメリカ流では
人の心を掴むことは難しいと思います。

この「活動の原理」重視は、
日本型マネジメントが
グローバル競争でも勝てる点です。

成功している日本の創業者は
みなこの点の上手な人です。

この10原理は、
いろいろな面でたいへん勉強になりました。

「日本人の9割に英語はいらない」??

これは、今年の9月に出た成毛眞氏の書かれた
書名です。
成毛氏は、日本マイクロソフトの日本法人社長を
1991年から9年間務められた方です。
英語が不要なわけがないのです。

てっきり、小学校からの英語教育等の批判書かと
思って読んでみました。

ところがビックリでした。

英語教育不要論ではなく、
なぜ9割の人には不要かという根拠を示した後で、
1割の人に対する極めて実践的で有効な英語習得術
も展開しているのです。

想像するに、
この書名は出版社が「受けねらい」で付けたもので、
成毛さんの本意ではないのではないでしょうか。

それだけではありません。
以下のようなテーマで
私の遥かに上を行く社会批判をしています。
ほとんどの項目でデータ等の裏付けを持って
主張されています。

ぜひ皆様に一読をお勧めします。

 何のために英語を勉強するのか
 創造力のない人ほど英語を勉強する
 英語を話せなくても罪悪感を抱くな
 「英語ができない日本人」というデータに騙されるな
 早期英語教育は無意味である
 自信がないなら通訳を雇えばいい

 英語を社内公用語にしてはいけない
 TOEICを盲信するな
 海外で成功したいなら自分の武器を磨け
 (英語だけできたってダメ、日本のことを勉強しろ)
 日本の英語教育は日本人をダメにする
 
以下は、「第3章 本当の学問をしよう」の内容で
圧巻です。
 大人の学問をしよう
 真の教養とは何か
 日本人はなぜ思考を磨けないのか
 (日本の教育は知識偏重で考えさせていない)

この項の中の一節をご紹介します。
「ここまで言うか!」と喝さいです。

 日本の政治家を見ている限り、
 1ミリも哲学を持ち合わせていないのは明白だが、
 欧米の政治家は確固たる理念を持っている人が多い。

同じく第3章の「日本が抱える七つの大罪」は、
以下の内容です。

元は、マハトマ・ガンジーさんの言葉のようですが、
以下の7項目は
今の日本にすべて当てはまると言われるのです。
まったくそのとおりです。

 原則なき政治
 道徳なき商業
 労働なき富
 人格なき学識
 人間性なき科学
 良心なき快楽
 献身なき信仰

ガンジーさんは、やはりとてつもなく偉い方ですね。

それでは、最後に成毛流英語習得術のさわりを
ご紹介します。
 日常英会話はフレーズ(一文)で覚える
 話すよりヒアリング力の向上が有効
 身の回りの単語を片っ端から覚える
 日常生活に必要な知識を増やす
 
発音を覚える部分が圧巻でした。
私も、「何のために英語が必要か」は不問にして
ジョギングの時に練習しています。
 
 ABCDEFG--XYZを繰り返し発音する
 (発音記号を意識して一音ずつ。半年くらいやった)
 難しい単語の発音を繰り返す
 (Parallelで半月、Enthusiasticなども)
 
実践して成果を上げた方のご意見は
説得力があります。

ご友人・お子様などにお勧めされたらいかがですか。

 

TPPお化け?

TPP(環太平洋経済連携協定)は、
「米国を含む環太平洋地域で
貿易や投資を自由化する新ルール。
市場開放の対象は関税だけでなく、
検疫、技術基準、知的財産権、政府調達など
24分野にわたる」(10月23日日経新聞)
なのですが、この「交渉に」加わるかどうかで、
国会ではなく民主党内でもめています。

「TPPお化け」というのは、
実態の分からない怖いものということでしょうか。
主にTPP反対派が使っている言葉のようです。

私は、
10月23日のフジテレビ「新報道2001」を見て、
もめている本質が分かりました。
この番組は、
非常によいタイミングでのよい報道でした。

以下に、
この問題の「初心者」向けの解説をさせていただきます。

まず、現時点の問題は、
「交渉に加わるかどうか」であって、
「加盟するかどうか」ではありません。

反対派の主張はこうです。
TPPはアメリカ主導なので、
アメリカの都合のよいように押し切られてしまう。
そうすれば、日本の農業は壊滅だ。

医療保険だって、民間の保険業者が入ってきて
日本の健康保険制度はガタガタになってしまう。

アメリカの主張が通ることは、
来年1月発効を目指す米韓自由貿易協定で
韓国の農業が壊滅しそうになっている例で分かる。

反対派の主張は一言で言えば、
既に枠組みは決まっていて、
交渉参加=悪条件を呑まされる、
という強迫観念に立っているという感じです。

呑まされるという判断は、
過去の日米交渉の経験的判断に基づいています。

ですが反対派の本音は、
農業を守りたい、農業関係者の票を大事にしたい、
ということでしょう。

これに対して、賛成派の主張はこうです。

TPPは9カ国(+日本)が協議する場である。
一方的にアメリカの主張が通るわけではない。

日本は受け身の姿勢ではなく、
積極的に参加して日本に有利な条件を作り出せばよい。
参加しなければ、
有利な条件を作り出すことはできない。

アメリカが
自国の利益(または一部の産業の利益)を狙って
交渉に臨んでくるのはある面で当然だ。

しかしそのアメリカには、
同じ状況・意見・利害関係を持つ国と組んで
対抗すればよい。
それが、2国間交渉と異なる点だ。
強い交渉力を持てばよいのだ。

失うものより、得るものが大きい、
初めから負けると思うな、
前向きに自信を持って臨め、という判断です。

当番組では以下のような事例が紹介されました。

日米の貿易交渉で牛肉の自由化をした際に、
日本政府は、
規模を10倍にすればよいと補助制度を作った。
それに乗った事業者は、規模を拡大したが
輸入牛肉の値段には太刀打ちできず
育牛事業は完敗だった、
仲間の何人かは自殺した、というのです。

かたやで、イチゴやサクランボ、米沢牛を輸出して
繁栄している山形の事業者も紹介されました。

このことはきわめて示唆に富む事例紹介です。
価格競争の世界では、規模の差がある場合は
小さい方は太刀打ちできません。

一般的な薄型テレビでは、
ソニーでもパナソニックでも黒字にできないのです。
日本の一般的な農畜産業は、
アメリカや豪州の農畜産業に敵うわけがありません。

規模の小さな事業者は、専門特化して生きるのです。
量ではなく質です。
日本人はそれが得意のはずです。

TPPの土俵でも、日本は、
得意分野を開発してそこに集中する、
各国とも自分の得意分野を強化して、
そのTPP参加企業の市場をお客様にすればよいのです。
それが、
このような経済圏創出のメリットではないですか。

そのために、弱い分野は撤退しなければなりません。
半端な規模拡大を支援するのではなく、
山形の事業者のような、
その地域の自然環境に合致した、
あるいは日本の得意分野に特化する
転業を支援すべきです。

どうにもならない場合は、
失業保険的な補償をすることになるでしょう。
その原資は、
日本の強い産業の収益(からの税)で賄うのです。

大ざっぱに言えば、
TPP反対派はネガティブ思考で、
TPP賛成派はポジティブ思考だと言えます。
守りの姿勢か攻めの姿勢かという見方も
できるでしょう。

この問題を検討する上で、
大事な視点(「目的・ねらい」)は、
何が国民の生活にとって好ましいのか、です。

就業人口の3%しかない農業従事者や、
特定の産業の従事者にとって好ましいかどうか、
であってはなりません。

国民にとってよいことであれば
マイナスの影響を受ける人たちに
適切な補償をすることに
国民は反対しないでしょう。

アメリカの言いなりにならない強い交渉力を
期待したいですね。
でも誰がその交渉を担当するのでしょう。
そういう方はおられるのでしょうか?

これが反対派と賛成派の現実論かもしれません。

2011年10月1日土曜日

「順次再構築」実現方法の研究進展

情報システムの「順次再構築」とは、
ビッグバンまたは一括再構築に対する概念です。

現在の企業の業務の基幹を支える情報システムは
長年使いこまれて老朽化しています。

JUAS等の調査では、
平均使用年数は14年です。
「犬」並みに老齢化すると考えると、
約100歳の老人と言うことになります。
元気に働けるわけがないのです。

先日のみずほ銀行の障害も
老朽化が遠因になっています。

みずほ銀行ならずとも
各社は、システムを更新して新しくしたいのですが、
以下の理由で実施できないでいます。

多大な金額が必要(みずほ銀行の場合は1000億円台)
更新の効果を経営に納得させられない
うまく作れないリスクがある
(障害を起こす。今できていることができなくなる、など)

うまく作れる自信がない、ということもあるでしょう。

そこで登場するのが、
この「順次再構築」コンセプトなのです。

いっぺんに作るのが大変なら、
少しずつ作っていけばよいではないか、
というものです。

しかしこれはこれで難しい点があります。
一括再構築は、
今住んでいる家に住みながら
他の場所に新しい家を作るものです。

これに対して順次再構築は、
今の家に住みながら、
風呂場、台所、寝室、とか少しずつ
建て替えていく方法です。

この方法は、
それなりの難しさはありますが、
一挙にコストが発生しない、
少しずつ手を入れながら作り上げていくことができる、
というメリットがあります。

そこで、現在当社が主催している
システム保守業務の改善・改革を行うプロ、
Sweeperを養成する研修でも、9月22日に
このテーマを取り上げ研究と研修を行いました。

講師は、
山岸耕二(株)メソドロジック社長にお願いしました。
山岸社長はすでに
某大手企業で
順次再構築と同じ目的の「継続的リフォーム」に
取り組んでおられるのです。

前提となる技術であるSOA、MDM、システム分割基準
の勉強もしましたが、
結論を集約するとこうなります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
準備期間 1年間

  対象システム範囲の選定
  どの範囲について再構築を行うのかを決定する。
  再構築後(ToBe)のシステムコンポーネント構成図
  (コンポーネントに属するサービスの構成を含む)の作成
  再構築完成後のシステムコンポーネントの関連図
  コンポーネント間のインタフェース情報を示す
  順次再構築の展開計画
  対象コンポーネントを再構築していく順序と時期の計画
  移行段階別のシステムコンポーネント関連図の作成

 ・システム基盤の構築 
  各コンポーネントで共同利用するユーティリティ・サービス
  の開発
  コンポーネント連携機能の開発

  ITインフラの決定と準備
  最終完成時のITインフラの構想
  当面のITインフラの準備
  (クラウドの利用が有利と思われる)

順次再構築の実施
  展開計画に基づき開発・移行を実施する。
  3―5年で実施するのが標準と思われる


上記「準備期間1年」の作業項目は、
かなりの専門性や経験を必要としますので、
専門家の力を借りた方が確実であると思われます。

しかし、その準備期間後の順次再構築の実施作業は
保守担当が実行すればよい、というのが、
従来からの私の持論です。

そうすると、
どちらかと言えば暗い保守の現場が
明るい前向きの職場になっていくのです。

皆様、順次再構築にチャレンジしてみませんか!

「放射能は怖い」のウソ

何回か取り上げている放射能問題です。
このテーマの私に対する情報提供者である
畏友茂木弘道氏からのメッセージを
そのままご紹介します。

このテーマは7月31日の
「低放射線量の有益性について再々論」以来
2か月ぶりです。
今回、前回のご報告を読み直してみましたら
肝心のラッキー博士の著書名が載っていませんでした。
たいへん失礼しました。
あらためて、ご紹介しておきます。

「放射能を怖がるな!」T.D.ラッキー、茂木弘道共著
です。

今回は服部博士の著書
『「放射能は怖い」のウソ』の紹介です。

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上野則男 様

服部禎男博士は、
小型原発開発の主唱者であると同時に、
放射線ホリミシス効果研究の日本の第一人者
であるだけでなく、
国際的なリーダーでもあります。

(上野注:ホルミシス効果
(ホルミシスこうか、: hormesis)とは、
生物に対して通常有害な作用を示すものが、
微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用のこと。
出典Wikipedia)

1984年に服部博士はラッキー論文を読み、
それまで抱いていた常識が根本的に否定
されていることにショックを受け、
アメリカの電力研究本部に、これは本物か、
という質問状を出したのがきっかけとなり、
翌85年にオークランドで150人の研究者が集まる
大国際会議が開かれました。

3日間の討議の結果、
ラッキー博士の言っていることは基本的に正しい、
ということになり、
日本でも1989年に
「放射線ホルミシス研究委員会」が発足、
数々の実証データーを生み出しました。

1997年に、セビリアで行われた大国際会議では、
ホルミシス効果はDNA修復機能の結果
もたらされるものであること、
そしてDNA修復研究の最新成果がいくつも発表され、
ICRPの基準は根本的に見直されなければならない
ことが議論されました。

ICRPの代表も出席していましたが、
50年も続いた基準見直しは
その後まだなされていないわけです。

こうしたことは、すべて服部先生の近著
『「放射能は怖い」のウソ』
(武田ランダムハウスジャパン)(980円)
に載っていますが、
さらにDNA修復研究最先端の状況がマンガも交えて、
分かりやすく説明されています。

現在やみくもに放射能を危険視する考えは、
DNA修復機能発見以前、
即ち20年以上以前の
超時代遅れのアナクロ二ズム思想である
という事がよくわかります。

この本を読まずして、
放射線の生命に対する影響(危険性、恩恵)を論ずるのは、
今でも天動説に基づいてあれこれ主張をしている
ようなものです。
先ずお読みください。

*放射線防護学第一人者である
札幌医科大学の高田純博士が、
『放射能を恐れるな』につきコメントをお送り下さいました。

「そもそも放射線とはエネルギーですから、
細胞の活性化につながる程よいエネルギー量がある
と考えるのは合理的です。」
とホルミシス効果を基本的に肯定してくださったことは
心強い限りです。

こちらをご覧ください。
(ただし、9月8日までさかのぼってください。)

日本シルクロード科学倶楽部
http://junta21.blog.ocn.ne.jp/

なお、最後のところで第5福竜丸の久保山さんの死因は、
売血輸血による急性肝炎であり、
放射能障害では全くなかったことが
書かれているのもご注目ください。
久保山さんの死が、原水禁運動の原点でしたが、
全くのウソから始まっていたという事です。

平成23年9月20日  茂木弘道拝