2013年10月28日月曜日

「業務改革の教科書」を勉強しましょうか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「業務改革の教科書」を知っていただく。
 業務改革を実施する場合の有効なガイドがあることを
  知っていただく。
 当社も業務改革推進のお手伝いができることを知っていただく。
 当社が普及推進している「目的・ねらい」「価値目標」を 
  知っていただくか、おさらいしていただく。

ねらい:
 業務改革を成功させるために「業務改革の教科書」を活用いただく。
 「目的・ねらい」「価値目標思考」を活用いただく。
 (物事がすっきり整理できるようになります)
 

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このレポートは以下の文書をいただいたことから
始まりました。
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上野さん、はじめまして。榊巻亮(さかまきりょう)と申します。
上野さんのブログ、深い洞察察、独自の切り口が面白く、
紹介された本をよく読んでいます。

これからも楽しみにしています。

私事ですが、このたび「業務改革の教科書」を出版致しましたので、
献本させていただきました。

「業務改革の教科書」は、私と同僚のコンサルタントの
2名で執筆しました。

題名の通り、業務改革をやり切るために、何をどの順番で行うべきか、
どんなことに注意を払うべきなのかを解説しました。

改革プロジェクトにおいて最も重要である立ち上げ・計画策定時期に
重点を置いてノウハウを詰め込んでいます。

こうした業務改革系の書籍はいくつかあるのですが、
ほとんどが海外のものであり、実際に日本企業で業務改革を
進める上で最も悩ましいことが語られていません。

例えば
 ・いかにトップに味方になってもらうか
 ・業務調査は何をどこまで調べれぱいいのか
 ・抵抗勢力とどう対峙するか
などです。

本書では、実名の企業事例、実際に現場で使ったスライドや
分析の結果、当事者のインタビューなどを交えて、
ビジュアルに易しく解説しています。

また、失敗談も盛り込んだ生々しい内容で、
本書を手に取った方がすぐに活用できるよう工夫を
凝らしています。

是非お読みいただき、ドキリとするような書評を
書いていただけれぱ著者冥利に尽きます。

よろしくお願いします。

    2013年10月21日
           ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社
           アソシエイト・ディレクター 榊巻亮
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当書の副題は、
「成功率9割のプロが教える全ノウハウ」
となっています。

当書を開いて「おや?」と思ったのは、
「前書き」(はじめに)がないことでした。
いきなり目次から始まっているのです。
前書きと目次で書物の当りをつける私としては面食らいました。

しかし目次のすぐ後ろに、
「プロローグ」という章があり、
通常の前書きの内容が書いてありました。

その中にこういう記述があります。
 「変革をリードできない管理職には価値がない」
 「変革プロジェクトの成否は、最初で9割決まる」
 「この本の特徴」

前二つはまったく同感です。

「変革プロジェクトの成否は、最初で9割決まる」
の内容をご紹介しましょう。

これで
本書のトーンというかスタンスをお分かりいただけると思います。
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「変革プロジェクトの成否は、最初で9割決まる」

「大半の変革プロジェクトが失敗する」と闇いたことはないだろうか。

 例えばIT関係のプロジェクトで言えば、
プロジェクト成功率は31%でしかない(『日綾コンピュータ』調べ)。

大きな本屋には企業変革やプロジェクト管理のコーナーが
古くから必ずあるが、長年にわたって
「ほとんどの変革が失敗する」という事実に変わりはない。

 システム構築とは無関係の業務改革や、
システム構築までたどり着かずにうやむやになる変革を
統計に入れると、もっとずっと低い成功率になるだろう。

 なぜこれほどまでに、成功率が低いのか?

 それは、立ち上げ方が悪いからだ。
 最初がグダグダなプロジェクトは、いくら後から奮闘しても
成功しない。

このことは、デスマーチプロジェクト
(終わりが見えない死の行進のようなプロジェクトのこと)に
配属され、苦しむ人の怨嵯(えんさ)の声を聞くと実感する。

 「これまで決めるべきことを決めてこなかった」
 「最初から負けが決まったプロジェクト」
 「そもそもこの陣容ではやれっこない」
と、恨みの声はプロジェクトの立ち上げ期でのダメさに
集中しているのだ。

これは、コンサルタントとしての実感とも一致する。

仕事がら、うまくいっていないプロジェクトの支援に
入ることもある。そういうプロジェクトは9割がた、
プロジェクトの立ち上げ期にやるべきことをきちんとやっていない。

 大成功した変革をリードしたある方が、プロジェクトを振り返ってこう
言っていた。

 「変革プロジェクトの成功は90%、立ち上げで決まる。
実行局面では社外に優秀な方がたくさんいて、
力を借りられる。でも、やりたいことがこちらで見えて
いなかったり、途中でぶれたら、プロジェクトは必ずうまくいかない」
本当におっしゃる通りだと思う。

 著者である白月・榊巻の2名は、コンサルタントとして、
変革プロジェクトを成功させるべくお客さんの現場で、
毎日毎日汗をかくことを仕事としている。

2人が所属する会社、ケンブリッジ・テクノロジー・
パートナーズ(以下、ケンブリッジ)が支援するプロジェクトの
成功率は今のところ、95.6%。残念ながら100%ではないのだが、
世のプロジェクト成功率と比べると誇れる数字である。

 なぜ成功率がこれほど高いのか。

話せば10時間くらいは必要なのだが、無理やり短くすると
「プロジェクトの立ち上げ期にやるべきことを、
完壁にやり切る」ということになるだろう。

 この本は、
「圧倒的なプロジェクト成功率を誇るケンブリッジが、
業務改革を成功させるために立ち上げ期にやっていること」
を全て書き表した本である。
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「変革をリードできない管理職には価値がない」
については、
当社で推進しておりますMIND-VIPという
部長が中心になって進める業務革新プログラム
での前提コンセプトとなっています。

MIND-VIPのVIPは
Values Innovation Program(価値観を変えるプログラム)
ですが、この価値観の中の一つに、
部長が率先して改革に取り組む。(指示をするのが部長ではない)
が入っています。

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せっかくの機会ですからこのMIND-VIPを少しご紹介します。
このプログラムは、以下の条件で進めるものです。

1.部下を持つ部長さんが中心になって自部門の改善を行う。

2.半年で数字で計測できる成果を実現する。

3.他部門と関係せずに自己責任で遂行できるテーマを選択する。

4.コンサルタント(当社)は改善のための分析手法を部長に教えるだけで、
  解決策・対策を直接教えることは一切しない。

5.半年後に結果を評価して優秀者を社長が表彰する。

これだけで、部長達は必死になって改善に取り組みます。
忙しくて改善なんてできない、とは誰も言いません。
やはり社長の威光は絶大です。

その結果、多くの企業では1クラス15組(15部門)で
半年内で合計億円単位の改善成果を出しました。

最高額は2クラス同時に実施した工事会社で
23億円の改善成果を実現し
危ぶまれた当期の予算利益達成に貢献しました。

この工事会社様からは、冗談半分にですが、
「この数字は公表しないでください。そんなに儲かるのなら、
と値切られると困るから」と言われました。

「自己裁量」「自己責任」「社長による評価」は
人を頑張らせるのです。

MIND-VIPは、大きな改善利益が実現した、
ということを成功と言うなら100%成功でした。
ただし、
各チームが設定した目標値の平均的達成度は85%程度でした。

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本書は副題で成功率9割と称していて、
先ほどの引用文に、成功率95.6%とありましたが、
何を以って成功と言うのかの説明はありません。

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因みにシステム開発の世界では、
開発当初に設定した、納期・コスト・品質目標を達成したものを
成功と言っています。

この成功の定義は、
日経コンピュータ誌が2003年に
「システム開発の成功率は3割」という調査結果に基づく
特集記事から一般化しました。

この時の「成功」の基準が、
納期・コスト・品質目標のすべてを達成した案件
というものでした。

その時、この世界の事情に詳しくない人は、
「3割しか成功しないのか!!」と驚いたようでしたが、
事情通は
「その定義で言うのなら成功はもっと少ない」
と言っていました。

同誌では同じ調査結果を2008年にも公表しましたが、
成功はやはり3割で
状況はほとんど改善されていませんでした。

詳しく見ると3項目の達成度は、、
 品質:若干改善(達成度46%が52%に)
 納期:横ばい(達成度55%)
 コスト:(76%が63%に悪化)
でした。

なお、この調査は、開発企業ではなく、
発注者側のシステム部門です。

コスト超過の悪化は、超過分を
従来は請負契約で開発している開発企業がかぶっていたのを、
準委任契約が多くなって、
システム部門(発注者)が被るようになった
のが原因と考えられます。

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横道に逸れましたが、
当書の内容構成は以下のようになっています。

その内容は確かに実践的なのと、
事例を具体的社名を挙げて紹介しているのは
著者が主張されるように類書にないことです。
たいへん説得力があります。

第1部 「どんな変革か?」をざっと描く
 C まずは同志を集めよ
 D 変革のゴールを決める
 E なぜ良くなるのかを端的に示す
 F ゴールやコンセプトをどうやってひねり出すか?
 G タイプ別、変革の落とし穴
 H トップの支援を取り付ける
 I プロジェクト体制を固める
 

第2部 現状調査/分析
 J 業務とシステムを棚おろす
 K プロのヒアリング技術
 L 課題を特定する
 M 分析は「構造化と実感」
 N 分析の七つ道具

第3部 将来の姿を描く
 (内容省略)

第4部 計画の価値を示し、Goサインをもらう
 (内容省略)
 最後は丁度Z(ゼット)で終わっています。
 ということは、26項目あるということです。

業務改善屋を自称する私から見て
一つずつごもっともという内容が詰まっています。

確かに、どれも重要なのですが、
「全ノウハウを公開する」という思いが強すぎてか
「成功するためにはこんなにやることがあるのか」
と読者の戦闘意欲を失わせるのではないか、
ということが気がかりです。

私が、1994年,BPRブームが起きた時に出版しました
「システムアナリストのための業務革新ガイドブック」で書いた
業務革新の成功要因は以下の7つでした。

 1.トップのリーダシップ
 2.ミドル・マネージャの積極的参画
 3.強いプロジェクjト・チーム
 4.明確な革新目的の設定
 5.有効な基本アイデアの導出
 6.情報技術(IT)の活用
 7.方法論・支援ツールの活用

この本のタイトルの意味は、
その頃のBPRは経営企画部門等が主導で、
システム部門はカヤの外か脇役ですが、
「全社を横断的に見れるのはシステム部門のあなたたちでしょう!
頑張りなさいよ、システムアナリストさん!!」
ということでした。

でも多くの企業では、現在も相変わらず
システム部門は業務改善の脇役ですね。

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当書で唯一弱いところは、
当書でいうところの「ゴール」の内容が若干あいまいな点です。

当書で示されているゴールの例
 1)日野自動車の人事業務改革プロジェクトのゴール
  
 















 2)古川電工人事BPRのプロジェクトゴール

  
  1.給与関連の業務効率を30%アップする
  2.各工場、各関係会社に散らばっている業務を集約し、
     シェアードサービスセンターを設立する。
  3.人材活用に資するため、人事情報を拡充しディスクローズする
  4.グループ経営の強化に資するため、人事システムを更新する

我田引水ばかりで申し訳ないのですが、
当社が提供している方法論MIND-SAでは、
ゴールについて「目的・ねらい」という概念があります。

「目的・ねらい」とは、
「何か」をするときに実現しようとする成果で、
「何か」の中で実現する成果を目的、
「何か」が実現した後で実現する成果をねらい、
と言います。

 
 
そうして、「ねらい」のために何かに取り組むのですから、
「ねらい」は「価値目標」でなければならない、としています。

「価値目標」とは実現できれば嬉しいことで、
ビジネスの場合の「価値目標」の基本は
「早い、うまい、安い(QCD)」だと言っています。
これに「人の能力・意欲向上」を付け加える場合もあります。

その観点からすると、上記日野自動車のゴールは、
「ねらい」とする「価値目標」が明確には示されていません。

この場合の「価値目標」は、
 事業の方向性に合致する人材の育成
 従業員の活性化
 制度変革への対応
等で「うまい」か「人の能力・意欲向上」です。
 

古川電工の例では、かなり「価値目標」が示されていますが、
明確に整理すると以下の表のようになります。
2番目の「シェアードサービスセンターの設立」は
何のために行うのかが不明です。

 
業務改革事例の目的・ねらい、価値目標



目的

ねらい

価値目標

給与関連の業務改善

給与関連の業務効率を30%アップする。

コストダウン

各工場、各関係会社に散らばっている業務を集約し、シェアードサービスセンターを設立する。

不明

 

人事情報を拡充しディスクローズする。

人材活用に資する。

(具体化が必要)

社員の能力向上

人事システムを更新する。

グループ経営の強化に資する。(具体化が必要)

経営強化(うまい)

 
「ねらい」(価値目標)が示されていないと、
こういう点が不具合です。

業務の標準化は価値目標ではありません。
コストダウンのための標準化と品質向上のための標準化では
標準化の方向が異なります。

通常はこの両者は相反します。

シェアードサービスセンター設立のねらいが、
 社内人材のより付加価値の高い仕事への活用
 社内業務のコストダウン
 他社から受注し収益を稼ぐ
のいずれであるかによって、センターのあり方が異なります。

あいまいにして取り組むと虻蜂取らずになるでしょう。

「目的・ねらい」や「価値目標」につきましての詳細は、
拙著「価値目標思考のすすめ」を
ご参照いただければ幸甚です。

榊巻さん 
たいへん良い題材のご提供、
どうもありがとうございました。

2013年10月26日土曜日

三越伊勢丹の改革に学ぶことって何でしょう??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 三越伊勢丹の大西社長が頑張っていることを知っていただく。
 企業合併で効果を実現するためには、
  トップの強いリーダシップが必要であることを確認いただく。
 日本企業の競争力強化には、
  「早く」が重要であることを考えていただく。

ねらい
 
 ビジネス面ではすべて領域で「早く」を実践していただく。

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百貨店業界は長い間停滞でした。
売上が16年間前年割れで、
「これは構造的問題でどうにもならないのではないか」という
負け犬根性が植え付けけられてしまいそうという状況でした。

ところが、
この13年は久々に前年超えということになりそうな状況です。

その低迷の中でも新宿伊勢丹だけは一人気を吐いていました。
5年前、百貨店の老舗・最大手の三越に
一緒にやりましょうとすり寄りました。
当時の武藤信一伊勢丹社長の深謀ですね。
三越も大きなプライドを捨てて歩み寄りました。

それでできたのが三越伊勢丹カンパニーです。
この合併は、
伊勢丹が三越の古い伝統に呑みこまれてしまうのか、
三越が伊勢丹の血を採りいれて若返るのか、
たいへん興味ある一幕でした。

その合併効果が出だしているというお話しです。

その状況を
10月11日付の日経MJ紙(以前の日経流通新聞)が
以下のように伝えています。

昨年2月に就任した伊勢丹出身の大西洋社長の活躍です。

従業員の働く環境の改善、
販売価格に対する顧客の信頼を守ることを目的に
 店舗の営業時間短縮
 休業日の設置
 店舗業績連動の賞与の制度化
 実戦力である取引先からの派遣販売員も対象にして表彰の制度化
 バーゲンセールの開始時期の先送り
 自主企画商品比率の向上
  (現状1割強を15年度をめどに2割に)
など、一般の動向の逆張りを行っています。

従業員の活性化があって初めて
お客様に接して販売する百貨店の特徴が活きる
という考えは正論ですね。

この施策を見ていますと
改革を実現するのは社長のリーダシップだとつくづく思います。

なぜ今まで
そういうことに取り組む百貨店経営者がいなかったのでしょう?

「そんなことうまくいくわけない」
という仲間からの冷ややかな見方もあるようです。

吉と出るか凶と出るか、結果が示してくれるでしょう。

大胆な旧伊勢丹・旧三越の人事交流や
外部人材の重要ポストへの登用も行っています。

「これまで三越、伊勢丹の出身者が均等になるように
配慮し過ぎた面がある。合併から5年過ぎた。
こんなことはもうやめる」
大西社長の発言です。

こういう発言ができるのは、
大西社長はじめ旧伊勢丹出身者の社内融合努力の成果です。

いきなり「乗り込んできて」実力主義を唱えたら
反発を買うだけでしょう。

しかしここまで来るのにも5年はかかったということです。
このスピードでは、このグローバル競争時代に
日本企業は勝てないのではないでしょうか。

私たちが唱える「早い、うまい、安い」のように、
早く、早くが競争に勝つ第1条件です。

日本の経営はもっともっとスピードを上げてほしいものです。

2013年10月24日木曜日

「中国はもう終わっている」んですって!!


【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 中国の国内事情を知っていただく。
 中国の危機の状況を分析していただく。

ねらい:
 「中国はもう終わっている」を読んでいただく。
 中国の今後を注視していただく。

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この本は台湾出身在日の中国評論家 黄 文雄氏と
中国出身在日の中国評論家 石 平氏の最新の共著です。

中国通のお2人が、中国の国内経済事情と政治事情について
うんちくを傾けている素晴らしい情報集です。

政治事情につきましては
習近平主席の政治基盤の危うさ等について詳説していますが、
ほぼ知られていることですので、ここでのご紹介は省略いたします。
関心ある方は、当書をお読みください。

経済事情につきましては、総合的に分析されており
たいへん勉強になりました。

ただし、
本書はお二人の対談形式で進められていることもあり、
「なぜ終わっている」のか全体の関連がよく見えません。

そこで私が諸状況の因果関係を図で整理してみました。

※このURLをクリックするとPDFファイルが開き拡大可能です。
http://www.newspt.co.jp/data/mailmaga/62kukyou.pdf



























大きな流れの一つは、
インフレ・物価高でありながら需要減退という
矛盾する経済破たんの解決策がなさそう、という点です。
_______________________________________________

「共産党の施策が正しいのだ」
ということを国民にアピールするためには、
高度経済成長で示すことが必要である。

そこで、積極的な財政支出で固定資産投資を継続した。
その結果は供給力過剰となり輸出ドライブがかかった。

ところがリーマンショックで打撃を受けたので、
2008年に大型景気対策と金融緩和政策をとった。
ダントツで世界一の鉄鋼生産力では3割が遊休化している。

そのため、一旦景気回復したかにみえたが
インフレが亢進し物価高状態で国民の生活を圧迫した。

そのために金融引き締め政策をとったが
闇ルートの資金が大量に動き
金融の引き締め策はしり抜け状態である。

引き締め策は需要減退を招き錦の御旗の成長を鈍化させ、
輸出産業・中小企業倒産による失業者増大と相まって
就職難民(蟻族)・生活困窮者の増大となっている。

そこで金融引き締め策は2012年春に止めているが、
根本問題の解決にはなっていない。

失業者・生活難民に所得を保証し、
需要を喚起しなければならないのであるが、
そのための仕事をどこで作りだすかに答えがなく
行き詰っている。
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もう1点は、これが中国社会の最大の泣き所ですが、
国民の不満の集積です。
これだけ不満が渦巻き、暴動も多発しているのは、
危機以外の何物でもない、ということです。
_________________________

不満は、
失業者、就職難民、低所得生活困窮者の大幅増大、
インフレによる物価高、
公害・有害食品の重度定常化、
党幹部・高級官僚の不正蓄財、家族の海外逃避
等に起因している。
_________________________

しかしお二人とも、
年間20―30万件も発生していると言われる暴動が
大きな力に結集されることはないだろうという分析です。

その理由は、暴動パワーをまとめ上げるリーダがいないことと
全国に300万人いるといわれる
暴動を押さえる武装警察と治安関係者の存在です。
暴動はすぐに鎮圧されてしまいます。
何人が処刑されているのでしょう?

本当に中国はいつか「終わる」のでしょうか??



2013年10月23日水曜日

OECD大人の知力調査で日本が1位?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 OECDが実施した「国際成人力調査」を知っていただく。
 その結果について考えていただく。
 今の日本の教育制度の課題を考えていただく。

ねらい:
 教育制度改革の検討材料にしていただく。

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皆様もご記憶でしょう。
10月9日の各紙が報道しました。
また、日本が頑張ってるぞ!という話です。

OECDが世界24カ国のの16-65歳を対象に
社会生活の中で求められる能力を測った
初の「国際成人力調査」を実施しました。

日本は、
読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力
の3分野のうち、前2者で1位をとったのです。

1国5,000人程度を対象にしているようです。

























 出典:読売新聞2013年10月9日「国際成人力調査」


因みに、OECDでは、
高校生を対象にした学力調査PISAでは
以前から、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー
の調査が実施しています。

この調査では、2000年に日本は数学的リテラシーで1位、
2003年に科学的リテラシーで1位をとっています。

同じくOECDの、
小学4年生、中学2年生を対象にしたTIMSSという調査では、
数学または算数と理科の学力テストを実施していますが
いずれも2-6位を確保しています。


今回の日本の成人の好成績をどう解釈するかです。

日経新聞では、
ベネッセ教育総合研究所の理事長の
以下のコメントを載せていました。

「終身雇用制度の下で若手をゼロから育て上げる文化があり、
研修制度も充実している。
学校を出た後も能力が上がるのは当然だ」




















このコメントには賛同できません。
先ず、学校を出た後も能力が上がっていると判断されていますが、
同一人について上がっているという調査結果はありません。

16―19歳・20―24歳の人よりも
25―29歳の人の能力が高くなっているだけなのです。

この点の解釈としては、
若い年代層に対する教育が不備であるか、
その世代の向学心の低下を言うべきでしょう。

ゆとり教育は、現在12歳から26歳までの年代が
対象となっています。
最も長い間「ゆとり」だったのは18歳から20歳です。

まともに、16-24歳の年代が「被害者」なのです。

もうひとつの「誤解」は、
「終身雇用で研修制度も充実している」という点です。

日本の国全体で投入される教育費のGDPに対する比率は
OECD加盟国中ほぼ最下位なのです。
(2012年4月の当ブログ 「これは凄い!!『成熟日本の進路』」で
取りあげました。
 http://uenorio.blogspot.jp/2012/04/blog-post_23.html )


研修事業を生業にしている当社から見ても、
今の日本企業では新入社員研修と資格昇格試験以外は
ほとんど教育をしない企業が大半です。

とても研修制度が充実していると言える状況ではありません。
少なくとも、
企業内研修によって成人の能力が向上しているとは言えないでしょう。

では何が好成績の要因かということになります。

基本は学校教育でしょう。
進学をてこにして勉強する生徒が多いということです。
正確には「多かった」のです。

現在の生徒たちの成績は世界一を滑り落ちています。
韓国は教育に力を入れて、
近年はPISAの成績で日本を抜いているのだそうです。

ですが、韓国の成人の能力は未だ中位より下です。

つまり今回調査された成人力は、
その人が受けた学校教育のレベルを反映している
ということなのです。

ということは今後、PISAによる生徒の能力低下に合わせて、
成人の能力低下が「実現」していくでしょう。

もう一つ、今回の調査結果で注目すべき点があります。

それは、これまで見ました成績は平均点でのことです。
読解力の成績の6段階別構成比も発表されています。

これによると、上から2番め・3番めのランクの構成比は
参加国で最も高かったのですが、
最上位のレベル5は1.2%で、
フィンランドの2.2%を下回っています。

これは読解力でのことですが、
おそらく、他の種目でも同じ傾向があるのではないでしょうか。

つまり、日本人はそこそこの成績(能力)であるが、
非常に優れた人は少ない、ということです。

今回の調査で、米国は平均点で
読解力が16位、数的思考力が21位,IT活用能力でも14位です。

それにもかかわらず、
新しいIT領域の技術・製品サービス等の発信はほとんどが米国です。
勝負すべきは平均点ではないのです。

これからの世界でリーダシップをとろうと思ったら、
英才教育が必要なのではないでしょうか。

以上、今回もマスコミのいい加減なコメントに反論してみました。

        

2013年10月18日金曜日

ストーカー対策はどうしたらよい??(改訂)

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 
 ストーカー殺人が起きない対策を考えていただく。
 一筋縄では解決策のない難題について考えていただく。

ねらい:
 名案を出してください。

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10月8日、18歳の高校生が自宅で刺殺されました。
警察に相談していましたが、その日に殺されてしまったのです。
ご本人とご両親の無念さはほんとうに察するにあまりあります。

何とかならないものでしょうか、と誰しも思います。

識者のコメントは以下のとおりです(日本経済新聞10月11日版)。

ストーカー問題に詳しい常盤大学の諸沢英道教授(被害者学)は
「ストーカー規制法に基づいた警告などに強い抑止力は期待できない」
「加害者へのアプローチだけでなく、
相談内容の切迫度によっては、
ただちに被害者の安全確保に乗り出すなど、
被害者保護の観点に立った対応の強化が必要になっている」

ストーカー被害の相談を受けているNPO法人「ヒューマニティ」の
小早川明子理事長は、
「警察からの警告が加害者を逆上させることもある」
「警察は被害者を安全な場所に移したうえで、
加害者の所在を特定し、危険性を見極める必要がある」

警察庁では、ストーカー殺人の発生を受けて、
昨年、原則としてすべての被害届や告訴を速やかに受理するよう
全国の警察本部に通達しています。

その結果、昨年1年間のストーカー被害の認知件数は、
19,920件となり、ストーカー規制法が施行された2000年以降で
最多となりました(前掲紙)。

しかし、
「(個人の恋愛感情に起因するという性質上)
相談時に切迫の度合いが不明確で、
どのような対応が適切なのか判断するのが難しいケースが少なくない」
(捜査幹部)ということです。

そのとおりでしょう。
「難しいケースが少なくない」は遠慮した表現で
「難しい場合の方が多い」ということが本音でしょう。

前掲で
「相談内容の切迫度によっては、
ただちに被害者の安全確保に乗り出すなど」とありますが、
「切迫度によっては」という判断をどうするかが問題です。

現場に判断を委ねられて責任を追及されたら
たまったものではありません。
そうなったら、現場では安全をみて「保護する」方に傾くでしょう。

すると、
被害者はそこまでされたくない、と抵抗するかもしれませんし、
収容する施設だって、その対応方法だってたいへんです。

識者の建前論では動きません。

実はストーカー規制法は、今年の6月に法の改正が行われ
この10月3日から全面施行になったところでした。
今回の改正の主要点は以下のとおりです。

 1.執拗なメールを付きまとい行為に追加、
 2.被害者の住所地だけでなく、
  加害者の住所地などの警察も警告や禁止命令を出せるようにする、
  (加害者側の警察にも責任意識を持ってもらうためです)
 3.警察が警告を出したら被害者に知らせ、
  警告しない場合は理由を書面で通知する。
  (警告を出したことで加害者が逆切れすることを警戒するためです)
 

しかしこの改正は今回の事件には無効です。

ではどうします?

先ずは、
切迫度の暫定的な判断基準を作ることから始めるべきでしょう。

たとえば、
「殺すぞ」と言っている証拠がある(メールなど)場合、
毎日のように家の近くに押し掛けて
 何らかの物理的行為を行っている場合、

などです。

これまでの惨事に至ったケースを分析すればよいでしょう。

その暫定的な判断基準で運営して、
漏れがあった場合は追加し、
行き過ぎだと判断されたら緩和する、
等を弾力的に行っていきます。
これは警察庁からの通達でいけるのではないでしょうか。

それにしても、その判断に基づいて
「被害者を保護する」のはどこにするのでしょうね。
刑務所等の収監所が一番安全でしょうが、
そうもいかないとなると、どうにもならないでしょう。

それと、そこに収容しっぱなしというわけにいきません。
出たところで被害に遭うかもしれません。

総理大臣等の「要人」ではないのですから、
そんな警固もできません。

加害者を収監した方が早そうですが、
いつかは釈放されます。
これも怖いですね。
前掲の「逆上」ということがありそうです。

被害を完全に防ぐ現実的な方法はどうもなさそうです。

ではどうしたらよいのでしょう?

女性に注文があります。
良く相手を見て付き合ってください、ということです。

1回も口をきいたこともなくて、
単なる一目惚れでストーカーになるということはまずないでしょう。

「おかしな人」「おかしそうな人」とは付き合わないことです。
付き合っていて別れとなった時にストーカーされるのは
自己責任と考えていただくしかないですね。

警察もそれなりの対応はしますが、
前述のように完全対応は無理です。

この人間社会はいろいろなことが起きます。
生活困窮者だって助けなければなりません。
DV(家庭内暴力)にも対応しなければなりません。
子供の虐待にも対応しなければなりません。

何でもかんでも完全に対応することはできないのです。
ある限界以上は自己責任で行動しなければならないでしょう。

限界を超えた事件がある率で発生することは
社会全体で見た時には仕方のないことと思うしかありません。

今回の事件のように警察側としては
何も落ち度がなく被害に遭われた場合は
たいへん申し訳ありませんが
お慰めするしかありません。

 ということで、検討してみましたが
名案がありませんでした。

警察庁は10月24日に
規制のあり方を議論する有識者検討会の設置を決めました。

弁護士等の専門家や被害者の遺族が委員を務め、
来夏には報告書をまとめるようです。

上記のように難しい問題ですから、
時間がかかるのでしょうね。

どなたかいいご意見ありませんか?



 

2013年10月17日木曜日

「刑事裁判のいのち」って何でしょうか?


【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 刑事裁判の問題点を知っていただく。
 刑事裁判は改革すべきであると思っていただく。
 死刑制度について考えてていただく。

ねらい:
 「刑事裁判のいのち」を読んでいただく。
 このテーマについての見識を深めていただく。

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「刑事裁判のいのち」は、
37年間裁判官を務め東京高裁で要職を経験された
我が大学同級生である木谷明さんが
最近刊行された書籍名です。

経済学部出の私としては、たいへん勉強になりました。
裁判員制度で、
裁判に対する関心が深まっておられる方も多いと思いますが、
そういう方に是非ご一読をお勧めしたい名著です。

木谷さんは、
人が人を裁く裁判において何が最も避けるべきかというと
無実の人を有罪にする冤罪である、
という信念のもとに、
現在はもっぱら冤罪関係の弁護士をされています。

木谷さんは、囲碁の木谷實九段のご子息で、
育ちの良い優等生という感じの学生時代でした。
私とは誕生日が1月も違いません。

木谷さんが書かれた専門書では
「刑事裁判の心」となっているのに、
一般向けの解説書的に書かれた本書では
「いのち」となっています。

専門書での「心」は真髄という意味だけでなく、
刑事裁判で大事なことはそこに取り組む心だ
という趣旨だったのだろうと思います。

今度は、心を超えて、いのちだ、とされたのです。
命がけで取り組まなければならない、
裁かれる人の命がかかっているのだ、
ということに掛けているのでしょう。

この本では、冒頭に中学生を対象にした
「刑事裁判の役割をわかりやすく説明してほしい」
というテーマでの講演記録の転載があります。
これによって、木谷さんの「いのち」への導入が
円滑に行われるようになっています。

木谷さんが「いのち」という主張点は以下のとおりです。
基本メッセージ
 「無実の者を処罰してはならない」
 「冤罪を発生させてはいけない」

冤罪の発生を生んでいる問題点は以下のとおりである。
 強すぎる検察
  起訴権の独占、保有証拠の非開示、
  検察の組織体制
  (裁判では検察は組織の総力を挙げてくるが
  弁護側はせいぜい2-3人で対抗しなければならない)
  1審における無罪率は0.1%台が「強い」証拠、
  否認事件での無罪率は2%台(否認してもほとんど認められない)
  密室取り調べ、(公開が行われつつはある)
  人質司法(拘留して圧力を加える)
  自白の任意性・信用性に関する判断基準の甘さ
  その他数多く。

 「疑わしい時は被告人の利益に」の原則の不徹底
  有罪を確定するには疑わしい場合でも
  「その疑問が論理則・経験則に照らし不合理とまでは言えない」という
  あいまいな判断基準で疑わしきを罰しているのは不当である。
  

 科学的証拠の軽信
  DNA鑑定が覆される例が起きている。
  余談:父は法医学者でしたが、「報道されている犯罪の状況等から
      予断を持って鑑定をしてはいけない、
      鑑定対象の物件だけから判断すべきだ」
      と常々申しておりました。
      ということはそうでない場合が往々にしてある、ということでしょう。 
      そんな鑑定は信用できません。

 
冤罪を避けるために裁判員裁判をより有効にするための対策
 
 取り調べの完全可視化
  誘導自白を避けるためには、
  取り調べの完全可視化(録画)が必要である。
 

 証拠開示のさらなる拡大
  検察が持っている証拠をすべて開示すべきである。
  (現在は検察は自分たちに都合の悪い証拠は隠しているのですね!)

論拠等につきましては、ぜひ原著をご覧ください。
 
 
 
 

ところで、冤罪の最たる悪である死刑についても
丁寧に死刑廃止の持論を展開されています。

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死刑制度の積極・消極の理由の対比

 わが国における死刑存置論はきわめて根強く、
むしろ近年強化の傾向にあるように思われます。

特に、刑事裁判において被害者の権利を保障することを強く求めた
「犯罪被害者の会」の働きかけは強力でした。

この会の初代会長を務めた岡村勲弁護士は、理不尽にも
奥さんを事件依頼者に殺害された方ですから、お気持ちは
痛いほどよくわかります。

また光市母子殺害事件の被害者の夫である本村さんの怒り、
悲しみがいかほどのものであるかも、十分理解しなければなりません。

 「しかし、」です。前節でみた世界の潮流を前提にして考えても、
日本では今後も死刑を維持していくべきなのでしょうか。

私は、この問題について日本の国民世論が圧倒的に存置に
傾いているのは、国民が死刑問題についてこれまで真面目に
考えてこなかったからだと考えています。

要するに、こういう問題については裁判官、
お上に任せておけばよいという安易な気持ちが大勢であったから
ではないでしょうか。

死刑に関する以上のような問題点を認識し、しかも世界の潮流が
着々と廃止方向に向かっていることを認識すれば、
聡明なわが国民は、存置論一辺倒から脱却してくれるのでは
ないかと考えています。

 余談になりますが、本年(二〇一二年)六月一日に、
ノルウェーの裁判官、警察官、法務大臣などを迎えての
シンポジウムが青山学院大学で開かれました。

そのシンポジウムで、私は「死刑は日本において持続可能な
刑罰といえるか」という題で報告を求められ、今日のお話と
ほぼ同じ内容を一五分間にまとめて報告しました。

そして、その後の意見交流では、双方からいろいろな意見が出ましたが、
私が一番驚いたのは、ノルウェーと日本における死刑に対する
国民の考え方の違いでした。

両国は、世界で最も犯罪発生率が低く治安も安定していることで
共通の特徴をもっています。

そして、あちらではとうの昔に死刑が廃止されているのに対し、
日本では未だに存置論がきわめて強いのです。

私は、それがどういう理由に基づくのであろうかと疑問に思いました。

 ノルウェーでは二〇一一年、死者七〇人に達する大変な
テロが発生したのですが、これを契機に死刑復活を唱える議論は
少数で国民世論の大勢を占めるには至らなかったそうです。

これに対し、オウム真理教による無差別テロを経験した日本では、
ノルウェーと異なり、ますます厳罰化の途を歩んでいます。

これがいったい何に原因するのか、私には理解
できないのですが、裁判員裁判の導入を契機に、死刑問題について
皆さんには真剣に考えていただきたいと考え、
あえてこの問題についてお話させていただきました。
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世界の主要国では死刑は廃止となっているのに、
日本の世論調査では死刑存置論が大半を占めています。
なぜでしょう?
読者の私はたいへんな問題提起をされてしまいました。

木谷さんが指摘されている一つの理由は、
「こういうような国の基本問題はお上に任せておけばよい」
という「国民の思考」だからではないか、というものです。

しかし、どう考えても死刑(特に絞首刑)は残虐な行為です。
いくらお上任せといっても、それを認めるというのは不思議です。
日本人がそんなに残酷な好戦的人種であるとは思えません。

こういう考え方はできないでしょうか。

日本人は、仲間と敵を峻別して、仲間とは仲良く暮らし、
敵には共同して対抗するという意識が強い、
どこの国でもそういう傾向はあると思いますが、
特に日本でその傾向が強いのです。
それは、農耕生活を基盤にした村社会で生まれた思考です。

村社会では、そこに所属する人間は、
毎日毎日その村の中で生活をしなければなりません。
秩序を乱すものは村八分になってしまいます。
そうして秩序を維持してきたのです。

犯罪者は村社会に対する挑戦者なのです。
村社会の秩序維持の点から許せません。


それと、死刑問題は、一般人はあまり触れたくない問題で
まともに議論してこなかったことも関わっていそうです。

「あうんの呼吸」「暗黙の了解」「言わず語らず」で
避けて通ってしまっているのです。

木谷さんが言われるように死刑の是非について議論し、
その問題点を知るようになれば、
死刑廃止に傾くのではないでしょうか。

現に私自身、
これまで死刑について深く考えたことがありませんでした。
木谷さんの意見を聞き、
死刑は廃止すべきだと思いました。


ところで、この著書については、木谷さんのお仲間(後輩)である
女性弁護士YAさんがとても素晴らしい紹介をされています。
ご覧になってみてください。
   http://plaza.rakuten.co.jp/yyy0801/diary/201310010000/